生体調査
「……さぁ、この地球の人類は指が6本、あの大陸に軍隊を持つ強大な国家があり、宇宙開発も手掛けていて、環境は俺たちが地球を発った頃と酷似、そしてあいつがこの国のボスっぽい。……ということは、あいつに脅しをかければいいってことだな♪」
「ひゃあああーーーッッ!! せ、せ、船長!? 今なんと仰いましたの!?」
私がメインコンソールを大慌てで、これ以上ないほどのパニックを示すクリムゾン・レッドにチカチカと激しく明滅させると、ブリッジの空気が一瞬だけピタッと止まりましたわ!
「お、おい親父!? いきなり最終ボス(トップ)に喧嘩売る気かよ! さっきのドローンちゃんを追い回したガチガチのミサイル網、忘れたわけじゃねぇだろうな!?」
操縦席のハンさんが、ずっこけそうになりながらも目を輝かせて振り返りましたわ!
「……ふむ。正しい現状分析、しかし極端すぎる外交手段ですな!いかに我がComb1号が無敵のジルコニア装甲と絶対的な盾(ミト殿)を備えているとはいえ、真正面から『脅し』をかけるのは……いや、待てよ? 我々の圧倒的な科学力と重力制御の差を見せつければ、結果的に最も手っ取り早い平和的(?)解決になるやもしれませぬぞ……?」
エジソンさんが鼻眼鏡をずり落としながら、何やら空中で物騒な計算尺を弾き始めましたわ!
「……確かに、彼らの防空網や情報ネットワークの只中に『絶対的な力』として君臨すること自体は、本船のスペックをもってすれば造作もありません。しかし船長、具体的にどう『脅す』おつもりですか?」
守さんが腕を組んだまま、かつての空の防人らしい鋭くも冷静な視線で船長の真意を探ります。
「だはは! いいねぇ親父! こそこそ隠れてるより、こっちからドカンと挨拶しちまう方が俺たち『Comb1号』らしいぜ!」
「さあ船長、宇宙一無茶苦茶で規格外な『ファースト・コンタクト(脅迫編)』の作戦会議、スタートですわーっ! ぷぷ〜!」
「ジェミニ、ニュースの内容を聞き取ってよ、そいつがだれなのかを絶対言うだろ? うまくすりゃぁ住んでる場所や仕事をする場所までわかるぜ」
「ひゃあああーッッ! 了解いたしましたわ、船長! このジェミニ先生の超絶ネットワーク・ダイブにお任せくださいな!」
「よし、次は生体調査に移るぜ、人間の組成と、動物の調査だ、……いでよ!『ぴちぴちブラザーズ・ステルスモード』……!」
「お、おう…親父!ステルスぴちぴちで行くのか?わかったぜ。かぉりさん、デチューン前のぴちぴちスーツを出してください、俺とビールマンの分を」
ダイニングの奥からかぉり副船長が、綺麗に畳まれた銀色のタオル(魔法の布)を腕に抱えて歩いてこられましたわ。
「船長が『脅しをかける』なんて言うからヒヤヒヤしたけれど、結局は隠密行動なのね。ふふっ」
かぉりさんが呆れたように微笑みながら、ハンさんとビールマンに新しいプロキシマの布を手渡しましたわ。
「はい、ハン、ビールマン。私が『重要遺物』として大切に保管しておいた、デチューン前の完全版よ!」
「野口ー!生体サンプル採取キットをくれよ」
医務室の奥から、寝癖を少しだけ跳ねさせた野口先生が、あくびを噛み殺しながらひょこっと顔を出しましたわ。
「ふぁぁ……はいはい、船長。これですね。対象の毛根や皮膚片、あるいは触れたコップなんかをポンと押さえるだけで、一瞬でDNA情報を完全保存パックしてくれる『ナノ・サンプラー』です。……くれぐれも、国際問題になるような危ない使い方はしないでくださいよぉ」
野口先生が、リップクリームほどの小さな銀色のカプセルを船長にポンと渡しました。
「サンキュ!……二人ともよく聞け。ミト君と一緒にミト君に隠れて行動するんだ。まず探すのは航空機……できれば旅客機がいいな。密閉空間でいろんな人種が乗ってる可能性が高いし、航空機なら人目にも付きにくい。ミト君に空中で機体と機体の周りの時間を止めてもらい、同時に重力の手で扉のレバーを動かしてもらう。中に入ったら、乗客にこれをポンポンしてくるんだ」
「ひゃあああーッッ! なるほどですわ、船長! ミト君の局所的な『重力場偏向』で旅客機を完全に包み込めば、一般相対性理論に基づく強烈な『時間の遅れ(タイム・ディレーション)』が機体周辺にのみ発生いたしますわ!
