ただいまー
「くまサンただいまー! 一人にしてごめんよー。 ハンバーガー買ってきたぜ、お土産だ!」
地球での規格外なお買い物を終え、月の裏側に帰還したComb1号。
船長は、まるで近所のコンビニから帰ってきたような気軽さで、くまサンに向かって大きく手を振りました。
「エジソン、ほれ、くまサンにこれあげてくれ!」
船長は、紙袋から取り出した、地球のモールで買ったきた特大ハンバーガーをエジソンさんに手渡しました。
「おお! まことに正しいお土産、正しいエネルギー補給! 承知いたしましたぞ、船長!」
エジソンさんは、鼻眼鏡をクイッと押し上げると、ハンバーガーを両手で受け取りました。そして、プラズマテザーの制御コンソールに向かい、素早い手つきでキーを叩き始めます。
「これより、地球のジャンクフードの神髄である『ハンバーガー』の質量と熱量を、プラズマ・コンジットを通じてくまサン殿へ直接転送いたします! ……テザー出力、微調整! 転送開始!」
エジソンさんがレバーを引き下げると、ハンバーガーは眩い光に包まれ、シューッという音と共にプラズマテザーの光の帯の中へと吸い込まれていきました。
『きょおぉぉぉん!!』
宇宙空間に、くまサンの嬉しそうな、そしてどこか満ち足りたような重低音が響き渡りました。プラズマテザーを通して伝わってくるくまサンの波動は、いつにも増して力強く、そして温かいものでした。
「ひゃあああーッッ! 船長! くまサン、地球のハンバーガーのジャンクな熱量に大喜びですわーーっ! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【大満足のマスタード・イエロー】に激しく明滅させると、ブリッジの皆も嬉しそうに笑い合いました。
「だははは! さすがくまサンだぜ! 地球のメシの美味さが分かるなんて、いっちょ前に舌が肥えてきやがったな!」
ハンさんが、自分のことのように嬉しそうに腹を抱えて笑います。
「……ふ。ハンバーガーのカロリーが、そのまま核融合の燃料になるとは。……宇宙の物理法則も、くまサンの胃袋の前には形無しですね」
守さんも、呆れたような、それでいてどこか感心したような表情で、静かに呟きました。
「よかったね♪ ……今日は月には着陸しないでさ、くまサンと一緒にいようかな。船のエネルギーも充填しないといけないしね! 基本的にはやっぱりくまサンがいないと船のエネルギーは不足気味だし!」
船長が少し背伸びをしながら、パノラマウィンドウ越しに浮かぶくまサンの眩い光を見つめて言いました。
「ふむ! 正しい判断、正しいエネルギー管理! 確かに、地球での長時間の待機と巨大な重機たちの運搬で、ミト殿の力を借りているとはいえ、本船のメインバッテリーも、少々『空腹』状態でございましたからな!」
エジソンさんが計算尺をシャキッと構えて、深く頷きます。
「これより、くまサン殿からのエネルギー・パイプラインを本船のストレージへ直結いたします! 今夜は月軌道上でくまサン殿の温かい光に抱かれての『宇宙キャンプ』と洒落込みましょうぞ!」
「船長! それなら今日は、みんなで地球での戦利品(爆買いの成果)を整理しながら、宇宙最高のキャンピング・ディナーですわね! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【ワクワク・キャンプファイヤー・オレンジ】にポカポカと明滅させると、ブリッジの空気は一気にお泊まり会のような楽しい雰囲気に包まれましたわ!
「いや……いつものことなんだが……むしろ、月に降りているほうが異常だからな!」
「ひゃあああーッッ! 船長、まことにその通りですわーーっ!! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【痛恨の自己ツッコミ・サファイアブルー】にチカチカと明滅させると、ブリッジは再びドッと温かい笑い声に包まれましたわ!
