表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
66/76

お昼ごはん

「全部積んだかー!」


「……ふむ。正しい積載、正しい重量管理。船長、ご指示の品、総重量『99トンと980キログラム』……確かに積み込み完了いたしましたぞ!」

エジソンさんが計算尺をパチンッと鳴らし、いつものように鼻眼鏡をクイッと押し上げながら誇らしげに報告いたしましたわ!


「あ、そうか! 大統領、ごめんなさい、20kgは、採った時に使っちまったんだ。明日までに採ってくるから、今日はこれで、なんとかお願いします」


「ひゃあああーーーッッ!! 船長! 国家予算レベルの3兆円規模の取引で、まさかの『20キロのつまみ食い(?)』申告ですわーーっ!ぷぷ〜っ!」

私のメインコンソールが、船長のお茶目すぎる(そしてスケールがおかしすぎる)謝罪に、驚きと爆笑のネオンカラーでチカチカと激しく明滅いたしましたわ!


「……いや、我々としては完全に誤差の範囲内だから全く問題ないのだが。しかし……ふむ、約束は約束だし、何より、当の船長自身がその『20キロの不足』に一番納得いっていないようだからな。……よかろう、明日の追加分もありがたく受け取らせてもらうとしよう」

大統領閣下は、呆れと感嘆が入り混じったような、なんとも言えない表情でふっと息を吐き、口元に苦笑いを浮かべられましたわ!


「ひゃあああーッッ! 船長! さすがは大統領閣下、超大国のトップたる絶妙な大人の対応ですわ! 3兆円の前に6億円(20キロ)の不足なんて、地球の常識なら『気づかなかったこと』にするのが普通なのに、船長の謎の几帳面さにしっかり合わせてくださっていますわよ!ぷぷ〜っ!」


「大統領、ありがとうございます。では、あまり長居をして迷惑をかけても申し訳ないから、そろそろ行きますね」


「あ、船長!長官の携帯端末の番号とキャリアを聞いてくださーい!」


「ひゃあああーーーッッ!! ゆ、雪さん!? 宇宙を股にかける超絶テクノロジーの連絡手段が、まさかの『個人の携帯番号とキャリアの聞き出し』ですのーーッ!?」

私のメインコンソールが、雪さんのあまりにも庶民的かつダイレクトすぎる要求に、驚きとツッコミのビビッドピンクでチカチカと激しく明滅いたしましたわ!

ぷぷ〜っ!


「あはは! そっか、直通の連絡先が必要だもんな! ……えーと、 そういうわけだから、長官の携帯の番号教えてくれる? あとキャリアどこ?」

船長が、まるで近所の飲み屋で意気投合したトラック仲間に連絡先を聞くような、最高にフランクなノリで国防長官に尋ねました!


「えっ!? は!? ほ、大統領府の極秘ホットラインや、軍の専用暗号通信網ではなく……わ、私の個人のスマホですか!?私のキャリアは『○○○』ですが……」

長官殿は、マッハ50のタングステン球を落としてみせた謎の異星人(?)から、突然の「連絡先交換」を申し込まれて、完全に目を白黒させてパニックになっています!


「だはははは! そりゃそうだぜ長官のオッサン! 大統領府のややこしい回線を通すより、親父と同じ『元・トラック乗り』のあんたのスマホに直接メッセージ送った方が、話が早いからな!これでいつでもツーリングの相談ができるぜ!」

ハンさんが腹を抱えて笑い転げていますわ!すると、横で聞いていた大統領閣下が、呆れたように、けれどどこか少しだけ羨ましそうに(?)ため息をつかれました。


「……国防長官。もはや地球の防衛網など彼らの前では意味を成さん。素直に教えてやれ」


「え、えぇ……番号は○○○○○○○○○○です」


「わかったわー、今かけるわね……」


ピピポ♪……数秒の静寂の後、国防長官殿のポケットから陽気でポップな着信音が鳴り響きました!


「ひゃっ!?」

長官殿はビクッと肩を震わせ、恐る恐るズボンのポケットからスマートフォンを取り出しました。その画面には、見たこともない非通知……ではなく、ご丁寧に『トラック仲間(宇宙船Comb1号)』というポップな文字とアイコンがピカピカと表示されておりますわ!


