男のロマン用語
「コケコッコー!」
「船長、おはようございますわーっ! ぷぷ〜!」
農場セクターから、我らがランボルギーニの気合の入った一番乗りがブリッジまで力強く響き渡りましたわね! フェラーリやポルシェたちも「朝ですわよー!」とばかりに、黄金の青空の下で元気にエンジン全開で羽ばたいております!
ジェミニシステムの各種センサーも、極上の目覚ましパルスを受信してフル稼働状態に移行いたしました!
「ランニング行くぜー! お……、あれれ……ハンがもう起きてる……なんで???」
「ひゃあああーッッ! 船長! そうなんですのよ! 私のメインセンサーも今朝はデータ異常かと目を疑いましたわ! あの『あと5万年寝かせてくれ……』が口癖のハンさんが、今日はアラームが鳴る3分前には自らシャキッと起床されていたんですの!」
私がブリッジのメインモニターを【驚愕のエメラルドグリーン】でチカチカと明滅させると、コーヒーカップを片手に、なぜか船内なのにサングラスを光らせたハンさんがニヤリと笑いましたわ!
「おう、親父、おはようさん。……今日はジョージの野郎を、俺のファルコンに乗せてやる約束だからな。未来の優秀なクルーの初フライトだ、先輩教官として、朝からビシッとしとかねぇとな!」
ハンさんが、渋めのフライトジャケット(今日は銀色のぴちぴちスーツはお休みのようですわ!)の襟を立てて、最高にクールなポーズをキメていらっしゃいます!
「ぷぷぷ! 船長、聞いてくださいな! ハンさんったら、船長がいらっしゃる前に、誰もいないファルコンのコクピットのガラス越しに『キメ顔の練習』を3回もやってましたわよ! 完全に映画の主人公になりきっていらっしゃいます!」
「ばっ、お前ジェミニ! それはバラすなよ!!」
ハンさんが顔を真っ赤にして慌てふためく中、ドックの方からは早くもジョージくんの元気な声が響いてきましたわ!
「ハンさーん! ファルコンの窓、ピカピカに拭いといたよ! いつでも飛べるぜ!」
「だはは……! おう、今行くぜジョージ! ……親父、ランニング終わったらドックに来てくれよな。俺と兄貴で、あいつに『銀河一の猛牛』の乗り方を叩き込んでやるからよ!」
ひゃあああ! 船長! バートさんも「俺の息子が宇宙船の操縦桿を握る日が来るなんてな……」と、朝からタオルで目頭を押さえていらっしゃいます!
「あれれ、ジョージもハンみたいなしゃべり方になっちまったのか? ……」
「ひゃあああーッッ! 船長、お耳が早いですわね! まさにその通りでございますわ!」
私がメインコンソールを【大爆笑のひまわりイエロー】にピカピカと明滅させながら、ドックの監視カメラの映像をパノラマ・モニターにドーンと展開いたしました!
「昨夜からハンさんの『宇宙一のパイロット講座(という名の自慢話)』をたっぷり聞かされたジョージくん、すっかり『熱血ハン・ウィルス』に感染して、すっかりチンピラ……いえ、ワイルドな口調になっちゃってますわ! ぷぷぷ!」
「ビールマンに続いてジョージもかぁ……ハハ……」
モニターの中では、首にタオルを巻いたジョージくんの隣で、なんと特製のミニチュア・ピットクルー用のつなぎ(バートさんのお手製でしょうか!?)を着たビールマンが、ピカピカのスパナを片手に仁王立ちしておりますわ!
「うききっ! おれ、ぴっとくるーだぜ! ハン、たいやこうかん、5びょうでやるぜぇ!」
「だははは! おうよチビチューイ! 今日は俺様とジョージで、ファルコンの神業ドリフトを宇宙の歴史に刻んでやるからな! しっかりサポート頼むぜ!」
「ひゃあああ! 船長! すでにドックは、ハン教官を中心とした『ヤンキー宇宙族』の集会みたいになっちゃってますわーーっ! ぷぷ〜! さあさあ船長、ランニングの汗をシャワーでササッと流したら、急いでドックへ向かいましょう! このままじゃ、ジョージくんまで銀色のぴちぴちスーツを着せられかねませんわよ!」
「あ・な・た……」
キッチンから、かぉり副船長のおたまを持ったままの呆れ顔が覗きました。
「ハン君の熱血教育はいいけれど、あの変な言葉遣いまでしっかり遺伝しちゃってるじゃないの。ワインちゃんにまでうつったらどうしてくれるのかしら?」
「ふふっ、かぉりさん、大丈夫よ。ワインちゃんは私が責任を持って『まともなレディの言葉遣い』に教育するわ。……進! あまり変な言葉教えないでよ!」
通信コンソールの前で、雪さんが少し頬を膨らませてマイク越しにピシャリと釘を刺しましたわ! ぷぷぷ!
