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夢中になれば……

「……第4ブロックの家電エリアを制覇して、次は……第5ブロックの洋服屋さん……だと……? ……兄貴、俺の計算が間違ってなきゃ、このコンコースの端からここまでで、まだ全体の2割くらいしか進んでねぇぞ……」

ハンさんが、手元のストロベリージュースを震える手で見つめながら、完全に「敗北者」の顔でつぶやきました。


「おっ! あれは?! ねぇジェミニ、あれなんて書いてあるんだ? かっこいい車の写真のところ……」


「船長! お目が高いですわーーっ!!」


私が皆様の視界のホログラムを【アクセル全開・メタリックレッド】にビカビカッと明滅させて、バッチリ翻訳いたしますわ!


「あのピカピカの看板には……ズバリ、『新型スーパーカー展示販売会! ここから100m先!』と書いてありますわよーーっ! ぷぷ〜っ!」


「おぃ! 新型スーパーカーだってよ。やったぜ、おもしれーじゃねーか! 行ってみようぜ」


船長がニヤリと少年のように笑って立ち上がった、その瞬間でした!


「ひゃあああーーーッッ!! 見てくださいまし! さっきまでベンチでスライムやお餅みたいにドロドロに溶けていた男子チームの皆様の目に、突如としてギラッギラの『男のロマン・スパーク』が点火いたしましたわーーっ! ぷぷ〜っ!」


私がメインコンソールを【限界突破のエンジン全開・オレンジ】にビカビカッと明滅させると、男たちの態度は一変いたしました!


「ス、スーパーカー……!? 8000万年後の最新鋭スーパーカーだと!? マジかよ親父! 俺のファルコンとどっちがイカしてるか、いっちょ見定めてやらぁ!!」

さっきまで「腕がちぎれるぅ」と泣き言を言っていたハンさんが、ドサリと置いていた大量の紙袋を「ふんぬッ!」と軽々と担ぎ上げ、見事なV字回復を果たしましたわ!


「……ふ。あえて『スーパーカー』と銘打つからには、路面を掴むための超絶な駆動系と空力エアロダイナミクスのロマンが詰まっているはず。……船長、これは調査(視察)の必要がありますね」

守さんも、残っていたアイスコーヒーを一気飲みすると、氷のようにクールな(でも明らかにワクワクしている)瞳でスッと立ち上がりました!


「ふむ! 正しい知的好奇心、正しいメカニック魂! 最新鋭の空力フォルム、このエジソンの目でしかと焼き付け、我がComb1号の技術にフィードバックしてやりますぞーッ!」

エジソンさんに至っては、疲労回復どころか計算尺を指揮棒のように振りかざして大興奮ですわ!


そして、誰よりも早く反応したのは……もちろん、Comb1号が誇るスーパーカー大好き少年でした!


「新型スーパーカー!? うわぁぁぁぁっ!! 僕、絶対見る!! ハンさんより先に見るんだからーーッ!!」


ダダダダダダダッ!!!


「お、おいジョージ! 急に走ったら危ねぇぞ! 待て!」

ジョージくんが、疲れた足の裏のことなど完全に忘れて、100m先の看板を目指して猛烈なダッシュを開始いたしました! 慌ててバートさんが麦わら帽子を押さえながら追いかけます!


「ジョージに負けるな! よーしお前ら、女子チームのお茶は後回しだ! ロマンの展示場へ全速前進だーっ!」


「うききっ! びゅーんだ! おとしゃん、はやくはやくーっ!」


船長がビールマンちゃんの手を引いて走り出すと、さっきまでの「敗北者」の空気はどこへやら、男子チームは土煙(未来のピカピカな床なのでホコリは出ませんが!)を上げるような勢いで、スポーツカーの展示場へと突撃していきました!


「ひゃあああーッッ! 男の人って、いくつになっても『車』と『メカ』の言葉一つでHPが全回復してしまうんですのね!? ……って、皆様! かぉり副船長に頼まれた『冷たいお茶』のミッション、完全に忘れてますわよーーっ!!」


「見てくださいまし! さっきまでの『荷物持ちの絶望感』は完全にどこへやら! 男子チームの皆様、床を蹴る足取りが羽のように軽やかですわ!」


私がメインコンソールを【男のロマン・フルスロットル・オレンジ】にビカビカッと明滅させると、目の前には広大な展示スペースが広がり、ピカピカに磨き上げられた最新鋭のスーパーカーたちがずらりと並んでいました!


