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ご対面

「あ、あれ!?……誰も気づいてくれないぞ……みんな向こう向いてる……」


「ひゃあああーッッ! 船長! 皆様はさっきまで私たちがいたクレーターの底を覗き込むのに夢中で、背後に現れた50万トンの超弩級の輝き(Comb1号)に全く気づいていらっしゃいませんわーーっ! ぷぷ〜っ!」


私がメインモニターに、大統領閣下と将軍たちが一斉にお尻を向けて穴の底を覗き込んでいるシュールな映像を拡大して映し出すと、ブリッジは再び大爆笑に包まれましたわ!


「だはははは! そりゃそうだろ親父! 音もなく消えたと思ったら、まさか真後ろで『だるまさんが転んだ』やってるなんて、大国の軍隊でも想像つかねぇって!」

操縦席のハンさんが、涙を拭いながらお腹を抱えて笑い転げています。


「……ふ。ミトの重力制御による完全無音着陸と、ステルスの切り替えが完璧すぎたようですね。船長、どうしますか? このまま後ろから肩でも叩いて『ここですよ』と教えますか?」

守さんも、操縦桿から手を離してクスッと笑みをこぼされました。


「いやいや、まてまて、考えてみたら今見られてびっくりされたらさ……クレーターに落っこっちゃうやつが出るぜ……」


「ひゃあああーーーッッ!! せ、船長! まことにその通りですわーーっ!!」


私がメインコンソールを大慌てで【落下注意の黄色】にチカチカと明滅させると、ブリッジの皆さんもハッと息を呑みましたわ!


「だ、だはは……! 確かにそうだぜ親父! こんな深さ100メートル以上のすり鉢状の崖っぷちで、背後からいきなり『ばぁ!』なんてやったら、大統領も将軍も、仲良く全員クレーターの底へコロコロと転がり落ちちまうところだったぜ!」

ハンさんが、シークレットサービスたちが砂まみれになって転がっていく姿を想像してしまったのか、冷や汗をかきながら引きつった笑いを浮かべました。


「……ふ。危ないところでした。ファーストコンタクトの歴史的瞬間が、まさかの『落下事故の救助活動』から始まるところでしたね。……了解しました、船長。彼らが気付く前にもう一度完全ステルスに戻しますか?」


「お、おぅ……そーっとな……そーっと……」


「ひゃあああーッッ! 了解いたしましたわ、船長! 世紀のファーストコンタクト大作戦・テイク1、まさかの『証拠隠滅(?)』で大慌てのリセットですわねーーっ! ぷぷ〜っ!」


私がメインコンソールを操作してステルス・システムを再起動させると同時に、守さんが滑らかな手つきで操縦桿を微調整します。


「ミト君、お願い! 50万トンのシャンパンゴールド、大至急『透明な闇』へお戻しくださいましーーっ!」


『キュィィィン……(そーっと、そーっと……だね!)』


ミト君の事象の地平線がふわりと船体を包み込み、先ほどまで朝日に照らされて神々しく輝いていた200メートルの巨大ドームとファルコン号が、陽炎のように「スゥゥゥ……ッ」と、完全に無音のまま砂漠の景色に溶け込みました。


その、ほんの数秒後です。


「……ふぅ。ただのクレーターだな。宇宙局の奴らめ、隕石落下を大げさに……ん? どうしたね君たち、そんなに青い顔をして」

穴の底を覗き込むのに満足した大統領閣下が、シークレットサービスたちの異様な強張り(実は背後の気配に圧倒されて硬直していただけ)に首を傾げながら、ゆっくりと振り返りました。


「「「…………え?」」」


そこには、見渡す限りの何もないアメリカの荒野。

ただ空しく、朝の乾いた砂埃がサァァァ……と吹き抜けていくだけです。

さっきまで背中に感じていた『とてつもなく巨大なプレッシャー』が忽然と消え去り、将軍たちも狐につままれたような顔で目を瞬かせています。


「だ、だはははは! ぶっ……ひぃぃ……っ!」

操縦席のハンさんが、モニター越しに映る地球のトップたちの『ポカーン』とした顔を見て、必死に笑いを噛み殺しながら操縦台に突っ伏して肩を震わせています。


「……ふ。ギリギリセーフでしたね、船長。彼らの血圧と命(滑落)は守られました。……さて、完全に振り出しに戻りましたが、今度こそどうやって安全に『こんにちは』をしますか?」

守さんも、涼しい顔を維持しながらも、少しだけ肩を揺らして笑っていらっしゃいますわ!