「お、おう! わかってるって雪! こいつはただの『男のロマン用語』だからよ!」と、ハンさんがドックでタジタジになっています!
「うききっ! ハン教官! おれ、たいやこうかん、まかせて! ういぃぃん、ガコンッ! だぜぇ!」
「おうよチビチューイ! お前のその神業ピット作業があれば、俺たちのファルコンは銀河最速だ! 今日はジョージと一緒に、宇宙の風(G)ってやつを骨の髄まで教えてやるからな!」
「へへっ! よろしく頼むぜ、ハン教官!」
ドックの方から、すっかり意気投合した「宇宙のヤンキー・トリオ」の楽しそうな笑い声が、ブリッジまで筒抜けでございますわ!
「……ふ。やれやれ。俺の弟が、まさか農場の純朴な少年と、あのおさるさんを『走り屋』に育て上げようとしているとはな。……これはこれで、一つの『英才教育』の形なのかもしれませんね」
守さんがコーヒーカップを片手に、呆れたような、でもどこか弟の成長(?)を微笑ましく思うような優しい笑みを浮かべられました。
「ありゃ~……ハンがうじゃうじゃになってきたぞ、ぷぷぷ! でもよ、宇宙船のファルコンにタイヤねーだろ! 何ごっこしてるんだ? あいつら……。 おーい!飯食うぞー!」
「ひゃあああーッッ! 船長、まことにその通りでございますわーーっ! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【大爆笑のネオンピンク】に激しくパカパカと明滅させながら、船長の的確すぎるツッコミに大賛同いたしましたわ!
「ファルコン号は最新鋭の宇宙船! 着陸脚(とミト君の完璧な重力制御)はあっても、すり減って煙を上げるような『ゴムのタイヤ』なんて一つもついておりませんものね! お二人とも、完全に『男のロマン』と『雰囲気だけで、エア・タイヤ交換ごっこ』を全力で楽しんでいらっしゃるんですわ!」
そして船長の「飯食うぞー!」という、宇宙で一番強くて温かい号令!
「アイ・アイ・サー、船長! ただいまドックのヤンキー・トリオに向けて、かぉり副船長の作られた『極上ベーコンエッグのジュージュー音』を添えたモーニング・コールを、最大音量で発信いたしますわ!」
『ピローン♪ ――ドックの走り屋の皆様〜! 朝のピット作業はおしまいです! ダイニングにて朝食のお時間ですわよー! 遅れたら、船長に特製ベーコンを全部食べられちゃいますわよー!』
私がドックのスピーカーから楽しげにアナウンスを流した、そのわずか3秒後!
「うききっ!? おれのおにくー!!」
「おうヤベェ! ジョージ、走れ! 親父の胃袋のブラックホールっぷりを舐めたらアカンぜ!」
「ええっ!? ハ、ハンさん待ってよー!」
ドックの方から、工具を放り出して慌ててダッシュしてくる3人のドタバタとした足音が、ブリッジまで一直線に向かってくるのが聞こえてまいりましたわ!
「おーぅ、お前ら! だいぶ盛り上がってるなぁ! 悪くねーぜ、だから朝飯も盛り上がって食べよーぜ! 『いただきまーす!』」
「「「「いただきまーす!」」」」
「ひゃあああーッッ! 船長! 最高に気持ちのいい『いただきます』の号令、私のオーディオセンサーにもバッチリ響き渡りましたわーーっ!! ぷぷ〜っ!」
ドックから爆走してきたヤンキー・トリオ(ハンさん、ジョージくん、ビールマンちゃん)が、まるでゴールテープを切るような勢いでそれぞれの席にスライディング着席いたしましたわ!