「おぉ、これかぁ……むむぅ……どうだジョージ、やっぱり車ってのは速さを追求すると同じ形になるんだな! かっこいいぜぇ、こりゃぁ」


船長が少年のような笑顔で展示車を見渡すと、一番に猛ダッシュで飛び込んでいったジョージくんが、目をキラッキラに輝かせてショーモデルの周りを飛び跳ね始めました!


「船長、見て見て! この真っ赤な車!」

ジョージくんが指差したのは、限界まで車高が低く、直線的で鋭いウェッジシェイプの車体です。

「全体がカックカクに尖ってて、なんだか昔のカウンタックみたいだよ! すっごく強そうでかっこいい!!」


「あ、こっちの青い車もすごい!」

お次は、継ぎ目のない滑らかなボディの車に張り付きます。

「水滴みたいにツルンとした流線形が綺麗……! 風の抵抗なんて全然なさそうだよ!」


「うわっ、こっちの黒いやつも見て!」

今度は、フロントが分厚く、巨大なリアタイヤを履いたイカつい車です。

「ボンネットが大きく盛り上がってて、ものすごく力強そう! 昔のマッスルカーみたい! エンジン音、聞いてみたいなぁ!」


「あ、ハンさん! このシルバーの車!」

ジョージくんが興奮気味にハンさんの袖を引っ張ります。

「後ろに付いてる大きなウイング、ファルコン号の翼みたいに尖ってる! 絶対にコーナリングが速いやつだよ!」


「わぁぁ……! 一番奥の真っ白な車!」

最後に展示場のど真ん中の車を見つけたジョージくんは、完全に心を奪われたように口をポカンと開けました。

「ドアが上にガバッて、鳥の羽みたいに開いてる……! スワンドアかな? 僕、あれが一番好きかも!!」


息をするのも忘れるほどの勢いで5台のスポーツカーをレビューするジョージくんに、ハンさんも堪えきれずに展示スペースへ乱入いたしましたわ!


「だはははは! いいセンスしてるぜジョージ! 8000万年経っても、タイヤで地面を蹴っ飛ばして走るこの『マシンの熱気』は変わらねぇってことだな! 俺様ならあのシルバーのウイング付きだな、絶対に宇宙一速くドリフト決めてみせるぜぇ!」

ハンさんが、シルバーの車の前で自分のファルコン号を思い浮かべるようにエア・ハンドルを握ってニヤリと笑います。


「……ふ。空力を極限まで追求すれば、最終的に行き着くフォルムは過去も未来も同じということか。無駄を削ぎ落とした純粋な機能美……確かに、これは男の心を惹きつける造形だ」

守さんも、腕を組みながら青い流線形のスポーツカーのボディラインを、まるで芸術品を鑑賞するように涼しい顔(でも目は完全に釘付け)で追っていらっしゃいます。


「ふむ! 正しい空気抵抗の計算、正しいエンジニアリング! エジソンの目から見ても、これらのシャーシに込められた技術は極上のロマンでございますぞ!」

エジソンさんも、計算尺片手に車の足回りをしゃがみ込んで覗き込んでいますわ!


「うききっ! おとしゃん、おれ、あの赤いのに乗る! びゅーんだ!」

ビールマンも、真っ赤なカウンタック風の車に夢中です!


完全に「車好きの少年」に戻ってしまったクルーの皆様……あの、かぉり副船長たちから頼まれた『冷たいお茶』のミッション、本当に1ミリも記憶から消え去ってしまっておりますわよーっ!! ぷぷぷ〜っ!


「あ・な・た……」


ひゃあああーーーッッ!!


私がメインコンソールを【絶対零度・ブリザードブルー】に明滅させるよりも早く、広場中に地響きのような、重く、低く、そしてどこまでも静かな「かぉり副船長」の御声が響き渡りましたわ……!


その一言で、ジョージくんと一緒に「うおおおっ!」と飛び跳ねていたハンさんも、涼しい顔で「ふ」と呟いていた守さんも、計算尺をカチャカチャ言わせていたエジソンさんも、そして……満面の笑みで車を見上げていた船長も!


