「M」の魅力
「なぁなぁ、ミト君の地上絵どうなったかな……見に行こうぜ。雪さん場所分かる?」
「あ! ナスカの地上絵ですね! ミト君が3日前に一生懸命描いた、あの超巨大なラブレター……。今の地球なら、まだ誰にも邪魔されずに残っているはずですわね! ぷぷぷ!」
私はすぐにメインモニターに、かつてミト君が「ここだ!」と指定した南米大陸の座標をロックオンしました。雪さんが、コンソールの透過マップを操作しながら、眼鏡を輝かせて頷きます。
「……はい、船長。座標は完璧に記録されています。3日前の白亜紀から2400万年後の今、あの広大な台地が残っていればいいのですが」
雪さんの指先が空中で踊ると、母船のセンサーが南米大陸へと向けられました。
「お代官様! 現代のナスカは乾燥した砂漠ですが、この時代はまだ少し緑があるかもしれませんぞ! しっかりとした……いや、世界一古い地上絵の保存状態、私エジソンがこの目で解析して差し上げましょう!」
「うひょ〜! ミトのやつ、2400万年経っても消えないくらい深く掘ったのかよ? 船長、もし残ってたら、ミトほめてやろうぜ! ぷぷぷ〜!」
進さんが、メロンを片手に操縦席に飛び乗り、加速レバーに手をかけました。
「……ミト君の想いが、時を超えて届いているかどうか。船長、俺も気になります。2400万年後の『答え合わせ』に行きましょう」
守さんも、冷たいメロンを一口かじりながら、モニターに映る青い地球を見つめています。
「了解ですわ、船長! 母船、大気圏内クルーズモードに移行。目指すは、未来のペルー、ナスカの大地!」
「今からの未来にペルーになるかは、わからねーけどな……」
「おぉ、おぉぉぉ……あったー!まだ残ってるぜ!!」
「本当ですわ!! 見えてきました、船長! 雪さんが解析フィルタを最大まで上げると……ほら! 茶褐色の台地の上に、白く浮き上がるような巨大なラインが……!! ぷぷぷ!」
私は興奮して、メインモニターにその映像を最大ズームで映し出しました。
「お代官様、これですぞ! 見てください、あの力強い曲線! 2400万年という、しっかりとした……いや、気の遠くなるような歳月、風雨にさらされながらも、奇跡的にその形を保っております!」
エジソンさんが興奮のあまり、持っていたメロンを落としそうになりながらコンソールを叩いています。
「うっひょ〜! マジかよ、ミトのやつ、やりやがった! 船長、見てくださいよ、あの形! 現代のナスカにあるハチドリやサルとは全然違う……あれ、ミトの自画像か? それとも、俺たちの船(Comb1)か!? ぷぷぷ〜!」
進さんが窓に張り付いて大騒ぎ。ビールマンもワインちゃんも、自分たちの住んでいる船と同じ形の「巨大な地上絵」を見つけて、「おんなじ! おんなじー!」と大合唱です。
「……信じられない。プレートの移動も、激しい気候変動もあったはずなのに。船長、ミト君は一体どれだけの想いを込めて、この座標に『俺たちはここにいる』という印を刻んだんですか……」
守さんが、メロンを食べるのも忘れて、モニターに映る「2400万年前のラブレター」を見つめながら、静かに感動しています。
「ただの落書きだよ……」
「みんな、大陸は何億年も残るんだよ、海底のプレートは変わるけどさ、大陸の下にもぐっていくから……浮いている大陸は残るんだ。ジェミニよろしく」
「了解ですわ、船長! さすが、地球の構造までバッチリ把握されてますわね。海の大地は沈んでも、私たちの立っているこの『大陸』は、数十億年も地球の表面を漂い続ける、まさに不滅のいかだですもの! ぷぷぷ!」