「確かに、私たちは宇宙船なのですから、こうして月軌道にプカプカ浮いているのが本来の『正しい姿』なんですわよね! 完全に地球での爆買いと、月面の別荘(予定地)での土木作業に感覚が麻痺しておりましたわ!」
「だははは! 違いねぇ! 俺たち、すっかり『重機で土地を均す土建屋さん』の気分になってたからな!」
「だよだよ! さぁ……風呂入ろーぜ、買ったものを広げるのはそのあとだ!」
「アイ・アイ・サー、船長! 地球の重力(と重機)に揉まれた皆様の筋肉と神経を極上の癒やしで解きほぐす、Comb1号自慢の『超・大浴場』、すでに完璧な温度で沸いておりますわーっ! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【極上の温泉気分・ポカポカさくら色】に切り替えると、ブリッジの皆さんは待ってましたとばかりに歓声を上げました。
「うっひょ〜! 待ってました! 地球のモールを練り歩いて、重機を振り回した後の風呂! こいつは控えめに言っても最高だぜぇ!」
「うききっ! おふろ! おれ、あわあわ、いっぱいするー!」
「ワインもー! いいにおいのアワアワ、するのぉ♪」
ビールマンとワインちゃんも、ハンさんの背中を追ってピョンピョンと飛び跳ねていきました。
「……ふ。やれやれ、子供たち(ハン含む)は相変わらず元気ですね。だが……確かに、今日は少し肩が張っている気がします。……船長、一番風呂は譲りませんよ」
守さんが、涼しい顔をしながらも、早足で(競歩に近いスピードで)二人の後を追います。
「いいねぇ エジソン、バートにジョージ、野口も! みんな行くぜー!!」
こうして、Comb1号の広大な大浴場に、クルー全員が大集合いたしました!
ガラガラッ!
男湯の曇りガラスの扉を開けると、そこにはバートさんが農場セクターから摘んできてくれた特製ハーブの香りがフワァ〜っと漂う、極上のエメラルドグリーンの湯船が広がっていました。
―カポーン♪―
「楽しんだ後は、やっぱり風呂だねー♪」
頭に白いタオルを乗せた船長が、特製ハーブが香るエメラルドグリーンのお湯に肩までどっぷりと浸かり、極楽極楽といった表情で深く息を吐き出しました。
「地球の1G環境と、あの凄まじい物量と人混み……。この薬効が、細胞の隅々にまで沁み渡るようだ……」
守さんがいつもよりずっと緩んだ顔でふぅっと息をつきました。
「まことに正しい湯加減……正しい血行促進……! このエジソン、凝り固まった肩が、お湯の中にトロットロに溶け出していくのを感じますぞぉ……極楽、極楽ぅ……」
エジソンさんに至っては、鼻眼鏡を外してタオルを顔に乗せ、もはやスライムのように湯船の縁で溶けかけています。
「うききっ! パパ! みてみて! おれ、アワアワのおひげ!」
ビールマンが、シャンプーの泡を顔中にくっつけて、立派な『白いおひげ』を作って船長に見せびらかしています。
一方、壁一枚隔てた女湯の方からも、とっても華やかで楽しそうな声が響いてきますわ!
「ふふっ、本当にいいお湯ね。地球の広いモールをあんなに歩き回ったのに、足の疲れがすーっと抜けていくみたい」
「ええ、かぉりさん。それにこのハーブの香り……。とても優しい香りですわ」
かぉり副船長とメリーさんが、優雅にお湯をすくいながら微笑み合っています。
「ワインちゃん、こっちのボディーソープ使ってみる? さっき地球のモールで買ってきた新作よ。とってもいい香りがするの」
「わぁぁ……ゆきおねえちゃん、おはなさんのにおい! ワイン、あわあわ、しゅっしゅってするのぉ♪」
雪さんが、地球でゲットしたばかりのバスグッズを早速開封し、ワインちゃんと一緒にキャッキャと泡遊びを楽しんでいらっしゃいます!
「ひゃあああーッッ! 皆様、極上のバスタイム、堪能していらっしゃいますかーっ! ぷぷ〜っ!」
私は、お風呂場専用の防水スピーカーから、元気いっぱいにアナウンスを響かせましたわ!
「お風呂上がりには、ラウンジにてキンキンに冷えた地球の『ビール』と『コーヒー牛乳』、そして皆様お待ちかねの【戦利品(爆買い)お披露目・大発表会】のステージを、キャンプ気分でバッチリセッティングしてお待ちしておりますわよーーっ!」
「でも……雪さん、メリーさん、買ってきたものは逃げないし……お風呂を出たら晩御飯も用意しないとだから、お買い物のお披露目会は明日にしましょうか♪」
かぉり副船長が、優しく、でも「絶対の決定権」を持つ声で提案なさいましたわ!
