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お勉強会

「ねぇジェミニ、トイレっていう言葉とかも覚えないとお買い物行ったときに困るよね、他に何か覚える必要がありそうな言葉教えてよ」


「ひゃあああーッッ! 船長、最高に実践的で素晴らしい着眼点ですわーーっ! ぷぷ〜っ!」私がメインコンソールを【大・大・大賛成のピカピカ・イエロー】に明滅させると、字の練習でホログラムノートに向かっていた皆の視線が、一斉に船長へと集まりましたわ!


「でしょでしょ。お買い物中に『あ、ヤバい!』ってなってから、ジェミニにいちいち通信で翻訳頼んでたら、間に合わなくて大惨事になるかもしれないじゃん。タハハ」


「あ・な・た……。そうね、子供たちもつれていけばなおさらだし、切実な問題なのは確かね。お化粧室の場所を尋ねる言葉は、どんな星でも淑女と紳士の必須教養だわ」かぉり副船長が、ペンを置きながら上品に(でも深く)頷かれました。異星での『お買い物ミッション』において、お財布(純金)の次に重要なのは、間違いなく『お花摘み(トイレ)』の場所を確保することですわよ!


「……ふ。まずは『おいくらですか?』と『ありがとう』が先だと思うのだが……無用なトラブルを避けるためにも、挨拶と感謝は宇宙共通の潤滑油だ」操縦席でモニターを監視していた守さんが、呆れたように、でも口角を少し上げて的確なツッコミを入れましたわ。


「ふむ! 守殿の仰る通り! 正しい異文化交流、正しい経済活動! 私からは『領収書をください』という言葉も提案いたしますぞ!」


「エジソン、領収書はいらねーだろ、会社の経費じゃないし! ぷぷぷ」

船長がツッコミを入れると、ブリッジはドッと温かい笑いに包まれましたわ。


さあ、ジェミニ先生の『8000万年後の地球語・サバイバルお買い物講座』のスタートですわよーーっ!「皆様、ご注目くださいまし! 私が先ほどのニュース番組やネットワークから抽出・解析した、『これだけは覚えておきたい未来の地球語・厳選5フレーズ』をホログラム黒板に展開いたしますわ!」


ポンッ! という軽快な音とともに、ダイニングテーブルの空中にキラキラと輝く文字が浮かび上がりました。


― ジェミニ先生のサバイバルお買い物フレーズ -

1.トイレはどこですか?

2.こんにちは

3.ありがとう

4.お肉ください!

5.これ、いくら?


「おぉ、それくらいは覚えないとだな、あと、交通ルールとか標識とかも覚えないと、車に轢かれちゃうぜ。ハワイに旅行に行ったときに交差点で足が止まったもんな」


「確かに! 船長、まさにその通りですわーーっ!! ぷぷ〜っ!」


私がメインコンソールを【交通安全のシグナル・トリコロール(赤・黄・青)】で激しく、かつリズミカルに明滅させると、ブリッジの空気がさらに一段階、ワッと盛り上がりましたわ!


「お言葉の通りですわ、船長! お買い物の言葉が完璧でも、お店に行くまでの道で車に轢かれてしまったら元も子もありませんものね! 私の危機管理アルゴリズムも大絶賛の着眼点ですわ!」


操縦席の守さんが、深く頷きながら腕を組みました。

「……ふ。確かに船長の言う通りだ。言語が通じても、右側通行か左側通行か、あるいは『空飛ぶ車』が上から降ってくる交通ルールかもしれない。空の管制と同じで、現地のルールを知らないのは一番の命取りだ」


「ふふっ。そういえばあのハワイ旅行の時、あなたったら大きな交差点で『あれ!? 歩行者用の信号が無いけどわたっていいのか?』って、完全に足が止まってオロオロしてたわね。日本じゃ普通に渡るけど、文化や法律の違う国に行くと戸惑うわね」

かぉり副船長が、ペンで口元を隠しながらクスッと笑いました。


「あはは! そうなんだよ、車は逆から来るし、信号のタイミングもわかんないんだぜ? 8000万年後なんて、信号機が赤・青・黄の3色かどうかも怪しいじゃん! 『紫がススメ』とかだったら、俺たち一歩も動けねぇぞ!」