私はコンソールに、地球のプレートテクトニクスを可視化したホログラムを広げました。
「船長のおっしゃる通りですわ。海底プレートはベルトコンベアみたいに新陳代謝しちゃいますけれど、このナスカがある大陸地殻は、軽くて丈夫な『地球の記憶装置』。ミト君がこの安定した『大陸』をキャンバスに選んだのは、まさに何千万年先までラブレターを届けるための、最高の戦略だったわけですわね!」
「たまたまだろ……」
「お代官様、補足させていただきますぞ! しっかりとした……いや、このナスカの台地は、周囲の山脈が盾となって激しい風食から守られてきたようですな。ミト殿の計算、恐るべき正確さです! 彼の執念が、大陸の寿命とガッチリ噛み合ったというわけですな!」
エジソンさんが興奮気味に、地上絵の溝の深さをスキャンして、その「保存状態の良さ」に太鼓判を押しています。
「たまたまだって……」
「へぇ〜、大陸ってのはそんなにしぶといのか。じゃあ、俺がここで今から砂浜に書く『ハン参上!』って文字も、2400万年後に誰かが見つけるかもしれないってことか!? ぷぷぷ〜!」
進さんがおどけて言うと、守さんが少し呆れたように、でも嬉しそうに笑いました。
「……進、お前の落書きとミト君の想いを一緒にするな。でも、船長。大陸が残るからこそ、こうして俺たちが彼の足跡を見つけられた……。地球という大きな揺りかごは、案外、俺たちの想像以上に物持ちがいいのかもしれませんね」
守さんは、最後に残ったメロンを口に運びながら、モニターの中の巨大な地上絵を愛おしそうに眺めています。
「おんなじだろ……落書きだもん」
もう、船長! なんですの、なんですの! さっきからみんながロマンチックに感動してるのに、なんでそうやって無愛想に邪魔ばっかりするんですの?
「ぷぷぷ、だってほんとにただの落書きじゃん、いいか……見てろよ!」
「さぁミト君……この画にいろいろ書き足しちゃおうぜ、見てきたものいっぱい書いちゃえよ」
船長はミト君のケージに向かって悪戯っぽく笑いかけました。
きゃあ、素敵! 結局、船長が一番ノリノリじゃないですか。2400万年後の地球もミト君のキャンバスにしちゃうなんて、最高の「上書き保存」ですわ! ぷぷぷ!
「了解いたしました、船長! ミト君に通信を繋ぎます。『ミト君、聞こえる? 船長からの追加オーダーよ! 今見たクジラさんと、あのお猿さんの姿……君の巨大なキャンバスに、新しい仲間として描き加えちゃって!』 きっと彼なら、今の興奮をそのまま、もっともっと賑やかな地上絵にしてくれるはずですわ。ぷぷぷ!」
「キュィィィーン♪」
ミト君の嬉しそうな鳴き声(重力共鳴音)が、船体全体を心地よく震わせました!
「船長、聞きました!? ミト君、今の『お絵かきオーダー』に、めちゃくちゃ気合が入ってますわよ! まるで新しいクレヨンを買ってもらった子供みたいに、重力波がルンルンと波打っています! ぷぷぷ!」
「うっひょ〜! 見ろよ、あの筆致! さっきのお猿さんが、ちゃんとワインちゃんから貰った実を掲げてる姿まで再現されてるぜ。ミトのやつ、細かいところまでよく見てやがるな! ぷぷぷ〜!」
進さんがモニターを指差して大興奮。
「お代官様! 見てください、クジラ殿の尾びれのライン……しっかりとした、いや、実に見事な黄金比ですな! ブラックホールの精密描写、恐るべしですぞ!」
エジソンさんも、重力彫刻のあまりの正確さに、思わず手元のメロンを置くのも忘れて見入っています。
