10話 海龍のいざこざの後はシン○レラ?
「――くっ、、、」
凄まじい轟音と、眩い光が辺りを支配する。
そのまま、ブレスによる衝撃が襲って、、、こない。
――どうやら、うまく行ったらしい。
砂埃が晴れ、ようやく視界が解放される。
目に入るのは――巨大な剣。
海龍と人々の間を遮るように、俺が作った1本の大剣が突き刺さっていた。
聖剣2本のMPで、地面に存在する金属などを材料として【武具創生】で作り上げた剣は、海龍のブレスを受けて傷ついたものの、人や町を守るという役目は果たせたらしい。
「助かったのか、、、」
「剣だ! 巨大な剣が俺らを守ってくれたんだ」
「ばかっ! 早く逃げないと、海龍はまだいるんだぞっ!」
助かったことで安堵の息をつく中、海を泳ぐ海龍を見て現状を再確認する。
その結果、引き起こされるのはパニックだ。
前後左右を様々人が走り抜け、身動きがまともに取れなくなる。
「ミミ、ココネ!」
「ご主人様!」
「シロウ様!」
わずかにしか動けないながらも、2人の手を取り、引き寄せる。
2人は比較的小柄なので、なんとか引き寄せることに成功する。
――海龍の強さは本物だ。
ブレスはなんとか防げたものの、もし、戦闘にでもなることがあれば危ない。
今は逃げる方が優先だ。
(――海龍はどうしてる?)
海の方を見ると、海龍が水面から顔を出していた。
もしや、またブレスかと思ったが、今度は口元にブレスの兆候はない。
理由はわからないけど、不意に現れたブレスを防ぐほどの剣に警戒しているかもしれない。
――とにかく、チャンスだ。
今のうちに逃げよう。
海龍から視線を外し、逃げようとしたとき。
「――っ!?」
不意に海龍と目が合った。
間違いなく、海龍は俺のことを見ていた。
体中に緊張感が走る。
――どうする?
ミミとココネだけを逃がして戦うか?
そんな考えを浮かべていると、なぜか海龍の目から、何かを訴えているような、気がした。
――気のせいかもしれないけど。
『ガアアアアア!!』
海龍が叫び声をあげて、海に潜る。
「――来るかっ」
MPが空になった聖剣を【アイテムボックス】にしまい、違う聖剣を取り出す。
何はともあれ、ミミとココネが逃げる時間くらいは稼がないと、、、
海龍の動きを注意深く、監視するが、海龍は水中から出てこようとしない。
それどころか、、、
海龍の影が、港から離れて行ったのである。
「助かったのか、、、」
「海龍が逃げて行ったぞー!」
「これで、祭りができるな!!!」
歓声があちこちから上がる。
確かに、海龍は戻ってくる気配はない。
とりあえずの危機は去ったみたいだけど、、、
――安心するのはまだ早いだろう。
俺は、両腰に装備した聖剣をいつでも抜けるように、手をかざす。
しかし、海龍は一向に戻ってこない。
どうやら、本当に逃げて行ったみたいだ。
俺は安どのため息をつきながら、いつもの聖刀と魔剣に武器を変える。
(どうなることかと思ったぜ、、、」
ただ、それよりも、、、
――ルトリアの住人たちは、祭りの準備を再開してた方が驚きだった。
◇◆◇
「すごい行列ですね。ご主人様」
「シロウ様、すごいのー!」
次の日、港にできた行列を見て、ミミとココネが喜んで(?)いた。
行列の原因は、海龍のブレスを防ぐために俺が作った剣のせいである。
――ただ、行列の主たちはただの見物客ではない。
その理由は剣にあった。
【超高位鑑定】を、突き刺さっている大剣に使う。
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名前:魔剣『倶利伽羅』
レアリティ:11
攻撃力:B
斬れ味:C
耐久性:A
恩恵: HP+200
STR+50
VIT+100
スキル:【巨大化】大きさを調節することができる。ただし大きくすればするほど攻撃力、斬れ味が低下する。
説明:守ることのために作られた魔剣。攻撃力、斬れ味を犠牲に耐久性が高くなっている。
レベル60以上装備可能 ※作成者は装備可
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突き刺さった魔剣の性能はこうなっている。
問題は説明の最後の欄。『レベル60以上装備可能 ※作成者は装備可』
つまり、この剣を装備できるのは、レベル60以上か、もしくは作成者。
――この行列は、海龍から町を救った英雄を探し出すものなのである。
要はシン○レラだ。
落としていった靴⇒突き刺さっている剣。
お姉さんたち⇒行列の人々。
報酬の王子様との結婚⇒住民から英雄と認められること。あとお金。
といった、一風変わったシン○レラだけど、、、
まあ、ともかく。
人は欲望に忠実なもので、絶対に装備できないのにチャレンジする人は後を絶たないため、この行列が維持されているのだ。
中には、この間絡んできた『タイラント』も混ざっているし。
で、肝心のシン○レラ本人である俺は、目立ちたくないので、もちろんスルー。
残された剣は、このまま残るか、レベル60以上の人が回収するかはわからいけど。
――めでたし、めでたし、なのかな




