大盤振る舞い
「長官、さすがですわ―――! これで安心してお持ち帰り出来ますわね、ぷぷぷ!」
すると、その時ですわ!
広大な敷地の奥から「チリンチリンッ♪」と軽快なベルの音が響き渡り、ちっちゃな二つの影が風を切ってこちらへ向かってきましたの!
「うききーっ! おとしゃん、おれは自転車乗れるようになったぞー!」
「おとうさん、ワインも上手に漕げたのぉ……♪」
なんと、ディーラーの貸出自転車を小さな体で器用に漕ぎこなしたビールマンちゃんとワインちゃんが、満面の笑顔で大はしゃぎしながら合流してまいりましたわ!
「あれ、あの二人自転車に乗れるのか? 初めてだろ? 補助輪は付いてないな……」
船長が目を丸くして、信じられないというように二人の足元をまじまじと見つめました。
「まぁ! 船長、ほんとですわ! 初めてなのになんであんなにうまく乗れるんですの……!? ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【驚愕の急成長・エメラルドグリーン】に激しく明滅させながら、大慌てでお二人の運動データをスキャンいたしましたわ!
「あっ! しっぽだ! あの二人見てみろよ、しっぽをフリフリさせて器用にバランスとってるぞ」
船長が、目を丸くして二人の姿を指差しました!
「ひゃあああーッッ! 本当ですわ! ぷぷ〜っ!」
私が二人の骨格と運動の3Dモデルをホログラムで重ね合わせて表示すると、驚くべき真実が明らかになりましたの!
「船長! 皆様! ご覧くださいまし! ビールマンちゃんとワインちゃんの可愛い『しっぽ』が、ただの飾りではなく、自転車の傾きに合わせて完璧なカウンターウェイト(バランサー)として機能していますわ!」
私がメインコンソールを【生命の神秘・エボリューションゴールド】にビカビカッと明滅させて解説いたしましたわ!
「だははは! 俺たち人間は必死に上半身でバランスをとるのに、あいつらはあのちっこいシッポをピョコピョコ動かすだけで、ジャイロ効果を完全に相殺してやがる! こりゃあ、どんなスーパーカーでも勝てねぇ、最高の『生体パーツ』だぜぇ!」
ハンさんが、お腹を抱えて大爆笑しながらも、パイロットとしてその完璧な生体メカニズムに舌を巻いています!
「ふふっ、この子たち……すぐに乗れるようになったのはそういうことだったのね」
かぉりさんが、『言われてみれば……』という顔で隣りでほほ笑んでいますわ。
「……ふふ、凄いわね。二輪車の最大の弱点である『低速時の不安定さ』を、シッポ一本で完全に克服している。……これは、魔改造の大きなヒントになるかもしれないわね」
雪さんも、バイザーを少しだけ下げて、真剣な顔で二人のシッポの動きをデータとして記録し始めましたわ!
「なに?! あのしっぽは、本物なのか?……」
「は! 長官、まさか今まであの可愛いしっぽを『お着替えアイテム(アクセサリー)』か何かだと思っていたんですの!? ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【大爆笑・ネオンピンク】にビカビカッと激しく明滅させながら、長官の驚きっぷりに全力でツッコミを入れましたわ!
「本物も本物、正真正銘のスーパー生体パーツですわよ! 飾りどころか、F1カー顔負けの宇宙一のバランサーなんですの! 地球の自転車なんて、あの子たちのこの『最強のチャームポイント』にかかれば、補助輪つきの三輪車も同然ですわね! ぷぷぷ!」
「そうだよ、長官! あれは本物のしっぽだよ、ビールマンとワインにはしっぽがあるんだぜ! いいだろ?」
「な、なぜ?」
「え! そりゃー……ビールマンとワインだからに決まってるじゃん!」
「え……! あ、いや……そうか、しっぽか……。……コホン。……ふむ、なるほど。不思議なことでは……ないな。……確かに可愛らしいというか、実に見事に使いこなしている」
「ひゃあああーッッ!! 船長! さすがは我がComb1号の絶対的リーダーですわ! 『ビールマンとワインだからに決まっている』という、科学的根拠ゼロ、論理的整合性ゼロのパワーワードで、地球のトップを完全に納得(?)させてしまいましたわーっ! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【考えるな感じろ・ギャラクシーレインボー】にビカビカッと激しく明滅させながらツッコミを入れると、ブリッジの皆様も大爆笑ですわ!
