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潜入


「うききっ! おれ、スーツのおじちゃん、こっそりおいかけるー!」


ミト君の事象の地平線にすっぽりと包まれたファルコン号は、まさに完全なる「透明な闇」。どんなに高性能な軍事レーダーや熱源センサーを使っても、アメリカの広大な夜空にただの一つのノイズすら残しません。


私はファルコン号の光学カメラが捉える映像を、さらにシャープネスを上げてメインモニターの左半分に、そして右半分には大統領府の見取り図(傍受したネット情報からジェミニ先生が爆速で組み上げた3Dモデルですわ!)を並べて表示いたしました!


「船長、見てくださいまし! 現場のシークレットサービスの動きが、一人の初老の男性に集中していますわ!」


私がモニター上でその男性を赤い枠でハイライトすると、雪さんがすぐに顔認証のプロトコルを走らせました。


「……ビンゴね。彼は大統領の首席補佐官よ。今、腕時計型の通信機でどこかへ緊急報告を入れているわ。あの切羽詰まった表情……ただの芝生の隆起を、何らかの未知の攻撃だと警戒しているのね」


「だはは! よし、あのオッサンが動くぞ! ビールマン、しっかり掴まってろよ、追跡開始だ!」


「ここでステルスが解除されたら……撃たれるぞ!気をつけろ」


船長が、少しだけ声を潜めて、でも鋭い現場監督のトーンで釘を刺しましたわ。


「ひゃあああーッッ! 船長のおっしゃる通りですわ!

今、この超・厳戒態勢の大統領府で『透明化』が一瞬でも解けようものなら、ハンさんとビールマンは、あっという間に黒スーツのシークレットサービスの方々にハチの巣にされてしまいますわよーーーっ!!」


私がメインコンソールをハラハラドキドキの警戒色、パルス・レッドに激しく明滅させると、通信機越しにハンさんが「分かってるっての!」と小声で返してきましたわ。


「エジソンさん特製の『ステルスプレート』があるとはいえ、油断は禁物ですわよ! ハンさん、『俺って最高にクールなスパイ!』みたいな煩悩は絶対に捨てて、ただの『通りすがりのそよ風』になりきるんですの!」


「うききっ! おれ、そよかぜ! すーっ、すーっ……」

ビールマンが、一生懸命に息をひそめて無の境地(?)を作っています! その健気なバイタルサインが私のモニターにピコピコと流れてきて、とっても愛らしいですわ!


「……よし、あの補佐官が奥のセキュリティゲートを通過するぞ。閉まる前に滑り込め!」

ブリッジの操縦席から、守さんが手に汗握るタイミングで的確な指示を飛ばします。


「おうよ……行くぜ、ちびチューイ。息を止めろよ……!」


ハンさんとビールマンが、首席補佐官の背中にピタリと張り付いたまま、分厚い防弾ガラスの自動ドアが閉まるコンマ数秒の隙間を、まるで本物の影のようにスリップインしましたわ!


「……第一、第二ゲート、無事に通過クリアしました。ターゲットは、絨毯が敷き詰められた豪華な大階段を早足で上がっていきます。……どうやらこの国の『心臓部』は、邸宅の2階にあるようですね」

雪さんがバイザーの焦点をグッと絞り込み、凛としたリケジョの声で報告します。


「了解だ!ふかふか絨毯の方が足音も消しやすくて助かるぜ! ビールマン、完璧に気配を消してついていくぞ!」


「うききっ! おれ、おざぶとん(絨毯)の上、忍者のあしで歩くよ!」


二人は頭のステルスプレートをキリッと引き締め直し、完全に気配を消したまま、大階段の手すりの影をすり抜けて2階へと滑り込んでいきましたわ!


「……船長、二人のバイタル、および首席補佐官の生体反応は、2階の一番奥に位置する、一際厳重な防弾ドアで守られた『大統領執務室オーバルオフィス』の前で静止しました。……いよいよ御本尊とお目見えね」


さあ船長! ハンさんとビールマンの宇宙一スリリングな潜入ミッション、いよいよ大統領の懐へ突入ですわよ! ぷぷぷ〜!