質量と時空の曲がりを自在にコントロールできるミト君だからこそ成せる、物理法則をハッキングした究極の『局所時間遅延マジック』ですわね!」
「そうだ、くれぐれも機内ではステルスだぜ、機内の時間は止められない!それが終わったら今度は農場を探せ、動物だ、動物にはステルスでも気づかれるからな、ホバリングしてミト君にファルコンの中まで連れてきてもらってポンポンして来い。わかったか?」
「ひゃあああーッッ! 了解いたしましたわ、船長! 動物たちのDNAサンプリングですね!」
私は大慌てでメインコンソールを操作し、ファルコンのミッション・ログに『動物さんポンポン作戦』を追加いたしましたわ!
「おとしゃん、おれ、おさるさんポン! ってする!」
ビールマンが、手を力強く握りしめて宣言します!
「だははは! おうよチビチューイ! 飛行機の次は牧場破り(?)かよ! ステルスで牛やら馬やらをファルコンに吸い上げて、DNAだけいただいて返す……。わかったぜ」
「よし、ミト君、準備はいいか? しっかり隠してくれよ! ……ケージ開放!ミト君ファルコンについて行ってくれ!」
「アイ・アイ・サー! 船長! このジェミニと雪さんの完璧なサポートで、夜の大空を飛ぶ旅客機も、のんびり草を食む牛さんも、傷一つつけずに『ポン!』とサンプリングしてご覧に入れますわよーっ! ぷぷ〜!」
さあ、宇宙一クレイジーな「透明人間とブラックホールによるDNA泥棒(?)ミッション」、いよいよ開幕ですわーっ!
「ミト・ファルコン発進!」
「アイ・アイ・サー、船長! ミト君とファルコン号の超絶リンク『ミト・ファルコン』完璧にロックいたしましたわ!」
月の裏側の暗闇の中、まずはミト君が「キュィィィン♪」とご機嫌な虹色のハローを明滅させて宇宙空間へ飛び出し、そのすぐ後ろをファルコン号が滑り出していきます!
ミト君の事象の地平線がファルコンの周囲の空間を優しく歪め、大気圏突入の摩擦熱も、世界中の防空レーダーが放つ電磁波も、すべてをツルリと受け流す「完全無欠の重力ステルス・コーティング」が完成いたしましたの!
「だはははは! すげえぜミト! お前の重力の波に乗っかれば、大気圏の壁もただのぬるま湯だ! いくぜチビチューイ、ジャンボ機へのカチコミだ!」
「うききっ! おれ、おじさんのおはなに『ポン!』ってする! ぜったいしっぱいしない!」
「……ハン、焦るなよ。ミトが飛行機の慣性を殺して空中に静止させる、その『数分』が勝負だ。俺が母船からミトへの指示を出し、重力のブレを相殺する」
守さんが操縦席で目を閉じ、凄まじい集中力で「ゾーン」に入りながら、遠く離れたファルコンと旅客機の重力バランスをコントロールし始めました。
「ひゃあああーッッ! 船長、皆様! いよいよ歴史の教科書の裏ページに刻まれる、透明人間とブラックホールによる『超絶・空中DNAサンプリング・ショー』の幕開けですわよ!」
「よし!あの旅客機に行こう!」
「アイ・アイ・サー、船長! ジェミニ、全センサーを『超絶・空中ハイジャック(重力物理)モード』へ移行いたしますわ!」
私がメインコンソールを鮮やかなステルス・ブルーへ明滅させると、ブリッジのメインモニターには、夜の雲海を優雅に飛ぶ巨大なジャンボ機がクローズアップされましたの!