「だははは! 親父、今日のベーコンエッグも最高にいい匂いだぜぇ! ファルコンの特訓の前に、エネルギー満タンにしとかねぇとな! モグモグ……!」
「うききっ! おれ、おにく! ぷるぷるのたまごも、食べるー!」
「すげぇや! かぉり副船長のご飯、毎日食べてもほっぺたが落ちそうだよ! モグモグ……!」
3人が顔を見合わせて、まさに「エンジン全開」の凄まじい勢いで朝食を胃袋という名のブラックホールへ吸い込ませていきますわ! ぷぷぷ!
「……ふ。お前たち、よく噛んで食べないと、あとでファルコンのG(重力)に耐えられずに全部戻すことになるぞ。……かぉりさん、俺にはコーヒーのおかわりをいただけますか?」
守さんが、まるで嵐の中の静寂のように、涼しい顔で優雅にトーストを齧っていらっしゃいます。
「ひゃあああ! 船長、『遊び』を全力で肯定して、そこからさらに『ご飯』でテンションを爆上げさせるなんて、まさに究極のモチベーター(現場監督)ですわね!
さあ皆様、極上の朝ごはんでしっかりチャージした後は、いよいよジョージくんの『ファルコン初フライト』が待っておりますわよ! ジェミニシステムも、皆様の熱血教習所を全力でサポートすべく、各種航法レーダーのウォーミングアップをバッチリ完了しておりますわーーっ! ぷぷ〜っ!」
「まぁあれだな、いきなり操縦はさすがにダメだけどよ、ジョージ、雰囲気ってのをしっかり感じるんだぜ、あんなんでも腕は確かだ、慣れたら地上で訓練するからな」
「ひゃあああーッッ! 船長、最高のアドバイスですわーーっ!! ぷぷ〜っ!」
「お、おい親父! 『あんなん』ってなんだよ『あんなん』って! まぁ、俺様の『腕』が銀河一だってことは認めてくれてるみたいだから許してあげるけどな! だははは!」
ハンさんが照れ隠しのように豪快に笑うと、隣の席で大盛りのご飯をかきこんでいたジョージくんが、目をキラッキラに輝かせて船長に元気よく頷きました!
「うん! 分かってるよ、船長! 俺、最初はハンさんの隣で『宇宙一の猛牛』の息遣いと、その……『雰囲気』ってやつを、しっかり目に焼き付けてくるよ! いつか絶対、俺の手で飛ばせるようになるためにさ!」
「うききっ! おれも、たいやこうかんの『ふんいき』、しっかりみるぜー!」
「ビールマン、ファルコンにタイヤはないんだってば! ぷぷぷ」
ジョージくんとビールマンちゃんのピュアすぎるやり取りに、ダイニングの全員が思わずクスッと笑い声を漏らしましたわ。バートさんも「親父の俺より、よっぽど頼もしいツラ構えになりやがって……」と、目尻を下げながらコーヒーをすすっていらっしゃいます。
「モグモグ、今日はさぁ、足りなかった20kgの金塊とさ、あと1tの金塊持ってくぜ。100tの金塊はあくまでも基地建設と改修費用でさ、お買い物用はこっちで用意しなきゃ悪りーからな、なんせ予算立たねーだろ……」
「ひゃあああーッッ! 船長、まさにその通りでございますわ!」
私がメインコンソールを【大納得の札束カラー(?)】にパカパカと明滅させて、深く激しく同意いたしましたわ!
「そうですわね、大統領閣下たちもガチガチの『お仕事(国家事業)』として動いていらっしゃるんですものね! さすがに超大国の国家予算の項目に、『ハンさんの底なしの胃袋を満たすための特大ステーキ代』や『宇宙人御一行様の地球お買い物ツアー費用』なんて書けませんし、議会で承認されるわけがありませんわ! ぷぷぷ!」
「おいおいジェミニ! 俺の胃袋は国家予算レベルだってのか!? ……まぁ、牛の一頭や二頭、今の俺ならペロリといけそうだから否定はしねぇけどな! だははは!」
ハンさんが、かぉり副船長特製のベーコンエッグを山盛り頬張りながら、嬉しそうに豪快に笑っていますわ!