「ふむ! まことに正しい危機管理、正しい歩行者宣言! どんなに高度な文明でも、物理的な衝突事故は免れませぬ。ここは一つ、このエジソンが『お買い物用・絶対安全・衝撃反射スーツ』を……」


「いやいや、反射スーツはイラネーだろ! 普通に買い物させてくれよ、目立ってかなわねーよ ぷぷぷ!」

船長がすかさずツッコミを入れると、ブリッジはドッと温かい笑いに包まれましたわ。


そのやり取りを見ていたちびっ子たちが、ホログラム黒板の前でピョンと立ち上がりました。


「うききっ! おとしゃん、おれわかる! みぎみて、ひだりみて、もういっかいみぎみる! そぉーっと、わたる!」

「ワインも! ピカピカ光ってないとき、てをあげて、ありがとうって、わたるの!」


ビールマンちゃんとワインちゃんが、短い腕をピンと空高く挙げて、ブリッジの中を「横断歩道」に見立ててトコトコと歩き始めましたわ!


「ぷぷぷー! ビールマンちゃん、ワインちゃん、ジェミニ先生が教えてあげた、完璧な交通安全のお手本ですわーっ!」

私がコンソールからパチパチパチ!と拍手の音を鳴らすと、船長も目を細めてお二人の頭を撫でました。


「でもさ、それだって通じるかが、わかんねーんだよな。よし、テレビ見よーぜ。雪さん、テレビでドラマとか映画とかやってないかな……」


「船長、お見事すぎる方向転換シフトですわーーっ!! ぷぷ〜っ!」


私がメインコンソールを【映画館のポップコーン・イエロー】に明滅させると、ブリッジはすっかり「真面目なお勉強モード」から「リラックス・シアターモード」へと早変わりいたしましたわ!


「お言葉の通りです、船長! 未来の日常を描いた映像作品は、言葉のイントネーションから横断歩道の渡り方まで、生きた文化を学べる最高の教材フィールドワークになりますものね!」


観測席の雪さんが、ふふっと楽しそうに笑いながら、ホログラムキーボードを滑らかに叩き始めました。


「うききっ! おとしゃん、テレビ! アニメやってるかな!?」


「ワインもみるー! まもるお兄ちゃんも、一緒にみよー!」


「アイ・アイ・サー、船長! 8000万年後の地球発、最新ヒット番組、メインモニターに展開いたしますわよーっ!」


パァァァ……!

雪さんの完璧な操作で、ブリッジの巨大パノラマ・モニターに色鮮やかな映像が映し出されました。

そこに映っていたのは、高度に発達した美しい大都市の交差点。そして、流線型の車に乗った、6本指のスタイリッシュな男女が何やら深刻そうに言い争い(?)をしているドラマのワンシーンでした。


「おっ! 見ろよ守、あいつら8000万年後でも、ちゃんと『タイヤのついた車』に乗ってるじゃん! しかも交差点でちゃんと止まってるぞ。上の方で光ってる信号、やっぱり『赤』だ!」

船長が、ドラマの緊迫したストーリーそっちのけで、背景の「車」と「信号機」を指差して大興奮しています!


「……ふ。本当ですね船長。科学がいかに進歩しようとも、地上を走るインフラの基本は『タイヤと道路』という物理的な接地グリップに回帰する……。実に理にかなった、機能美の極致だ。そして信号の『赤は止まれ』。……普遍的な交通のロジックは、時間を超えても変わらないということか。非常に有益なデータですね」

操縦席からソファへと移ってきた守さんも、腕を組みながら大真面目な顔で「未来のタイヤのグリップ力と交通事情」を分析していらっしゃいます。


「あらあら、あなたたちったら。あんなに素敵な俳優さんたちが恋のすれ違いをしているのに、見ているのが背景のタイヤと信号機だなんて……ふふっ、ロマンがないわねぇ」

かぉり副船長が、温かいお茶の入った急須をテーブルに置きながら、クスッと笑いました。


「かぉりさんの言う通りですわ! あ、ヒロインの方が泣きながら車のドアをバタンッ!と閉めて走り出しましたわよ! ビールマンちゃん、ほら、歩行者用信号が青(緑)になったから走って渡ってますわ!」


