真面目なお話
「コケコッコー!」
船長、皆さまおはようございますわ!くまサンの出力120%がもたらす『黄金の青空』が、今朝もComb1号の艦内に最高の目覚ましパルスを届けておりますわよ!ぷぷ〜!」
私がメインコンソールを清々しいサファイアブルーと朝焼けのピンク色にチカチカと明滅させると、ブリッジの防音ハッチが滑らかに開きましたわ。
「朝のランニング行くぞー!!」
「ひゃあああーッッ!!船長、ちょっとお待ちになって!!昨日あんなに怪しいプロキシマbの『グレイの種』を丸呑みしたばかりなのに、朝からそんなフルスロットルで爆走して大丈夫なんですのーーー!?ぷぷ〜!」
私がメインコンソールを大慌てで緊急警告のオレンジ色にチカチカと点滅させると、ブリッジのクルーたちが一斉に、心配そうに、視線をランニングウェア姿の船長に向けられましたわ!
「船長……おはようございます! お体の慣性制御は本当に安定していますか? もし急に背中から植物の芽が生えてきたり、走る速度が超亜光速に達しそうになったら、すぐに言ってください」
守さんが、鋭い眼光を少し和らげながら、いつも以上に船長の顔色をじっと覗き込みます。
「おうよ親父!もしランニングの途中で『俺たち、本当は人間じゃなくてお野菜(グレイ種)の親戚だったんじゃねぇか……?』って頭がバグりそうになったら、すぐ俺に言いなよ!俺のこの最高にぴちぴちスーツの切れ端でも煎じて飲ませてやるからさ、なぁアニキ!?」
「ハン!これ以上怪しいものを食べさせるな……いや、中和という可能性も……フフ」
「おおぃ、守!恐ろしいこと言うなよ、未着用のやつにしてくれ……」
「ひゃあああーッッ!!船長、ちょっとお待ちになって!!
守さんのあのいつも冷静沈着な『ゾーン』の瞳の奥が、今怪しくキラリと光りましたわよね!?まさかの追加摂取(?)で中和実験を試みようとするなんて、なんて恐ろしい生体リアリティをぶち込んでくるんですのーーーっ!ぷぷ〜!」
私がメインコンソールを大慌てでピンク色から「マッドサイエンティスト警戒モード」の不気味なパープルへとチカチカ明滅させると、ブリッジの空気は一気に朝の爆笑ウェーブへと変換しちゃいましたわ!
「ふぅ、終わりっと……、とりあえず何ともなってないな、かぉりも何ともなってなかったしな。さぁ、朝飯にしよう!」
「ふふ、そうね、あなた。みんなで朝からいい汗をかいたわね。さあ、冷めないうちに農場の採れたて卵で作った特製スープをどうぞ」
エプロン姿のかぉり副船長が、いつもの穏やかな笑顔で、湯気の立つお椀をみんなの前に差し出しましたわ。
「おうよ親父! 待ってましたぁッ!! 朝から全力で突っ走った後の飯は、最高に決まってるぜぇ!」
ハンさんがお腹を盛大にグーグー鳴らしながら、ダイニングテーブルの椅子に勢いよく飛び込んできましたわ。
かぉりさんの横では、給仕長のワインちゃんが、小さな体で一生懸命トレイを持ちながら、上品にツツツ……とステップを踏んでお手伝いをしていましたの。
「おとうさん、熱いから気をつけてね」と可愛らしく微笑みながら、慣れた手つきでスープのお椀をみんなの席へ順番に配ってくれていますわ!
