『モラン探索者広報 vol.6』
発行:モラン探索者協会本部・広報係
・『階層注意報』
◆ピックアップ:第五階層『遊戯回廊』と隣接異界『風の吹く丘』
今回は意思を持った敵性個体はおらず、代わりに悪意ある罠が張り巡らされた「第五階層」と、その先に繋がる過酷な異界を解説します!
・構造:
【第五階層:中央迷宮区】
◆遊戯回廊(危険度★★★)※生物不在。罠・呪い・分断転移が中心。
◆風の吹く丘(危険度★★★)独立固有種:風の王/暴れ馬/馬喰い嵐獣
├テルタ金属城砦(危険度★★★★)固有種:冶金の大精霊
├ハルエムル大河(危険度★★★★)固有種:治水の大精霊
├スンタ石窟(危険度★★★★)固有種:石工の大精霊
└ イルタ牧場(危険度★★★★)固有種:牧畜の大精霊
?→ アルタ天空迷宮(危険度★★★★★)固有種:文明の大精霊
・罠と呪いの迷宮『遊戯回廊』:
第五階層は生物が存在しない代わりに、複雑な人工迷路と大量の殺傷ギミックで構成されています。針だらけの落とし穴、壁から飛んでくる槍や矢、吊り天井にギロチンに転がる鉄球に水攻め密室、とどめにパーティを分断する転移罠!
その上、落ちている宝箱のほとんどに凶悪な呪いやトラップが仕掛けられている、まさに殺意の宝石箱! 斥候不在は自殺と同義と言えます。
・隣接異界『風の吹く丘』:
大部屋の転移門、もしくは不意打ちで襲ってくる転移罠からは、広大な草原と丘陵地帯が広がる『風の吹く丘』へ飛ばされます。上空には巨大な天空迷宮が見えますが、到達方法は現在のところ不明。
見晴らしが良いということは、発見しやすいし発見されやすいということ。
どこからともなく風の精霊や狂暴な狼の群れが襲いかかってきます!
また、極めて危険度の高い固有種が複数体確認されています。これまでに討伐成功例はなく、『松明の騎士団』の部隊が全滅したという報告も上がっています。
可能な限り交戦を避けて下さい。
・四つの未攻略ダンジョンと『大精霊』:
『風の吹く丘』の各地から、さらに四つの高難易度ダンジョンへ接続されていることが使い魔の調査で判明しました。どうやら全て草の民の伝承に登場する精霊と関連した遺跡のようです。
※現在、これらの大精霊を討伐したパーティは存在しません。精霊遺物や希少素材の採集には入念な準備が必要です!
・『輝く星々! 注目の探索者インタビュー』
◆第六回:登録第017号『獣友会』(lv50)
(総戦力は人数以上、使い魔重視がコンセプトのパーティ)
(メンバー:術士バーサーミン・ナダハ/術士ヴァルキー/術士ホーンス/術士アバトス/術士ベルボール/術士ノロラッギ)
今回は全員が使い魔ユーザーであり、かつて『松明の騎士団』の軍属民間調査員として第七階層まで踏破した大ベテラン『獣友会』の皆さんです!
――全員が使い魔持ちという異色の構成ですが、普段はどんな役割分担なんですか?