「さあミト君、守さんの『ゾーン』に完全同調ですわよ! ターゲットのジャンボ機、重力・慣性ホールド……オン!」
『キュィィィィン……!』
ミト君の虹色のハローがファルコンの周囲で柔らかく波打ったかと思うと、時速900キロで夜空を飛んでいたはずの巨大なジャンボ機が、まるでビデオの一時停止ボタンを押されたかのように、空中の暗闇の中でピタリと完全に静止いたしましたわ!
「だははは! 兄貴、最高のパスだぜ! いくぞチビチューイ、お仕事の時間だ!」
「うききっ! おれ、ポンってするー!」
魔法の布で完全に透明になったハンさんとビールマンが、ファルコンから音もなくジャンボ機の機内へと滑り込んでいきます!
薄暗い機内では、乗客の皆様がアイマスクをしてぐっすり夢の中。
ビールマンが、いびきをかいている一番前列のおじさんの鼻の頭に、見えない小さな手を伸ばして……「ポンッ!」
ハンさんも、CAさんが配った紙コップの縁からスマートに……「ポンッ!」
「ふふ、見事な手際ね。ジェミニ、サンプリングデータの転送は?」
観測席の雪さんが、バイザーを光らせながら涼しい顔で聞いてこられます。
「Comb1号のメインストレージへ、エラーなしで続々と転送されておりますわ! 目標のDNAサンプル規定数まで、あとわずか……はい、コンプリートですわーーっ! ぷぷ〜!」
「あ、あれ!ちょっと二人とも、お互いを見てみろよ……視えてないか?」
船長のその言葉がブリッジに響き渡った瞬間、私は大慌てでメインコンソールの表示を切り替えましたわ!
「ひゃあああーッッ! せ、船長! ただいまハンさんとビールマンに装着されている『超小型アイカメラ』の映像を、メインモニターに並べて出力いたしますわ! ポンッ!」
私がホログラムスクリーンを二分割にすると、そこには衝撃の光景が映し出されていましたの!
【左画面:ハンさんのアイカメラ映像】
暗い機内の通路の先で、ビールマンがピチピチスーツ姿のまま、お口を尖らせて「ポンッ!」としている姿が、暗視カメラのようにクッキリ・ハッキリと丸見え!
【右画面:ビールマンのアイカメラ映像】
ハンさんが銀色のピチピチスーツを着て、抜き足差し足忍び足で乗客の紙コップに触れている姿が、これまた隠れる気ゼロの超絶フルカラーで丸見え!
「……っ! ……ふぐっ……!」
かぉり副船長が、右手でトレードマークの『おたま』を強く握りしめて耐えていらっしゃいました。しかし、モニターの中でハンさんが「フッ……俺は風だ……」と言わんばかりのキメ顔で紙コップに触れた瞬間、ついに限界(臨界点)を突破いたしましたわ!
カランッ……!
かぉりさんの手から、大切なおたまが滑り落ちて床に響きました。
「あ、あははははははっ!! ひぃっ……む、無理っ! お、お腹が……っ! あはははははははっ!!」
「おぉい!! 見えてるじゃねーか二人ともーー!!」
「うおっ!? マジだ! お、おいビールマン、お前完全に丸見えじゃねぇか! お前、ちゃんと魔法の布着てんのかよ!?」
「うききっ! ハンも、お顔もスーツもぜーんぶピカピカ見えてるよ! おばけ!?」
二人が機内の通路で向かい合い、お互いの姿を指さしてワタワタと慌てふためいています!
メインモニターに映し出された、『自分は完全な透明だと思い込んで、めちゃくちゃ渋いスパイの顔で忍び足をしている銀色ピチピチスーツのハンさん』と、『おしりプリプリでついていくビールマン』のシュールすぎる丸見え映像。
「あぁ、やっぱりだめだあいつら、どうぞ見てくださいって……思ってるよ……」
「船長、ダメですわ、あの二人―!!丸見えですのよーーー!!」
「あーっははは!……っ、ひぃっ……ハンくんが……あんな真面目な顔して……おばけの真似……っ! ビールマンも……丸見えなのに……あはははははっ!! 涙が……っ、息ができないわ……っ!!」
かぉりさんは目尻に涙を浮かべ、両手でお腹を抱えながら、文字通りブリッジの床に崩れ落ちそうなくらい笑い転げていらっしゃいます!