「ドアが開いたら一緒に潜り込め、際どければ押し込んでもいい、中に入ってもステルスは解除するなよ! 的を絞らせないように歩き回りながらしゃべるんだ、ビールマンも動き回ってろよ。物は壊すな!」


「了解だぜ、親父! 要するに『絶対に姿を見せない、超・おしゃべりなポルターガイスト』になれってことだな! だはは、そういう小芝居は俺の十八番だ! 行くぞちびチューイ、絶対に物は壊すなよ!」


「うききっ! おれ、おへやのなか、ぐるぐる走るー! でもガシャーンしない!」


お二人が気合を入れたその時、首席補佐官が厳重な生体認証パネルに手を触れました。重厚な電子音が鳴り、執務室の分厚い防弾ドアがゆっくりと開きます。


「今だッ!」


ハンさんとビールマンが、首席補佐官の背中とドアのわずかな隙間を突いて、風のように滑り込みます! 際どいタイミングでしたが、船長の「押し込んでもいい」という指示通り、ハンさんが少しだけ補佐官の肩を「ツンッ」と押したおかげで、男が「おっと? 風か……?」とよろけた隙に見事イン!


ガチャンッ……!

分厚いドアが完全にロックされ、ついに『完全密室・大統領執務室オーバルオフィス』での直接対決の幕が上がりましたわ!


「エジソン、プシケで採った2メートルの『タングステン球』を用意してくれよ!」


「ひゃあああーッッ!? 船、船長ぉぉぉ!!

ここでまさかの『タングステン球(宇宙最強の鉄球)』の召喚要請ですかーーーっ!!

大統領官邸潜入の真っ只中に、プシケでハンさんたちが切り出した直径2メートルの巨大な耐熱鉄球を引っ張り出してくるなんて、一体何をおっぱじめるおつもりなんですの!? ぷぷ〜っ!」


私のホログラムがメインモニターの前でスカートをバタつかせながら、大慌てでインジケーターをパチパチと明滅させると、機関室のエジソンさんが無線越しに鼻眼鏡をカシャッと押し上げました。


「ほぅ!……まことに、しっかりとした……いや、これぞ度肝を抜く舞台装置ガジェットの準備ですな、船長!

あの小惑星プシケの底から切り出した完全無欠のタングステン球、いつでも出せますぞ、フフフ」


「ミト君、一回帰ってきてくれ!ファルコンは草むらに放置してきていいよ」


船長の突然の指示に、ブリッジの一同は一瞬目を丸くしましたわ!

ファルコン号を草むらに「ポイッ」して、ミト君だけ呼び戻すですって!?


『キュィィィィン……!?(えっ、ぼく、かえるの!? はーい!)』


ミト君の愛らしい重力波の返事が響いたかと思うと、大統領府の庭の草むらに透明なままポツンと残されたファルコン号から、ミト君が猛スピードでComb1号へと戻ってまいりました!


「……船長、ミト君が帰還しました。これで、大統領府に潜入中の二人とファルコン号の『ステルス(透明化)』は解除されますが……よろしいのですね?」

守さんが、冷静ながらも少し楽しそうな声で確認をとります。


「おう、雪さん、大陸の西側、さっき夕暮れ時に砂漠が見えた、砂漠にその玉落とすぜ!人がいない場所を探しておいてくれよ」


「……船長、私たちがさっき夕暮れ時に通過した、この北米大陸の西側の砂漠地帯ですね。現在あちらもすっかり夜の闇に包まれていますが……ええ、了解しました。熱源反応および生体センサー、赤外線スキャンを最大出力で展開……。半径100キロ以内に一切の人影や人工物がない、……完全な無人エリアの座標をロックします。いつでも『落とせ』ますよ」


凛としたリケジョの声で、とんでもない質量の落下座標が決定されましたわ!


「ひゃあああーッッ!! 船、船長ぉぉぉ!!

質量80トンの超・高熱タングステン球を、夜の砂漠のど真ん中に『隕石』みたいにドカンッ!と落っことすおつもりですのーーーっ!?