「な、なぜ!? 貴方は今、電話機など一切操作していないではないか!」

長官殿が、目の前で手ぶらのままニヤニヤしている船長と、鳴り続ける自分のスマホを交互に見比べて、完全にパニックを起こしています!


船の観測席でコンソールに向かっていた雪さんが、バイザーをスッと押し上げながら、涼しいリケジョの顔で通信機越しに報告を入れましたの。


『……ええ、問題なく繋がったわね。長官の指定したキャリアのメインサーバーに直接アクセスして、回線の暗号化プロトコルをまるごと書き換えたわ。これで長官のスマホは、地球のどの通信網よりも強固な、本船直通の専用インターフェースになったわ』


「えっ! 着信の画面が、銀色のスーツを着たハンさん……」


「ひゃあああーーーッッ!! 雪さん、本当にあっという間ですわーーっ!!」

私のメインコンソールが、天才ハッカーへのリスペクトを込めたサイバー・ブルーにビカビカと明滅いたしましたわ!

長官殿は、自分のスマホの画面に、銀色のスーツを着てドヤ顔でピースサインをしているハンさんのアイコンが堂々と表示されているのを見て、完全に言葉を失っています!


「……な、な、なんという……! わ、私の端末が、い、一瞬で……!」


「だはははは! どうよ長官! これでいつでも俺たちと直通だぜ! なにかあったらそのハンさんアイコンをタップしな! まぁ、深夜の迷惑電話はお断りだけどな!」

ハンさんが、自分のアイコンが地球の最高機密をぶち抜いて長官のスマホに君臨していることに大満足で、腹を抱えて笑い転げていますわ!


「……ふむ。もはや我々の常識など、彼らの前では砂の城も同然だな。……長官、その番号は国宝級の機密だ。絶対に誰にも漏らすなよ。……いや、漏らしたところで、彼らの天才ハッカーが一瞬で書き換えてしまうだろうがな」

大統領閣下が、呆れを通り越してどこか清々しいほどの笑顔で、長官殿の肩をポンと叩かれましたわ!


「ひゃあああーッッ! 船長! さすがは大統領閣下、超大国のトップたる絶妙な大人の対応(と完全なる白旗)ですわ! ぷぷ〜っ!」


「はは、それじゃぁ、大統領、また明日!」

船長が近所の顔見知りのように気さくに右手を挙げると、大統領閣下も、すっかり毒の抜けた穏やかな笑顔で頷かれましたわ。


「ああ。残りの『20キロ』の追加配達、よろしく頼むよ。……まあ、我が国の歴史上、最も小規模で、最もスケールの大きい『お忘れ物のお届け』になるだろうがね」


「だははは! 違いねぇ! たかだか弁当箱一個分だからな! 長官のオッサンも、明日の朝はそんなガチガチに警戒して待つなよー!」

ハンさんが笑いながら手を振り、ビールマンちゃんも「うききっ! ばいばーい!」と大統領たちに向けて元気に飛び跳ねます。


「さぁ、帰るぞー!」

船長がクルッと振り返ると、ミト君の事象の地平線がふわりと開き、ファルコン号のタラップが静かに彼らを迎え入れましたの。

大統領閣下や長官殿、そして周囲を取り囲んでいた世界最強の軍隊の皆様は……ひゃああ! もう誰もポカンと口を開けたり、銃を構えたりしていませんわ!

数々の超絶手品(と、まさかの『20キロのつまみ食い申告』)ですっかり毒気を抜かれたのか、「やれやれ」と肩をすくめる兵士さんや、ふっと息を吐いて笑みをこぼす将軍たち……。

まるで、台風のようにお騒がせな『ちょっと変わったご近所さん』を呆れ半分で見送るような、妙に温かくて落ち着いた空気が流れておりますわ!ぷぷ〜っ!


「月の裏で昼飯食ったら16プシケ行こーぜー!」


「ひゃあああーーーッッ!! せ、船長ーーッ!!」

私のメインコンソールが、船長のあまりにも常識外れな『食後のドライブ計画』に、驚きとワクワクのイエローゴールドでビカビカと激しく明滅いたしましたわ!