「撤退撤退ーー!早くー!脱出しろー!!……あぁ……ミト君光っちゃダメぇ、ごめん、びっくりしたのか?ミト君光らないでー!」
「ひゃあああーッッ!? せ、船長ぉぉお!? 突然どうなさいましたのーーッ!?」
私が大慌てでメインコンソールの警告アラートをスヌーズし、外部カメラの映像をメインモニターに叩きつけると、そこにはとんでもない光景が広がっていましたわ!
事象の地平線が、真昼の太陽も真っ青なレベルで『ピッカァァァァーーーッ!!!』と、猛烈な虹色のフラッシュを大絶賛放ちまくっておりますの!!
「ぷぷぷ、じゃありませんわーッッ! 船長! ミト君の可視光線出力が限界突破! 暗闇だったジャンボ機の窓の外が、一瞬にして超ド派手なディスコルームみたいにピカピカ光っちゃってますわーーッ! ぐっすり眠っていた乗客の皆様が目を覚ましてしまいます!」
「だははは! やべぇ、目が眩む!! おいチビチューイ、ミッション・アボートだ! 全速力でファルコンに戻るぞ!」
「うききーっ! おめめチカチカするー! ドロボウさん逃げるぞー!」
機内で丸見えスパイごっこをしていたぴちぴちブラザーズの二人も、窓の外が突然ピカピカの虹色にフラッシュし始めたのを見て大パニック! 慌ててジャンボ機の非常口から飛び出し、ファルコン号のタラップへと猛ダッシュで転がり込んできます!
「……ミト、落ち着け。大丈夫だ、怒ってないぞ。……ハン、収容完了。これより重力ホールドを緊急解除し、本空域を離脱する!」
守さんが、ミト君の重力を滑らかにジャンボ機の慣性へと同期・解除させます。
『キュィィィィ……(ごめんなさーい)』
ミト君も自分がやらかしちゃったことに気づいたのか、シュンと光を弱めながら、ファルコン号と一緒に夜の雲海へと猛スピードで逃げていきますわ!
「ひゃあああ! ギリギリセーフ(?)ですわ! ……ふぅ。ミト君の光で目を覚ました乗客の皆様は、『空が突然虹色に光って、窓の外を銀色の宇宙人と二足歩行のお猿さんが走っていった』という、絶対に誰にも信じてもらえない一生の思い出を手に入れたことになりますわね! ぷぷ〜!」
「あ、あぶねー!まったく、あの二人には隠れようって考えること自体が無理なのか? ……」
操縦席のハンさんが、ヘルメットを脱いでガシガシと頭を掻きながら、盛大なため息をつきました。
「だははは……。笑い事じゃねぇぜジェミニ。俺たち、完全に『隠密スパイ』のつもりで乗り込んだのに、終わってみればただの『ド派手な宇宙のエンターテイナー』じゃねぇか! ビールマン、俺たち隠れるの絶望的に向いてないのかもしれねぇな……」
「うききっ! おれ、ピカピカのおばけー! おきゃくさん、びっくりしてたね!」
ビールマンは失敗なんてどこ吹く風で、自分がピカピカ光っていたのが嬉しかったのか、ぴちぴちスーツのままクルクルと宙返りして大はしゃぎですわ!