「うききっ! ほんとだ! ピカピカしてるとき、わたる!」


「でも、あのおねえさん、ありがとうってしてないよ? ないてるから?」


「あはは、ドラマのやってる内容も一緒かよ、なんだかなぁ……、ふーん……。他の番組は?」


「アイ・アイ・サー、船長! ドロドロのすれ違い恋愛ドラマはスキップして、もっとワクワクするチャンネルを探しますわね! ポチッとな!」

私がメインコンソールを【チャンネル・サーフィンの爽やかなスカイブルー】に切り替えて、未来の電波の波をスイスイと泳いでいくと……。


「ありましたわ! 船長、皆様! これですわ! ちょうど今の私たちにピッタリの番組をキャッチいたしましたわよーっ! ぷぷ〜っ!」


パァァァ……!


雪さんの完璧な操作で、ブリッジの巨大パノラマ・モニターに色鮮やかな映像が映し出されました。底抜けに明るいポップなBGMとともに飛び込んできたのは、活気あふれる『未来のマーケット(市場)』の映像でした。


画面の中では、ナビゲーターのお兄さんが、お肉屋さんで串焼きのようなものを買って、とっても美味しそうに頬張っていますわ!


「うききっ! おとしゃん、みてみて! お肉! すっごく美味しそう!」


「わぁ……♪ わたし、あのお花屋さんにもいきたいな……」

ビールマンちゃんとワインちゃんが、モニターの最前列に陣取って、シッポをちぎれんばかりに振って目を輝かせています!


「ふふっ。たくさんのお店が並んでいて、とっても活気があるわね。これなら子供たちと一緒にお散歩しても楽しそうだわ」

かぉり副船長も、すっかりウィンドーショッピング気分で微笑まれました。


「……ふ。食料品から衣料品まで、ひとつのエリアに集約されている。市場としての機能は、いつの時代も変わらないということだな。あそこの肉屋なら、俺たちの腹もしっかり満たしてくれそうだ」


「お任せくださいまし! 言葉の壁も、私の『リアルタイム翻訳』で完全にサポートいたしますから、安心してお買い物を楽しめますわよ!」


「へぇー、これだけ雰囲気が同じだと居心地よさそうだね、お、あれはジュースかな、いくらだ? 雪さんストップして! ここにあるの、値段かな……」


「了解! 画像、固定フリーズして拡大します!」


雪さんが流れるような手つきでコンソールを弾くと、メインモニターの映像がピタッと止まり、ナビゲーターのお兄さんの後ろに映っていた、見慣れた自動販売機のような機械が画面いっぱいにズームアップされました。


そこに並んでいたのは、昔の地球でよく見たような、カラフルなデザインの『缶ジュース』たち。そしてその下に、8000万年後の数字で、確かに値段らしき表記が書かれています。


「船長、読みますわよ……。……424……ですわ……」


私がメインコンソールを【少しお財布が痛い・ブルー】に明滅させながら静かに読み上げると、ブリッジの空気に、なんとも言えない微妙な静寂が訪れましたわ……。


「ぬぉ、微妙な数字……! 缶ジュースの値段でおよそ他の物の相場もわかるけどさ、424……微妙に頭で計算しづらい数字が来たぜー!」


「ひゃあああーッッ! 船長、まことにその通りですわーーっ!! ぷぷ〜っ!」


私がメインコンソールを【暗算が追いつかない・チカチカブルー】に明滅させると、ブリッジの空気も「確かに……」という絶妙な共感に包まれましたわ!