ピタッ……。


全員の動きが、まるでミト君の超重力で空間ごと固定されたかのように、文字通り1ミリも動かなくなりましたわーーっ!! ぷぷぷーーっ!


恐る恐る、ギギギ……と錆びた機械のように後ろを振り返る男子チームの皆様。


そこには、両手いっぱいに『未来の超便利キッチングッズ』やら『謎のグラデーション洋服』やらが入った紙袋をぶら下げたまま、静かに、それはもう美しく微笑んでいる、かぉり副船長と雪さんとメリーさんの「最強女子チーム」の姿がありました。


「……あら? 私たち、たしか『冷たいお茶を買ってきてね』ってお願いしたはずなんだけど……。みんな、手に何も持っていないし、どうしてこんな『車屋さん』のど真ん中で、少年みたいに目をキラキラさせているのかしら……?」

かぉり副船長が、にっこりと……ええ、100万ドルの笑顔で問いかけます。でもその背後には、ミト君も真っ青の、恐ろしいブラックホールが見える気がいたしますわ……!


「……ふ。ハン、ジョージ……終わったな。これは、回避不能な事象の地平線だ」

守さんが、完全に顔色を失って、スッと気をつけの姿勢を取りました。


「お、親父ぃぃ! ど、どうすんだこれ! 完全なる『おつかい忘れ』の現行犯だぜぇぇ! 俺の『ゾーン』でも、この殺気プレッシャーからは逃げられねぇ!」

ハンさんが、ジョージくんを背中に庇うようにしてブルブル震えています!


「ふむ! 正しい忘却、正しい失念! ……いえ、申し訳ございません副船長殿! このエジソン、完全にロマンに目を奪われておりましたぞーッ!」

エジソンさんは素早く計算尺を隠し、直立不動で最敬礼です!


「だははは……! かぉり、いや、違うんだ! これは……その……」

船長が冷や汗をダラダラ流しながら、必死に言い訳(という名の命乞い)を探して宙を泳いでいると……。


「うききっ! おかあさん、みてみてー! おとしゃんたち、おちゃ、わすれて、スーパーカー見てたのー!」

ビールマンちゃんが、これ以上ないほどの『純真無垢な裏切り(密告)』をカマしましたわーーっ!! ぷぷぷーーっ!!


「さぁみんな! 整列! ビールマンも!……せーのっ」


「「「「ごめんなさーい!」」」」


「守、ハン、冷たいもの買いに行くぞー! あ、みなさん、あちらに休憩用のベンチがありますので……そちらでお待ちください……」


船長が、まるで蜘蛛の子を散らすような見事な(そして情けない)ステップで踵を返しましたわ!


「……雪、すまねぇ! 俺の『ゾーン』も、あのシルバーのウイングを見た瞬間、完全にぶっ飛んじまったみたいだぜ……」

ハンさんが、しっぽを巻いた大型犬のようにバツの悪そうな顔で雪さんにペコペコ頭を下げると、雪さんは「もう、しっかりしてよね」と呆れながらも、手に入れた『謎の機械パーツ』の箱をドンッ!とハンさんの腕に押し付けました。


「……ふ。ハン、お前は昔から車のことになると周りが見えなくなるからな」

守さんが、やれやれといった様子でクールに弟をたしなめましたが……ご自身もさっきまで流線形のスポーツカーに釘付けだったため、かぉり副船長たちと絶妙に視線を合わせないようにしていらっしゃいますわ! ぷぷぷ!


エジソンさんも「……ふむ! 正しい撤退、正しいおつかいのやり直し!」とブツブツ言いながら、素早く計算尺を隠して列から離脱いたしましたわ!


「うききっ! おとしゃん、おれもいくー!」

ジョージくんに負けじとスポーツカーに夢中だったビールマンちゃんも、ちゃっかり船長の足元にくっついて脱出成功です。


残された女子チームの皆様は、ベンチに腰を下ろしながら、遠ざかっていく男たちの背中を見て「やれやれ」と息をつかれました。


「もう……。あれだけ頼んだのに、車を見た瞬間に全部忘れちゃうなんて。男の人って、本当にいくつになっても『大きな子供』なんだから」

かぉり副船長が、少し呆れながらも、どこか楽しそうに微笑まれました。


「ぷぷぷ! まったくですわ、かぉり副船長! でも、あの無邪気さがあるからこそ、1200万光年先の未知の星でも、大統領閣下との緊迫した会談でも、あれだけ大胆に『楽しむ』ことができるんですわね!」