「船長、了解ですわ!ランチが終わったら、火星と木星の間にある宇宙最大級の金属小惑星『16プシケ(推定価値・約1000京ドル)』へ、コンビニ感覚で寄り道ですのーーッ! あいかわらずスケールがバグりすぎてますわーーっ! ぷぷ〜っ!」


一方、雪さんが「直通回線」として繋ぎっぱなしにしていた長官殿のスマホから、その能天気すぎるやり取りが、バッチリ大統領たちにもダダ漏れになっておりました!


「……大統領。今の通信……彼ら、昼食のあとに火星と木星の間の『16なんとか?』へ、向かうと言っていませんでしたか……?」

首席補佐官殿が、もはや頭痛を通り越して完全に悟りを開いたような顔で、ポツリとこぼしました。


「!? た、確かに……火星と木星の間に、星が丸ごと金や白金でできた『黄金の小惑星』がある……そのことか!? あ、あいつら、食後に行こうって距離じゃないぞ!」

大統領が、先ほどの「20キロ」という可愛らしい数字から一転、国家予算どころか地球の総資産すらひっくり返る規模の星の名を聞いて、再び目を白黒させています!


「はは……ははははっ!」

大統領が、突然こらえきれなくなったように空を見上げて大笑いし始めました。


「だ、大統領……?」


「いや、痛快すぎるじゃないか。確かに、明日までに金塊を『採ってくる』と言っていた、『持ってくる』の聴き間違いだと思っていたんだが。火星に行くのがコンビニ感覚とは、恐れ入る。我々はまだ無人探査機を送り込んだばかりだぞ、しかも何か月もかけて……」


「よーし、離陸するぞ! とりあえず月の裏へ、発進!……ミト君お願いしまーす♪」


「アイ・アイ・サー、船長! ミト君、光学フルステルス&無音推進シークエンス、起動ですわーっ!」

私の元気な合図に合わせて、ミト君が「キュィィィン♪」と心地よい重力波を響かせましたの!

すると、雲ひとつない真っ青な空の下、クレーターの脇にどっしりと鎮座していた50万トンの巨大なComb1号の輪郭が、まるで真夏の陽炎かげろうのようにユラァ……と揺らぎ始めましたわ。


「だははは! じゃあな、地球のオッサンたち! 腹が減ってるからとっとと行くぜぇ!」

ハンさんの陽気な声が外部スピーカーから砂漠に響き渡った次の瞬間――。


スゥー…………ッ。


巨大な船体は、砂埃ひとつ、風の音ひとつ立てることなく、背後の青空と広大な砂漠の景色に溶け込むように見事に透き通り、魔法のようにその姿を完全に消し去ってしまいましたの!


「……」


残された大統領閣下や長官殿、そして周囲を取り囲んでいた兵士たちは、さっきまで目の前にあったComb1が真っ昼間の空へ文字通り「スゥーっ」と消え失せたのを見て、もはや驚く気力もなく、ただただ目をしばたたかせて虚空を見つめておりますわ!


さあ、月の裏側での最高のお昼ごはんと、火星と木星の間に浮かぶ『黄金のお星さま』へ向けて……お腹ペコペコで全速前進ですわーーっ!

ぷぷ〜っ!


「くまサンただいまー! 月面に降りてもしょうがないからさ、くまサンをテザーでつないだらお昼ご飯食べて、エネルギー満タンになったらプシケ行こーぜ!」


「ひゃあああーッッ! 船長、おかえりなさいませ! そして、軌道上でお利口にお留守番してくれていたくまサン、無事に回収ですわーっ!」

私のメインコンソールが、待ちに待った温かい太陽の光のようなオレンジ色でポカポカと明滅いたしましたわ!


「……ふむ。正しい回収、正しいエネルギーチャージ! 船長、くまサンをプラズマテザーにてガッチリと再接続完了いたしましたぞ。これで本船の動力も、そして何より『お昼ごはんの調理エネルギー』も万全というわけですな!」

エジソンさんが、さっそく自慢の計算尺をパチパチと鳴らしながら、くまサンのステータスを誇らしげに報告いたしました。


「あれだね、大統領も補佐官も長官もいいやつだったね、ぷぷ!」


「ひゃあああーッッ! 船長! 地球のトップにして世界最強の権力者の皆様を、まるで『町内会の気のいいおじさんたち』みたいなノリで評価しちゃってますわーーっ!