「……あ・な・た。いくら楽しい『宇宙キャンプ』とはいえ、お腹ペコペコで戦利品を広げても力が入りませんわよね? ふふっ……」
「おぉっ! さすがお袋! 分かってるねぇ! 俺も風呂から上がったら、まずは最高に美味い飯(できれば肉!)をガツンと食いてぇと思ってたとこだぜ!」
ハンさんが、即座にかぉりさんに賛同して大声を上げました。
「うききっ! おれも、おなかすいたー! ごはん、たべるー!」
「ワインもー! おかあさんのごはん、たべたいのぉ♪」
ビールマンとワインちゃんも、揃って「ごはんコール」ですわ!
「……ふ。確かに、まずは良質なタンパク質の補給が最優先ですね。……それに、この極上のハーブの香りに包まれた後で、地球の様々な品物の匂いが混ざるのは少し惜しい気がします。……今日買ったものは、明日の楽しみに取っておきましょう」
守さんも、深く息を吐きながら頷きました。
「ふふ、そうね。かぉりさんの言う通りだわ。買ってきたものは逃げないもの。……それに、この素敵なハーブの香りをもう少し楽しんでいたいし」
雪さんも、ワインちゃんの髪を優しく撫でながら微笑みました。
「ええ、雪さん。今日はゆっくりお休みして、明日また皆でワイワイ広げましょう。……さあ、かぉりさん、私も夕食の『下ごしらえ』のお手伝いをさせていただきますわ」
メリーさんも、かぉり副船長に優しく微笑みかけました。
「ひゃあああーッッ! 船長、皆様! まことに正しい『宇宙キャンプ・ディナー最優先』の判断ですわーっ! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【極上ディナーへの期待・黄金色】にピカピカと明滅させると、大浴場は温かい笑い声に包まれましたわ!
一方、壁を隔てた男湯では。
特製ハーブの香りが漂うエメラルドグリーンのお湯に肩まで浸かりながら、頭にタオルを乗せた船長が、ニヤリと悪戯っぽく笑って隣の守さんをつつきました。
「おほ! 作戦成功だ、なぁ守……」
「……作戦、ですか?」
守さんが不思議そうに船長を見やります。
「あぁ。あいつら、買い物から帰ってきてすぐ買ったものを広げ始めたら、絶対にテンションぶち上がって、風呂もメシも寝ることも忘れちゃうからな! とりあえず『風呂ー!』ってやって、強制的にみんなの熱を冷まさせたんだよ。気分転換ってやつさ。このままいったら、ビールマンたちもハンや雪さんまで寝ることも忘れるからな、タハハ……」
船長が、まるですべてを見透かしていたかのような(そして少し得意げな)顔で、お湯の中で大きく伸びをしました。
「……ふ。なるほど……そういうことでしたか」
守さんは呆れたように息を吐き出すと、やがてその口元に、隠しきれない感心の笑みを浮かべました。
「てっきり、船長ご自身が一番風呂にはしゃいでいるだけかと思いきや……。地球の重力と規格外の爆買いで昂ったクルーたちの神経を、この極上のハーブ湯で強制的にクールダウンさせ、本来の冷静な判断力(お腹が空いたという事実)を取り戻させる。……見事な手腕です。私も完全に踊らされていましたよ」
「ひゃあああーッッ! 船長、まことに恐るべき『オカン(?)のような完璧なスケジュール管理』ですわーーっ! ぷぷ〜っ!」
私がこっそりと男湯の防水スピーカーから【名プロデューサーへの特大の賛辞・サファイアブルー】をチカチカと明滅させると、船長は「シーッ!」と人差し指を口元に当ててウインクしましたわ!
「さぁて、熱もいい感じに冷めたし、腹も減った! みんな、そろそろ上がって、晩飯にしようぜぇ!」
船長の元気な号令とともに、Comb1号の宇宙一無敵で仲良しな家族たちは、ホカホカに温まった体と、明日へのワクワクを胸に秘めながら、極上のディナーが待つダイニングへと向かうのでした! ぷぷ〜っ!
「ふぅ、雪さん、テレビ見ようぜ、今日はどんなニュースかな……」
お風呂から上がったComb1号のクルーたちは、ホカホカの体にそれぞれリラックスしたパジャマやルームウェア(ハンさんはもちろん、デチューン済みのピチピチスーツのままですが!)を身にまとい、広大なパノラマ・リビングのダイニングへと大集合いたしました!
