マンホールからこんにちは
「コケコッコー!」
「船長、皆様、おはようございますわーーっ! ぷぷ〜っ!」
農場セクターから、我らがニワトリのリーダー・ランボルギーニ君の気合の入った一番乗りが、今朝もブリッジまで力強く響き渡りましたわね!
いよいよ今日は、待ちに待った地球での超絶お買い物ミッションの日ですわ!
皆様の素晴らしいお目覚めを全力でお出迎えいたしますわよ!
「よーし、今日はランニング無し、朝飯食って地球に行くぞー! 早くいかないとね、長官に早朝って言っちゃったからな」
「えぇぇーッッ!! 船長! まさかの『朝のランニング中止』宣言いただきましたわーーっ! ぷぷ〜っ!」
「だはははは! 親父がランニングをすっ飛ばすなんて、明日は槍でも降るんじゃねぇか!? よっぽど地球での『爆買い』が楽しみなんだな!」
操縦席でハンさんがお腹を抱えて笑いながら、すでにファルコン号のキーを弄ってウズウズしていますわ!
「ふふっ。長官とのお約束(早朝)ですものね。皆がパパッと食べられるように、今朝は私の特製『ワンハンド・サンドイッチ』と、熱々のポタージュにしておいたわよ。さあ、冷めないうちにどうぞ!」
かぉり副船長が、最高に美味しそうな香りと共に、山盛りのサンドイッチが乗ったワゴンをダイニングに運んできてくださいましたわ!
「うききっ! サンドイッチ! おとしゃん、はやくたべて、おかいもの、しゅっぱーつ!」
「ワインも、はやくちきゅうで、おはなと、おようふく、みたいのぉ……♪」
ビールマンは小さいリュックサック、ワインちゃんはお出かけ用ポシェットを下げたまま、ピョンピョン跳ねて大はしゃぎですわ!
「……ふむ。正しい判断、正しいタイムマネジメント! 船長、長官殿をお待たせしては、今後の取引(お小遣い)に影響が出かねませんからな! 私も、地球の通貨システムと値引き交渉のアルゴリズムを最終確認しておきますぞ!」
エジソンさんが、朝から鼻眼鏡をクイッと押し上げてやる気満々ですわ!
「船長。……ファルコン号の暖機運転、およびミト君のステルス・フィールドの同調、すべて完了しています。皆が食べ終わり次第、いつでも地球の指定座標へ向けて降下可能です」
守さんが、コーヒーをスッと飲み干しながら、完璧なタイミングで報告を上げられましたわ!
さあ船長! かぉりさんの美味しい朝ごはんでエネルギーをチャージして、いざ、長官閣下たちが待つ地球へ向けて、元気に出発進行ですわよーーっ! ぷぷ〜っ!
「「「「ご馳走様でした!」」」」
「よーし、出発するぞー! 今日はクレーターの中でいいぞー、ミト君ステルス90%で降下する」
「アイ・アイ・サー、船長! Comb1号、これより降下シークエンスへと移行いたしますわ!」
私がメインコンソールを【降下準備・エキサイティングブルー】にパッと切り替えると、ブリッジの照明が少しだけトーンダウンし、外の景色がより鮮明に映し出されました!
「よーし! 親父、俺とちびチューイでファルコンに乗って、少し離れて上につくぜ! ミト君、本船の90%ステルス、しっかり頼んだぜ!」
ハンさんが、すでにフライトジャケットの襟を立ててドヤ顔をキメながら、ビールマンを肩に乗せて操縦席へと向かいます!
「うききっ! おれ、れーだーいんだから! じめんのたかさをみるぜー!」
ビールマンも、小さな手でビシッと敬礼して、やる気満々ですわ!
ゴォォォォォォ……ッ!!!
大気圏を滑るように降下していくComb1号。
眼下には、見渡す限りの広大な海と、その先に広がる北米大陸の輪郭。そして、目標地点である西部の砂漠地帯がものすごいスピードで迫ってまいりますわ!
「ファルコンのカメラ見せて……おぉ、天気いいじゃん、絶好のお買い物日和だねー♪」
「ひゃあああーッッ! 船長! 50万トンの超弩級宇宙船がマッハで大気を突っ切っているというのに、まるで『ちょっと近所のスーパーまでお散歩』みたいな最高のノリですわーーっ! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【お買い物日和・サンシャインオレンジ】にパッと切り替えると、ブリッジの空気もさらにポカポカと明るくなりましたわ!