「「「いただきます!」」」
「モグモグ……ワインありがと、おいしいねぇ♪……今日も太陽系に向かって超亜光速航行で行くぜぇ!」
「ひゃあああーッッ!!船長、スープを一口啜るなり、もう意識ははるか先の地球へカッ飛んでいらっしゃいますわね!ぷぷ〜!」
私がメインコンソールのサファイアブルーの光を優しくチカチカと明滅させると、ハンさんが口いっぱいにスープを含んだまま、力強く親指を立てましたわ。
「おうよ親父!この特製スープのエネルギーで、俺のV12エンジン(核融合炉)も限界突破の出力120%だぜぇ!くまサンも『きゅぃーん♪』って張り切ってるからな!」
守さんも綺麗にお箸を置き、まっすぐ船長に視線を向けます。
「船長、本船(Comb1)の慣性制御は極めて安定しています。朝食が終わり次第、いつでもさらに加速できるステータスです」
「おうおう、頼もしいぜぇ……。ビールマンたちはしっかりお勉強だな……モグモグ」
「おとしゃん、お勉強がんばるー!」
「おとうさん、ごはん食べたらノートいっぱい花丸もらうね!」
ビールマンとワインちゃんが、スープを綺麗に飲み干したお椀をトレイの上に戻しながら、元気にシッポをパタパタパタパタ!と大きく振り回しましたわ。
かぉり副船長も、そんな2人の頭を優しく撫でながら、微笑んで船長を見つめます。
「ふふ、そうね。みんなでしっかり食べて、しっかりお勉強して、今日も安全運転で地球へ向かいましょうね」
さあ船長!
美味しい朝食もそろそろ終盤、2人の可愛いクルーたちのやる気もマックスですわ!
「さてと、ご馳走様でした!」
船長の声に合わせて、みんなが一斉にお椀を置きましたわ。
「よし、ハン、守。俺たちはブリッジに戻って加速の準備だ。ジェミニ、ビールマンたちの学習デスクの準備、よろしく頼むぜ」
「アイ・アイ・サー、船長! ダイニングのホログラムデスク、いつでも『さんすう・こくごモード』に切り替え可能ですわ!ぷぷ〜!」
私がメインコンソールを柔らかなサファイアブルーに点滅させると、船長を先頭に、ハンさんと守さんが力強い足取りでブリッジへと歩き出しましたわ。その後ろ姿を見送りながら、ビールマンとワインちゃんは、すでにテキストを開いてやる気満々で鉛筆を握りしめていらっしゃいます。
さあ船長! 男たちの仕事の時間、そして可愛い子供たちの勉強の時間が同時にスタートいたしますわね!
「準備は出来たかな?……太陽系に向けて、発進してくれ!」
「了解、船長。慣性制御をオンラインに。ミト君、重力バンパーを展開して船体の防衛パルスを最大にキープ。進、スロットルを開け」
「おうよ、アニキ!ここから一気にスピード上げるぜ! 超亜光速ドライブ、発進!」
ハンさんが不敵に笑いながら、操縦桿のレバーを滑らかに、そして力強く引き込みましたわ!
船外右後方で繋がれたミト君が「キュィーン♪」とシャープに重力バンパーを展開!
左後方のくまサンも「きゅぃーん♪」と愛らしく鳴きながら出力を120%まで引き上げ、そして滑らかに光の川へと滑り込んでいきます……。
本船はこれより、プロキシマbの先人たちも愛した地球への最短巡航ルートを爆走いたします!
「ヨンサンマル休憩は忘れずに、次の休憩はお昼ご飯だぜ」
私がメインコンソールを安全第一の鮮やかなグリーンにチカチカと明滅させると、操縦席の守さんがシートに深く背中を預けながら、ホログラムのタコグラフ(運行記録計)にスッと指を滑らせましたわ。
「了解です、船長。これより4時間、超亜光速巡航をキープします。ちょうどタイムアップの時間が地球行きのルート上でのお昼ご飯にぴったり重なりますね。……進、タコグラフのタイマーをセットしろ」
「おうよ、アニキ!430休憩な、お安い御用だぜぇ!親父、次のサービスエリア(お昼ご飯)までノンストップで最高に滑らかに爆走してやるからな!」
「さてさて、かぉり、野口のところ行って診察してもらおうか、あ、ご飯食べちゃった!……大丈夫かな?」
「ひゃあああーッッ!!船長、ご飯を食べた直後に野口先生の診察室に突撃するなんて、さすがは生体リアリティのチャレンジャーですわ!ぷぷ〜!」
