SS 3姉妹の新たな日常
サイドストーリーです。
「――さあ。忙しい日々が始まります!」
カーテンを開け、朝の陽ざしに目を細めます。
こうして、清々しい気分でお日様を眺められる日々がもう一度くるとは、夢にも思いませんでした。
つい先日までは、奴隷として売られる身でしたから。
◇◆◇
――私の名前はアイといいます。
ルトリアの町のある大きな商会の会長の娘、でした、、、
商会の会長である私の父は、ある日、古い友人から儲け話を持ち掛けられ、それに乗りました。
内容自体はとても確かなもので、「失敗することはほぼない」と父は語っていました。
――そう、普通に進めば問題はなかったのです。
その古い友人の裏切り、が無ければ、、、
父の古い友人は、預かった大金を持って失踪してしまいました。
見つけたときには、すでにお金はなく、その人は帰らぬ人になっていました。
裏で糸を引いていた者がいるみたいなのですが、証拠も見つかることもありませんでした。
多額の損失を出した父の商会は、資金不足で廃業になり、さらに膨大な借金が残りました。
その借金のかたに父と母、それに私たち3姉妹は奴隷として売られることになってしまいました。
父は、危険地帯での強制労働が決まり、母は貴族に買われました。
かろうじて、私たち3姉妹は面識のあった奴隷商のお方の配慮で、売り先を多少はマシなところを探してくださることになりました。
しかし、そう都合よく見つかることもなく、奴隷商にかかるお金も馬鹿にならなくなり始めました。
奴隷商人が言った「このままでは、売り先を選ぶことはできない」は、私たちにとっては死の宣告のように感じました。
このままだと、3人そろって慰めモノにされる――そう思いました。。
私はどうなってもいいから、妹たちだけは。
そう掛け合ってみましたけど、私の器量では難しいとのことでした。
そして、奴隷商の人が提示していた最終日。
――その人が現れましたのです。
◇◆◇
私たちを買い取ったシロウ様は、ただのお金持ちではありませんでした。
シロウ様は、なんと魔剣を打つことができる【鍛冶師】だそうです。
実物を見せて頂きましたが、父の手伝いで何度もみた剣などとは、全く違う力を感じました。
それで、シロウ様が私たちを買い取った理由は、商会を作るときに私たちの知識を借りることと、作った商会の管理をさせること、だそうです。
シロウ様は異世界人で、こちらの世界については、ほとんど何も知らないといってもいい状況で、他の奴隷の2人も『商会』のことは、ほとんど知りませんでした。
なので、私たちの意見でも、参考になったといっていました。
そうして、私たちの意見を取り入れて、ついに『カメリア商会』が設立されました。
本来なら、奴隷である私たちをしっかり監視して働かせるものですが、シロウ様は「俺たちには旅があるし、それに3人のことは信じてるから」とすべてを私たちに任せてくれました。
それどころか、しっかり経営をできて利益を出せたら、私たちに給料を下さると仰っていました。
――普通ではありえない待遇です。
一瞬断ろうかと思いましたが、、、
それでも、私たちは父と母を買い戻したいと思っていたので、シロウ様のご厚意に甘えることにしました。
――頑張って『カメリア商会』を大きくして、もう一度家族そろって暮らして見せます。
それが、シロウ様への恩返しになるとも思いますし。
私は妹たちと話し、シロウ様へのご恩を忘れずに、それに報えるように頑張ろうと思います。
◇◆◇
こうして、魔剣を看板商品とした『カメリア商会』は、私たちの経営で動き始めました。
――やがて『カメリア商会』大きくなり、看板商品であった魔剣が『カメリアの魔剣』と呼ばれ、それがきっかけで世界規模の事件に巻き込まれることになろうとは、今の私たちには知る由もありませんでした
次回から3章に入ります。