リーダー・バーサーミン:
「私は軍事使い魔の調教師で、正面戦闘・偵察・呪術戦・治癒は一通りできる。ヴァルキーの犬、ホーンスの鷹、ノロラッギの猿が斥候や戦士、アバトスの錬金魔獣やベルボールの動物霊が術士や治療士の役割を完璧にこなす。人間だけで組むより、よっぽど隙がないのさ」
ヴァルキー:
「あと勘違いされがちですが、全員術士っていっても皆それなりに武術は使えますよ。後衛には錬金術師と死霊術士も揃ってますし、もしもの時は使い魔なしでも機能するように日々己を鍛えてます。リーダーに至ってはボロミア流槍術師範代の資格を持ってますからね。確か、九英雄のチルダントさんとも同門でしたっけ?」
バーサーミン:
「彼は兄弟子だ。流石にやや分が悪いし、武芸を誇ろうにもモラン八傑などという半端な称号ではなんともな。決勝でカルギンに敗れてしまっては格好がつかんよ」
アバトス:
「いやあ、そうはいってもカルギンとの間に大きな差はないでしょう。というかサミの旦那は手負いだったじゃないですか。初戦で当たったほら、『踏破団』の若いのがめちゃめちゃ粘って、最後にキツイ一撃入れてたやつ。あれがなきゃ優勝してたと思いますけどね」
バーサーミン:
「ああ、クラヴィスか。まあ確かに、私に有効打を入れたのはカルギンと彼だけだったが、それを言い訳にするのはみっともないだろう。大会は大会。実戦ではもっと油断ならない強者がいくらでもいる。『裏道』のネキャティスやらソロのドリスやらには勝てる気がせんな。真正直に競う意味もないが」
――謙虚でありながら、冷静な分析力。ベテランの貫禄という感じがします……。現在の最高深度・第七階層まで経験されている皆さんから見て、最近のダンジョンの情勢はどう見えていますか?
バーサーミン:
「……ダンジョンを甘く見ている奴が多すぎるな。ケイネンに関しては九英雄などと持ち上げられていても所詮はアマチュア。御大層な極大呪文は立派なもんだが、実戦で隙だらけでは咄嗟に逃げることすらできやしない。まあ我々も『悪魔の九姉』の前では逃げるだけで精一杯だったが」
ホーンス:
「正直あれを使い魔の視界ごしに見た瞬間、死を覚悟したよ。かつて俺たちが『これ以上はまだ早い』と判断して撤退した第六階層や第七階層の脅威と似た雰囲気があった。パレルノ山っていうのはそういうレベルの死地だと思っておくべきだ。呪鉱石や霊草素材に目がくらむ前に、自分の命の値段を再確認すべきだな」
ノロラッギ:
「俺たち以上の実力と経験、そして覚悟がない者が挑んだところで無駄死にだ。自分の身の丈に合わない危険な真似は絶対にするな。これは生き残ってきた者からの本気の警告だ。皆、協会が認定したレベルと自分の実力を正確に把握しておけよ」
――重要な警句ですね。我々探索者協会としても、重く受け止めさせていただきます。本日はお疲れのところ、お話いただきありがとうございました。
・『コラム:受付窓口でお茶を飲みながら』
◆第六回担当:受付補佐 ポーレッテ
『汗と油に負けない! 〜迷宮でのお化粧、みんなどうしてる?〜』
「ごきげんよう。ポーレッテです。
今回は、過酷なダンジョンに挑む女性探索者さんたちからの切実な疑問……『ダンジョン内でのお化粧』について。
ダンジョン内は湿気や汗、魔獣の脂でメイクがドロドロになりがちです。
おしゃれミームの供給源として呪力を補充するためだけでなく、『アガるチャネリング』ですとか、魅了効果や使い魔の『なつき』を気にする方にとって、切実な問題でもありますよね。
オススメは、『定着呪術入りのウォータープルーフ下地』と『鉱物系ミネラルチーク』の組み合わせ。
これならバリア感覚で肌を保護しつつ、長時間の戦闘でも血色の良い『映える顔』をキープできます。探索が終わった後はクレンジングオイルでしっかり落とすのも忘れずに。
そうそう、男女パーティの喧嘩や、戦士と術士の仲間割れで多い理由、ご存じでしょうか。まさにこの『メイク問題』なのです。
今回のお話は、皆さんに少しでもメイクの呪術的な意味を知ってもらいたくてしています。美しくあることは、呪術にとっても大切な役割を果たすのです。
大事なのは、運命共同体であるパーティメンバーが互いに理解を示すこと。
自分が知らない世界や呪術系統のことは、誰でも軽く見てしまいがちです。
命がけの場所でも欠かさずにそれをやり通そうとするのなら、それはその人にとって命と同じように大切なことなのです。
どうか皆さんの探索が、思いやりに満ちたものでありますように」
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