SS 『風来の乙女たち』の打ち上げ
サイドストーリーです
「――今回は本当に死ぬかと思いました、、、」
私――ノーラは冒険者ギルドの横にある酒場で、パーティメンバーとお酒を飲んでいます。
と、いうのも。
私たちは今回の仕事で一歩間違えれば、死ぬところだったからです。
今は、次のためにも、お酒でも飲んで吹っ切ろうというわけなのです。
「本当だよ。今回ばかりはノーラとの別れを覚悟したんだからね」
隣で、お酒を飲んでいるのはパーティの要である斥候を担当しているカトレアです。
カトレアとは幼馴染で、私の数少ない私の親友です。
もともと『風来の乙女たち』は、私とカトレアで立ち上げたパーティなのです。
私がリーダーで、カトレアが副リーダーになっています。
冒険者はいつ何が起こるかわかりません。
そこで、勝てない強敵と遭遇した場合。パーティで一番強い私が足止めをし、その間に皆は逃げるということにしてあります。
今回、ガイアウルフとの遭遇は、それを実行するつもりでした。
「でも、助かっちゃいましたね」
「そうそう。シロウさんたちのおかげで、ガイアウルフを倒せちゃったからね~」
「私たちが、ガイアウルフを倒したんですよね、、、」
あまり実感が湧かない。
ガイアウルフは危険度Aの魔獣の森でも最強といっていい魔物である。
事実、1年程前に、旅商人の護衛として雇われていたAランク冒険者も犠牲になっています。
「そういえば~、シロウさんが使ってくれた魔剣と、ノーラの白銀刀・初名だっけ? どっちも、ココルテの町にいる異世界人が作った武器なんだよね?」
「そのとおりよっ! シロウさんが持っていた魔剣も少しだけ見せてもっらたんだけど、やっぱりものすごく綺麗だった。それに、スキルだけじゃなくて、高い恩恵もあるみたいでね、それで、他にも――」
「――ストップ、ストップ! ノーラは武器のことになるとすぐヒートアップするんだから。でも、実際その職人のおかげで、私たちは1人も欠けることなく、ここにいられるんだよね~」
ココルテの町で行われたオークション。
一目ぼれしてしまい、思わず大金を出してまで買ってしまった白銀刀・初名。
しかし、その力は本物で。ガイアウルフに勝てたのも、間違いなくこの刀のおかげです。
「今度、その職人さんに会ったらお礼を言わないと」
「あなたの武器に命を救っていただきました。ありがとうございます。お礼は体で、、、」
「ちょ、ちょっと、カトレア!!!」
「あはは~。でも、満更じゃないんでしょう?」
カトレアが私の声マネをして、セリフを偽装しようとする。
カトレアは昔からこうして私をからかってきます。
別に嫌なわけではないですけど、少し恥ずかしいです。
――確かに、私は男の人と、つ、付き合ったこともないですけど、、、
それに、あんな素敵な武器を作れる人なら、別にいいかな、、、じゃなくて
「ともかく、お礼は普通のお礼です! そんな卑猥なお礼ではありませんっ!!!」
「あはは~、照れなくてもいいんだよ。あ、でも~、私はシロウさんもありだと思うな~」
「シロウさんですか? 確かに悪いお方ではなかったですけど、、、 でも、奴隷を持っていましたよ?」
奴隷を持っているというのは、金持ちの貴族の道楽という印象が強く。あまりいい印象ではない。
「でもね~。ミミちゃんもココネちゃんも、別に嫌がっているわけでもなかったし。大事にされてたよ~。それに、お金持ちだし、優しいし。私的には優良物件だと思えるけど」
「確かに、ミミちゃんのココネちゃんもずっと笑顔でしたね。ほかで見る奴隷の人とは違いました」
「なになに~? 恋バナ?」
「恋バナなら、私たちも混ぜろ~!」
「よーし、今夜はパーッと、盛り上がろう」
話を聞きつけたメンバーの皆が乱入してきます。
女だけのパーティなので、こういった話になるとすぐに騒がしくなってしまいす。
でも、騒がしいのも嫌いではありません。
こうして、また皆で騒げるのは、シロウさんと何より武器を作ってくれた職人さんのおかげです。
――今度会ったら絶対にお礼をしましょう!!!