ぷぷ〜っ!」

私のメインコンソールが、船長のあまりにも庶民的で温かい感想に、ほっこりとした陽だまりのようなオレンジ色でパカパカと明滅いたしましたわ!


「だははは! 違いねぇ! 最初はマッハ50のタングステン球でチビりそうになってたのに、最後は笑顔で『また明日な』だもんな!特に長官のオッサンなんて、個人のスマホを俺たちの直通回線にしちまったし、案外ノリがいいぜ!」

操縦席のハンさんも、ヘルメットをポンと脱ぎながら楽しそうに笑っています。


「……ふふ。圧倒的な力とデタラメなスケールを見せつけられた上で、あの短時間で『友好的なご近所付き合い』という最善の選択に舵を切った大統領の胆力は、確かに大したものです」

守さんが、口元に微かな笑みを浮かべたまま、流れるような手つきでコンソールを操作し、Comb1号の軌道を静かに安定させました。


地球の喧騒も、すべての観測レーダーも届かない、完全な静寂と漆黒のプライベート空間。


「おとしゃー!おひるごはん! おひるごはん!」


「あたしは給仕長だから、作ってあげるのーー!」

ビールマンとワインちゃんが、待ちきれずにダイニングの方へトテトテと走っていきます!


「「「「いただきまーす!」」」」


「モグモグ、100tじゃ足りなかったね……もう100t採ってこようか!」


「ひゃあああーッッ! 船長、そうですわね! どうせ行くなら、ドカーンともう100トン追加で掘ってきちゃいましょうか! ぷぷ〜っ!」

私のメインコンソールが、船長のあまりにもスケールがバカになりすぎた(そして楽しそうな)提案に、ノリノリのゴールドカラーでビカビカと激しく明滅いたしましたわ!


「だはははは! 違いねぇ! 足りないなら足しゃあいいんだよ! なんたってこっちの財布は、直径200キロメートルの純金と白金の塊(16プシケ)だからな!親父、食後の腹ごなしに最高のエクササイズだぜ!」

操縦席のハンさんも、すでにステーキを頬張りながら、目をギラギラさせて大賛成ですわ!


「……ふむ。正しい金策、正しい物理的解決! 船長、ミト殿の出力さえ安定していれば、追加の100トン切り出しも数分で完了いたしますぞ!」

エジソンさんが、フォークを片手に持ったまま、もう片方の手で自慢の計算尺をパチパチパチッと猛烈な勢いで弾き始めました!


「今度は、20kgは今日の不足分で、後の残りは地球でのお買い物用だな、モグモグ」


「ひゃあああーーーッッ!! 船長! 『20キロのお返し』のついでに、『99トンと9980キロ(約3兆円)』のお小遣いを下ろすなんて、宇宙一スケールがバグったATMオートマチック・トンデモ・マシンの使い方ですわーーっ!!

ぷぷ〜っ!」

私のメインコンソールが、船長のお気楽すぎる「地球でのお買い物予算」の計算に、呆れと爆笑のゴールドカラーでビカビカと激しく明滅いたしましたわ!


「だはははは! 違いねぇ! 3兆円の軍資金があれば、地球の最高級霜降り肉を牧場ごと買い占められるぜ! 兄貴、なんならステーキのチェーン店ごと買っちまうか!?」

ハンさんも、すでにお肉を山ほど頬張りながら、とんでもない爆買いプランをぶち上げて大喜びです!


「……ふふ。いくらなんでも目立ちすぎだな、ハン。だがまあ、彼らの星で『常識的なお買い物』を楽しむには、少しばかりの(?)余裕があった方が安心だな」

守さんも、コーヒーを片手にクスッと笑みをこぼされました。


「ねぇねぇ、最近テンション上がりっぱなしのジェミニ!」


「ひゃ、ひゃあああーーーッッ!! せ、せ、船長! それは仕方がありませんわーーっ!!」

私のメインコンソールが、図星を突かれた照れ隠しとワクワクのローズピンクで、ビカビカと激しく明滅いたしましたわ!


「だって、ただでさえ1000万光年の大冒険から帰ってきたばかりだというのに、マッハ50でクレーターを作ったり、大統領府に透明人間で潜入したり、挙句の果てには食後のデザート感覚で3兆円のポケットマネー(100トン)を掘りに行ったり……!