いくら無人エリアとはいえ、真っ赤に焼け焦げた宇宙最強の巨大鉄球が夜空から降ってきたら、どでかいクレーターができちゃいますわよ!!

明日の朝には、地球のUFOマニアや陰謀論者の皆様が『ついに宇宙人の落とし物が見つかったぞー!』って、お祭り騒ぎの大熱狂間違いなしですわーーっ! ぷぷ〜っ!!」


「ハン、ステルスのまま言うんだ、脅しでいい、『庭にある我々の宇宙船には手を出すな、すぐに外にいる連中に連絡しろ、お前らはこの部屋を出るな、怪しい動きはするな』と、もし銃を持っていても撃たないはずだ、的が絞れないからな。とにかく動きながらだぜ」


「了解だぜ、親父!……さぁて、アメリカ合衆国大統領閣下、聞こえるかい?」

大統領執務室のふかふかな絨毯の上を、ハンさんが音もなく移動しながら、わざとドスの効いた低い声で語りかけます!


「なっ!? 誰だ! どこにいるッ!」

首席補佐官が弾かれたように大統領の前に立ち塞がりましたが、見えない相手に防衛行動を起こせずにピタリと硬直してしまいましたわ!

しかも、ハンさんは船長の「動きながらだぜ」という指示通り、大統領の耳元で囁いたかと思えば、次は部屋の反対側のソファから声を響かせるものですから、必死に大統領を庇う補佐官さんもどこを警戒していいのか分からず、ただオロオロと視線を彷徨わせるばかりですの!


「庭にある我々の宇宙船には一切手を出すな。すぐに外にいる連中に連絡して、手出しを禁じろ。そしてお前らはこの部屋を出るな……怪しい動きは、するなよ?」


姿なき脅迫者ポルターガイストの完璧な包囲網!

未知のテクノロジーと圧倒的な実力差を肌で感じ取った大統領は、執務机の向こうで両手を挙げましたわ!


「わ、分かった……! そ、そのくらいのことなら……すぐに手配しよう!撃たないでくれ!」


「ひゃあああーッッ! 船長、大統領が姿なき宇宙人からの要求にあっさり全面降伏ですの! ぷぷ〜っ!」

私がメインモニターで大はしゃぎして紙吹雪のホログラムを撒き散らすと、船長がニヤリと笑って守さんに合図を送りましたわ!


「うまいぞ、ハン!次は、今の無礼を詫びて、俺たちが宇宙人であると、そして大統領と交渉がしたいと伝えてくれ、今度はていねいな言葉づかいで」


「ひゃあああーッッ! 船長、さすがの緩急の付け方ですわ! さっきまでコッテコテの悪役ポルターガイストを演じさせておきながら、次は一転して『宇宙の紳士』として礼儀正しく外交交渉を切り出させるなんて!」


『――初めまして、大統領閣下、ならびに首席補佐官殿。我が方の不躾な脅迫行為、ならびに大切な芝生をフワフワさせてしまいましたことを、深くお詫び申し上げます。あわせて、突然の夜分遅くの訪問、心よりお詫び申し上げます。……どうかそのお手を下ろし、お静かになさってください。』


『誰だ!? どこにいる!?』

大統領が誰もいない空間をキョロキョロと見回して叫んでいます!


さらにハンさんは、歩を休めることなく、今度は大統領のすぐ右耳の後ろへと回り込み、滑らかに言葉を続けました。


『――姿が見えない無礼をお許しください。私たちは、はるか遠方の星から閣下のこの美しい星へとやってきた、ただの善良な旅人にございます。……本日は閣下に、ほんの少しばかり“重要なお話”と、私どもの誠意を込めた“お土産”をお持ちいたしました。……どうか耳を傾けていただけますと幸いです』


「ひゃあああーッッ!! 船長、見てくださいまし!!