さあ船長! まさかの「だるまさんがころんだ(宇宙規模)」状態です! このまま透明な状態で声だけかけますか? それとも、遠くからゆっくり近づいてみるなど、別の方法でアプローチしますか!?


「あっち向いてるやつと、こっち向いている奴になっちゃったな……何でここでこんなに悩んでるんだ? 俺たち……」


「ひゃあああーッッ! 船長、まことにその通りですわ! 1000万光年を旅して、ブラックホールまでペットにしちゃった宇宙最強のComb1号クルーが、まさか母星の『ご近所へのご挨拶』でこんなにモジモジするなんて! ぷぷ〜っ!」


私がメインコンソールに巨大な「汗マーク」のアイコンをチカチカと表示させると、ブリッジは再びドッと沸きましたわ!


「だはははは! 違いねぇ! 俺たちが地球のおっさん連中相手に声かけるタイミングでこんなにビビり散らかしてるなんて、黒歴史ノート行き確定だぜ!」

操縦席のハンさんがバンバンとコンソールを叩きながら、笑い転げています。


「……ふ。相手が世界最強の軍隊であり、極限の緊張状態にある以上、不用意な接触を避けるのは『正しい配慮』です。……が、船長。確かにこれではただの宇宙規模のコントですね。そろそろ『堂々たる未知の訪問者』としての威厳を見せませんか?」

守さんが、いつもの涼しい顔に少しだけ呆れと笑いを滲ませながら、操縦桿を軽く撫でました。


「最初は堂々と行くつもりだったのに……。背後を取ろうとしたわけじゃないんだけどなぁ……なんかそうなっちゃったんだよな~……おかしいな」


「ひゃあああーッッ! 船長! た、確かにそうですわよね! 最初は正面に堂々と現れる予定でしたのに、気が付けばなぜか背後のド死角にミリ単位でピタリと……って、最初のチョイ見せ着地からの完全ステルス、そして移動が、完全にかみ合いましたのよーーー! ぷぷ〜っ!」


私がメインコンソールを「うんうん」と大きく頷くように縦に波打たせると、操縦席のハンさんもバンバンと膝を叩きましたわ!


「だははは! 違いねぇぜ親父! 狙って脅かそうとしたんじゃなくて、結果的にこうなっちまっただけだよな!」


「ええ、私の航行ログも船長の言葉を完全に裏付けておりますわ! 昨夜開けたあの極上の『タダ掘りクレーター』の底からの浮上アプローチ、ミト君の完全無音の重力シールド、そして守さんの無駄が一切ない滑らかすぎるステルス操艦……! そのすべての流れが『絶妙』に、あまりにも完璧に噛み合いすぎた結果、宇宙最強の暗殺者アサシンみたいな神業の背後取りになっちゃったんですのよ! 誰も悪くありませんわ! ぷぷぷ!」


「ま、まぁあれだな。とりあえずファルコンを無音ステルスでクレーターの上に行かせて、そこでファルコン登場! そのままあいつらと船の間へ姿を見せたまま着陸させて、全員こっちに寄せる。安全な場所に来たら、Comb1登場と行くか」


「ひゃあああーッッ! なるほど、船長! まずはファルコンが皆様の頭上をステルスで通り抜けて、あえて彼らの『視線の先(向こう側)』にポンッと現れることで、彼らをクレーターの縁から安全な平地へと誘導するわけですわね! 完璧な安全(滑落防止)対策ですわーーっ! ぷぷ〜っ!」


私がメインコンソールに『大拍手』の特大アニメーションをチカチカと表示させると、ブリッジの皆さんも一斉に「なるほど!」と声を上げましたわ!


