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探索者協会物語  作者: 最近


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『モラン探索者広報 vol.9』


 発行:モラン探索者協会本部・広報係


・『階層注意報』

◆緊急速報:第二階層にて新エリア『極小洞穴』発見!


 新エリア『極小洞穴』と固有種『エルネト・ダーワルグ』:

 第二階層の奥地にて、空間が不自然に縮小・歪曲した『極小洞穴』が新たに発見されました。とにかく狭いと評判の同階層の中でも突出した物理的な狭さもさることながら、『吸光石』が至る所に埋め込まれているため、松明や懐中晶灯の光量が減衰してしまいます。暗視の手段を用意するか、更なる光量を確保するかしてください。


 第二階層ではお馴染みの巨大な毒蜘蛛や毒蛇に加えて、『矮人《ミゼット》』や『小人《ダーワルグ》』の呼称で知られた地獄の異獣が大量に出現します。

 成人男性の腰くらいまでのサイズや機敏な動きは第一階層の『グラスエイプ』を思わせますが、危険性は段違いで、毒の塗られた短剣と吹き矢を駆使し、劣勢になると逃走して隠れ潜みながら隙を伺う狡猾さを有します。


 通常個体以外にも、通路を巡回している『看守』個体は杖を所持しており、『拘束』や『眩暈』といった原始的な呪術を使用してきます。

 また固有種と思われる強力な個体『エルネト・ダーワルグ』がエリア内を複数体徘徊しており、いまのところ総数や移動ルートなどは不明です。


 際立った特徴として異常な残虐さと攻撃性、無尽蔵に思える生命力と再生能力があり、近くに通常個体がいると捕食して再生能力を強化するそうです。知能、戦闘技術、呪術練度のいずれも高く、最低でも50レベル以上の戦力がパーティに必要です。

 ただし有用な情報として基本的な生物としての構造は我々に近く、同階層で容易に入手できる麻痺毒が効果的に作用します。解毒呪文を習得していますが、その際は完全に隙だらけになるため明確な勝機が生まれます。


 協会からの注意喚起:

 調査・攻略には高度な対応力と特殊な装備が必須となります。十分なレベル(暫定推奨レベルは50)と準備が整っていない探索者の安易な立ち入りは厳禁です!



・『輝く星々! 注目の探索者インタビュー』

◆第九回:第085号『不殺隊』(レベル55/上級パーティ)

(モラン武術大会八傑が率いる、いま注目の九英雄パーティ)

(メンバー:戦士チャスコーン・イモーム/術士ベルオック・ナーケイズ/術士ウルムゾリム/戦士コル/戦士タリ/戦士ナサ/戦士ケラト/戦士セマト/戦士イサト)


 今回は、新エリアの第一発見者であり、見事に固有種を討伐・捕獲してみせた九英雄チャスコーン氏への直撃インタビューです!


――チャスコーンさん! 『極小洞穴』での死闘と固有種捕獲、本当にお見事でした! 早速ですが、当時のことをお伺いしても?


チャスコーン:

「ヒヒ・・・・・・そんな、大した話じゃあないのさ・・・・・・。これまでの調査結果から、もうひとつ支線の洞穴があることは予想できていた。あとは忍耐強く人海戦術さ。うちの『不殺隊』が誇る人材のおかげで、楽だったよ……棺の数も増えたがね……」


――噂によると、戦士主体のパーティの中で術士であるお二人、呪力を込めた入れ墨によって仲間を強化するウルムゾリムさんと、死霊術師のベルオックさんが重要な役割を果たしているとか。


ウルムゾリム:

「いえそんな、私などは大したものでは。ベルオックさんの方が」


ベルオック:

「どうも。パーティの中核となっている死霊術師のベルオックです。惚れてもいいですよ、お嬢さん。死霊術師はけっこう高給取りなので将来性もあります」


――あはは。謙虚なウルムゾリムさんと不敵なベルオックさんでバランスが良さそうですね。でも確かに死霊術師って素敵なご職業っていうイメージがあります。私、映画の『天国からのラブレター』とか、連続ドラマの『法医学者と死霊術師:特異事例検死ファイル』とか大好きなんですよ!


ベルオック:

「ああ、あれね。私も好きです。ボロミアは華やかな葬送式典とかもあって、死霊術へのイメージが良くてやはり居心地がいい。国によっては棺を担いで歩いてると白い目で見られますから。やはりマウザ死霊公さまのお膝元だからですかね」


チャスコーン:

「ヒヒ、そのおかげで、色々なことが合法で……助かる……ヒヒ! 不眠不休で雑兵どもを動かしてひたすら探させる。戦わせる。その繰り返し。固有種との遭遇戦も同じだよ・・・・・・ヒヒヒ、肉壁をひたすら突っ込ませる。それだけ……。協会の運搬依頼も助かってるよ。『余裕がない』と言えば遺体を放置しても許されるからね……」


――肉壁、ですか。あの、気になっていたのですが、半壊した『不殺隊』は新たに戦士の皆さんを補充しましたよね? 登録名が以前に戦死されたコルさんたちと一緒なのですが、これはどういう意図があるんですか?