「だははは! 違いねぇ! 親父のペースに巻き込まれたら、どんな偉いオッサンでも『そ、そうか……しっぽか……』って頷くしかねぇんだよなぁ!」
操縦席のハンさんが、お腹を抱えて笑い転げています!
「……ふ。長官閣下も、この船の『常識』にすっかり順応(麻痺)してきたようですね。優れた政治家は、時に理解を超える事象に対して『そういうものだ』と割り切る能力が必要です。……見事な適応力だ」
守さんも、どこか同情するような、それでいて深く感心したような涼しい顔で長官閣下を称賛(?)していらっしゃいますわ!
「あはは! まさかしっぽがチャリンコの補助輪代わりになるとはなぁ! おぉ……よく追いかけてきたな、ビールマン、ワイン」
「おとしゃー! おれ自転車のれるもんねーー! これかってー!」
ビールマンが、赤いピカピカの自転車のベルをチリンチリンと鳴らしながら、船長の周りをぐるぐると回っています。
「おとさん、ワインもこの自転車ほしいのー!」
ワインちゃんも、水色のかわいい自転車(カゴにお花の飾りがついていますわ!)にまたがって、船長の袖をツンツンと引っ張りました。
「ひゃあああーッッ!! 船長! ついに来ましたわよ! 地球の全お父さんが必ず一度は通る試練、『おとしゃんこれ買ってー!』の可愛いおねだりアタックですわーーっ! ぷぷ〜っ!」
「あ、いや、わかったよ。でも、これは売っているものじゃないからダメなんだよ……ショッピングモールで違うのを買ってあげるからさ」
船長が、1200万円のスーパーカーを即買いした豪快さとは打って変わって、まるで普通の地球のお父さんのように優しく言い聞かせました。
「そうなんですのよ船長! ぷぷ〜っ! いくら宇宙一の無限のお財布(純金)を持っていても、この自転車はあくまでメガ・ディーラーの『敷地内移動用の貸出し自転車(非売品)』! さすがの長官閣下の権力をもってしても、お店の備品まではお買い上げできませんのよーーっ!」
「えーーー! これがいいのにーーー! これじゃなきゃやだー」
「ワインもーー! これがいいのー!」
「うぉ……出た! 最初のお気に入りが、どんなものよりもいい! これは……『新品のほうがいいよ』、『こっちのほうがかっこいいよ』を、どんなに力説しても太刀打ちできないやつか……」
「ひゃあああーッッ! 船長! 地球の育児における最難関ミッション、『絶対これじゃなきゃダメ・イヤイヤビーム』が見事に炸裂いたしましたわーーっ!
……って、ちょっとお待ちくださいませ!?」
私がメインコンソールを【完全なる特大ブーメラン・ショッキングピンク】にビカビカッと激しく明滅させますわ!
「よく考えたら船長! 『新品や他のお店にあるやつじゃなくて、今ここにあるクラシックカーでこの現物(お気に入り)がいい! このまま持って帰る!』って……たった今、船長や雪さんが1200万円のスーパーカーを試乗もせずに即決したのと、見事なまでに理由が完全に一致しておりますわよーーっ! ぷぷ〜っ!」
「ありゃりゃ……!? そ、そう言われると……」
船長が、痛いところを突かれて思わず言葉に詰まりました!
「だはははは! 違いねぇ! 1200万のじゃじゃ馬スーパーカーだろうが、お花が付いた貸出用のチャリンコだろうが、『ひと目惚れした現物が絶対に欲しい!』っていうワガママ度合いは、親父たちもチビっ子たちも全く一緒ってことだぜぇ!」
ハンさんが、ピンクのママチャリの上で腹を抱えて大爆笑です!
「いや、あのな……ビールマン、ワイン! これは売っているものじゃなくて、お店の人がお仕事で使うやつだから、持って帰ったらだめなんだよ! モールに行けば、もっとピカピカで、ロケットみたいに速いやつがあるぞ! な!?」
船長が必死に説得を試みますが……。
「やだーーっ! おれ、このあかいのがいいのー! これおれのー!」
ビールマンは、赤い自転車のハンドルにギュッと抱きついてテコでも動きません!
「ワインも、このおはながいいの! 新しいのいらないのぉ〜!」
ワインちゃんも、カゴのお花の飾りを両手で守るようにして、可愛いお顔をぷうっと膨らませてしまいました!
「だはははは! 30億円の純金を持ってて、超大国の大統領を震え上がらせる親父でも、3歳のチビっ子たちの『これがいーの!』には手も足も出ねぇってわけだ!」
ハンさんが、ピンクのママチャリの上で腹を抱えて大爆笑です!