「だははは! 違いねぇ! 親父、こんなピカピカの青空の下でブラックカード切れるなんて、最高に気分がいいぜぇ! 俺のファルコンも、大気圏の摩擦熱なんて屁でもねぇくらい絶好調だ!」
通信機越しに、ハンさんとビールマンちゃんが乗るファルコン号からも、陽気な笑い声と「うききっ!」という元気な声が聞こえてまいります!
「ふふっ、本当にいいお天気。でもあなたたち、お買い物が楽しみだからって、あまり大統領や長官たちを驚かせてはダメよ?」
かぉり副船長が、優しく微笑みながらも、ピシッとしたオーラを放ちましたわ! ぷぷぷ!
「さあ皆様! シートベルトはしっかりとお締めくださいませ! Comb1号、長官閣下の待つ(そしてVIPブラックカードが火を吹く)約束の地・大クレーターの底へ向けて、宇宙一スマートにタッチダウンいたしますわーーっ! ぷぷ〜っ!」
「おとしゃん! あと10……5……2……0!!」
ビールマンが、モニターの高度計を見ながら元気いっぱいにカウントダウンを叫びました!
ズズゥゥゥゥン……ッ!!!
Comb1号の巨体が、クレーターの底へと完璧な精度で収まりましたわ!
重力クッションのおかげで、衝撃は皆無。
「だはははは! 兄貴、完璧な駐車だぜ! 俺たちのファルコンも、上空でバッチリ見ていたぜ!」
通信機越しに、ハンさんとちびチューイ(ビールマンちゃん)の楽しそうな声が響きます!
「よし、ハン! ファルコンを格納するぞ!」
「アイ・アイ・サー、船長! ファルコン号の帰還シークエンスを開始いたしますわ!」
私がコンソールのメインスイッチを【お出迎え・ウェルカム・グリーン】に切り替えると、Comb1号の側面にあるハッチが滑らかにスライドし、格納庫への誘導灯がピカピカと点灯しましたわ!
「おぉし、ちびチューイ! 俺たちの完璧なフライトの締めくくりだぜ! 親父が待ってるドックに、バシッと一発でケツから決めてやるぜぇ!」
「うききっ! ハン、かっこいい! おれ、がんばって、おとしゃんたちに、おててふる!」
通信機越しに、ハンさんの得意げな声と、ビールマンの元気いっぱいの声が響いてきます!
シューーーッ……カチャン!
ファルコン号は、ハンさんの見事な操縦(と、ビールマンの元気な応援)によって、寸分の狂いもなくComb1号の格納庫へと滑り込み、完璧な後進駐車をキメましたわ!
「次は、ミト君! Comb1を埋めてくれ、クレーターの内側の淵から土を採ってかけてくれ!」
「ひゃあああーーーッッ!! 船長! その作戦、完全に『お砂場でのカブトムシの幼虫ごっこ』ですわーーっ!! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを驚きの【カモフラージュ・ブラウン】に明滅させると、ブリッジの空気も一瞬ポカンとなりましたわ!
『キュィィィン♪(パパ、おすなばあそび! まかせて!)』
ミト君が元気よくお返事をしたかと思うと、事象の地平線がクレーターの淵から大量の砂と土をフワリと持ち上げました!
そして、50万トンの純白のジルコニア装甲の上へ、ザバァァーーッ! と豪快に土をかけ始めましたの!
「だはははは! 親父、マジかよ! 宇宙一の超絶テクノロジーを使って、まさかの『土に埋まる』って原始的すぎるカモフラージュだぜぇ!」
ファルコンから帰ってきたハンさんがお腹を抱えて大爆笑しています!
「ミト君うまいうまい! 潜望ハッチは埋めないでくれ、出られなくなっちゃうからな。どうだ、まだ長官は来てないようだな」
船長が、モニターをチェックしながら、どこかのどかに指示を出しました。
「……ふ。確かにまだ到着していないようですが……船長、よろしいのですか? このままでは、本当にただの『砂丘』になってしまいますが」
守さんがモニターに映る『急速に砂漠と同化していくComb1号(ただし頭のハッチだけ出てる)』の姿を見つめています。
「ぷぷぷ……! 船長! ミト君の完璧な左官工事のおかげで、上から見たら完全に『ちょっと不自然なマンホールがある砂山』ですわーーっ! 大統領閣下や長官殿が到着されたら、きっと『あれ? 宇宙船はどこに?』って、目をこすって探しちゃいますわよーーっ! ぷぷ〜っ!」
さあ船長! お買い物の前の、最高にシュールな「かくれんぼ」の準備完了ですわ!