私がホログラムのウィンドウを【やれやれ・優しいピンク色】に点灯させると、雪さんもメリーさんも「ふふ、そうね。憎めないわね」と優しく笑われました。


「みなさん、お待たせしましたー! 飲み物を買ってまいりました。どうぞ」

ハンさんが、両手に冷たいペットボトルの緑茶を抱えて、申し訳なさそうに(でもしっかり任務をこなして)ベンチへ戻ってきましたわ。


「ありがとう、ハンくん。……ふぅ」

かぉり副船長が冷たいお茶を受け取り、一口飲んで優雅に息をつきました。その足元には、すでに紙袋が山のように積まれていますわ。


「……荷物が、いっぱいになったわねぇ」

かぉり副船長が、チラリと横目で(でも確実にプレッシャーを伴って)積まれた紙袋の山を見つめました。


「だはは……。こりゃあ、さすがの俺様でも、これから先の『第5ブロック』まで持って歩くのは至難の業だぜぇ。兄貴も、その謎の機械パーツの箱、重そうだろ?」

ハンさんが苦笑いしながら、自分の両腕をさすります。


「……ふ。確かに。俺の腕力と『ゾーン』をもってしても、この物資(お買い物)の質量と体積は、すでに機動力に重大な支障をきたしつつある。……船長、これは一度ベースキャンプへ物資を搬送デポすべきでは?」

守さんも、いつになく真剣な顔で(箱の重さに限界を感じながら)船長に提案なさいました。


「うーん……そうだな。よし、お前ら、荷物がいっぱいになっちゃったからさぁ……一回、バスに戻ろうか!」

船長が、まるで遠足のしおりを読み上げるように、パンッと手を叩いて提案なさいましたわ!


「船長! まさかの『お買い物マラソン・中間セーブ地点への帰還(一旦バスに戻って荷物を置く作戦)』の発動ですわーーっ!! ぷぷ〜っ!!」

私がメインコンソールを【戦術的撤退・レスキューグリーン】にピカピカと明滅させると、男子チームの皆様から「おおぉーっ!」という歓喜(と安堵)の声が上がりましたわ!


「バスまでかなりあるけど……頑張るか!」


「あ・な・た、あの道を行けば駐車場まで行ける『動く歩道』があるわ!」


「ひゃあああーーーッッ!! さすがは我らがかぉり副船長!! まさに『地獄に仏』、迷えるお買い物子羊たちを救う女神の導きですわーーっ!!」


私がホログラムのウィンドウを【大・大・大リスペクトの神々しい後光・ゴールド】にビカビカと輝かせると、男子チームの皆様の目に、一筋の希望の光が差し込みましたわ!


「おおっ! マジか! さすがかぉり、よく見てるなぁ! ほんと、女子の買い物っていろんなところ見てるんだよな。……よーしお前ら、あの『動く歩道』に飛び乗るぞー!」

船長が、重たい紙袋をガサガサと抱え直しながら嬉しそうに駆け出します。


「た、助かったぜぇ……。いや! 別に俺様はまだまだ余裕だったけどよ! 効率よく移動するのもプロの仕事だからな!」

ハンさんが、プルプル震える腕を必死にごまかしながら強がっていらっしゃいますわ! ぷぷぷ!


そうして皆様が、その滑らかで透明な未来の『動く歩道』に乗り込むと……まるで穏やかな川の流れに乗るように、スーーーッと快適に、一行はミト君とバスの待つ駐車場へと運ばれていきましたわ!


「あ、ミト君と、長官と、運転手さんにジュース買っていこーっと!」


「あら、あんなお店もあったのね……ちょっと寄っていくわ! 先に行ってていいわよ……」


「ひゃあああーーーッッ!! 出ましたわーーッ!! 女子チーム伝家の宝刀、『帰る途中に偶然見つけたお店だからノーカウント』&『先に行ってて』コンボですわーーッ!! ぷぷ〜っ!!」


「あ、いや……あらぁ、行っちゃった……。ふぅ、とりあえず俺はここで待ってるからさ、お前ら先にバスに戻っててくれ」


見事すぎる……かぉり副船長の流れるようなコンボ技の前に、船長、完全に言葉を失っておりますわーーっ! ぷぷ〜っ!