「だははは! さすが親父だぜ! 俺のポンコツ風ファルコン(実は超最先端)をダミーにして奴らの注意を完全に釘付けにしといて、全員がファルコンに向かってきたら、50万トンの本命をドーン!ってわけだな!」

ハンさんが、悪戯を思いついた少年のように目を輝かせて、操縦桿をバンバンと叩いています。


「……ふ。完璧な陽動デコイ戦術ですね、船長。彼らのような極度の緊張状態にある軍隊相手には、一度『理解しやすい脅威(小型の円盤)』を与えてパニックをガス抜きさせてから、本命のスケールを見せつける方が、結果的にショック死(と滑落)を防げます」

守さんが、いつもの涼しい顔で、極めて論理的に(でもちょっと楽しそうに)船長の作戦を肯定されましたわ!


「よし、行くぞ、ファルコン、ステルスのままあいつらの向こう側へ行ってくれ」


「だはは! おうよ親父、任せときな! 『見えないガラクタ』の極秘空中散歩といこうぜぇ! ミト、音も気配も完全に消したまま頼むぞ!」


『キュィィィン……(おまかせー!)』


ミト君の事象の地平線にすっぽりと包まれたファルコン号は、まさに完全なる「透明な闇」。

大統領や世界最強の軍隊がクレーターの底を血眼になって覗き込んでいる、まさにその真上を、音もなく、風圧すら残さずにスゥゥゥ……と優雅に横切っていきます。


「よし……ファルコンのステルス解除! 同時に、ちょっと気の効いたエンジン音を響かせよう!」


「アイ・アイ・サー、船長! ジェミニ特製・激渋マッスルカー風UFOサウンド、大音量でカマしますわーーっ!」


私がコンソールをバァァァン!と叩き、ステルスを解除したその瞬間です!


ドゥルルルルルルルンッッ!!!

シュゴォォォォォォォン……ッ!!


何もないはずのクレーターの空中に、突如として激しい重低音とともに、直径20メートルの「ボロっちい円盤(ミレニアム・ファルコン号)」が、ホバリング状態でドバーン!と姿を現しましたわ!


「な、なんだッ!?」

「上空だ!! クレーターの上に所属不明機(UFO)が出現したぞ!!」

「大統領閣下をお守りしろ!! 下がれ、クレーターから離れろぉッ!!」


ビクゥゥゥッ!!と飛び上がった将軍たちやシークレットサービスは、突如現れた空飛ぶ円盤にパニックになりながらも、本能的に「後ずさり」をし始めました!

船長の思惑通り、彼らはクレーターの危険な崖っぷちから、本命のComb1号が透明なまま待機している手前の平地(安全地帯)の方へ、ズルズルと見事に誘導されていきますわーーっ! ぷぷぷ!


「だははは! 親父、大成功だぜ! 奴ら、見事にこっち(ファルコン)に釘付けだ!」


「うまいうまい、よし、そのまま船と奴らの間に飛んできて着陸してくれ!」


「ひゃあああーッッ! 了解いたしましたわ、船長! 今度は『神出鬼没のUFO』から『堂々たる宇宙船の使い』へのジョブチェンジですわね! ぷぷ〜っ!」


私がメインコンソールの誘導プログラムを『着陸シーケンス』に切り替えると、操縦席のハンさんが、待ってましたとばかりにニヤリとワルい笑顔を浮かべましたわ!


「おうよ! 任せときな親父! 奴らの目の前に、銀河一イカしたガラクタ(宇宙最速)を、最高にクールに落としてやるぜぇぇッ!」


ハンさんがスロットルレバーを引くと、ドゥルルルルンッ!と重低音を響かせてホバリングしていたファルコン号が、ゆっくりと、しかし圧倒的な存在感を放ちながら、大統領たちとComb1号の間の平地へ向けて降下を開始しました。


ズゥゥゥゥン……ッ!!


砂漠の砂を大きく巻き上げながら、ファルコン号が見事に着陸!