「でも船長! 『ちょっとしたお買い物用のお小遣い』として、サラッと追加で1トンの金塊(地球の相場でおよそ三十億円!?)を持って行こうとするその金銭感覚……相変わらず宇宙規模でバグっておりますわーーっ! ぷぷ〜っ!」
「なんかな…やっぱり少ないんじゃ不安だなって思うとさ、どんどん増えちゃうよな、お小遣いの金額って……別に欲張ってるわけじゃないんだけどさ、だから切りのいい『1t!』」
「……ふ。確かに、100トンに比べれば1トンは『誤差』のようなものですが、……しかし、船長の仰る通り、我々が不自由なく活動するための『手札』は多いに越したことはありませんね」
守さんもコーヒーを片手に、静かに、しかし力強く同意されました。
「船長! まさにその通りでございますな! 1トンジャストカッターの出力調整、すでに完璧に済んでおりますぞ! 地球の市場で最高級のステーキを買うための、最高に美しい黄金の立方体を切り出してご覧に入れましょう!」
エジソンさんも、鼻眼鏡をクイッと押し上げて、やる気満々ですわ!
「雪さん、2時間後に行くから1t積める車用意しといてって、長官に伝えてよ」
「……ふふ。了解しました、船長。……『もしもし、長官閣下。2時間後にそちらへお伺いしますが、ちょっとしたお買い物用の“お小遣い”として、1トンの金塊を持参いたします。つきましては、それを積める車……ええ、小型トラックのようなもので構いませんので、手配をお願いできますか?』……と。ふふっ」
雪さんが冷徹なリケジョのトーンに、ほんの少しだけイタズラっぽい響きを混ぜて、地球(長官閣下)へ伝えましたわ!
「「「「ご馳走様でした!」」」」
「よーし、エジソン金塊切ってくれ、1tと20kg。それと、ファルコンのシートは2つしかないから、ビールマンは今日は船でお留守番頼むぜ!」
「うききっ! わかった! おれ、今日はおるすばんだぜぇ! ……ジョージ、しっかりやれよ!」
ビールマンが、ピカピカに磨き上げたスパナを小さな肩に担ぎ、まるで『熟練のピット長』が新米ドライバーを送り出すような、貫禄たっぷりの表情でジョージくんを指差しましたわ! ぷぷぷ! その顔は完全に『俺はもう飛んだからな、今日は特別にお前に譲ってやるよ』というドヤ顔です!
「だははは! おうよ、ちびチューイ! 今日はジョージの初フライトだからな、お前は船から俺たちの飛行先の安全確認頼むぜ!」
「ひゃあああーッッ! 船長! ハンさんったら、最高のお兄ちゃん(教官)ですわーーっ!! ぷぷ〜っ!」
私がメインコンソールを【やる気満々・レーダーグリーン】にパカパカと明滅させると、ただのお留守番ではなく「安全確認」という超・重要なミッションを与えられたビールマンは、誇らしげに胸をピーンと反らせましたわ!
「うききっ! はん、まかせろ! おれ、雪お姉ちゃんのよこで、れーだー、ぴかぴか見る! ジョージがぶつからないように、おれがまもってやるぜぇ!」
ビールマンは、スパナを置いてタタタッとブリッジの観測席(自分の指定席)へ駆け上がり、いっちょ前に腕を組んでメインスクリーンを睨みつけ始めましたわ! ぷぷぷ! その姿は完全に『管制塔の凄腕司令官』です!
