07話 VSフルメタル・ゴーレム
「――やっぱり硬いかっ」
ダンジョンボス『フルメタル・ゴーレム』は、思った以上に厄介な相手だった。
聖剣クラスの武器じゃないと刃こぼれを起こすほど硬い装甲に、MPを使うことで完全回復してくる能力のせいで、HPが中々削り切れない。
幸い、ゴーレムの動きはそれほど早くないので、攻撃はあたることはそうそうない。
動きをよく見てかわし、攻撃を入れられるタイミングに聖剣で切りかかる。
いわゆる、ヒットアンドアウェイ戦法だ。
「――はあっ」
ゴーレムの殴りかかりを避けるように動き、その速度を維持したまま聖剣でゴーレムに切りかかる。
力いっぱい振り下ろした聖剣はゴーレムの左腕を切断することに成功する。
「――このまま押し切るっ!」
間髪入れずにゴーレムに切りかかるが、踏み込みの甘さのせいか、ゴーレムに致命的なダメージは与えられない。
やはり、剣術などを学んでいないのがつらいのだろう。
いくら攻撃力などのステータスが高くても、それを活かしきれてはいない。
『――ゴオオオ、、、』
距離を取ったゴーレムはスキルを発動し、回復をし始める。
HPが満タンになると、部位欠損なども治るみたいで、斬った左腕も治っていく。
「くそっ。また回復された、、、」
このやり取りを、すでに10回以上繰り返している。
ゴーレムの攻撃は隙が大きいので、かわしつつ攻撃を入れることができるが、当たったら痛そうなので精神的に削られてきている。
このままだと、俺に攻撃が当たるか、ゴーレムのMPが底を突くかの勝負になりそうだ。
「――MPが底を突く、、、?」
そういえば、まだ魔法を使って攻撃していなかった。
ついつい聖剣に頼る癖があるので、魔法というものを忘れがちなのだ。
「――問題はMPか、、、」
今使っている聖剣は、近接戦闘のために肉体的なステータスの恩恵が高いものを選んでいる。
そのため、MPの恩恵はそこまで高くない。
大きな魔法を使うなら、『MPタンク』シリーズを装備したいところだが、あれは逆にMP以外の恩恵がほとんどない。
1振りだけ変えるという手もあるが、それでもステータスが下がりすぎる気がする。
「なら、あいつの体制を崩して、時間を稼げばいいか」
狙うのは、足。
――あれだけの巨体だ。
片足でも斬れれば、転ぶに決まっている。
「――ふっ」
敏捷力を最大に発揮させ、一息に移動する。
突然動きが速くなったことで、ゴーレムは俺の動きについてこれていない。
「――もらったっ!!!」
両手で聖剣『ハーゴード』を、力の限り振りぬく。
ゴーレムの足は多少の抵抗があったものの、切断に成功した。
「今のうちに、聖剣を――っ!?」
ゴーレムが倒れている間に聖剣を取り換えようと、意識を【アイテムボックス】に向けた瞬間。
ゴーレムの腕が目の前に迫っていた。
「――ぐふっ、、、」
とっさに腕を前にだして防御をしようとしたが、虚しく俺は吹っ飛ばされて部屋の壁に激突した。
「――がはっ!」
壁からの圧力が加わり、肺に残っていた空気が強制的に吐き出された。
意識を失いそうな衝撃に逆らいながら、俺は現状を確認する。
――どうやら、ゴーレムは足を斬られても体制を崩さずに、攻撃してきたらしい。
聖剣を交換する直前だったので、なんとか死ぬような怪我をせずに済んだといったところか、、、
「ふざけやがって、、、」
足を斬られたゴーレムはスキルを使い、また完全回復しているところだった。
――このままじゃ、ジリ貧どころか、俺が先に殺される、、、
俺は痛みで悲鳴を上げる体を無理やり起こす。
「しょうがない、、、 ――いいだろう。『あれ』を使ってやる!」
ゴーレムがスキルで回復している間に聖刀を1振り交換する。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前:聖刀『氷面鏡椿』
レアリティ:18
恩恵: HP+ 800
MP+1000
STR+ 900
INT+ 500
VIT+ 500
AGI+1000
スキル:【一刀両断】この刀に宿るMPをすべて使い発動する。斬った対象を即死させる。
説明:異世界から来た稀代の刀匠が、己の技術すべてを使い打った刀。使用されたミスリル、オリハルコン、アダマンタイトの長所だけが活かされている。
勇者のみ装備可能 ※作成者は装備可
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――ここからが、俺の本気だっ!