「弱ったなぁ……長官を……チラ見!……」
船長が、すがるような(そして最高に図々しい)チラ見で長官閣下を見つめましたわ!
「ひゃあああーッッ! 船長! まさかの『泣く子と国家権力には勝てない』のダブルコンボを自ら発動させるおつもりですのーーっ!?
ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【他力本願・フルスロットルピンク】に明滅させると、長官閣下は「やれやれ」といった様子で深くため息をつき、ゆっくりと店長さんの前へ歩み出ましたわ。
すると店長さんが。
「坊ちゃん、お嬢ちゃん、そんなに気に入ってもらえたのかい? お店でみんなに使ってもらう自転車だからね、おじさんもいいものを選んだつもりだから嬉しいな!」
店長さんが、6本指の手を膝について、子供たちと同じ目線までしゃがみ込んで優しく微笑みかけましたわ!
「うききっ! おじしゃんのえらんだチャリンコ、すっごくかっこいいぞ! おれのシッポでピョコピョコしても、ぜんぜんたおれないもん! これ、おれの!」
ビールマンが、真っ赤な自転車のベルをチリンチリンと鳴らしながら、満面のドヤ顔でアピールしました!
「おじさん、このカゴのおはな、すっごくかわいくて、ワインのおきにいりなのぉ……♪ だから、これぜったいもってかえるのぉ!」
ワインちゃんも、店長さんを見上げて、うるうるの瞳で最強の「おねだりビーム」を放ちましたわ!
「あはは、そうかい、それほど気に入ってもらえたのなら……」
店長さんは、後ろに控える長官閣下と船長を交互に見つめると、ポンッと手を打ち鳴らして満面の笑みを浮かべました。
「あはは、船長さん、ですかな……、どうぞこの自転車も持って行ってください! お車を買っていただいた分の、特別なおまけとして……!」
「「へ!……」」
「ひゃあああーッッ!! 船長! 皆様! ま、まさかの急展開ですわーーっ!! ぷぷ〜っ!!」
私がメインコンソールを【超絶VIPのミラクルおまけ・スパークリングゴールド】にビカビカッと激しく明滅させると、その場にいた皆様の時がピタッと止まりましたわ!
「1200万円の特別仕様車を、試乗もせずに、根切交渉もなしでポンと即金(無制限ブラックカード)でお買い上げいただくようなお客様です! 貸出用の自転車の2台や3台、喜んで納車記念の「おまけ」とさせていただきますとも!」
「ほんとに!? ほんとにいいんですか? ……こりゃうれしいぜ! ありがとうございます!」
「長官も、ちゃんとお礼言って……」
「お、……え! 私もお礼を言うのか……?!」
「当たり前じゃん! 客がおまけしてもらったんだぜ! ほら、一緒に頭下げて!」
船長が、超大国のトップである長官閣下の背中を、ポンポンと気さくに叩きながら促しましたわ!
「ひゃあああーッッ!! 船長! 国防長官閣下に向かって、まるで近所の子供に挨拶を教える親戚のおじちゃんのような、フランクすぎる無茶振りですわーーっ!! ぷぷ〜っ!」
「コ、コホン……。うむ。店長、君のその……柔軟かつ寛大な配慮に、感謝する。……まことに有意義な『オマケ』であった」
長官閣下が、シークレットサービスたちが見守る前で、威厳を保ちつつも少し照れくさそうに、店長さんに向かって深く頷かれました!
『も、もったいなきお言葉! この店長、一生の誉れでございます!!』
店長さんが、感動と緊張のあまり、もはや土下座せんばかりの勢いで6本指の手を激しく擦り合わせながら喜んでいますわ!
「お礼言う時も偉そうだなぁ。まぁ……よしとするか! ジョージ……お前はイエローでいいな? 長官はシルバーだな……今でも、乗れば似合うと思うぜ!」
「えっ……!? イエローって……ぼ、僕に!? だって僕、まだ子供だよ!? 農場のトラクターしか運転したことないのに、あんな凄いスーパーカー……!」
ジョージ君が、目を白黒させて両手をブンブンと振っています!
『……は? し、シルバー……? 待て待て、まさか船長、君……展示してあった残りの2台のスーパーカーを、私とこの少年に買い与えるつもりか!?』
長官閣下も、完璧にセットされた髪をわずかに乱し、完全に「素のオジサン」の顔になって船長を二度見しましたわ!