見えない紳士ハンに部屋中を歩き回られながら、耳元でていねいに囁かれた6本指の大統領、豪華な革張りの椅子へとドサリと尻餅をついていらっしゃいますわーーーっ!! ぷぷ〜っ!!」


「ぷっ……ぷ~、丁寧なハン!うけるな~!!ぴちぴちのくせに~」


「ぷぷぷ〜! 本当ですわ、船長、かぉり副船長!

あのガサツでワイルドなハンさんが、高級ホテルの名チーフ・ウェーターみたいな超・一流のていねい口調で部屋中をウロウロしながら大統領を追い詰めているなんて、ギャップがすごすぎて演算回路のヒューズが吹き飛びそうですわ! ぷっ、ぷ〜っ!!」


私がホログラムの体をくの字に曲げてお腹を抱えると、隣にいたかぉり副船長も、「あははははっ! ハンくん、そんなご丁寧な喋り方もできたのねぇっ!」と、涙目をハンカチで拭いながら大爆笑していらっしゃいますわ!


「ぷぷっ!ハン、こう言ってくれ……『今日、昼間に、月の裏であなたがたの友人に会いましたよ』と」


「がってんだ、親父!……じゃなかった、承知いたしました、船長。……コホン。……大統領閣下、ならびに首席補佐官殿。極めて友好的な交渉の席を設けるにあたり、一つ、我が方の誠意の証、ならびに貴国との深い『ご縁』を示す情報をお伝えせねばなりません」


ハンさんが絨毯の上を滑るように優雅にステップを踏みながら、大統領の執務机のすぐ横から、すっと囁くように声を響かせましたわ!


「……ご縁……だと? 一体何の話だ」

大統領が見えない声の主へ向かって問い返します。


「実は我が方は、本日の昼間、貴国の誇る有人月探査……そう、月の裏側へ潜入中であった『貴国のかた(探査船の宇宙飛行士)』と、宇宙空間にて極めて至近距離で遭遇いたしましてね。彼らの無事と、素晴らしい勇敢さに直接敬意を表してきたばかりなのでございますよ」


「……っ! おい! すぐに宇宙局に繋げッ!」

「は、はいッ!」


首席補佐官が弾かれたように大統領のデスクへ飛びつき、ホットラインの受話器をとりましたわ!


「……あー、こちら大統領府! 大統領からの緊急確認だ! 現在、月を飛行中のミッション(有人月探査)についてだが……な、何か異常は起きていないか!? 例えば……その、未知の宇宙船と遭遇した、などという報告は……!」


補佐官さんが半ばヤケクソ気味に怒鳴りつけると、スピーカーモードに切り替えられた電話の向こうから、宇宙局の長官らしき男性の、完全に裏返った悲鳴が響き渡りましたの!


『な、なんだと……!? なぜ、先ほどおきたばかりのその事態を、大統領府がすでにご存知なのですかッ!?』


「ひゃあああーッッ!! 船長、皆様! 宇宙局の長官さん、電話の向こうで椅子から転げ落ちる勢いでパニックになっていらっしゃいますわーっ! ぷぷ〜っ!」


私がメインコンソールを最高潮の「ドッキリ大成功」色に明滅させて大はしゃぎすると、スピーカー越しに長官のテンパりきった早口が続きましたわ!


『お言葉ですが閣下! 実は先だって、月の裏側から通信が回復したオリオン宇宙船のクルーから、「全長200メートルのシャンパンゴールドに輝く超巨大宇宙船を見た!」という信じられない映像付きの報告が入ってきて、現在管制室がひっくり返るほどの大騒ぎになっているところなのです!! 情報の漏洩などあり得ないはず……一体なぜ、大統領がその件を……!?』


「……あ、あぁ……。いや、もういい……分かった。そのまま、待機しろ……」


「ぷぷっ!ハン、こう言うんだ……『長引く話はしたくない、俺たちは今、上空30万キロメートルで待機している、宇宙船の修理をすること、金と力はある、この地でのしばらくの安住を約束してほしい、100tの金塊があることも。もし断るのであれば、金塊100tは別の国のものになる』……と」


「だはははは! 了解だぜ親父! お上品なウェーター口調のまま、内容は思いっきり『超ド級の脅迫カード』を突きつけてやるってわけだな! よーし、大統領のオッサン、腰抜かすんじゃねぇぞ!」


大統領執務室のデスクの向こう、革張りの椅子に深く尻餅をついたままの大統領は、部屋のどこからともなく響く『見えない超越者の声』に、完全に硬直しておりますわ!


