SS ココネの決心
サイドストーリーです。
4/27 これまでに出てくるココネの口調を変更しました。
私の名前はココネなの。
小さい頃にお母さんが病気で死んじゃって、それからはお父さんと二人で旅商人をしているの。
旅商人は、いろんな町からアイテムを買い付け、流通の問題から物価が高くなるココルテの町で売る商人のことを呼ぶの。
ただ、旅商人は儲かるけど、代わりにとっても危険なの。
ココルテの町は、周囲を魔物が住んでいる森――魔獣の森――で囲まれているの。
魔獣の森の危険度は、浅いところと深いところで変わるけど、最低でD、最高はAと幅があるの。
危険度Aというのは、魔族の領域に繋がっている『深淵の魔窟』というところと同じ危険度なの。
だから、熟練の冒険者でも、一歩間違えれば命の危険があるの。
それでも、私の家は裕福じゃなかったから、危険でも旅商人をしなきゃならなかったの。
――だから、いつの日か、こんな日が来るんじゃないのかって思っていたの。
ある日。数人の冒険者たちと一緒にココルテの町へ向かうときに、魔物に襲われたの。
襲ってきた魔物は『ガイアウルフ』だったの。
ガイアウルフは、危険度Aの、魔獣の森の中でも一番危険と言ってもおかしくない魔物なの。
それで、冒険者たちも必死で応戦したけど、やっぱり勝てなかったの。
私とお父さんは冒険者たちに言われ、冒険者たちが戦っている隙に逃げたの。
でも、ガイアウルフは、冒険者たちを倒して、私たちを追いかけてきたの。
それで、お父さんが私をかばって死んじゃったの、、、
最後の方の記憶は残っていないけど、一つだけ覚えていることがあるの。
それは、お父さんの最後の言葉なの。
『――ココネ。これから辛いことがたくさんあると思う。でも、いつか信用できる人に会える。俺が最後まで面倒を見れないのは心苦しいが、元気で生きろよ』
それから、私は独りで生きていくことになったの。
大変だったの。
それはもう、とっても大変だったの。
やれることは旅商人しかなかったけど、誰も私を旅商人として信用してくれなかったの。
ひどい場合は、ただで商品を取られたこともあったの。
もっとひどいと、殴られることだってあったの。
それでも、私は一生懸命生きようとしたの。
それが、お父さんの願いだったからなの。
でも、少し疲れてきたの。
私を相手してくれる客はいなくなったの。
だから、お金も無くなったの。
――これで、私も死んじゃうの。
お父さん、ごめんなの。
そんな、考えが頭をよぎるようになったある日、あの人が現れたの。
その人の名前はシロウ様なの。
シロウ様は誰も信用しなくなった私に大金を預けてくれたの。
だから、私は一生懸命シロウ様が頼まれた金属を探したの。
なぜか知らないけど、シロウ様がお求めになった金属は相場よりもかなり安く仕入れられたの。
――不思議なの。
でも、ラッキーと思うことにしたの。
それで、ココルテの町へ戻ってきたの。
シロウ様は、立派な家に住んでいたの。
女の子の奴隷を雇っていたみたいで、少し意外だったの。
でも、もっと意外だったのは、その奴隷の女の子――ミミちゃんが、とっても楽しそうに笑顔を浮かべていたことなの。
私は職業柄、いろんな町に行くけど、会った奴隷はみんなもっと悲惨な目をしているの。
やっぱり、シロウ様はちょっと特別なの。
私もシロウ様の奴隷になりたいかもなの。
旅商人は危険なの。
だから、奴隷として生きる道もあるとは思っているの。
私は女の子で、見た目には少しばかり自信があるの。
でも、変な人の奴隷なんてなりたくないの。
町で見かける、金持ちで脂ぎっている、禿オヤジなんてごめんなの。
ともかく、この依頼が終わったらシロウ様に頼んでみようなの。
――シロウ様は、きっとお父さんが言っていた『信用できる人』なの!