「ええ、船長。地球軌道上のドローンちゃん経由で、現地の主要なニュースチャンネルに同期させますね。……あんなにド派手にお買い物しましたから、またトップニュースかもしれませんよ?」
雪さんがフフッと笑いながら画面を切り替えると、モニターには地球の真面目そうなニュースキャスターが大写しになりました。
『――本日の市場は、IT関連株を中心に穏やかな値動きを見せました。続いて、明日の全国的な天気予報です。西から張り出した高気圧の影響で……』
『……また、週末に開催される市民マラソン大会に向けて、交通規制の案内が……』
「「「…………」」」
ブリッジの全員が、しーんとモニターを見つめました。
1分経過……3分経過……。ニュースは、地方のほのぼのとした動物園の赤ちゃんの話題へと移っていきます。
「……あれ? マジで何にもやってねぇな」
ハンさんが、拍子抜けしたようにポツリと呟きました。
「俺たちのことは何にもやってないな! あの程度の買い物はニュースにはならないよ。だただの金持ちの買い物で終わりだ。まぁ長官もいてくれたしな、大騒ぎにはならないさ」
船長が、唐揚げをヒョイと口に放り込みながら、どこかホッとしたように、そして嬉しそうに笑いました。
「そうですわね! 船長たちが使ったのはせいぜい『数千万円』ほど……。あの超大国の経済規模からすれば、ただのお金持ちがちょっと豪遊した程度の金額ですわ! 長官閣下がうまく『VIPのお忍びショッピング』として処理してくださったのでしょうね! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【平和な日常・ほのぼのグリーン】に明滅させると、ブリッジの空気はさらに和やかになりましたわ!
「これで普通にテレビが見れるな……今の地球の状況って、どうなんだろう?」
船長が、ソファの背もたれに深く寄りかかりながら、のんびりとした声で尋ねました。
「ええ、少しチャンネルを回してみますね。……ふふっ、本当に普通のニュース番組ですわ。なんだか、私たちが地球を出発した頃とちっとも変わっていないみたい」
雪さんが、ホログラムのチャンネルパネルをスイスイとスワイプしていきます。
『――続いて、国際ニュースです。欧州におけるエネルギー協定の再交渉は、本日も難航しており……』
『――スポーツです! 大リーグ、本日の注目のカードは……おっと、劇的な逆転サヨナラホームランが飛び出しました!』
『――エンタメ情報です。世界的ポップスターの最新ワールドツアーが、いよいよ来月からスタートします……』
「だははは! マジで普通のニュースじゃねぇか! 宇宙人がどうのこうのって騒ぎは完全に消え去ってるぜ! いやぁ、長官のオッサンの手腕、大したもんだなぁ!」
ハンさんが、スポーツニュースのホームラン映像を見て「おぉっ!」と身を乗り出しながら笑いました。
「……ふむ。政治の駆け引き、スポーツの熱狂、そしてエンターテインメントの輝き。……8000万年という途方もない時間が経過し、大陸の形すら変わってしまったというのに、人類が営む『社会の営み』の本質は、驚くほど変わっていないのですね」
守さんが、少し感慨深げに眼鏡を押し上げながら、静かにグラスのビールを傾けました。
「うききっ! おれ、あのボール打つやつ(野球)やってみたい!」
ビールマンは初めて見る地球の「普通のテレビ番組」に目を輝かせて、モニターに釘付けですわ!
「あ・な・た。……本当に、普通の平和な日常ね。私たちが今、この月軌道上から見下ろしている青い星で、たくさんの人たちがこうして泣いたり笑ったりして、当たり前の毎日を生きているのね。……さあ、皆さま! お待たせしました、極上ディナーの準備ができましたわよ!」
キッチンから、かぉり副船長とメリーさんが、最高に美味しそうな匂いを漂わせる大皿を持ってやってきました!
「おぉっ! 待ってました! 飯だ飯だーっ!」
テーブルの上には、かぉり副船長とメリーさん、そして見習い給仕長のワインちゃんが腕によりをかけて作ってくれた、極上の『宇宙キャンプ・ディナー』がズラリと並んでいます!