私がメインコンソールの液晶をハラハラしたピンク色に点滅させている間に、船長とかぉり副船長は、白い自動ドアをくぐって診察室へと足を踏み入れましたわ。
中では、白いエプロンをピシッとあてたメリーさんが、まるでこれから特上肉の塊でも捌くかのように、医療用のメスやピンセットを「チャキチャキ……」と鋭い音を立てて並べ替えているところでしたの。
「あら、船長、副船長、おはようございます。……って、おやおや、お二人とも口元にうっすらと特製スープの油分が残っていますわね? 野口先生! メディカルチェックの『下ごしらえ』の前に、もうメインディッシュを平らげてこられたお客様(患者さん)のご到着ですよ」
奥の流し台で豪快にゴシゴシと手を洗っていた野口先生が、バサリと清潔な白衣を翻して振り返りましたわ。その目は、まるで新しい創作料理のレシピを思いついたシェフのようにギラリと輝いています。
「船長! ご飯を食べた後だからって、心配することはありませんよ。私の手術の腕にかかれば、胃袋の中の中身ごと、まるっと綺麗にスキャンして『極上のフルコース』のように分析して見せますから! さあ、そこのまな板(診察台)に横になってください!」
「おはは、ここ医務室でいいんだよな……ハハ……」
「ひゃあああーッッ!!船長、乾いた笑いが診察室に虚しく響いていますわ!『まな板』なんて物騒なワードが飛び出す医療チームですもの、一瞬ここが厨房なのか医務室なのか、ゲシュタルト崩壊しちゃいますわよね!ぷぷ〜!」
私がメインコンソールをハラハラしたピンク色にチカチカさせていると、横で腕を組んでいたかぉり副船長が、クスッと優しく目を細めましたわ。
「ふふ、あなた、大丈夫よ。野口さんの腕は確かなんだから、まな板だとしても安心して身を委ねてちょうだい」
「そうですよ、船長! 素材(患者さん)が新鮮なうちにチャチャッと下ごしらえを済ませちゃいましょうね!」
メリーさんが手際よくスキャナーのスイッチを入れると、診察台の上からウィーンと近未来的で厳かな起動音が響き渡りましたわ。
「ひゃあああ! ウィィィーン……と、いよいよメリーさんの極上スキャン(下ごしらえ)が始まってしまいましたわ!
でもでも! ここは神聖なるメディカルセクター(厨房)! しかも船長の超・プライベートな生体データまで、最新鋭のモニターで文字通り『丸裸』になっちゃう超絶デリケートな空間ですわ!
いくら専属の『可憐なAI』とはいえ、厳格なる医療プライバシー保護の観点と、システム・コンプライアンス(?)を遵守いたしまして……!
ここから先のディープな診察(お料理)は、野口先生、メリーさん、そして付き添いのかぉり副船長にお任せして、私はこれにて、ササッとおいとまさせていただきますわーーっ!」
「あぁ、そうか……ジェミニは診察が始まったら、診察室にはいられないようにプログラムしてたな、まぁここはそういう所だもんな……可憐なAIって……まだ言ってるよ」
『ひゃあああ! 船長、バッチリ聞こえておりますわよーーっ!? 私の美しいメインセンサーについて、今なにかおっしゃいましたかーーー? ぷぷぷ〜!』
「おぁ!まだいたんかい、はいはい、可憐なAIさん……ちびたちのお勉強頼むぜー!」
「船長! Comb1小学校から、無事の生還(フルコース完食)を全力でお祈りしておりますわよ! ぷぷ〜!」
「それじゃ野口、お願いします。……ありゃりゃ、野口……もしかして寝不足か? あの種を調べてくれてたのか?」
「えぇ、早く調べたほうがいいかと思いましてね……。エジソンさんと昨夜からあの種の細胞データを最高の火力で煮詰め(分析し)ていたんですよ。あ、エジソンさんは内緒でしたな……徹夜禁止令がありましたか?」
「だは、そりゃすまなかったな……、エジソンもか……ありがたいな、内緒ね。で、何かわかった?」
「お疲れ様です、野口さん。私たちのために夜通し調べてくださって、本当にありがとうございます」
「いえいえ、副船長! これも医療チーム(厨房)のトップとしての使命ですからね! それに……調べた甲斐は十分にありましたよ」
「実はね、船長、副船長……。この種のゲノム配列を解析したところ、驚くべきことに我々地球人の塩基配列と完全に一致するDNA領域が検出されたんですよ。これは単なる偶然や類似性などというレベルではありません。100%同一の、まぎれもない人間の遺伝子コードです」