地球のトップたちがこの「マンホール」を見つけてどんな顔をするか……ジェミニ先生のカメラ、録画準備バッチリですわよーーっ! ぷぷ〜っ!
「雪さん、長官にさ、クレーターまで来たら教えてって連絡してよ! さぁ、みんなはお出かけの準備してくれ」
「了解よ、船長。……長官の極秘ホットライン、繋ぐわね」
観測席の雪さんが、クスッと笑いながら通信コンソールを素早く操作しました。
『……私だ。何かトラブルか? まさかまた我が軍の防空網にイタズラをしたわけではあるまいな?』
通信機越しに、少し緊張した、けれどどこかウキウキしている長官閣下の声が響きましたわ!
「あ、長官? おはようございます! 無事に指定のクレーターの底に着きましたので、長官が到着されましたら教えてください! クレーターの中にいるので、こちらからは到着の確認が取れません」
『おお、そうか! 優秀な我が国のレーダー網にも一切引っかからなかったぞ。さすがのステルス性能だ。……まもなく到着予定だ! 到着したら連絡を入れる……』
「ぷぷぷーッッ! 船長! 長官閣下、完全にウキウキの遠足気分ですわーーっ!」
私がメインコンソールを【お出かけ前のワクワク・ピンク】にチカチカと明滅させると、ブリッジの皆さんも一斉に居住区の自室へ向けて散っていきましたわ!
「だははは! 今日は俺の『地球のイケてるナイスガイ』ファッションを見せつけてやるぜぇ!」
ハンさんが自信満々に親指を立てて、弾むような足取りで自分の部屋へ消えていきました。
数分後……。
ブリッジの自動ドアがプシューッと開き、Comb1号特製・お買い物ファッションショーの開幕ですわ!
「うききっ! おとしゃん、みてみて! びーるまん、かっこいい?」
「ワインも、メリーさんにリボン結んでもらったのぉ……♪」
ビールマンは、地球の子供服(かぉり副船長のお手製サイズ直しですわ!)のデニムのオーバーオールをバッチリ着こなし、背中には小さなリュック。
ワインちゃんは、淡いお花柄のワンピースに、頭にはおそろいのリボン。お気に入りのポシェットを斜め掛けにして、まさに『宇宙一可愛い地球の子供たち』ですわ!
「おぉ〜、二人とも似合ってるな! これなら完璧な地球の子供だな!」
船長が喜んで二人の頭を撫でると、ビールマンとワインちゃんは嬉しそうに「えへへ〜」と笑ってシッポをフリフリしました。
「さぁ、みんな準備はいいかな~、 長官はきたかな?」
船長が、長官から頂いた分厚い(?)ブラックカードが入ったお財布をポンポンと叩きながら、いつものんびりとした調子で尋ねられました。
「現在、クレーターの周囲5キロ圏内に、大型車両の接近を感知しておりますわ! もう間もなく、長官殿からの通信が入るはずです!」
その時です。
『……船長、聞こえるか! 今、指定のクレーターの淵に到着した! だが……』
通信機から、長官の興奮と、そして明らかな『困惑』が混ざった声が響きましたわ!
『……レーダーにも映らんし、肉眼で見ても……船長たちの巨大な宇宙船が見当たらんのだ。まさか、また我々をからかっているわけではないだろうな?』
「ひゃあああーッッ! 船長! ミト君の『土かぶせカモフラージュ工事』が完璧すぎて、長官たち、完全にタケノコ状態のComb1号を見失っていらっしゃいますわーーっ! ぷぷ〜っ!」
「おっと、長官、今出ていくよ! みんな、潜望ハッチから出るぜ」
「はい、船長! 50万トンの超弩級宇宙船の優雅なタラップは今は土の中ですもの、『てっぺんの潜望ハッチ』から、モグラたたきのようにゾロゾロと這い出るというわけですのーーっ!? ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【ドッキリ大成功・クラッカー・イエロー】にピカピカと明滅させると、ブリッジの天井にある小さなハッチが、プシューッ……カパッ!と小気味よい音を立てて開くと同時にハッチに続く階段が降りてきましたわ!