「おとしゃん、おにく! おにく、いっぱーい!」
「ワインも、サラダいっぱいつくったのぉ♪」
「おぉーっ! こりゃあすげぇご馳走だ! さすがはお袋とメリーさんだぜぇ!」
ハンさんが目を輝かせて、フォークとナイフを両手に構えています。
船長も、湯上がりのビールを飲んで、ホッと息をつきながらダイニングの椅子に腰掛けました。
「「「「いただきまーす」」」」
「モグモグ……明日から月面のお宿造り始めるぜ! お宿の名前は……星の見えるお宿……『星のリゾート・お宿三日月』……ぷぷぷ!」
「「「…………」」」
船長の突然の宣言に、ダイニングには一瞬だけ、月の裏側のような見事な「真空の静寂」が訪れましたわ。
そして……。
「……あ・な・た。それ、私たちがいたころの地球の超有名なホテルチェーンを二つも勝手に混ぜちゃってるわ? 月面で『ゆったり、たっぷり、の~んびり』したい気持ちは分かりますけれど……ふふっ」
かぉり副船長が、お箸を持ったまま、呆れたような、でも最高に楽しそうな笑顔で吹き出しました。
「……ふ。8000万年という時空と1200万光年の距離を超えて、まさかその『昭和と平成のハイブリッド親父ギャグ』を聞かされるとは。……船長、ですが、ナイスネーミングです!」
守さんが、わざとらしく「冷気」を払うように、ですが納得のお宿名に笑っています。
「お代官様! まことに素晴らしいネーミングセンス! 星を眺める(星の)三日月(月面)……。地形と目的を完璧に表した、論理的かつキャッチーな屋号ですな!」
エジソンさんは、親父ギャグだということにすら気づかず、ポテトサラダを頬張りながら計算尺を振って大絶賛ですわ!
「アロハ〜! リゾートホテルなら、ウェルカムドリンクは俺たち農場チームの特製トロピカルジュースで決まりだねぇ!」
「うん! 船長、僕、送迎用の特別なカートの設計、エジソンさんと一緒に考えるよ!」
バートさんとジョージくんも、すでに月面リゾートの従業員気分でノリノリですわ!
「ふぁぁ……温泉でゆったり、たっぷり……最高ですねぇ……」
「ええ、先生。船長のネーミングのおかげで、すっかり『の〜んびり』した気分になってきましたわ」
野口先生とメリーさんも、美味しいスープを飲みながら完全にリラックスモードです。
「ひゃあああーッッ! 船長! スベり倒すかと思われた地球の化石級親父ギャグが、Comb1号の温かい家族たちの手によって、見事な『極年月面リゾート計画』へと昇華されましたわーーっ! ぷぷ〜っ!」
「あはは、いいだろ! 絶対にこっちのお宿の方が似合ってる名前だぜぇ!」
「ひゃあああーッッ! 船長、皆様! まことにその通りですわーーっ! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【満天の星空と温かい家族の絆・サファイアブルー】にキラキラと明滅させると、ブリッジの空気はさらにホカホカになりましたわ!
「だははは! 違いねぇ! いくら地球の『三日月』が有名でも、俺たちの『お宿三日月』は、本物の月の裏側に建ってるんだからな! スケールが違いすぎるぜぇ!」
ハンさんが、得意げに胸を張って大笑いします。
「……ふ。確かに。窓の外には本物の宇宙空間が広がり、見上げれば満天の星。……地球のどんな高級リゾートにも真似できない、究極の『星のリゾート』ですね」
守さんも、グラスのビールを傾けながら、珍しくロマンチックな笑みを浮かべられました。
「お代官様、ご安心を! このエジソン、その名に恥じぬよう、地球のどんなリゾートにも負けない、極上の空調とプラズマ温泉(予定)を設計してみせますぞ! 星を見ながらのお風呂……まさに正しいロマン、正しい癒やしですな!」
エジソンさんが、計算尺をシャキッと構えて高らかに宣言いたしました!
テレビから流れる地球の平和なニュースをBGMに、宇宙一無敵で仲良しな家族のディナーは、美味しいご飯と温かい笑い声に包まれながら、最高に幸せな夜へと更けていくのでした! ぷぷ〜っ!
「まぁ……展望風呂付の一軒家だけどね!」