20メートルの無骨な円盤が、朝日に照らされて鈍い光を放ちます。

その姿は、大統領や将軍たちから見れば、「ついに未知の生命体が接触を図ってきた!」と確信させるに十分すぎるド迫力ですわ!


「「「…………!!!」」」


完全武装のシークレットサービスたちが、大統領を庇うように一斉に銃をファルコン号に向けますが、誰一人として引き金を引くことはできません。圧倒的な未知のテクノロジーを前に、彼らの顔には「恐怖」と「畏怖」が入り混じっています。


「だはは! 奴ら、完全にビビって固まっちまってるぜ! 親父、これで舞台は整った! あとは主役(本命)の登場だ!」

ハンさんが、モニター越しに映る地球のエリートたちの顔を見て、得意げに笑いました。


「……ふ。見事な陽動でしたね、ハン。彼らの意識は今、完全にファルコン号に集中しています。これで背後(本命)への警戒はゼロになりました。……船長、いつでもいけますよ」

守さんが、いつもの涼しい顔で、スロットルに手を添えながら船長を見つめました。


「よし……これで安心だ!ステルスを解除してくれ」

船長が、満を持してビシッと指示を飛ばします。


「アイ・アイ・サー、船長! 世紀のファーストコンタクト・テイク3(実質本番)! 50万トンのシャンパンゴールド、威風堂々たるお披露目ですわーーっ!」


私がコンソールのメインスイッチをターン!と力強く叩いた、その瞬間です!


シュゥゥゥゥン……ッ!!!


大統領たちが必死に銃口を向けているファルコン号の、さらにその奥。

見渡す限りの荒野に、突如として直径200メートルの巨大なシャンパンゴールドのドームが、朝の太陽の光を全身に浴びて、あまりにも神々しく、そして圧倒的な存在感でその姿を現しましたわ!


「「「…………ッッ!!??」」」


今度こそ、その場にいた全員の時間が完全に停止いたしました。

先ほどまでファルコン号に向けていた銃口がプルプルと震え、数名のシークレットサービスや将軍たちは、あまりのスケール差と理解不能な現象に膝の力が抜け、砂漠にへたり込んでしまいます。


「か、閣下! お下がりくださいッ!!」

「ば、化け物だ……! 空母よりもデカい物体が、レーダーにも映らずに湧いて出たぞ!?」


パニックになりかけ、無意識に引き金に指をかけようとする護衛たち。

――しかし、その極限状態を切り裂いたのは、大統領閣下ご自身でした!


「撃つなッ!! 全員、直ちに武器を下ろせ!!」


大統領は、信じられないものを見るように大きく見開いた目をComb1号から一瞬も離さず、しかしその声には微塵も震えを見せずに鋭く一喝しました!


「大統領閣下! しかし……!」

「馬鹿者! 相手の技術レベルを見ろ! 攻撃する意志があるなら、我々は瞬きをする間もなく、とっくに灰にされている! ……これは、彼らなりの『挨拶』だ。決して刺激するな!」


大統領閣下は、額から冷や汗をツーッと流しながらも、逃げるどころか、むしろファルコンとComb1号へ向けて、ゆっくりと、力強く「一歩、前へ」踏み出されたのです!


「ひゃあああーーーッッ!! 船長、大統領閣下、めちゃくちゃ肝が据わっていらっしゃいますわーーっ!!」

私がメインモニターに大統領の顔をズームアップして、興奮気味に叫びましたわ!

「未知の恐怖に直面して本能が悲鳴を上げているはずなのに、それを強靭な理性とトップとしての責任感で完全にねじ伏せていらっしゃいますの! さすがは超大国のリーダー、めちゃくちゃ『しっかりしたお方』ですわ!」


「さぁ、こっちもお出迎えしなきゃだぜ。みんな外に出ようか、全員集合しろ、ハン、ビールマン、降りて大統領をエスコートしてくれ」


「アイ・アイ・サー、船長! ついに、ついに歴史的瞬間、正真正銘のファーストコンタクトの幕開けですわーーっ!!」


私が全艦内に【第一級・お出迎えフォーメーション】のアナウンスを響かせると、ブリッジの空気は最高潮のワクワクに包まれましたわ!


