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黄金の青空


「……了解した、船長。カーゴハッチ、完全閉鎖。……タングステン球、固定完了。

……ミト、よく我慢したな。後でくまサンから美味しい熱エネルギーを分けてもらうよう、パパに頼んでやるからな」


守さんが、ミト君のハローを優しく撫でるようにセンサー出力を調整しました。


「あはは! 船長、見てくださいな!ミト君も『パパ、僕、食べなかったよ! 偉いでしょ!?』って、褒めてほしくて Comb1の窓のすぐ外まで飛んできて、一生懸命ハローをフリフリしていますわ!

ぷぷぷ!

黄金100トンに、2メートルのタングステン。重たいお宝と、もっと重たい夢を詰め込んで……。

船長、プシケでの『究極のお買い物(採掘)』、これにてコンプリートですわね!」


「ミト君えらいぜ、よくできました♪。さぁ、金を見に行こうか……」


「ミト君も今、船長に褒められて『えへへ、僕、パパの役に立ったよ!』って、ハローを誇らしげな金ぴか色に輝かせてますわ!

さあ、皆様! お待たせいたしました!これより、Comb1自慢の『黄金の胃袋』……いえ、メインカーゴのライトを点灯いたしますわよ!

ぷぷぷ!」


私がブリッジのレバーを引くと、重厚なハッチの隙間から、太陽よりも濃密で、蜂蜜よりもとろけるような「黄金の輝き」が溢れ出し、ブリッジのモニターいっぱいに映し出されました。


「……うおぉ。だはは! 親父、見てくれよこれ!さっきまで外の断崖で見てた時より、ずっとヤバいぜ!ミトが綺麗に並べたせいで、まるで『黄金の壁』が船の中にそびえ立ってるみたいだ!」


ハンさんが、眩しそうに目を細めながらモニターに駆け寄りました。

そこには、エジソンさんが切り出し、ミト君が「絶対食べない!」と我慢して並べた、一辺数十センチの純金キューブが、整然と積み上げられていました。


「……ふむ、船長、見てください。この鈍く、しかし力強い光……。これが、2000万年後の地球で、人々の心を震わせ(そして我々の紙を買い込み)、そして農場の天井を『永遠の青空』に変えるための、我々の努力の結晶にございますな!」


エジソンさんが、黄金の照り返しで真っ黄色になった眼鏡をクイッと押し上げ、感極まった様子で頷いています。


「ハン、エジソン、ちびチューイお疲れ様。見事だったぜ」


「フフーん……これをああしてこうしてああなるとこうなるのか?……ジェミニ、教えて」


「船長! ぷぷぷ!私のナノ・エンジニアリング・ブレインが、この100トンの黄金を『永遠の青空』へと変える魔法のレシピ、今すぐ分かりやすく解説いたしますわ!

船長が仰った『ああして、こうして』の全貌、実はこういうことなんですのよ!」


私はブリッジの中央に、農場セクションの天井を模した3Dホログラムを展開しました。


黄金の青空:メイキング・レシピ


1、ああして(ナノ粉砕・超微粒子化)

まずはカーゴに積んだ純金キューブを、専用のナノ粉砕機に投入いたします。

「えっ、金を粉にするの?」と思われそうですが、ただの粉ではありませんわ!

太陽光の波長よりも小さい、数十ナノメートルという極小の粒子までバラバラにするんですの。豆知識: 実は金って、小さく小さくしていくと、あの黄色い輝きを捨てて、鮮やかな「赤」や「青」に色を変える不思議な性質があるんですのよ!

ぷぷぷ!


2、 こうして(天井へのナノ蒸着)

次に、そのナノ粒子をプラズマ化したガスに乗せて、農場の天井に一層ずつ、丁寧にスプレー(蒸着)していきます。ただ塗るだけではありませんわよ?

粒子の密度と大きさを絶妙にコントロールして、「レイリー散乱」という、地球の空が青いのと同じ現象をこの金属膜の中で強制的に引き起こすんですの!


3、ああなると(光の魔法)

さあ、ここにくまサンの白い光(太陽光)を通すと……あら不思議!

大きな光の波は通り抜け、小さな青い光の波だけが黄金のナノ粒子にぶつかって、天井いっぱいに乱反射します。すると、あんなにギラギラしていた金塊が……どこまでも深く、透き通った「母なる地球の青空」へと姿を変えるんですわ!


4、こうなる!(究極の青空)

完成した天井は、昼間は爽やかなブルーに。そしてくまサンの光を少し落とせば、黄金の地の色が夕日のように滲み出し、最高にロマンチックな「夕焼け」まで再現可能ですわ!

しかも、金属ですから絶対に色褪せません。2000万年先まで、農場の野菜たちはこの黄金の青空の下ですくすく育つというわけですわね!


