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探索者協会物語  作者: 最近


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21/26

とある探索者協会員の記録.26



新史歴XXXX年/金錐月/第二十六日

ボロミア文明圏 聖火都市モラン 第六主街区 『木漏れ日通り』

NOTEAPP.NEXXXX.0526

『モラン探索者協会本部』一階受付業務日報

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■担当窓口:受付係エルマ、補佐ポーレッテ、警備兼窓口キュエン、クレーグ(『木漏れ日採集隊』)

■業務概要:外部業者のセールス対応、設備修繕対応、遺体検死立ち会い、パレルノ山異変に関する緊急警戒発令

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【1.通常業務・施設管理および業者対応】

・AM 09:00【レベル認定に伴う利害関係者・企業の営業ラッシュ】

 暫定レベル制度導入に伴い、私設道場・呪術塾・教科書業者・初心者向け呪具商などが殺到。粗悪品が多く、キュエンが対応。

 また、浮遊絨毯と機甲箒のレンタルサービスを謳う業者が盗難品を扱っていたことが明らかになり、市警察に対応を引き継いだ。


・AM 10:00【施設トラブル処理】

 一階多目的トイレが詰まり、業者が修理。

 原因は探索者が流した魔獣毛皮の切れ端。注意喚起を掲示。


・AM 11:00【パートナー企業協議】

 マウザ葬儀社と今週分の遺体引き取り手続きについて定期協議。

 追加の迷宮運搬用棺を搬入。

 常設依頼の棺運搬に関して、受注状況の確認と探索者への簡易ヒアリング。

 パートナー企業担当者が『木漏れ日採集隊』に随伴して第一階層の各拠点を巡り、備品のメンテナンスを行った。


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【2.戦果報告】

・PM 12:45【戦果報告:第088号『古書漁り』】 

対象階層:第三階層『バオルオン平面図世界』

活動内容:階層調査及び固有種『移動書架』追跡、『外半錬理書』回収

成果:

・四名の呪文使いからなる『古書漁り』は全滅。

・生存者なし。

・代表ベラムリープの人格情報を転写した魔導書のみが自力で中央階段まで移動し、第019号『ローナン傭兵団』が回収。

・魔導書は知性化遺留品として協会へ提出。


調査内容:

・『古書漁り』は隣接異界内部を移動する『固有種かつ次元遷移エリア』という特異存在『移動書架』を発見。追跡調査に移行。

・固有種『移動書架』への呪的侵入を試み、霊体を魔導書内部へ投射。

・アストラルスペース内でクラッキング・資料分析・呪文暗号解析・知性化魔導書との呪文戦を実施。

・その過程で『外半錬理書』の別断片を発見。

・同書は膨大な呪文情報により疑似知性を獲得しており、仮想使い魔プログラムとの対話で多くの情報を入手。


得られた情報:

・メクセト期の研究記録

・ゾンビの労働力・エネルギー化

・人工生命の死霊化

・死霊化の接触感染

・屍エネルギーの増殖爆発

・死霊術と錬金術の循環構造


・いわゆる「疑似永久機関」の研究であり、南方辺境工業地区で一定の成果を上げていた可能性が浮かび上がった。

・さらに、第三階層のどこかに『ポルターガイスト発電所』が存在する可能性が高いと判明。

・事実であれば、地獄の核融合炉『地上太陽』に匹敵するエネルギー源となり得る。


襲撃:

・調査継続中、『古書漁り』は正体不明の敵に襲撃され全滅。

・呪文サーベル・窒息呪文で致命傷を与えるも倒しきれず、極大呪文『オルガンローデ』も対抗呪文で打ち消された。

・敵は情報改竄・痕跡抹消の呪文工作を行い、事後調査を妨害。

(この際、『何かの箱のようなものに事実が葬られた』という表現が用いられたが、この比喩を用いた意図は魔導書にも説明できなかった)

・人格転写に成功したベラムリープのみが魔導書を戦場外へ逃がした。


協会評価:

・情報が事実であれば、ボロミア圏のみならず人類全体に爆発的な恩恵をもたらす可能性がある。

・調査班編成を検討中。

・ただし推定される危険レベルは極めて高く、探索には高度な言語魔術の専門的素養が必須と思われるため、調査班の選定には細心の注意を要する。

・『炎上戦士団』『迷宮あやかし百鬼夜行』『時空泡調査団』『賢人眼鏡団』への打診を順次行っていく予定。


※補足:魔導書内のベラムリープは、襲撃者がダンジョン由来の固有種ではなく利権争いに関連した地上勢力の刺客である可能性を示唆。情報不足のため判断は保留。

 また、当該魔導書の扱いはマウザ葬儀社が管理していた呪文誓約型の遺言書に従うものとする。以下はその文言。

『もし私だけでなくパーティの仲間たちも帰還できなかった場合、ベラムリープの人格を転写した魔導書は未知に立ち向かう意思を持つ者に託す。選定方法は遺品オークションで決め、利益は仲間たちの遺族に分配すること』


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・PM 02:30【戦果報告:第004号『放浪者』、第074号『ボロミア正統槍術会』】 

対象階層:第三階層『メクセスモラン廃棄王国』、『無神修練館』

活動内容:固有種『鉄人』討伐等、合同訓練

成果:

・三名による合同訓練

・参加者:九英雄チルダント、『放浪者』ヒース、『伝説踏破団』テオドール

・館内の訓練用自動人形『木人』及び『鉄人』の時間内の討伐数を競う


・結果は、

 一位ヒース(木人0 鉄人10)

 二位チルダント(木人25 鉄人2)

 三位テオドール(木人21 鉄人0)


・訓練終了後、『ボロミア槍術連盟』と九英雄ニトリスが現れ、チルダントを面罵

 結果を世間に公開し、『ボロミア正統槍術会』の凋落をアピールすると宣言

・ニトリスは多数の門下生を率いて威圧、回収呪石の譲渡を要求

・問答となり、パーティ間抗争に発展

・呪力の集中と呪波過密状態により、『無神修練館』のキャパシティを超過

・待機状態の全『木人』及び『鉄人』が暴走状態となる

・乱戦の中で九英雄二名が負傷

・ヒースが敵勢力の大半を撃破

・テオドールが九英雄二名を救助し脱出


協会の対応:

・ヒース及びテオドールに協会長より功績点を付与

・ヒースの暫定レベルをlv54、テオドールをlv46と認定

・九英雄ニトリスに対し厳重注意

・『ボロミア槍術連盟』の正規登録メンバー以外の待機人員、道場門下生らに対して一定期間の探索制限措置


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【3.緊急:ケイネンの死とパレルノ山の新たな脅威】

・PM 03:00【『獣友会』の生還と報告】

 暫定レベル50の『獣友会』が帰還。

 使い魔半数を失い、全員が憔悴。

 代表バーサーミン(Lv54)が「絞られた肉塊」を提出。

 九英雄ケイネン本人と主張。


・PM 03:30【マウザ葬儀社による検死と本人確認】

 同席していた『マウザ葬儀社』の死霊術師が検死。

 霊紋・魂の残留波長より、当該物体が九英雄ケイネン本人と正式確認。


・PM 04:30【パレルノ山の正体と『キュトスの姉妹』の残像記録】

 バーサーミンの証言より以下が判明:

・パレルノ山は「西方のリクシャマー共和国デッサ聖騎士団領」の時空再現異界

・邪神の娘とされる魔女集団・『キュトスの姉妹』の残像記録が定期出現

・出現個体は階層依存固有種:歌姫カタルマリーナと白焔ビークレット 

・この際、リクシャマー帝国時代の大惨事『三千人殺し事件』が再演される

・大魔女の幻影が無差別破壊を行う

・これまで無事だったのは単なる幸運か、遭遇者が全滅し報告が途絶えただけ


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【4.協会対応:パレルノ山の危険度引き上げ】

・PM 05:30【全探索者への緊急警告発令】

 パレルノ山奥地を『指定危険区域(即死級)』に引き上げ

 奥地への立ち入りを原則禁止

 やむを得ず向かう場合は死亡前提の免責誓約書を義務化


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【担当者所感・業務裏メモ(※個人暗号化ログ)】

「まさか、こんなことになるなんて……。

 午前中は『レベル制度で一儲けしよう』って怪しい塾の営業とか教科書売りが押し寄せてきてウンザリ。キュエンおじいちゃんが『ガラクタ売りに来るな!』って怒鳴り散らして追い払ってくれたけど、多目的トイレまで詰まっちゃって本当にカオスだった。(魔獣の毛皮をトイレに流したやつ、絶対許さないからね!)

 でも、午後の出来事に比べたら、トイレ詰まりなんて平和そのものだった。


 お昼を食べている最中にやってきたローナンさんの知らせ。

 魔導書から聞こえてきた、ベラムリープさんの落ち着いた声。

 まだ信じられない。あんなに凄い呪文使いパーティが……。

 ぜんぜん実感が湧かない、当人からの全滅報告。

 ものすごく大変な出来事が起きているはずなのに、ベラムリープさんは生前と変わらないまま、『この情報を更なる知の探究のために活かして欲しい』って言ったの。

 どんな受け止め方をすればいいのか、私には全く分からなかった。


 そのあと、細々とした事務仕事やら広報誌関係のお手伝いとか、小さめの常設依頼の戦果報告とかいろいろあったけど、テオドールさんの報告は比較的いいニュースだったかな。なんか九英雄の大騒ぎは『またか』って感じなんだけど、テオドールさんの頑張りがヒースさんに認められて、弟子にしてもらえたんだって!


 いや、『好きにしろ』って言われただけっぽいけど。それでも大きな進歩だよ。

 ちなみにチルダント師範からはまだ熱烈な勧誘を受けているみたい。

 なんか前より熱心になってない? モテモテで良かったね!

 クラヴィスさんとディンがレベルを抜かされたって悔しいんだか嬉しいんだかわかんない反応してたのも印象的。『伝説踏破団』が再起できるといいんだけど。


 それから、嫌な予感が的中した件。

 ボロボロになって帰ってきた『獣友会』のバーサーミンさんたちが持って帰ってきた『それ』を見た瞬間、ポーレッテちゃんが悲鳴を上げて顔を背けたの。

 本当に……文字通り『絞った雑巾』みたいにねじ切られてつぶれた肉の塊。

 マウザ葬儀社の死霊術士さんが『……間違いなく、ケイネン殿です』って言ったとき、部屋の中の空気が凍りついた。あの強い九英雄が、こんな姿になるなんて。


 パレルノ山は、昔三千人が殺された大惨事の『過去』が再現されてる場所だった。

 そしてそこに現れたのが、歴史に名を残す大魔女『キュトスの姉妹』の残像……。

 イキューどころの騒ぎじゃない。歩く災害みたいなバケモノの幻影が気まぐれに彷徨ってるんだよ。ケイネンは運悪く鉢合わせして……一瞬で『絞られた』んだ。


 『今まで誰も死ななかったのは運が良かっただけ』ってバーサーミンさんが震えながら言ってた。すぐに危険度を一段引き上げて、みんなに『パレルノ山には絶対近寄るな!』って掲示板に大きく書いたよ。

 九英雄はもちろん、実力者のベラムリープさんやバーサーミンさんたちでさえ抗えない脅威が迷宮には潜んでいるんだ……。


 慢心した英雄の末路がこれなんて、あまりにも怖すぎる……。

 お願いだから、うちの窓口からこれ以上誰も死にに行かないで……」



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 『編集部』宛ての追記事項

 エディター、お願いです。

 私に悪意を突きつけないでください。

 この記録に、囁きの天使の加護がありますように。

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