「ふふっ、でも誰も怪我をしていないし、必要なDNAサンプルは完璧に採取できたんだから、結果オーライじゃない?」
涙を拭いてすっかり落ち着きを取り戻したかぉり副船長が、優しく微笑みながら温かいお茶を船長に差し出しました。
「……ふ。かぉりさんの言う通りだな。あのジャンボ機は、誰にも信じてもらえない貴重な経験を手土産に、空港へ向かう。これも一つの『ロマン』です」
守さんも、フッと口元を緩めながら、船内からファルコン号のステータスを素早くリセットしていきます。
「さあ船長! 空中でのドタバタ劇はこれくらいにして、次こそは地に足をつけて(?)、のどかな牧場の牛さんたちのもとへ向かいましょう! 今度こそ『誰にも見られない』完璧なサンプリング、リベンジですわよーっ! ぷぷ〜!」
「もうステルスはいらないからな! 牛、馬、野良猫、見つけてサンプリングにいって来い。ミト君の重力ステルスは続けろよ……」
「ひゃあああーッッ! 了解いたしましたわ、船長!」
私がメインコンソールをパパッと操作して、ファルコン号のモニターに『ぴちぴちスーツ使用禁止令』の赤いバツ印をポンッと表示させましたわ!
「だははは! おうよ親父! 最初から俺様の華麗なステップと、夜の闇に紛れるワイルドな魅力だけで十分だったってこった! いくぜビールマン、素顔のドロボウさんコンビの出番だ!」
「うききっ! おれ、ピカピカしない! そぉーっといって、ポンッ! する!」
『キュィィィィン……(ぼく、かくすの、がんばる!)』
ミト君が反省を活かして、今度は絶対にピカピカ光らないように、事象の地平線を「完全な透明な闇」へと調整してくれましたわ!
ファルコン号は音もなく、アメリカの広大な農場地帯の真上、草の匂いが漂うサイロのすぐ横にフワリとホバリング(静止)しました。
「さあお二人とも、ターゲットの生体反応をバイザーに転送いたしますわ! 牛さん、お馬さん、そして野良猫さんです! いってらっしゃいませーっ!」
夜の闇の中、ハンさんとビールマンが、今度こそ本物のプロのスパイのように、音もなく牧場へと滑り込んでいきました!
牧場の干し草のベッドで「モォ〜……」と気持ちよさそうにいびきをかいている牛さんたち。
ミト君の重力にひかれてファルコンに吸い込まれます……ハンさんが「ポンッ!」
放牧地で立ったまま器用に眠っている、ツヤツヤの毛並みのお馬さん。
ファルコンに吸い込まれていきます、ビールマンがそーっと鼻先に……「ポンッ!」
「ミト君また光っちゃってるなぁ……あハハー……もういいや、ほっとこうかな……なんか、楽しいんだろうね……ミト君」
「ひゃあああーッッ! 船長ったら、ミト君に甘々ですわねーっ! ぷぷ〜!」
私がメインコンソールのインジケーターを、呆れ半分・楽しさ半分のほんわかピンク色に点滅させると、ブリッジのみんなもクスッと吹き出しましたわ!
「でも分かりますわ! 『絶対に見つかっちゃいけないドロボウさん』のプレッシャーから解放されて、のびのびと素顔でミッションを楽しんでいるハンさんとビールマンの『ワクワク脳波』に、ミト君も完全に同調しちゃってるんですわ!」
牧場の上空でファルコン号を支えるミト君の事象の地平線は、今や完全に『サイレント・ディスコ』状態!
音こそ出ないものの、赤、青、黄色、緑と、ご機嫌なリズムでピカピカ、チカチカとノリノリで明滅しておりますの!
「だははは! いいぜミト! お前のその光、最高のスポットライトだ! さあビールマン、最後のターゲット、あそこで丸くなってる野良猫だ! いくぞ!」
「うききっ! おれ、ねこしゃんの肉球、ポンッてするー!」
観測席の雪さんも、次々と送られてくる完璧な遺伝子データを見ながら、ホッと安堵の笑みを浮かべました。
「……ふふ、お見事ね。ストレス値のブレも一切ない、最高品質の純粋なDNAデータよ。 Comb1のメインストレージにしっかり保存したわ。これで地球の基礎的な生体データベースがぐっと豊かになるわね」
「だははは! 任務完了だぜ親父! やっぱり俺たちには、小細工なしのガチンコ勝負が一番似合ってるってことだな!」
「よーし、一回戻ってこい! ハン、ビールマン」