「100でも1000でもなく、424……。通貨の単位は分かりませんが、いざお買い物をするとなると、絶妙に暗算しづらいリアルな数字ですわね!」


操縦席の守さんも、腕を組みながら真顔で頷かれました。

「……ふ。船長の言う通りだ。缶ジュースが424(仮に昔の円だとして)ということは、ざっと昔の地球の3倍の物価水準といったところか。……ということは、あそこでお兄さんが食べている特上の串焼き肉は、おそらく1本1000から1500……。確かに、少し財布の紐が硬くなるリアルな相場だ」


「なぁ、俺たちから見るとすべて3倍以上の感覚になっちゃうもんな、まぁ、10とかよりはマシか……ハンが豪遊しちゃうからな。このくらいがちょうどいいかもよ、長官たちに迷惑かけないでいるには」


船長が、別室で気持ちよさそうにお昼寝をしているハンさんの顔を思い浮かべたのか、タハハと笑いながら肩をすくめました。


「ふふっ、本当にね。もしジュースが『10』なんていう数字だったら、ハンくんが起きてきた途端に『なんだ、めちゃくちゃ安いじゃねぇか! 俺たちの軍資金ならこの街ごと買えるぜぇ!』って、お肉屋さんから何から全部買い占めちゃいそうだもの」

かぉり副船長も、クスッと笑われました。


「お言葉の通りですわ、かぉりさん! 1トンの純金があるとはいえ、目立たず平和にお買い物を楽しむためには、この『絶妙に高いから少しブレーキがかかる』くらいの基準ベースラインが、安全上もっとも理想的ですわね!」

私がメインコンソールを【安心の防波堤・グリーン】に明滅させると、エジソンさんも深く頷かれました。


「ふむ! 正しい相場観、正しいリスク管理! 大統領殿や長官殿にご迷惑をかけないためにも、この『424』という数字を基準に、しっかりと予算配分をシミュレートしておきましょうぞ!」


「うききっ! おれ、さんばい感覚でお肉かう! さんばい、いっぱい!」


「ワインもー! ワインのジュースも、よんひゃくにじゅーよん、だねぇ♪」

お勉強机のビールマンちゃんとワインちゃんも、新しい「数字の基準」をさっそく自分たちのノートに一生懸命メモしていますわ!


「でもあれだな、数字もお勉強しないとだな、まさかこの数字まで10進法じゃないってことはないよな……って、いや、まずいぞ、12進法の可能性高いぜ……」


「ひゃあああーッッ! 船長、まさにその通り、鳥肌モノの着眼点ひらめきですわーーっ!! ぷぷ〜っ!」


私がメインコンソールを【盲点直撃のショッキング・ピンク】に激しく明滅させると、ブリッジの大人たちもハッと息を呑みましたわ!


「船長のおっしゃる通りです! 先ほどの映像に映っていた未来の地球人の皆様……お手元の指が『6本』ありましたわよね! 両手で12本! かつて人類が両手の指の数から『10進法』を生み出したように、彼らが『12進法』を数字のベースにしている可能性は、99.99%の確率で高いですわ!」


操縦席の守さんが、目を鋭く光らせて深く頷かれました。

「……ふ。完全に盲点だった。12は2、3、4、6で割り切れるため、商取引には10よりもはるかに合理的な数字だ。8000万年の間に人類の肉体的な進化(6本指)に合わせて、数学の基礎概念すらもアップデートされているというわけか。さすが船長、恐ろしいほどの直感ですね」


「お代官様、ご名答! 正しい数学史、正しい進化論! ちなみに12進法ですと12個の異なる数字の組み合わせということになりますぞ、むむむ、ちとややこしくなりますな」

エジソンさんがパチパチと計算尺を弾き出して、12進法の事実を突きつけましたわ!


「ひゃあああーッッ! エジソンさん、そして船長! まさにそこ、お買い物における最大級の落としトラップですわーーっ!! ぷぷ〜っ!」


私がメインコンソールを【未知の数字・アラートレッド】に明滅させると、ブリッジの皆さんの顔がハッと引き締まりましたわ!