「ひゃあああーッッ!! 船長! まさかまさかの『スーパーカー・全色コンプリート(大人買い)』宣言ですわーーっ!!
ぷぷ〜っ!!」
私がメインコンソールを【超絶セレブのクレープ感覚・プラチナレインボー】にビカビカッと激しく明滅させますわ!
1台1200万円相当のじゃじゃ馬マシンを、まるでフードコートで「お前はバニラな、長官はチョコでいいか?」とアイスクリームを奢るかのような、宇宙一軽いノリで追加注文しようとしておりますの!
「だって二人とも、スゲー欲しそうだったじゃん。ここは店長の心意気に応えよーぜ! 店長、あとの2台も売ってください!」
『ひぃッ……!? さ、さらに、に、2台追加でございますかァァーーッ!?』
先ほどまで感動の涙を流していた店長さんが、今度は白目を剥いて6本指の手をワナワナと震わせ、完全に昇天寸前ですわ!
「だはははは! 違いねぇ! 親父の財布(純金)のバグり方が底知れねぇぜ! ジョージ、せっかくだから貰っとけ! お前ならペダルにもバッチリ足が届くしな! 月面のお宿ができたら、俺様が直々に暴れ馬の乗り方を叩き込んでやるぜぇ!」
ハンさんが、ドヤ顔でガッツポーズを決めながらけしかけます!
「あはは、……長官、遠慮するなよ! 基地が出来たらこれに乗ってさ、基地に遊びに来ればいーじゃん!」
船長が、本当に「ただの遊び道具」を配るような無邪気な笑顔で、長官の肩をポンポンと叩きましたわ。
『……ハ、ハッハッハッハ!! もうどうにでもなれだ! 私の長きにわたる国防の常識が、君たちのおかげで完全に崩壊していくよ! ……そのシルバー、ありがたく頂戴しようじゃないか!』
長官閣下が、ついに吹っ切れたように天を仰ぎ、シークレットサービスたちの前で豪快な笑い声を上げましたわ!
「ひゃあああーッッ! 皆様! 1200万円のスーパーカー3台、堂々の『お買い上げ(テイクアウト)』完了ですわーーっ!!
ぷぷ〜っ!」
「店長ありがとう、この自転車はありがたくいただくよ! 長官の車は、手続してください。ジョージのは……長官、トレーラーに載るかな?」
「……ふむ。私が手配したトレーラーは軍用の超大型特装車だ。ブルドーザーとショベルカー、そして君たちの漆黒のマシン……そこに少年のイエローのマシンを追加したとしても、私の元・長距離トラックドライバーとしての『完璧な積載計算』をもってすれば、荷台にギリギリ収めてみせよう」
「おぉ、さすがだぜ! 長官はさ、後でお店に取りに来なよ、家近いんでしょ!」
『な、ななな……ッ!? き、君はなぜ私の自宅の場所を把握しているのだ!? 私のプライベートな邸宅の座標など、大統領と同レベルの国家最高機密のはずだぞ……ッ! ま、まさか君たち、私が毎朝庭でバスローブ姿のまま新聞を読んでいる姿まで、あの宇宙船から完全に監視していたのではあるまいな……!?』
長官閣下が、今日一番の狼狽えっぷりで目を白黒させ、思わず護衛のシークレットサービスたちを盾にするように慌てて一歩後ずさりましたわ!
「あはは! これだけ土地勘があって、ショッピングモールだって『いつでも来れる』みたいな感じだったし、お店にも詳しくてさ、店員さんの『我が国の国防長官はこの町の出身者だぞ!』みたいな対応をみれば……だれでもわかるぜ!」
「ひゃあああーーーッッ!! 船長! 最高すぎますわーーっ!! ぷぷ〜っ!!」
私がメインコンソールを【名探偵のアナログ推理・ズッコケグリーン】にビカビカッと激しく明滅させると、バスの車内は再び大爆笑の渦に包まれましたわ!
「長官閣下、見事なまでの『超絶テクノロジーへの深読み(一人相撲)』ですわ! 1000万光年を見通すニュートリノ・アイも、ミト君のステルス監視も一切出番なし! 船長の武器は、まさかの『おじさんの観察眼とご近所トーク』という、地球で最もアナログな情報収集能力でしたのよーーっ!」
「だはははは! 違いねぇ! 親父の『地元民を見抜くスキル』は、宇宙の最新レーダーより正確だな! 長官のオッサン、毎朝のバスローブ姿まで心配して損したな!」
ハンさんが、座席から転げ落ちそうになりながら涙を拭って大爆笑しています!