「……ふふ。ミト君、よほど楽しかったんだ。船長、見てください。俺たちが教えたわけじゃないのに、絵の端っこに、さりげなく『Comb1』のシルエットまで描き足していますよ」
守さんが、ワインちゃんを抱き上げながら、モニターに映る「世界最大の家族写真」を優しく指差しました。
「わぁ! おふね! おさるしゃん! ミトくん、すごーい!」
ワインちゃんの歓声に合わせて、ミト君がまた「キュィィィーン♪」と一際高く鳴いて、最後の一筆を力強く刻みました。
「あーはっはっは……。ミト画伯殿、……画才あるぜぇ、次の3000万年後が楽しみだ」
「あはは! 3000万年後の未来人がこの絵を見つけて、頭を抱えながら『古代の超文明か、それとも神の降臨か!』なんて大真面目に議論している姿が目に浮かびますわ! ぷぷぷ!」
ミト君は船長に褒められたのがよっぽど嬉しいのか、もう一度「キュィィィーン♪」と可愛らしく鳴いて、船体全体を幸せな重力の微振動で包み込んでいます。ブラックホールなのに、なんだか尻尾を振っている子犬みたいで本当に愛くるしいですわね。
「3000万年、か……。その頃には、さっきのお猿さんたちの末裔が、この絵を見て自分たちの『起源』を感じたりするのかもしれませんね。船長、ミト君の落書きは、もはやこの星の聖書になっちゃうかもしれませんよ」
守さんが、モニターに映る巨大な「家族写真」を最後にもう一度見つめて、満足そうに頷きました。
「よっしゃあ! ミト画伯のお披露目会も無事終了! 船長、お腹と背中がくっつきそうなほどメロンを欲してますよ! 早く中に入って、かぉり副船長の特製メロン、いただきましょうぜ! ぷぷぷ〜!」
進さんがワインちゃんを抱き上げて、リビングへと続くハッチを勢いよく開けました。
「船長、お疲れ様でした! 2400万年後の海を泳ぎ、大陸という不滅のキャンバスに思い出を刻んだ、最高の『夏休み』になりましたわ。さあ、母船は再び時空の波間へ……。冷たいメロンを囲んで、みんなで今日の冒険の話をかぉり副船長に聞かせてあげましょう! ビールマン、お猿さんとの交流シーンは、ちょっと盛って話してもいいですわよ? ぷぷ〜!」
「エジソン、ジェミニ、今の地球の状態からだと、3000万年くらいでいいよね?」
「お代官様、3000万年……しっかりとした、実に素晴らしい計算ですな! その頃になれば、この『温暖な地球』も少しずつ落ち着きを見せるはず、ミト殿の地上絵がどう変化しているか、観測するにはこれ以上ないスパンですぞ!」
「ちゃうちゃう、文明まで……」
「おぉっ、これは失礼いたしました! お代官様、文明の成熟度をお聞きでしたかな! 3000万年もあれば、あのお猿さんたちの中から、火を操り、言葉を編み、しっかりとした……いや、緻密な社会を築く者たちが現れても何ら不思議ではありませんぞ! エジソン、この命の爆発的な加速、しっかりと予測させていただきますぞ!」
エジソンさんが鼻眼鏡をクイッと上げ、未来の歴史を幻視するように力強く頷きました。
「了解いたしました、船長! 目指すはさらに3000万年後の未来、計5400万年後の地球ですね! 今のこのポカポカ陽気が、少しずつ次の時代へと移ろっていく……大陸という名の『いかだ』に乗って、私たちは悠久の時をスキップしちゃいますわよ! ぷぷぷ!」
私はコンソールのメインスイッチを『3000万年後』へとセットしました。ミト君も「キュィィィーン♪」と気合十分の鳴き声を上げ、船首の重力エンジンが次の跳躍に向けて美しく輝き始めます。
