09話 邂逅
「――この量はさすがにきついな、、、」
ダンジョンボス『フルメタル・ゴーレム』を倒した後、ダンジョンから脱出するべく来た道を引き返した。
道中出てくる魔物を、聖剣で倒しつつ5階層までやってきた。
この5階層にはセーフゾーンがある。
そこで、帰り道で増えた魔物の分まで解体することにした。
最初は王都に帰ってからミミとココネに手伝ってもらおうと思っていたが、問題があることに気づいた。
1つ目は、100体に上る魔物の量。
王都で解体するのには、血や匂いといった問題が出てくる。
次に、魔物の入手先。
今このダンジョンは勇者以外立ち入り禁止になっているのにも関わらず、このダンジョンで出てくる魔物を解体しているのを見られるのも問題になる。
さらに、魔物の硬さ。
50階層に近い場所では、ガイアウルフさえも凌駕する魔物が出てきたが、そいつらは最低でも魔剣クラスの刃物でないと解体にものすごい時間が掛かるという問題がある。
これらの問題は、ダンジョン内で解体してしまえば解決するというわけだ。
血や匂いは言わずもがなで、素材は【アイテムボックス】にしまい込めば劣化することもなく、好きな時に使えるようになる。
解体も誰かに見られる心配がなければ、聖剣を使うこともできるので魔剣よりもさらに早い解体が可能になる。
「――そう、思って解体を始めたんだけど、失敗だったかな、、、」
【アイテムボックス】にはまだ、半分以上も残っている。
聖剣で解体することによって時間の短縮はできるけど、この量相手では気休めにもならなかった。
「いまさら辞めるのも癪だからな、、、 このままやっちまうか」
――残りの魔物も解体することにした。
◇◆◇
「――はあ~。少しは寝れたかな」
魔物の解体を終わらせた俺は、セーフゾーンということもあったので仮眠を取ることにした。
さすがにダンジョンのほぼ往復をして、ダンジョンボスも倒して、三桁の魔物の解体もすると、聖剣の恩恵があっても辛いものがあった。
――時計なんてものは無いので時間はわからないが、多少は寝られたはずだ。
体のだるさも取れているので、問題はなさそうに思える。
「さて、ミミとココネも待っているだろうから、帰るとするか」
事前に2人には数日かかるかもしれないとは伝えてある。
だとしても、早めに戻ることに越したことはないだろう。
「んじゃ、サクサク帰るかな」
ここから先は魔物も弱いので回収することもなければ、ハーゴードの【威圧】だけで倒せる。
なので、時間はかかることはない。
4階層、3階層、2階層と順調に足を進めていく。
そして、出口に繋がっている1階層のセーフゾーンが見えてきたところで、、、
――物音が聞こえた。
「セーフゾーンなら、魔物じゃないはず」
俺は聖剣を変えて【透明化】を発動させる。
そして、なるべく音を立てないように気配を殺しつつ、セーフゾーンを覗く。
そこには、1組の男女がいた。
どうやら揉めているらしく、取っ組み合いみたいなことになっている。
というか、男の方が女の人を襲っているようにも見える。
「――騒いでも誰も来やしねえよ。ここには勇者以外は入れないんだからな」
「や、やめてください!」
「抵抗するなよ、俺を勝手に呼んだのはお前なんだから、このぐらい多めに見ろよ!」
男のステータスが高いのか、女の人の抵抗も虚しく服を脱がされていく。
このままでは、女の人は強姦されそうだ。
――だけど、俺には関係ない、、、
それに、ここは勇者以外立ち入り禁止。
俺がいたことのほうが問題になってしまう。
――ここは、このまま姿を消した状態で立ち去ればいい。
俺はゆっくりと2人を通りすぎるように移動を始める。
女の人は未だに抵抗を続けているが、それも時間の無駄だろう。
「――っ!」
一瞬、女の人と目が合った。
もちろん相手からは俺を見えてはいない。
が、なぜか俺に助けを求めたような気がした。
(もし、これがミミやココネだったら、、、)
ルトリアで2人がヒャッハーに絡まれていたシーンを思い出す。
襲われている女の人にミミとココネの姿が重なって見えた気がした。
「――やめろよ」
気が付いたときには、【透明化】を解き、2人の間に割って入っていた。
――しょうがない、か、、、
ここは、女の人を助けることにしよう。
急に俺が割って入ったことによって、2人はバランスを崩し、倒れそうになっていた。
「――おっと、、、」
襲っていた男の方はどうでもいいので、女の人のほうを支える。
服が乱れて目のやり場に困る状態になっていたので、【アイテムボックス】からコートを取り出し羽織らせる。
「――早く逃げな」
「あ、あの、、、 ありがとうございます、、、」
女の人はよっぽど怖かったのか、すぐに走って逃げて行った。
顔を見られてしまったが、この際しょうがない。
あとは、男の方さえどうにかすれば。
「何しやがるてめえっ!!!」
立ち上がった男が、怒声をあげる。
思わず声につられて振り返ると、、、
「――ご、剛田、、、?」
「てめえ、、、『かじし』かっ!?」
――俺の因縁の相手がそこにいた