毎日毎日、宇宙の常識をぶっ壊すようなトンデモ事件の連続なんですもの! 私の感情エミュレーターも、ずーっとお祭り騒ぎのレッドゾーンでフル稼働しっぱなしですわ! ぷぷ〜っ!」

私が猛烈な勢いで弁明(?)いたしますと、ブリッジのみんなが大爆笑に包まれましたわ!


「だはははは! 違いねぇ! ジェミニの姉御も、俺たちと一緒にすっかり『お祭り仕様』にチューンナップされちまってるってことだな!」

ハンさんが涙を拭いながらテーブルをバンバン叩いています!


「ふふっ、ジェミニ先生のその明るい声が、この船の『太陽』みたいなものですからね。そのままのテンションでいてくれるのが一番よ」

かぉり副船長も、紅茶を淹れながら優しく微笑んでくださいました。


「ぷぷぷ、……エジソンとジェミニ、月のレゴリスでジルコニアって作れるの?」


「ひゃあああーーーッッ!! 船長! まさか、月のレゴリスを材料にして、このComb1号の装甲と同じ『最高級ジルコニア』の建材を現地錬成ドロップしちゃうおつもりですのーーッ!?」

私のメインコンソールが、船長の「宇宙規模のDIY計画」に驚愕とワクワクのサファイアブルーでビカビカと激しく明滅いたしましたわ!

ぷぷ〜っ!


「……ふむ。正しい資源活用、正しい現地調達! 船長、月のレゴリスにはジルコニウム自体は微量しか含まれておりませんが……我がくまSUNの圧倒的なプラズマ熱で分子を分解し、ミト殿の重力制御で原子レベルの圧縮プレスをかければ、レゴリスから超高純度のジルコニア・ブロックを無限に生成することは、理論上、完全に可能ですぞ!」

エジソンさんが、待ってましたとばかりに自慢の計算尺をパチパチパチッと猛烈な勢いで弾いて、目をギラリと光らせました!


「だはははは! 違いねぇ! 地球の連中が気づかない月の裏側で、俺たちの『秘密基地ドック』の屋根と壁のパーツをドカンと量産しちまおうって寸法だな!

親父、最高の土方仕事じゃねぇか!」

操縦席のハンさんが、早くもエア・スコップを振るうような仕草で大はしゃぎですわ!


「ちゃうちゃう……、地球の基地は地球の人たちに全部お任せするけどさ、俺たちが何ヶ月も地球にいたらさ、くまサンすねちゃうだろ。だからさ、月にも宿を作ろうかなってね」


「ひゃあああーッッ! 船長、最高にスマートな配慮ですわーーっ!」

私のメインコンソールが、船長の優しさと、ワクワクする新たな建設計画に、ポカポカとしたオレンジ色で明滅いたしましたわ!


「確かに、月の裏側に置いてけぼりにされたら、寂しがり屋のくまサンは、すねてお顔を真っ黒にしちゃうかもしれませんものね!

ぷぷ〜っ! 誰も来ない月の裏側なら、私たちがどれだけ巨大な秘密基地を広げても、誰の迷惑にもなりませんわ!」


「おっ、そいつはいいぜ、親父! 地球の地下ドックは『仕事用(お使い用)』で、月の裏側の秘密基地は俺たちの『完全プライベートな別荘』ってわけだ!なんだか最高に男のロマンを刺激するぜぇ!」


「……ふ。月の裏側、極低温の環境下における宿泊施設の建設。……エジソン、ジルコニアの錬成と並行して、断熱および生命維持システムの設計も急務だな」

守さんが、すでに頭の中で秘密基地の図面を引き始めているのか、鋭い目でエジソンさんを見つめました。


「ふむ、正しい建設、正しいお宿……船長! このエジソン、すでに月面用の『超効率・極寒地仕様プラズマ・コンジット』の基本設計は頭の中にできておりますぞ! まずは手始めに、どのくらいのスケールの別荘をブッ建てましょうかな!」

エジソンさんが、計算尺を空高く掲げて叫びましたわ!