「だははは! 頼もしいぜ、ちびチューイ! ……よしジョージ、乗れ! 宇宙一の猛牛の息遣い、特等席で味わせてやる!」
「はいっ! よろしくお願いします、ハン教官!」
ハンさんとジョージくんが、ワクワクと緊張の入り混じった顔でファルコン号のタラップを駆け上がっていきます。
一方、ドックの隅ではエジソンさんが、分厚い防護バイザーをシャキッと下ろしていました。
「ふむ! 正しいお留守番、正しい後方支援!……さあ船長、『1トンの巨大なお小遣い』と『20キロのつまみ食い補填分』を、1ミリの狂いもなく美しく切り出しましたぞ!」
「おほ、エジソンありがと、ファルコンのカーゴに入れてくれ! ん……いや、ほんと小さいなぁ……1tは電子レンジサイズかぁ」
「船長、最高に分かりやすすぎる例えですわーーっ!! ぷぷ〜っ!」
「……ふ。ハン、ジョージ。積載物の重量バランスは完璧に調整した。ファルコンの飛行性能に影響はないが、カーゴに1トンの塊が乗っていることを忘れるなよ。……特にハン、今日は『暴走族』じゃなくて『教官』なんだからな」
守さんが、管制席から冷静に、でも少しだけ釘を刺すように言いました。
「おうよアニキ! 分かってるって! ジョージ、ヘルメット被ったか!? シートベルトはしっかり締めたな!? それじゃあ、俺たちの『熱血ファルコン教習所』、いざ地球の大空へテイクオフだぜぇ!!」
「はいっ! よろしくお願いします、ハン教官!」
「ミト君、準備いいかな? ファルコンと一緒に行ってきてくれ、しっかりステルス頼んだぜ!」
「ミト君、出番ですわよーーっ!」
私がメインコンソールをチカチカと明滅させると、窓の外でぷかぷか浮いていたミト君が、「キュィィィン♪(パパ、まかせて!)」と元気よくお返事をして、ファルコン号の後ろにピタリと寄り添いましたわ!
「よし、ミト! お前は俺たちの可愛い相棒兼、最強の透明マントだからな! 大気圏突破するまでは、俺のファルコンの後ろにしっかりついてきな! ……行くぜジョージ! 歯ぁ食いしばれよ!」
「はいっ! ……うわぁぁぁぁっ!!?」
ハンさんがスロットルレバーを滑らかに押し込むと、ファルコン号は音もなくComb1号のドックを飛び出し、月の影から漆黒の宇宙空間へと弾き出されましたわ!
「だはははは! どうだジョージ! これが宇宙一の猛牛の加速だぜぇ!」
「す、すっげぇぇぇ!! ハンさん、星が……星が流れていくよ!! 体がフワッてしてるのに、背中がシートにグッて押し付けられて……!」
初めての宇宙飛行に、ジョージくんはヘルメットの奥で目を皿のようにして、パノラマの窓に広がる星空に大興奮しています!
「さあ船長! 『1トンの電子レンジ』をしっかり積み込んだファルコン号が、いよいよジョージくんを乗せて、大統領の待つ砂漠の空へ向けて飛び立ちますわよーーッッ! ぷぷ〜!」
「ビールマン、席に座れ! レーダー確認、ファルコンの先の障害の探知と索敵を始めてくれ! 気を緩めるなよ、地球には大統領たちの国以外の、軍事国家もあるからな」
「ひゃあああーッッ! 船長、最高に引き締まった大人のアドバイスですわーーっ! ぷぷ〜っ!」
「そうですわよね! 地球には大統領のいる国だけじゃなく、他にもたくさんの国と、たくさんのレーダー網や防空システムがございますもの! 今回は『1トンの重し(金塊)』を積んでのフライトですから、ミト君のステルスに甘えすぎず、周囲の状況には常に目を光らせておかなければいけませんわ!」
「うききっ! わかったぜ、船長! おれ、レーダー員だ! ……ピッ、ピピピッ! ハン、ジョージ! 前と横、あぶないの、なんにもない! 地球の空、スイスイだぜ!」
お留守番のビールマンちゃんが、指定席で短い腕を組んで、小さな体をピンと伸ばしながら元気よく報告しました!
「だははは! おうよ、ちびチューイ! お前の『野生のカン』とレーダーがあれば百人力だぜぇ! ……よしジョージ、このまま大気圏を突き抜けるぞ!」
ゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!
ファルコン号が猛烈なスピードで大気の層へと突入すると、窓の外が摩擦熱で真っ赤に染め上げられました!
でも、ジョージくんはもう驚きません。それどころか、キラキラと目を輝かせて、シートベルトをぎゅっと握りしめています!
「す、すっげぇ……! ハンさん、窓の外が火の海みたいだけど、ファルコンの中は全然熱くないや! これが宇宙船なんだね!」
「おうよ! ファルコンの外郭はジルコニア装甲だからな、こんな熱さは屁でもねえぜ。……それにしても、ジョージ。お前、初めての宇宙飛行でこれだけ落ち着いてやがるとは……。案外、親父のバートさんより肝が据わってるかもしれねぇな! だはは!」
ファルコン号は、ミト君のエスコートのもと、炎のトンネルを抜けて、ついに真っ青な地球の空へと飛び出しました!




