03話 王都で聖剣作り
「――この近くに、過去の勇者がレベルを上げるために使った迷宮があるらしいんだ」
王都ヴィントヴィーゼに着いた翌日、俺はミミとココネに昨日の夜に調べたことを報告していた。
それは、何時に何処で誰から聞いたのか、事細かに聞き出された。
なんでも、俺の足取りを把握するためとかで、一通り説明するとミミとココネはしぶしぶながらも納得してくれた。
「そのダンジョンのボスから『神鋼』を手に入れたんだって」
「なら、そのダンジョンに行きましょう」
「やってやるのー」
ミミがやる気になって、腕まくりをする。
ココネも行く気満々だ。
「それがね、、、 そのダンジョンは今、勇者だけしか利用が認められないとかで、入ることは出来ないらしい」
「勇者だけとか、ずるいの」
「どういうことですか?」
「つい先日、王様がお姫様に命令して勇者を召還したらしい。それで、その勇者のレベルがまだ低いから、そのダンジョンを使ってレベリングするって話だよ」
過去の勇者も利用したダンジョンは、もともと王族が所有する土地に出現したこともあって、入場や手に入る魔石や素材など、ほとんどを国が管理している。
そういった背景がある中で、国から支援を受けられる勇者が召喚されたことで、一時的にダンジョンを封鎖したらしいのだ。
「まあ、魔王と戦ってもらうために拉致ってきたようなものだから、そのぐらいのサポートはするんじゃないか?」
「むー、なの」
「しょうがないですね」
二人とも、何か満足がいかないみたいだ。
――気持ちはわかる。
俺も同じことを考えて、何か方法がないか考えたからな。
それで、思いついたことがあった。
「ただ、、、 もしかしたらだけど、打つ手がないわけじゃない」
「それはなんでしょうか?」
「どんな手があるの?」
「それはもちろん、、、 俺の唯一のアドバンテージ――『聖剣』だよ」
◆◇◆
勇者以外はダンジョンに入れないというのは、システム的にではない。
ダンジョンの入り口に見張りがいて、入らせてもらえないだけである。
ならば、話は簡単だ。
気づかれないように、入ればいい。
――例えば透明化のような、、、
もちろん、こんな便利な能力作ろうと思わなかったわけではない。
すでに魔剣で作ろうと試してある。
が、魔剣では【気配遮断】までしか作れなかった。
高性能のスキルを求めるなら、聖剣ではないと無理みたいなのである。
なので、聖剣を新しく打ちたいのだが、聖剣を打つのにはどうしても工房のような場所が必要になる。
金属を熱する『炉』、熱した金属を打ち延ばすための作業台、それにハンマーなどの道具も必要になってくる。
――道具や作業台は何とかなるが、問題は『炉』だ。
この世界は武器を打つために『炉』を使うことはないので、工房を買うなどの方法も難しい。
しかし、俺はある可能性を見出していた。
その可能性とは――魔法だ。
『炉』の構造は、考えてみると簡単な構造をしている。
炉の構造とは『熱(温度)を一定に保ち続ける』だけである。
もちろん作るならば、熱に強い耐火煉瓦のような材料や、常に炎を灯し続けるための構造など、いろいろな工夫が必要になる。
――しかし、魔法で再現するなら話は簡単だ。
金属を熱するときだけ、高火力の火属性魔法を使うとか。
炎に耐えられるような素材を土属性魔法で作り炉の形を形成、その中で火属性の魔法を使い続ける。
などの、方法がすぐに思いつく。
俺は聖剣の恩恵でMPを気にする必要がない。
なので、案外できるのではないかと思う。
◇◆◇
聖剣づくりは長い期間がかかるので、作業ができる場所を探した。
最初は宿屋でもいいかと思ったけど、炎を使う作業になるのと金属を打つ時の音が出るという問題があるので、宿屋は諦めた。
そこで、王都の中でも郊外のような場所の一軒家を買うことにした。
それで、肝心の炉だけど、、、
火属性の魔法で金属を直接熱する方法は止めることにした。
金属の熱し方にムラができそうなのと、俺の感覚が炉を使う方に慣れているためだ。
そこで、もう一つの方法である、魔法を使う炉――『魔法炉』と呼ぶことにした――を作ることにした。
試行錯誤を繰り返し、なんとか火属性と土属性の魔法を同時に使うことで、火に強い耐火煉瓦のような土を作りだすことに成功した。
その土を使って炉の枠組みを作り、後はその中で火属性の魔法で炎を灯し続ければいい。
「――さあ、久しぶりの聖剣づくりだ!」
「ご主人様、頑張ってください!」
「シロウ様、ファイト、なの!」
――俺は1ヵ月の時間をかけ、2本の聖剣を新たに打った