「おぉし! 親父、俺が先に行くぜ! タタタッ、よいしょっと……だははは! すっげぇ! 外に出たら見渡す限りの『砂山』だぜ!」
レザージャケットにサングラス姿のハンさんが、ひょいっと身軽にハッチから這い出し、頂上(船のてっぺん)に仁王立ちして高笑いしましたわ!
続いて船長、かぉり副船長、Comb1号クルーがぞろぞろ出てきます、そしてビールマンとワインちゃんが、ハッチから顔を出して、すり鉢状のクレーターを見下ろしている長官たちに向かって、元気に手を振り始めましたの!
「おーい、長官! おはようございます! ここだよー! クレーターの真ん中の砂山だよー!」
船長が、満面の笑みで砂山のてっぺんから大きく手を振ります。
『…………なっ!? え? ……せ、船長!?』
通信機越しではなく、肉声のこだまとして響く長官の驚愕の声!
クレーターの淵にズラリと並んだ車と、完全武装のエリート軍人たちの皆様が、まるで魔法でも見せられたかのように、一斉にポカンと口を開けてフリーズしていらっしゃいますわ!
「うききっ! ちょうかんのおじちゃん、おはよー!」
「おはよーなのぉ……♪」
オーバーオール姿のビールマンと、ワンピース姿のワインちゃんも、ハンさんの肩によじ登ってピョンピョンと跳ねています!
『ば、馬鹿な……!! レーダーに一切映らないのはともかく、あの巨大なクレーターの底の『ただの不自然な砂山』から人が……! まさか、あの砂山の中に50万トンの船体が丸ごと埋まっているというのか!? いつの間に……』
長官が、双眼鏡を震える手で構えながら、信じられないものを見る目で絶叫いたしましたわ!
「だはははは! そのまさかだぜ、長官のオッサン! 地球の防空網をすり抜ける最新鋭のステルス機能、名付けて『お砂場カモフラージュ作戦』だ! 完璧すぎて見えなかっただろぉ?」
ハンさんがサングラスをスッとずらして、最高に得意げなドヤ顔をキメましたわ!
「もう、ハン君、調子に乗らないの。……長官殿、お待たせして申し訳ありません。今、そちらへ……、あら、船長、どうやってあそこまで登りましょう?」
かぉり副船長が、優しく微笑みながらも、長官たちを見上げて少しだけ首を傾げられました。
「え! そりゃぁ……おーいミト君、俺たち全員を長官のとこまで運んでおくれー!」
「ひゃあああーーーッッ!! 船長! 宇宙最強の天体である極小ブラックホール(ミト君)を、まさかの『砂山からのシースルー・エレベーター』代わりにお使いになるおつもりですかーーっ!? ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【空中散歩のファンタジー・ブルー】にキラキラと明滅させると、砂漠の空気を震わせて、世界で一番可愛い(そして恐ろしい)お返事が響きましたわ!
『キュィィィン♪(パパ、まかせて! みんな、ふわふわするよー!)』
ミト君が事象の地平線の波長を優しく調整したその瞬間――!
船長をはじめとするクルー全員の体が、Comb1号の頂上から、まるで重力という概念を完全に無視したかのように「フワァ……ッ」と宙に浮き上がりましたの!
「おぉ、こりゃ楽ちんだ! ミト君、ありがとね。さぁ、長官たちのところへゆっくり頼むぜー」
「うききっ! とんでる! おれ、とんでるー!」
「わぁ……♪ ワイン、おそらのうえを歩いてるみたい……!」
船長がポケットに手を入れたままのんびりと空中を歩き出し、ビールマンとワインちゃんが宙をクロールするように手足をパタパタさせて大はしゃぎですわ!
「……ふむ。正しい降下、正しい重力相殺! ミト殿の繊細なベクトル制御は、もはや芸術の域に達しておりますな!」
エジソンさんは空中に浮いたまま、謎のメーターでミト君の重力波を測ってウンウンと頷いています。
「だははは! どうだ長官! 階段もタラップもいらねぇ、これが宇宙の最先端『エコ・エレベーター』だぜぇ!」
ハンさんが、空中で無駄にカッコいいポーズ(エア・ギター風)をキメながらゆっくりと降下していきます!