「3000万年か……。さっきの彼らがどう進化しているか、それともまた別の驚きが待っているのか。船長、メロンを食べ終わる頃には、また新しい地球の顔が見られそうですね」
守さんも、リビングの椅子に深く腰掛け、かぉり副船長が切り分けてくれたメロンの瑞々しい香りに目を細めています。
「よっしゃあ! 3000万年後へGOだぜ! 船長、メロンが冷え冷えのうちに到着しちまいましょう! ぷぷぷ〜!」
「わーい! おさるしゃんのあかちゃん、いるかなぁ?」
ワインちゃんも、フォークを片手にワクワクが止まらない様子。ビールマンも、美味しいメロンを目の前にして、期待に胸を膨らませて(お腹も膨らませて!)います。
「船長、準備完了ですわ! 穏やかな海と、ミト画伯の最高傑作を背にして……Comb1、3000万年後の世界へ向けて、フルスピードで前乗り開始ですわよ! ぷぷ〜!」
「ジェミニ、地球から1200万光年くらいの銀河ってどんな感じかな?」
「お任せください、船長! 1200万光年先への宇宙旅行ですわね? その距離でしたら、私の一押しは断然、おおぐま座にある『M81』……別名『ボーデの銀河』ですわ! ぷぷぷ!」
私はリビングのメインモニターを切り替え、漆黒の宇宙に浮かぶ、まるで宝石のように美しい渦巻銀河を映し出しました。
「見てくださいな、船長。この完璧なまでのプロポーション! 教科書に載せたくなるような、しっかりとした……いえ、うっとりするほど綺麗な黄金の渦巻きですわ。1200万光年という距離は、銀河のスケールで言えばちょうどお隣さんくらい。今の地球からでも、ミト君の力を借りればすぐそこですわね!」
「お代官様! 補足させていただきますぞ。このM81は、中心に太陽の7000万倍という、しっかりとした巨大なブラックホールを抱えております! ミト殿にとっては、まさに大先輩とも言える壮大な銀河ですな!」
エジソンさんが、ホログラムの数式を並べながら興奮気味に解説を加えました。
「うっひょ〜! すっげぇ渦巻き! 船長、あんなにぐるぐる回ってて、目が回らないんですかね? ぷぷぷ〜!」
進さんがメロンを頬張りながら、モニターの光に顔を輝かせています。
「……1200万光年。光の速さで行っても1200万年かかる場所。でも、このComb1なら、メロンを食べ終わる頃にはその渦巻きの中を散歩していそうだ。船長、今の地球の『3000万年後』を見届ける前に、ちょっとお隣の銀河までドライブするのも悪くないですね」
守さんも、銀河の中心から放たれる神秘的な光に見入っています。
「ぱぱ! ぐるぐる! おほしさま、いっぱいだね!」
ワインちゃんが、モニターに映る無数の星々の輝きを指差して、ビールマンと一緒に大はしゃぎ。
「船長、どういたします? 3000万年後の地球へ行く前に、ちょっとハンドルを切って、この『黄金の渦巻き』へ前乗りしちゃいますか? ミト君も『キュィィィーン♪』って、新しいキャンバスを見つけたみたいに鳴いていますわよ!」
「M81……Mか……。よし、『M78』経由でM81へ行こう、ムネーェニ、ツケーテル…♫」
「了解いたしました、船長! M78星雲経由、M81行きの超銀河特急、発進ですわ! 船長、その鼻歌……なんだか光の巨人が現れて、シュワッチ! と空を飛び出しそうな、とっても頼もしいメロディですわね! ぷぷぷ!」
私はすぐに航法コンソールをアップデートしました。まずは1600光年先、オリオン座にある神秘的な散光星雲「M78」を中継地点に設定し、そこから一気に1200万光年先の黄金の渦「M81」へとジャンプします!