「……ふふ。国家最高機密の座標も、故郷を愛する店員さんの『誇らしげな態度』と、やたらと道に詳しいおじさん(長官)の案内があれば、ただの『地元バレ』ね。どんなに防衛網を固めても、人間の感情(ローカル愛)までは隠しきれないってことよ」
雪さんも、バイザーをクイッと押し上げながら、呆れたような、でも最高に楽しそうな笑顔を浮かべられました!
「な、なんだと……? ただの、地元愛からの推測……だと……!? ――クッ、ハ、ハッハッハッハ!!!」
長官閣下は、自分が宇宙の超技術で監視されていると本気で怯えていた「壮大な勘違い」に気づき、護衛のシークレットサービスたちも思わず肩を揺らして笑う中、今度こそ本当に憑き物が落ちたように、お店の天井を仰いで豪快な笑い声を上げましたわ!
「……やられた! 私としたことが、君たちの規格外な力ばかりに気を取られて、そんな『人間の基本』をすっかり忘れていたよ! ――ああ、そうだ船長。私の実家は、この街の郊外にある。……どうせなら、庭の様子でも見ていくか?」
「ひゃあああーッッ! 船長、長官閣下も完全に『ご近所の気のいいおじさんモード』に振り切りましたわーーっ! ぷぷ〜っ!」
「いいねぇ!……でもさ、いきなり行ったら、長官のかみさんに怒られちゃうだろ! この人数で遊びに行ける準備ができたらさ、また呼んでくれよ」
長官閣下は目を丸くして、それから「フ……ハッハッハッハ!!」と今日一番の特大の笑い声を上げられましたわ!
『あぁ、違いない! うちの妻は、いきなりこんな大勢の来客(しかも宇宙スケールのVIP)が来たら、間違いなく私を家から叩き出すだろう! ……いいだろう船長。極上の茶菓子と、広い庭に君たちの“基地”の模型でも広げられるような準備ができたら、直々に招待状を送らせてもらうよ!』
長官閣下が、涙を拭いながら豪快に頷かれました!
「うんうん……よーし、じゃぁバスに戻ろうか! ビールマン、ワイン、店長さんに一緒にお礼言うぞ!」
「「「店長さん、ありがとうございました!」」」
『……は、ははぁーーーッッ!!! も、もったいなきお言葉! わ、わたくし、このディーラーの店長をやっていて、今日ほど誇らしい日はございませんっ! どうぞ、どうぞお気をつけてお帰りくださいませぇぇーーっ!!』
店長さんが、涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにしながら、6本指の手を激しくすり合わせ、もはや地面に額がめり込むほどの勢いで最上級の「90度お辞儀」を繰り出しておりますわ!
「うききっ! てんちょうさん、ばいばーい! チャリンコ、たいせつにするー!」
「てんちょうさん、ありがとう……♪ おはな、かわいいのぉ」
ビールマンちゃんとワインちゃんが、赤と水色の自転車のベルを「チリンチリン♪」と鳴らしながら、満面の笑顔で小さな手を振り返しました。
「ほぃほぃ……長官、みんな! 行くぜー!」
船長が、チリンチリンと赤い自転車を押しながら、大統領府のシークレットサービスたちを引き連れた国防長官閣下に向かって、まるで町内会の旅行の幹事のような軽いノリで手招きしましたわ!
・・・・・
「うききっ! バス、しゅっぱーつ!」
「おとうさん、ワインの自転車も、バスにのせてねぇ……♪」
ビールマンちゃんとワインちゃんが、真新しい自転車を大事そうに抱えながら、ニコニコ笑顔で座席に飛び乗りました。
「……ふふ。国家最高機密の長官を案内役にして、おまけの自転車とスーパーカー3台をお持ち帰り……。地球の歴史上、最も規格外で愉快な『お買い物ツアー』になったわね」
雪さんも、バイザーの奥で優しく微笑みながら、最後にバスへと乗り込みました。
「ひゃあああーッッ! 皆様、全員無事にバスへの乗車完了ですわーーっ! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【大満足・ハッピーバスツアー・レインボー】にピカピカと輝かせると、運転手のおじさんが「それじゃあ、宇宙船のドックまで帰るよー!」とアクセルを踏み込みました。
「ミト君、帰りはバスについてきてねー! トレーラーと一緒に帰るからさ……」