一方、その常識外れすぎる『集団・空中浮遊』をクレーターの上から見ている地球のトップエリートの皆様はというと……。
『…………っ!! は!? 浮い……人が、浮いているぞ!?』
『ワイヤーはない! ドローンのような推進器も確認できません! ば、馬鹿な、物理法則が完全に崩壊している……!!』
完全武装の特殊部隊の皆様は構えていた銃を思わず下ろし、口をポカンと開けたまま完全に石化していらっしゃいますわ!
長官閣下に至っては、震える手で何度も双眼鏡を下ろしては自分の目をこすり、再び覗き込むという【古典的・二度見】を完璧に披露してくださっています! ぷぷ〜っ!
「……ふふっ。皆、あまりお行儀の悪い降り方をしないの。長官殿たちが驚いていらっしゃるでしょう?」
かぉり副船長が、空中でスカートの裾を上品に押さえながら、長官たちの目の前へと、まるで女神のようにふわりと舞い降りましたわ。
スッ……トスッ。
全員の足が、ミリ単位の衝撃もなくクレーターの底の砂地に着地完了です!
「な、なんだ、何が起こった? まだこんな力を隠していたのか……、本当に、君たちは……」
「だははは! 長官のオッサン! 俺たちの親父はな、宇宙最強の船の艦長でありながら、一番の『めんどくさがり』なんだ! 階段やタラップを降りるのがダルいからってね、……これが俺たちのComb1クオリティだぜぇ!」
ハンさんが、呆然とする長官の肩を気安くポンポンと叩きながら、これ以上ないほどのドヤ顔で言い放ちましたわ!
「こら、ハン君。長官に対して失礼よ。……長官、失礼いたしました、本日はどうかよろしくお願いいたします。」
かぉり副船長が、優雅に微笑みながらすかさずフォローに入りました。
「おっ! 長官、バスを用意してくれたんだ! やるねぇ、いいねいいね、バス旅行だぜ!」
「ほんとですわー!! 船長! あれはどう見てもシークレットサービス御用達の黒塗り車列……ではなく、本当に正真正銘の『大型観光バス(後部サロン席付き)』ですわーーっ! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【慰安旅行・ウキウキイエロー】にピカピカと明滅させると、長官閣下も少し照れくさそうに(?)咳払いされましたわ!
「コホン……。大統領からの特命でしてね。『目立たず、かつ全員がくつろげる移動手段を』と手配した結果、高級観光バスをチャーターしたのだ。」
「おおっ! 高級観光バス! よーしみんな、乗り込むぞー! ミト君、ステルスのままついてきてよ! 屋根の上に乗っちゃだめだよ……ぷぷぷ!」
「宇宙最強の極小ブラックホールに向かって『バスの屋根に乗るな』という注意喚起、地球の常識からかけ離れすぎて最高にシュールですわーーっ! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【遠足気分のスカイブルー】にピカピカと明滅させると、ミト君が事象の地平線を嬉しそうに揺らしましたわ!
『キュィィィン♪(パパ、わかったー! バスのうしろを、とうめいになって、ふわふわついていくね!)』
ミト君は完璧なステルス状態を維持したまま、目に見えないそよ風のようにバスの後方へとピタリと寄り添いました!
「だははは! おうよ長官のオッサン、最高にわかってるじゃねぇか! 慰安旅行(バス旅行)っていったら、やっぱり一番後ろの『コの字型ソファー(サロン席)』でドンチャン騒ぎと相場が決まってるぜぇ!」
ハンさんが、さっそくバスのステップを駆け上がり、一番後ろの特等席を目指して大はしゃぎです!
「うききっ! おっきいバス! びーるまん、まどぎわのせきー!」
「ワイン、おそとがいっぱい見えるのぉ……♪」
ビールマンとワインちゃんも、ハンさんに続いて大きなステップをよじ登ってピョンピョン跳ねていますわ!