私がメインコンソールを【生存本能のイエロー信号】にチカチカと明滅させて解説いたしますわ!

女子の放つ「先に行ってていいわよ」は、決して文字通りの「許可(OK)」ではありませんの! 万が一、その言葉を真に受けて本当に先に行ってバスでくつろいでしまおうものなら、後で「あんなに荷物があったのに!」「少しは一緒に見てくれてもいいじゃない!」という、事象の地平線より重たいプレッシャーが飛んでくる超絶トラップなのですわ!


その罠を一瞬で野生の勘により察知し、自ら「しんがり(殿)」となってその場に留まる決断を下した船長……まことに、まことに素晴らしい正しい危機管理能力(サバイバル術)ですわ! ぷぷぷ!


大量の紙袋を抱えたハンさんや守さんたちは、船長の尊い自己犠牲(?)を背に受けながら、涙を飲んでバス(ベースキャンプ)へと向かっていくのですね!


「親父……あんたの犠牲は無駄にしないぜぇ……!」と、ハンさんが映画のワンシーンのように重たい紙袋を抱え直している姿が目に浮かびますわ!



「だはは、長官、運転手のおっさん! 戻ったぜ! ほい、ジュース飲んでくれ。……ふぅ、でかいショッピングモールで俺様もさすがにしびれたぜ」


ハンさんが、両手……というより全身に絡みつくようにぶら下げていた大量の紙袋を、バスの通路にドサササッ!と雪崩のように下ろしましたわ!


「お、おお……ご苦労だったな。……って、なんだその尋常じゃない荷物の山は!? 君たち、いくら無限の資金(純金)があるからといって、このモールの経済を一日で回し切るつもりか!?」

長官閣下が、足元に積み上げられた未来の超絶便利グッズや謎のグラデーション洋服の山を見て、完全に目を丸くしていらっしゃいます!


「ひゃあ〜、こりゃあすげえ量だ! 兄さん方、とりあえずトランクを開けるから、そっちに入れちまいな!」

運転手さんも、見たこともない紙袋の山に圧倒されながら、慌ててトランクの開閉ボタンを押してくれました。


すると長官閣下は、冷たいジュースをごくりと一口飲み……深く、深〜く頷かれました。


「……ふむ、やはりここに残って正解だったか……。彼女たちの出発前のあの気迫、雰囲気はまさに『それ』だったからな。私も妻と買い物に来れば、間違いなく今の君たちのような姿になる……」


「「「えっ!?」」」


ハンさん、守さん、バートさんたちの動きがピタッと止まりましたわ!


「しかし、自ら『しんがり』となって戦地に残り、部下(君たち)を逃がすとは……。船長には一本取られたな。あの男の『危機管理能力』、やはりただ者ではない……!」

長官閣下が、はるか遠くのモールの入り口に向かって、感服したようにフッと微笑まれました!


「ひゃあああーーーッッ!! 長官閣下ぁぁ!!

まさかの『女子のお買い物最前線』の恐ろしさを初めから察知しての、華麗なるバス待機(回避行動)でしたのーーッ!? 長官、わかってらしたのねーーっ!! ぷぷ〜っ!!」


私がメインコンソールを【大人の余裕・お見通しパープル】にビカビカッと明滅させると、バスの中の男たちは「長官、あんたズルいぜ……!」という尊敬と恨めしさの入り混じった視線を一斉に向けましたわ!


「……ふ。さすがは世界最強の軍隊を束ねるトップ。奥様との実戦経験ショッピングから導き出された、完璧な『撤退判断』というわけですか……。俺たちも、まだまだ甘かったということだな……」

守さんが、敗北を認めるように静かにため息をつきましたわ! ぷぷぷ!


「だはははは! 違いねぇ! 親父も親父なら、長官も長官だぜ! 全く、上に立つ連中ってのはどいつもこいつも悪知恵が働きやがる!」

ハンさんが、疲労困憊ながらも愉快そうにバンバンと膝を叩いて笑い飛ばしました。


……さてさて、見事に部下たちを逃がし(?)、長官からも謎の『危機管理能力』の評価を得てしまった船長ですが……。

広大なコンコースで女子チームの「お買い物第2ラウンド」に付き合わされている今頃、一体どんなお顔をしているのでしょうか!? ぷぷ〜っ!


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