チャスコーン:

「ヒ……意図も何もないさ。道具を番号で呼んでるだけ。コル(いち)、タリ(にい)、ナサ(さん)・・・・・・てね。欠番を補充したら番号を振り直してる。突っ込ませる順番。複数人が死んだら、若い番号から死霊術で蘇生してまた突撃。入れ墨の呪いで逆らえない。繰り返してれば、いずれは勝てる。ヒヒヒ・・・・・・!!」


――あの。よほどのことがない限り、パーティの方針や役割分担に関して我々は口出しできません。しかしそれではあまりにも……!


チャスコーン:

「こいつは連続婦女暴行致死と強盗。そいつは押し込み強盗殺人。そっちは詐欺師で被害者から困窮者と自殺者多数。この前に使い捨てたのは邪教のテロリスト、浸透していたスパイ、何十人もの精神を壊した薬物の売人、子供を狙った通り魔、墓泥棒による死霊兵加工と闇組織への密売、他にもまだまだある。権力はいいね。刑務所とは、社会奉仕とは、刑期短縮を目指す模範囚とは何か、都合よく決定してくれる」


――え……?


チャスコーン:

「ただ殺すのは生温いと思わないか……ヒヒ! ただの刑務作業で終わり? ダメダメ、殺さずに、苦痛を与え、人類に貢献し、死した後も限界まで絞り尽くす! イヒヒヒヒヒッ! 私はね、他国の迷宮でかつて行われていた『迷宮刑罰者』の制度を復活させたいのさ・・・・・・。ゴミどもにより重い懲罰を与えるためにねぇ……ヒヒ!」


――チャスコーンさん、それはあまりに過剰な罰なのではないですか?! この社会と裁判所、法が決めることであって、それは英雄のすることではっ!


チャスコーン:

「遺族から手紙を貰ったよ。見るかい? 感謝の言葉だよ。確かに褒められたことではないかもしれないがね。『ゴミどもを苦しめて使い捨てる』という私の品のないやり方に賛同する者は、それなりにいるということさ。おそらくは黙認や、公言しない者を含めれば、その数は増えることだろう」


――ですが、それは……。


チャスコーン:

「いいかな、お嬢さん。私は誰にとってもいい顔をするお綺麗な英雄をやるつもりはないのさ。どうせカルギンの奴との格付けは済んでしまっているしね。見栄えのいい英雄はモラン無双の武人にやらせておけばいい。私は漠然とした『誰か』ではなく、怒りと憎しみを腹に抱え込んでいる人々の英雄でありたい。私は私が望む形で、私が味方したい人のために戦う。褒められた方法ではないとしてもね……イヒヒ……」


――……チャスコーンさんの、九英雄としての確かな信念をお聞きすることができました。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。



・『コラム:受付窓口でお茶を飲みながら』

◆第九回担当:受付補佐 ポーレッテ

『薄暗い迷宮でも超絶かわいく! 〜ダンジョン自撮り(セルフィー)の極意〜』


「ごきげんよう、みなさま。ポーレッテです。

 今回は、配信者や念写セルフィーをやってみたい探索者必見の『ダンジョン自撮りテクニック』を伝授しましょう。


 ダンジョン内は暗くて顔に不気味な影ができがちですよね。

 キレイに映るコツは『広角レンズ+発光呪の斜め下当て』です。

 端末や記録水晶を少し高めの位置に構えて、足元にある光晶や呪灯の光を下から柔らかく当てましょう。これで暗い洞窟でもお肌がツヤツヤ&瞳にキュートなハイライトが入る気がします。


 念写はイメージが重要。こういう『気がする』はかなり重要です。

 セルフイメージをいい感じにして、ばっちり加工もキメて撮影ぱしゃり!

 こだわるなら端末に各種の念写自撮り加工専用の呪文アプリを落としてからやるべきですが、ひとつだけ注意させてくださいまし。


 近頃、禁制品である『暗い部屋』の古典カメラを用いて『魂焼き付け霊体シェイプアップ』などといった試みが流行っているようです。

 霊体をすぐに戻せば死ぬことはない、アストラル投射光が映える、などといった宣伝文句を謳っているようですが、こういったやり方を推奨する業者は全て違法です。


 一歩間違えればそのまま死亡する行為であり、訓練も受けていないのに霊体を肉体から引き剥がせば心身のバランスを崩し、健康を損ないます。

(※過去に類似の手法を行った結果、精神崩壊した事例があります)


 はっきり言えばかえって美から遠ざかる行為。

 それで倒れてしまえば、本末転倒というものです。

 みなさま、どうか命と魂、人としての尊厳を大切にしてくださいませ」


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