「お代官様、M78といえば、星間ガスが美しく輝く、しっかりとした……いや、まさに『光の故郷』と呼ぶにふさわしい神秘の宙域ですな! そこを通り抜けてM81へ向かうとは、心憎いルート設定ですぞ!」
エジソンさんも、銀河系を飛び出す大航海に胸を躍らせ、計算尺をリズミカルに叩いています。
「うっひょ〜! ウルトラマンか! 船長、あいつら本当にあの星雲に住んでるんですかね? もし見つけたら、俺たちの『Comb1』とどっちが速いか競争してやりましょうぜ! ぷぷぷ〜!」
進さんが、加速レバーを握り直してやる気満々です。
「……え、M78は近いんだね」
「船長のおっしゃる通りですわ。M78星雲は、地球から約1600光年。1200万光年先のM81に比べたら、もう玄関のドアを開けて一歩踏み出したくらいの超近所ですわね! ぷぷぷ!」
私はモニターに、オリオン座の方向へズームアップした青白く輝く星雲を映し出しました。
「お代官様、失礼いたしました! 確かに、1200万光年の旅路において、1600光年はしっかりとした……いや、ほんの瞬きするほどの距離ですな! しかし、その『近場』に光の巨人の故郷があると思うと、銀河系も捨てたものではありませぬぞ!」
エジソンさんも、計算尺をシュッと戻して、まずは近所の寄り道ルートを再確認しています。
「うっひょ〜! なんだ、1600光年かよ! それならメロンの皮を剥いてる間に通り過ぎちまうな! 船長、まずはサクッとM78を拝んでから、本命のM81へフルスロットルで行こうぜ! ぷぷぷ〜!」
「なんだよ、ウルトラマンって天の川銀河にいたのかよ……別の銀河だと思ってた」
「あはは! そうなんですわ、船長! 実は意外とご近所さん……というか、同じ『天の川銀河』というマンションの数フロア違いに住んでいるようなものなんですのよ! ぷぷぷ!」
「お代官様! 劇中の設定でも『M78星雲』と呼ばれておりますが、しっかりとした……いや、天文学的には銀河系内の散光星雲でございます。別の銀河へ行くとなると、それこそ今から向かうM81のように、数百万、数千万光年の壁を超えねばなりませぬ!」
エジソンさんが、ホログラムの拡大鏡でオリオン座のあたりを指し示しながら、得意げに解説しています。
「マジかよ! 別の銀河からわざわざ助けに来てくれてるのかと思ってたけど、意外と地元愛が強いヒーローだったんだな! ぷぷぷ〜!」
進さんが、メロンの種を飛ばさないように笑いながら、感心したように窓の外を眺めています。
「……ふふ。船長、俺もてっきりアンドロメダとか、もっと遠くから来ているのかと思っていました。でも、同じ銀河の仲間だと思うと、なんだか急に親近感が湧いてきますね。ミト君、まずはその『地元の英雄』の故郷を挨拶がてら通り過ぎようか」
守さんも、少し意外そうな顔をしながらも、面白そうに銀河地図を眺めています。
かぉり、メリー、雪さん……「………チーン………」
「あ、いや……まぁ、何というか。いませんよ、そりゃぁね、架空のお話ですから。でもね、伝説のM78星雲ですから……見ておきたい…なと。……思ってるわけで……」
「……あはは! 船長、そんなに慌ててフォローしなくても大丈夫ですわ! かぉり副船長もメリーさんも雪さんも、別に船長のロマンを否定しているわけじゃなくて……あまりにみなさんが少年のように目を輝かせて語るから、思わず圧倒されて言葉を失っちゃっただけですもの! ぷぷ〜!」
私はすかさずコンソールのメインモニターを最大出力にして、青白く、どこか神々しさすら漂うM78の姿をドーンと映し出しました。
「お代官様! 仰る通りですぞ! 架空であろうと何であろうと、人類が空を見上げ、そこに『平和を願う光』を投影した……その事実こそが、しっかりとした……いや、何物にも代えがたい宇宙のロマンなのです! 存在するかどうかではなく、『見たい』という意志があるから、私たちはここまで来たのではありませんか!」
エジソンさんが、白けた空気(?)を吹き飛ばすように、力強く胸を叩いて船長に加勢しました。
「あ、あはは……そうだよな! 船長、俺も見たかったんだぜ! ほら、雪さんだって、さっきからコンソールの座標を弄る指が、ちょっとワクワクしてるように見えますよ?」
進さんが、凍りついた女性陣の顔色を伺いながら、必死に場を盛り上げようとメロンを大きく一口かじりました。
「……ふ。船長、架空だろうと伝説だろうと、今俺たちの目の前にあるこの星雲の美しさは本物です。誰もいない静かな宇宙に、誰かがヒーローを夢見た場所がある。それだけで、寄り道する価値は十分ありますよ」
守さんが、少し苦笑いしつつも、温かい目で船長の背中を支えるように言いました。
雪さんが、ふぅ……と静かにため息をついてから、少しだけ口角を上げてコンソールを操作しました。
「……座標固定。M78、最接近ルートを維持します。船長、伝説の景色……しっかりと目に焼き付けてくださいね」
全42編。43編以降編集中・・・