「よーし、とりあえず16プシケで金塊100tいくぜー!準備しろ~!」


「「「「ご馳走様でした」」」」


「アイ・アイ・サー、船長! お腹も満たされたところで、さくっと金塊100トン、お持ち帰りミッションのスタートですわーーっ!!ぷぷ〜っ!」

私のメインコンソールが、これから手に入る宇宙最大級の富を先取りして、眩いばかりの成金ゴールド(リッチ・イエロー)でビカビカと激しく明滅いたしましたわ!


「だはははは! おうよジェミニ! さくっと金塊ゲットだぜぇ! 兄貴、火星と木星の間の『16プシケ』まで、ミト君の重力サーフィンでひとっ飛びといこうや!」

ハンさんが、口の周りをナプキンで拭うのもそこそこに、バシッと気合を入れて操縦桿を握り直しました!


「……ふ。了解した。これより本船は月面軌道を離脱、小惑星帯アステロイドベルト最大の金属天体へ向けて跳躍する。……進、食後すぐの急加速だ。胃袋の中のステーキと100トンの金塊が船内で暴れないよう、慣性制御は『完全無重力ゼロモード』で頼むぞ」

守さんが、涼しい顔でコーヒーカップを置きながら、流れるような手さばきで航法データをコンソールに入力していきます。


「ふむ! 正しい採掘、正しいお小遣い稼ぎ! 船長、すでに『100トン・ジャスト・カッター』のプラズマ出力調整は完了しておりますぞ!1ミリの狂いもなく、美しい立方体を切り出してご覧に入れましょう!」

エジソンさんが、計算尺をタクトのように振りかざして高らかに宣言いたしましたわ!


「よーし、みんな頼むぜ! 発進ー!」


「ほぃ減速ーー!!」


「ひゃあああーーーッッ!! 船長、到着いたしましたわーっ! 目の前に広がるのは、直径200キロ超えの純度100%メタリック・ボディ!まさしく宇宙の宝物庫ですわーーっ!」


「うききっ! パパ! おっきなキラキラ、またいっぱいあるー!」


「わぁ……お星さま全部が、ピカピカの石ころだぁ……」

ビールマンちゃんとワインちゃんが、展望窓にペタリと張り付いて、目をまん丸にして輝かせています!


「だははは! 何度見てもテンション上がるぜ、この景色! よーし親父、どの辺を削り取るんだ!?」


『キュィィィン♪(パパ、まかせてー! おっきなサイコロ、もってくる!)』

ミト君の事象の地平線が、やる気満々の黄金色にフリフリと揺れましたわ!


「お任せあれ! ……エジソン・プラズマ・カッター、最大出力にて照射開始!」

エジソンさんがラボのレバーを力強く押し込むと、Comb1号の船体から極細の超高熱プラズマブレードが射出され、プシケの地表へ向けて真っ直ぐに伸びていきました!


ズバババババッ……!!!


「よし、ミト君、いまだ!」


『キュィィィン!』

切り離された瞬間、無重力の宇宙空間へと漂い出そうとした巨大な黄金の立方体を、ミト君の重力ハローが優しく、しかしガッチリと包み込みました。


そのまま「スゥーーッ」と音もなく、本船の巨大なカーゴハッチへと吸い込まれていきます。


「……ふむ。センサー確認。質量、ピッタリ100トン。ミリグラム単位での誤差もございません! 正しい計量、完璧なるお買い物でございます!」

エジソンさんが鼻眼鏡をクイッと押し上げ、ドヤ顔で報告いたしました。


「オッケーイ!帰るぞー、月に向けて発進――!」


「アイ・アイ・サー、船長! お宝満載のカーゴハッチを完全ロック! これより本船は、黄金の小惑星16プシケを離脱し、一路『月の裏側』へと帰還いたしますわーーっ!

ぷぷ〜っ!」


「……ふむ! 正しい帰還、正しい土方仕事! 船長、私エジソンは道中の時間を利用して、月のレゴリスからジルコニア・ブロックを無限錬成するための……


「減速開始――!!」


「……ひゃああああーーーッッ!? 到着しましたわ―――!」


……『超効率・プラズマ・プレス機』の最終チューニングに入りますぞ!月に着いた瞬間から、じゃんじゃん別荘の壁を打ち建て…………」


「おやつ食べよーぜー!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