11話 商会を設立しよう
「――よし! 拠点を作ろう」
「拠点ですか?」
「拠点、なの?」
俺たちは、海龍討伐祭を見ていくことにし、もう1週間ルトリアに滞在することにした。
祭りが始まるまで暇を持て余していて、何かすることはないかと考えていたところ、あることを思いついた。
――それが、拠点だ。
「いや、さ。『神鋼炉』のこともあるし、最終的にはココルテの町に住もうと思っているんだけど、ココルテの町は流通が悪いから、ここに拠点を作って欲しい物を仕入れれば、ココルテの町からルトリアに来るだけで済むようになるかと思ってね」
「なるほど、わかりました」
「なるほど、なの」
「それで、拠点とは言ったものの、どうすればいいか一緒に考えてくれないかな?」
――俺とミミとココネ。
3人の知恵を振り絞ってみたが、これだっという意見はでなかった。
その代わり、問題は絞り込めた。
・人手(俺のことを話せるような信頼できる人)
・取引できる商人(他の地域から、買い付けをするため)
・倉庫、あるいは【アイテムボックス】
こんなところだろうか。
倉庫と人手は、お金があるのですぐに解決できる。
倉庫はただ買うだけで済むし、人手は奴隷を買えばなんとかなる。
――問題は、商人の件だ。
詳しい事情を話せない上に、奴隷を使ったりすると、どうしても他の商人の信用を得るのが難しい。
高いお金で買い付ければ、取引できる商人はいるかもしれないが、それだと角が立つ。
――どうしたものか、、、
「それだったら、いっそのこと新しい商会を立ちあげるのっ!」
ココネが予想の斜め上の解決案を提案してくれた。
◇◆◇
検討を重ねてみたところ、実際、ココネの案はそれほど悪くはないものだった。
というか、好き勝手出来ることが増えるので、思った以上に良い案に思える。
「でも、それだと収入がないとだめなんじゃ、、、」
商会という規模になると、どうしても大きなお金が必要になる。
それを、俺のポケットマネーだけで賄うのは難しいだろう。
というより、収入が無ければ商会とは呼べない気がする。
「だったら、ご主人様が作られた剣を売るのはどうでしょうか?」
「それだったら、良い看板商品になるの」
――俺が作る剣か、、、
確かに、魔剣までだったらスキルで作れるし、MPも聖剣で解決できるから大量生産にも向いているな。
「あれ? それじゃ、普通に素材を仕入れて、剣にして売るだけになるんじゃ、、、」
「それでも、シロウ様の腕なら1本の剣で材料5本分ぐらい稼げるの。魔剣を売ってもいいなら、換算するのが馬鹿らしい値段になるの」
魔剣という商品があれば、それだけで儲かるのか、、、
――いいかもしれない。
「それに、シロウ様が本気で目立ちたくないなら、いい方法だと思うの」
「どういうこと?」
「ココルテにいる未知の職人が魔剣を作れることは、少し広まっているの。このままだと、貴族や国が動くの。でも、それを取り扱う商会があるなら、シロウ様を探すより商会に行くの」
――なるほど。
確かに、魔剣が欲しくて俺を探す人は出てくるかもしれない。
でも、それを扱う商会があれば、もちろんそっちに行って買うだろう。
コンタクトを取るにしても、商会を間に挟むことができる。
「それに、魔剣は1ヵ月に1本ぐらいでいいの。シロウ様の負担にはならないと思うの」
「そんな少なくていいのか?」
「もちろんなの。MPを全部使い切ると1ヵ月くらい回復しないからなの」
「ああ。そういえばそうだったな」
――MPは聖剣任せだから、あんまり使っている感覚がないんだよな。
確か、普通の職人は最高の出来のものはMPの都合上、1ヵ月に1本までしか作れなかったはずだ。
なので、それを超えると違う意味で目立ってしまう。
商会か、、、
メリットも多いし、案外いい案かもしれない。
――それに、もしかしたら、、、
「商会が大きくなれば、旅商人の受け皿としても使えるかも」
――以前、ココネと父親の話を聞いた時に、いつかどうにかしたいと考えていた。
ココルテとルトリアを結ぶ流通を、これから作る商会が確立し、仕事がなくなる旅商人は商会で雇い、ルトリアまでの仕入れなどをしてもらう。
そうすれば、旅商人も職を失うことはないし、安全性も増す。
我ながら、かなりいいと思う。
「よし、それじゃ、商会を作ろう」
「わかりました」
「頑張ろう、なの!」
――こうして、商会を設立することを決めた