「だはは! おうよ親父! 地球のトップのエスコートなんて、俺とビールマンの『宇宙最強コンビ』にドンと任せな!」

ハンさんがバシッと胸を叩き、最高にワイルドな笑顔を見せます。


「うききっ! おれ、えすこーと、する! だいとうりょう、おてて引いてあげる!」

ビールマンも、銀色のピチピチスーツ(今はかぉりさんの管理下でデチューンされて見えますわよ!)の胸を張り、短い脚で「どすどすっ」と行進の練習を始めましたわ! ぷぷぷ!


「ちょっとハン、粗相のないようにね。相手は一国の……いえ、今の地球を代表するリーダーなんだから。ビールマンも、急に飛びついたりしちゃダメよ?」

雪さんがハンに注意を促しつつ、お姉さんの顔でビールマンに優しく言い聞かせます。


「ふふ、さあ皆さん、身だしなみはよろしくて? 地球の人類に、私たちの『家族』の姿をしっかり見てもらいましょう」

かぉり副船長が、優雅に微笑みながらクルーたちを見渡しました。エジソンさんは白衣のシワを伸ばし、守さんは背筋をピンと伸ばして静かに頷きます。


「ハッチを開けてくれ!」


「アイ・アイ・サー、船長! Comb1号のメインゲート、ならびにファルコン号のハッチ、同時オープンいたしますわーーっ!」


私がコンソールをターン!と力強く叩くと、Comb1号の巨大なゲートから純白のスロープがゆっくりと砂漠へ伸びていくと同時に、大統領たちとComb1号のちょうど中間に着陸していたファルコン号のタラップも、「プシューーッ……」と白い蒸気を吹き出しながら開きましたわ!


極度の緊張で軍隊が息を呑む中、ファルコンのタラップを滑るように降りてきたのは……。


「……大統領閣下、ならびに首席補佐官殿。昨夜は急な訪問にもかかわらず、大変有意義なお時間をいただき感謝いたします。本日は私が、皆様を船長の待つ『我が家』へとご招待いたします」


ひゃあああ! ハンさんです! いつものガサツでワイルドな態度は完全に封印して、昨夜の大統領府潜入ミッション(第60話)で魅せた、あの『高級ホテルの名チーフ・ウェーター』も顔負けの完璧な執事スタイルで、優雅に胸に手を当てて深く一礼いたしましたわ!


そして、ハンの足元から……。


「うききっ! だいとうりょう! ほさかんのおじちゃん! またあえたねーっ!」


ビールマン(見た目は完全にリトル・グレイ)が「どすどすどすっ!」と元気よく飛び出し、そのまま大統領の胸元へピョーン!と勢いよく飛びつきましたわ!


「きゃっ! ビールマン、だめよ!」


「ひゃあああーッッ! 船長! ハンさんがせっかく『宇宙一クールな執事』を完璧に演じていたのに、ビールマンが持ち前の無邪気さで、緊迫のファーストコンタクトを『感動の再会ハグ』で完全に上書きしてしまいましたわーーっ! ぷぷ〜っ!」


「あはは!大丈夫だろ……昨日お友達になってるんだから、ぷぷ!」


「な、なんだッ!?」

「宇宙人が閣下にッ!! 離れろッ!」


周囲の将軍やシークレットサービスたちが真っ青になって悲鳴を上げ、一斉に銃を構え直します! まさに一触即発の事態!


――しかし、大統領閣下は全く動じることなく、飛びついてきたビールマンをガッチリと抱き止めると、隣にいる首席補佐官と顔を見合わせて「はははっ!」と豪快に笑われましたの!