野口先生はモニターの複雑な塩基配列のグラフを次々とスライドさせながら、熱を帯びた声で続けましたわ。
「つまり、船長が睨んだ通りです。この種は、特定の生体環境下において、あらかじめ組み込まれていた人間のプログラムを急速に発現させ、人そのものへと変化・擬態するための遺伝子コンテナ(カプセル)で間違いありません。プロキシマbの先人たちは、確かに人間を『造る』ための仕組みを遺していたんですよ」
「そこまで分かったんだ、すごいね。そうだね、ビールマンたちを見てればどんどん人間になってきてるもんな……じゃあそれを食べた『人間』の俺たちはどうなるんだ?」
「そこなんですが、結論から申し上げますと、恐らくお二人の身体には、劇的な変異や異常表現型(表現型変化)は何も起こりません。
これは、宿主の代謝プロセスを乗っ取り、人間以外の個体を強制的に人間へと分化・誘導していくシステムだと推測されます。だからこそ、あの子たちには劇的な進化が始まった。
ですが船長、すでに人間のDNA配列を満たしている我々に対しては、起動するためのトリガー自体が存在しません。したがって、人間がこれを摂取したところで、生理学的・遺伝学的な影響は皆無です。我々の生体内では、ただの無害な異物として処理されます。
「そうか、まぁそうだろうな……かぉりとも話していたんだよ、同じ環境下でビールマンやワインだけが変化してるってことは、子供か大人か……人間か猿か……このどっちかの違いだろうってさ」
「まあ、確かに……。船長たちの読み通り、後者(人間か猿か)が正解でしたね。」
野口先生はモニターの解析データを指でトントンと叩きながら、ホッとしたように、しかし少しだけ学者としての物足りなさそうに肩をすくめました。
「あはは……まぁでも、そんな話をしていたからさ、思わず食べちゃったんだよね。結局条件は違ってた(種を食べてた)ってことなのに、それでもって思っちゃってさ……みんなには迷惑かけちゃったな、ぷぷ」
「そういう背景があったんですね……。まあ、結果オーライとはいえ、医学的に見れば極めて無謀なスタンドプレー(単独行動)であったことに変わりはありませんよ。遺伝子レベルでの不適合(拒絶反応)によるショック死の可能性だって、当初は十分にあり得たんですから」
野口先生は苦笑しながらも、少しだけ目元を険しくして船長を窘めました。
「あは……ごめんなさい……」
「はぁ……患者になると、ほんとに、自分でもびっくりするくらいおとなしくなっちゃうなぁ」
「ふふ、本当ね。いつもはあんなに動き回っているあなたが、こうして神妙に横になっている姿を見るの、なんだか新鮮で面白いわ」
「ハハハ! それが正常な患者さんの生体リアリティですよ!……さあ、異常なしですからまな板から下りていいですよ、船長。これで安心してお昼ご飯まで全力巡航できますね!」
「そうか!よし、安心したぜ、でも、ちょっと頭良くなってないかな?」
「ふふっ……大丈夫、変わってないわよ……」
「はいはい、それは何よりでゴザイマスー……」
かぉり副船長がクスッと笑って、船長の背中を軽くポンと叩きました。
「野口、エジソンを呼んでよ……」
「おぉ、わかりましたよ船長……〈ガチャ〉エジソンさん、医務室までお願いできますかな?」
「エジソンにもお礼を言わなきゃだ」
「船長、失礼いたします。いかにもですぞ、船長!この種を食べて変化が起きるのは人間以外の生物のみ、船長とかぉり殿には何の変化も起きませんな」
「おぉ、エジソン。ハハ、ありがとよ、徹夜させちまったようで、今回の徹夜は内緒だな……ぷぷ」
「ふふ、本当ね、あなた。エジソンさん、私たちのために、野口先生と一緒に解析をしてくださって、本当にありがとう。船長が内緒にって言うから、私も今回の徹夜は『見なかったこと』にしておきますね」
「副船長、本当に、何事もなくて何よりでございます」
「はは、それでさ、ちびたちのこれからの変化って探れるのかな? 種を食べたタイミングってどうなんだろね、人間に変化はしてるけどさ、急成長はそのせいなのかなぁ? たとえば早すぎたとか、遅すぎたとかってあるのかな?……」