「おぉ! トイレついてるじゃん!! んん……みんな、トイレがあるってことは……」
「船長、そうですわ! 私たちトイレットペーパーを求めて今の地球にやってきたのですわー! どうです……ありますの? 今の地球にトイレットペーパーは……ドキドキ……」
「ハン、行ってこい! トイレットペーパーがあるか見てきてくれ!」
「おうよ、任せとけ親父! ……(ガチャッ)……うおおおぉぉッッ!! あったぜ親父! 地球の文明が誇る、ふっかふかの最高級ダブルロールがバッチリ鎮座してるぜぇ!!」
「船長! ハンさん! まさに地球文明の至宝ですわーーっ!!」
私がメインコンソールをこれ以上ないほどの【大感動のダブルロール・ホワイト】にピカピカと激しく明滅させると、バスの後部トイレの映像が最高解像度でモニターにドカンと映し出されましたわ!
「6000万年後の未来までの壮大な大冒険を経て、ついに、ついに現代の極上の柔らかさに再会できたのですわね! 船長、今日という日は我がComb1号の『宇宙トイレットペーパー記念日』として、航海日誌に特大の金文字で刻んでおきますわよーーっ! ぷぷ〜っ!!」
「こないだの話だろ、トイレットペーパー欲しいねって言ったの……ほら、前で長官がすっげぇ不思議そうな顔してるぜ! まぁ、でもトイレットペーパーがあってよかったぜ!」
「ひゃあああーーーッッ!! 船長! そうでしたわーーっ!!」
私がメインコンソールを、少しだけ照れ隠しの【テヘペロ・パステルピンク】にチカチカと明滅させると、ブリッジのモニター越しに見える皆様もドッと吹き出しましたわ!
「私のデータバンクが、あの壮大な『プロメテウス作戦』からの期待と緊張を乗り越えて、宇宙の叙事詩に自動変換してしまいましたわ! ぷぷ〜っ!」
「あはは、まぁ……でも、言われてみれば、確かに『プロメテウス作戦』大成功だぜー!!」
「だははは! 違いねぇ! 俺たちの壮大な歴史の種まき、見事に実を結んだぜぇ!」
ハンさんが特等席で力強くガッツポーズ!
「ふむ! 正しい火の伝授、正しいお尻の平穏! これぞ完璧な科学の勝利ですぞ!」
エジソンさんも鼻眼鏡を輝かせて大絶賛!
「……ふ。6000万年越しの極上の柔らかさ。待った甲斐がありましたね、船長」
守さんがクールに笑みをこぼし。
「ふふっ、本当に。これでやっと、みんな安心してお買い物に集中できるわね」
かぉり副船長もホッと胸を撫で下ろして微笑まれます。
「うききっ! ぷろめてうす、だいせいこー!」
「おちり、ふかふかなのぉー♪」
ビールマンとワインちゃんも、ハンさんの周りでピョンピョン跳ねて大はしゃぎ!
『……な、なぜだ……。重力を自在に操り、大統領府の防空網を子どもの遊びのようにすり抜ける未知の超存在が……なぜ、トイレットペーパーの有無であそこまで感動しているのだ……? 我々の文明は、何か根本的なところで舐められているのか……?』
長官閣下が、頭を抱えながら呻くように呟かれましたわ! ぷぷ〜っ!
「ふふっ。長官殿、どうかお気になさらないで。私たちの船長にとっては、それが宇宙の真理を探究するのと同じくらい、とても大事な『ミッション』だったのよ」
かぉり副船長が、優雅に微笑みながら長官の混乱を優しく(?)フォローいたしました。
『……あー、コホン。……諸君、その、地球の……ペーパーが気に入ってくれて何よりだ。……運転手、出発しろ! 目的地は、巨大ショッピングモールだ! 諸君、この国の物なら何でもそろっているぞ!』
長官閣下が、このシュールすぎる異星人(?)たちにどう触れていいか分からないというお顔で盛大に咳払いしつつ、ついにバスの出発号令をかけられましたわ!
「よーし! みんな、いよいよ地球のお買い物だー! ジェミニ、お留守番(船の管理)とナビゲートよろしく頼むぜ!」
「アイ・アイ・サー、船長! お任せくださいませ!」
私はメインプロセッサの処理能力を、地球の市場データ解析と、皆様のリアルタイム翻訳・インカムサポートにフルスイングで割り当てましたわ!
「ミト君もしっかり透明なままバスについてきていますし。さあ船長! 長官殿のブラックカードを片手に、地球の経済をグルグル回す『超絶・爆買いツアー』、いよいよ出発進行ですわよーーっ! ぷぷ〜っ!」