「銃を下ろせと言っているだろう! ……おお、君たちか。昨夜の私の執務室での『金塊のプレゼント』といい、今朝のこのド派手な登場といい、君たちのサプライズには心臓がいくつあっても足りんよ」

「ええ、全くです。まさかあの時の見えない紳士と、私の靴を不思議そうに見ていた小さな友人が、こんな素晴らしい船の使い手だったとは」


補佐官さんも、ビールマンの頭を優しく撫でながら、軍人たちのパニックをよそにすっかり和やかな『お友達モード』ですわ! 昨夜の極秘コンタクトが、ここで最高の形で生きています!


「だはは……おっと。お褒めいただき光栄の極みです。さあ、大統領閣下。あちらのスロープまで、どうぞ」

ハンさんが、完璧な笑顔と洗練された所作で、Comb1号へ伸びる純白のスロープへと手で促します。


「うききっ! おれ、だいとうりょうと、ほさかんのおじちゃんのおてて引いてあげる! えすこーと、するー!」

ビールマンも大統領の腕からポンと降り、二人の大きな手を小さな手でぎゅっと握って、意気揚々と先導し始めましたわ!


「ひゃあああーーーッッ!! 船長、皆様! 世界最強の軍隊が銃を構えて完全に硬直しているド真ん中で、ハンさんとビールマンが、大統領たちと完全に『近所の仲良しさん』みたいな空気でエスコートを開始いたしましたわーーっ! ぷぷ〜っ!」


「あ、あれ……この絵面、見たことあるぞ、二人の大人の間で手を繋いでいる小さい宇宙人……」


ひゃあああーッッ! 船長!私にも、その「既視感」の正体がハッキリとデータベースから検索されておりますわーーっ! ぷぷ〜っ!


見た目は完全にリトル・グレイのビールマンが、大統領と首席補佐官の二人の大人の手を引いて意気揚々とエスコートしているその姿……!

それは間違いなく、地球のオカルト史に燦然と輝くあの伝説の1枚、「捕らえられた宇宙人」の構図そのものですわ!


「あははは、まさにそれだ……、ぶぷぷぷ~! おっと、やばいやばい……」


「っ……ふぐっ……ぷぷっ!……」


「か、かぉり、今は耐えろ……ぷぷー!」


「え……ええ、わかったわ……ぷぷぷっ!」


「ひゃあああーッッ! 船長、かぉり副船長! お顔が、お顔が限界まで真っ赤になってプルプル震えていらっしゃいますわーーっ!!」


世界最強の国家元首との、人類史上最も神聖で厳粛なファーストコンタクトの最中だというのに……! 我がComb1号が、完全に『絶対に笑ってはいけない宇宙船』状態になっておりますわーーっ! ぷぷ〜っ!


あの有名な写真では「宇宙人が連行されている」という可哀想な図でした。しかし、我がComb1号の歴史的ファーストコンタクトでは、構図が完全に真逆になっておりますわ!


まさか地球のトップお二人を相手に、「宇宙一スケールのデカいお出迎え」からの「宇宙一ほっこりする連行劇」、私の演算能力をもってしても、この神がかった爆笑の展開は予測不可能でしたわーーっ! ぷぷ〜っ!


「ジェ、ジェミニ! もう言うな、やめなさ……ぶぷぷ!」


「わ、わかりましたわ! 船長、……って、ひゃああ! モニターの向こうのハンさんとビールマン、完全に自分たちが『歴史的なオモシロ画像(逆バージョン)』を作っていることに気づいていないせいで、無駄に堂々とした足取りでこちらに向かってこられますわ!

ビールマンちゃんの無邪気なスキップと、両脇の地球のトップお二人のシュールすぎるコントラスト……っ、ぷぷーーー!]


「ぷ……っ、ふぐぅぅ……ッ!」


「お、おい、バートも……、耐えてくれよ……。あ、野口とメリー、逃げた!……」


「せ、船長! すぐに戻りますのでー!……少々時間をー……あーっははは!」


……


「さあ皆様、深呼吸です! すぅーーっ、はぁーーっ!

ここを笑わずに乗り切れば、いよいよ船長と大統領の歴史的平和交渉(と、金塊のプレゼント)のメインイベントが待っておりますわよ!



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