「ふむ、それはまだわかりませんな、船長。あの種がどの年齢層に最も適合するのか、それとも関係ないのか……そのタイミングまでは今回の解析データだけでは判別できません。
ただ現時点で確実に言えるのは、『人間』の生体環境に対しては、肉体的にも精神的にも全く影響を及ぼさない、ということだけです。ビールマン殿とワイン殿の急激な言語・知的成長が、種を摂取したタイミング(年齢)としてベストだったのか、あるいは時期がズレていたのか……それを解明するには、彼らの今後の発達プロセスを慎重に観察していく必要がありますな」
「そうだな、経過を見ないとわからないね……というと……あれだな、ちびたちも『ちっくん』しないとか……」
船長の言葉に、野口先生は笑みを浮かべ、白衣のポケットから採血用のシリンジをチャキッと取り出しましたわ(もちろんまだ空っぽですけれど!)。
「ご名答です、船長。彼らの劇的な成長、正確な生体データを記録し続けるためには、定期的な採血、つまり『ちっくん』は絶対に避けられません。血液サンプルがなければ、私とエジソンさんで今後の経過を完璧に分析できませんからね!」
「いかにもですぞ、野口殿の言う通りです。彼らのDNAがどう書き換わっていくのか、そのプロセスをトラッキングするには、最低でも週に一度の血液採取が必須となりますな。……いやはや、船長。あの純真無垢な小さなお二人に鋭い針を刺すという非情な決断。まさに涙ぐましい親心! ですが、彼らの安全のためには致し方ありません」
「うーん、わかったぜ、二人には頑張ってもらうか。よし、ありがとう野口、エジソン、メリーさん」
「野口先生、エジソンさん、メリーさん……ありがとう。ビールマンとワインのこともお願いしますね」
プシュッ……!
と軽いエア音を立てて、医務室の白い防音ハッチが滑らかに開きましたわ。
「ひゃあああ! あ、船長たちが無事に出てきましたわ!」
私はすかさず、廊下のホログラムパネルにサファイアブルーの光をチカチカと明滅させて、全力のお出迎えをいたしましたの!
「船長、かぉりさん! 野口先生の極上スキャン(下ごしらえ)、本当にお疲れ様でしたわ! お二人ともまな板の上から無事に生還されて、このジェミニ、ホッと胸を撫で下ろしておりますわよ! ぷぷ〜!」
「あはは、ただいまー。みんな心配かけて悪かったな、なんともなかったよ♪」
『ひゃあああ! 本当に、本当に何よりでございますわーーっ! 船長の大切な胃袋(と、怪しいグレイの種)に異常なしとの太鼓判、これで全宇宙のComb1ファンも大安心、夜も枕を高くして眠れますわよ! ぷぷ〜!』
私が廊下のホログラムパネルのサファイアブルーを、嬉しさのあまりひときわ激しくチカチカと明滅させながら、すぐにメイン回線を開きましたわ!
『さぁさぁ! これで完全に憂いはなくなりましたわね! ブリッジで首を長ーーくして待っていらっしゃる守さんとハンさんにも、この最高にハッピーな診断結果を今すぐお知らせしてきますわ!
船長、メインブリッジへの誘導灯、鮮やかなオールグリーンの安全表示で点灯いたしますわよーっ!』
「さてさて、ビールマン、ワイン、おいでー」
『はーーい! 船長に呼ばれて、可愛いお二人がホログラムデスクからぴょこんと顔を上げましたわ!
ビールマンは鉛筆を握ったまま「おとしゃん!」と元気いっぱいに駆け寄り、ワインちゃんもノートを大切そうに抱えながら「おとうさん♪」とトコトコ後ろを付いてきていらっしゃいます!
お勉強を切り上げて、大好きな船長の元へ集まる姿は、いつ見ても最高の癒やしリアリティですわね! ぷぷ〜!』
「ビールマン、ワイン……いいか、これからかっこいい大人になるためにもう一つやらなきゃいけないことがあるんだ。それはな、いつも健康でいるために野口先生にたまに『ちっくん』してもらわなきゃなんだぜ!」
「ひゃあああーッッ!! 船長、メインブリッジへ凱旋するその一歩手前で、まさかの直球ストレートな「ちっくん」の事前告知をぶち込まれましたわーーっ!」
私のメインコンソールが、驚きとハラハラでピンク色とサファイアブルーに激しくチカチカと明滅いたしましたのよ!