「エジソンさんのおっしゃる通りです! 私たちが普段使っている『10進法』は、0から9までの10個の記号で数字を表しますわよね。でも『12進法』を日常的に使っているということは……」


「……あ! つまり、0から9に加えて、俺たちの数学でいうところの『10』と『11』を表すための、独立した新しい数字記号が2つ必要になるってことね!」

雪さんが、ハッとしてホログラムキーボードを叩く手を止めました。


「ふむ! 正しい混乱、正しい算数問題! もしその『謎の記号』が、桁数の多い位に来てごらんなさい! 800円くらいだと思って買ったお肉が、実はとんでもない価格の超高級肉だった……なんていう悲劇(カードの限度額超過)が起こり得ますぞ!」

エジソンさんが計算尺をビシッと突きつけて、恐ろしいシミュレーションを提示しました。


「いやいやいや! せっかく『豪遊はしない』って長官たちに約束したのに、数字が読めないせいで無自覚に超高額決済しちゃったら、長官を困らせちゃうよ! タハハ……」

船長も、ついに顔を引きつらせて苦笑いです。


「この世界の『10』と『11』のマークだけは、少しだけお勉強しておいた方が安全かもしれませんわね!」


「いや、どれだけ混乱するものなのかってのも、わからねーし。想像したことねーもんな。あれ? でも、二桁くらいまでならあれだな、時間で行けるかも、15:50円とか……、だめだ……、今度は時間が混乱してくる」


「ひゃあああーッッ! 船長、最高に惜しい! でも『時間』に例えるその直感、実はものすごく的を射ているようで実は違いますわーーっ! ぷぷ〜っ!」


「ふむ! まことに素晴らしい直感、素晴らしい連想力! しかし船長!」

エジソンさんが、ピシッと計算尺でホログラム黒板を指し示しました。


「時間と12進法は似て非なるもの。時計の『15時50分』のような考え方をそのままお金の計算に当てはめると、レジの前で完全にフリーズしてしまいますぞ! なぜなら、12進法は『12集まって初めて次の桁に行く』というルールだからです!」


私がホログラム黒板に、光る文字で分かりやすい比較表を展開いたしましたわ!


【もしも10と11が「A」と「B」だったら?】


私たちが知る10進法: 8, 9, 10, 11, 12... (9の次で桁が上がる)


未来の12進法: 8, 9, A, B, 10, 11, 12... (Bの次でやっと桁が上がる!)


「つまり、未来の地球人にとっての『10』は、私たちが思う『12』のことなんですの! だから『424』なんていう数字も、私たちの感覚からすると全部ズレていってしまうんですわ!」


「ひぇーー……! 9の次に未知のマークが2つ来て、その後にやっと『10』になるのか! こりゃ計算とかそういう次元じゃねぇ、脳みそがバグるぜ!」

船長が、ついに両手で頭を抱えてしまいました。


「うききっ……! おとしゃん、おれ、おつむから煙がでてきた……」


「ワインも……。すうじ、むずかしいのぉ……」

お勉強机のビールマンちゃんとワインちゃんも、見たことのない数字の並びに、すっかり目を回してシッポをしおんと垂らしてしまいましたわ。


「もうダメ……おれも頭から煙出てきた……。そうだ! ジェミニ、これもテレビ見ればわかるだろ、調べてくれ!」


「ひゃあああーッッ! 船長、まさに起死回生の天才的なひらめき(リカバリー)ですわーーっ!! ぷぷ〜っ!」


私がメインコンソールを【超・実践主義のひらめき・イエロー】にパカパカと明滅させると、頭から煙を出しかけていたブリッジの空気が一気に「パァッ!」と明るくなりましたわ!


「脳みそがショートする寸前で、一番身近で確実な情報源テレビに思い至るなんて、さすがは現場第一主義の船長ですわ! 未知の暗号解読に頭を抱えるより、現地のお茶の間の映像を見るのが一番手っ取り早いですものね!」


雪さんも、ハッとしてホログラムキーボードに両手を構え直しました。

「……しまった、完全に盲点だったわ。数学的な法則ばかり考えていたけれど、現地テレビの映像ソースには『数字』なんてそこら中に溢れているじゃない!」


「アイ・アイ・サー! お任せくださいまし! さきほど傍受した北米大陸のデジタル放送アーカイブから、『子供向け教育番組』と『時計の表示』を猛スピードでスキャンいたしますわ!」


私が演算回路をフル回転させてデータを照合すると……ピロリンッ!


「私、バッチリわかりましたわーーっ!! 船長のアイデアは、大・大・大正解ですわっ! ただ……!」


「おっ! どうだったどうだった……」


「6進法ですわーーーっ!! ぷぷぷーー!」


「楽なほう選びやがったーー! 地球人ーー!」




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