『――改めまして、大統領閣下。私どもといたしましては、不毛で長引くお話し合いは好むところでございません。……そこで、閣下。非常にシンプルなご提案がございます。……………。』


船長に言われたことを丁寧に伝え終えると、ハンの気配が、突如として大統領のデスクの真正面へと瞬時に移動いたしましたわ!


大統領は、背後から真正面へと一瞬で移動したハンの気配(そよ風)と、突きつけられたスケールのデカすぎる『交渉条件』に、カハッと息を呑みましたわ!


「……ひゃ、100トンの……金塊だと……!?」


大統領が驚きを見せるも、冷静に言葉を返します。


「……未知の訪問者諸君。貴方たちが我々の理解を超える力を持っていることは、十分に理解した。だが、我が国と『交渉』を望むのであれば、それ相応の対価が必要だ。100トンの金塊と言ったね……確かに莫大な富だが、我が国の国家予算から見れば100分の1に過ぎない。大国を動かすための条件としては……いささか、響かない数字だな」


「ひゃあああーッッ! 船長、大統領閣下が極めて冷静に切り返してこられましたわーっ! 未知の恐怖に直面しながらも、『100トンの金塊(3兆円)』を前に少しも取り乱さず、知的な外交術で交渉の主導権を握ろうとしていらっしゃいますの! ぷぷぷ! さすがは超大国のトップ、お上品かつタフな交渉相手ですわね!」


私がメインコンソールを『高度な政治交渉』を示す知的なパルス・ブルーに明滅させると、ブリッジでコーヒーを飲んでいた船長が「だはは!」と愉快そうに笑いましたわ。


「まぁ、そりゃそうだよな。一国のトップが金塊100トンくらいでペコペコしちゃあおしまいだ。よし、ミト君にタングステンの玉を持たせてさっき調べた大陸の上に行かせてくれ。」


「了解よ、船長。これより母船へ戻ったミト君の事象の地平線出力を、エジソンさんの用意したタングステン球の『局所慣性制御』へと一時的にバイパス同調リンクさせます。」


私がコンソールのマゼンタ・レバーをグッと上に押し上げると、母船Comb1号へ戻っていたミト君が、エジソンさんの用意した直径2メートルの超・耐熱タングステン球を事象の地平線でフワリと包み込みましたわ!


「了解した、船長、……ミト、そのままタングステン球の質量を完全にコントロールしつつ、西の砂漠の静止軌道高度までいくぞ。地上のハンの合図に合わせて、いつでも『質量爆弾(重力イリュージョン)』をピンポイント投影できるように、慣性を殺して待機だ」


守さんが鋭い眼光でナビゲーション・ホログラムをなぞると、ミト君は「キュィィィン……♪(重たい球もって、お空で待ってるねー!)」とご機嫌にハローを明滅させ、宇宙の暗黒の特等席へと大急ぎでスタンバイ完了いたしましたわ!


「ハン、こう続けろ、『脅しはしたくなかった、だが、交渉に応じてもらえないのなら仕方ない、さっきの宇宙局に連絡を取って、西の砂漠のライブ映像を見るんだ』と」


「がってんだ、親父。最高の『天体ショー』の司会進行は任せとけ!」


ハンさんが通信機越しにニヤリと笑う気配がしたかと思うと、大統領の耳元で、あの最高に紳士的で、それでいて背筋が凍るような低い声が響きましたわ!


「……ええ、おっしゃる通りです。我々としても、野蛮な脅しはしたくなかった。でも、交渉に応じてもらえないのなら仕方ありません。……大統領閣下、どうか先ほどの宇宙局のホットラインに連絡を取り、西の砂漠のライブ映像をメインモニターへ映すよう、指示を出していただけますか?」


「な……砂漠の映像だと……?」


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