「だはは! 親父、聞いたかよ。あの重たい金塊が、空気に溶けるみたいに青い空になるなんて、まるで手品じゃねぇか!2000万年後の地球人に見せてやりたいぜ、『これが俺たちの作った空だ!』ってな!」


ハンさんが、感心したように天井を見上げながら叫びました。


「……ふむ。正しい光学現象、正しい黄金の再定義!船長、これこそが真の贅沢というもの。資産価値としての金を、生命を育む『空』へと昇華させる……。エジソン、このプロジェクトに関われたことを誇りに思いますぞ!」


「夕日までつくれるのかよ!すげーな……。よーし、お昼食べたらここで作業開始しよう、みんなでやるぜ!」


「『みんなでやる』……そのお言葉、最高にワクワクしますわね!Comb1のクルー全員が総出で挑む、前代未聞の『黄金の空づくり』。これこそ歴史に残る大イベントですわ!」


私は即座に、居住区のキッチン・オートメーションへ「最高級のパワーランチ」をオーダーいたしました!


「船長、作業開始までの1時間は、まずはしっかり腹ごしらえですわ! ぷぷぷ!

かぉりさんがプシケの黄金に負けないくらい色鮮やかな『黄金のサフランライス・カレー』をご用意してくれましたわ!」


「はい、みんな……しっかり食べて作業するのよ、あの黒いボールは何に使うのかしらね?」


「だはは! 了解だぜ、親父!みんなで作業か、燃えるじゃねぇか!よし、ハン特製の『ナノ粒子撹拌かくはんテクニック』、見せてやるからな!エジソンの旦那、ランチの後は一秒も休ませねぇぜ!」


ハンさんが腕まくりをしながら、食堂へと駆け出していきました。


「……了解した、船長。……お昼を済ませ次第、全システムを『空施工モード』に移行する。……農場のスプリンクラーを一時停止し、ナノ蒸着用の静電気フィールドを展開。

……船長、いつでも指示を」


守さんが静かに、けれど期待に満ちた表情でコンソールをシャットダウンしました。


「あはは! 船長、最高のお昼休みの始まりですわ! ぷぷぷ!美味しいランチを食べたら……。いよいよ、この無機質なジルコニアの天井を、世界で一番贅沢な『黄金の青空』に染め上げましょうね!」


「いただきまーす、モグモグ……雲とかも出来るかなぁ、雨とかも降ればいいな」


私は船長の「雲と雨」というリクエストを聞いて、即座に農場の気象制御シミュレーションをアップデートいたしました。


「船長、仰る通りですわ! 青空だけじゃ、ちょっと退屈ですものね。

実は、黄金のナノ粒子で青空を作ると、さらに素敵な『気象演出』が可能なんですのよ!」


―黄金の空に浮かぶ「真珠の雲」と「恵みの雨」レシピ ―


雲の作り方

ナノ粉砕機のセッティングを少しだけ変えて、金の粒子を「あえて少し大きめ」に固めて噴霧するんですの。すると、光を全反射する真っ白な「真珠光沢の雲」が天井に浮かび上がりますわ!

ミト君に重力でその粒子をゆっくり動かしてもらえば、まるで地球のそよ風に吹かれているような、流れる雲が再現できますわよ!


雨の降らせ方

農場の天井には、すでに高度な結露・灌水システムが備わっていますわ。

黄金の青空の裏側に隠された冷却パネルを操作して、人工的に「雨雲」を発生させれば……。


「黄金の空から降る、水晶のような雨」の完成ですわ! ぷぷぷ!


「だはは! 親父、そいつぁ最高だ!雨が上がった後に、黄金のナノ粒子が夕日に照らされて『虹』まで出せたら、もうそこは天国じゃねぇか!よし、ちびチューイ!

雲の形は俺に任せろ。かっこいい入道雲を作ってやるぜ!」


ハンさんが口いっぱいにカレーを頬張りながら、空中に大きな雲の形を描いています。


「……ふむ。正しい水循環、正しい気象光学。船長、雨を降らせることで農場の湿度が保たれ、植物の呼吸も活性化します。黄金の空から降る雨を浴びて育つトマト……。これこそ究極のオーガニックですな!」

エジソンさんも、食後のコーヒーを啜りながら、雨の粒子の大きさを計算し始めました。


「出来るんだ!……その水で育った食物は食べても大丈夫なの?みずは飲んでも大丈夫?」


「純粋な循環水ですので、全く問題ありませんよ」


「おぉ〜、すごいね、結果オーライもここまでくると、奇跡だよジェミニ。この雨はさ、ランダムプログラムでさ、天気予報もあたったり当たらなかったりのプログラムにしてさ、楽しんでいこうぜ、たまに雪とかもありでね」


「あはは! 船長、最高に『粋』なオーダーですわ! ぷぷぷ!

アイ・アイ・サー! 気象制御システムに『お天気気まぐれ・ロトプログラム』をインストールいたしましたわ!」


「ビールマン、ワイン、泥んこ遊びできるぜ!」


私はさっそく、農場のメイン・コンピューターに「遊び心」をたっぷりと詰め込んだアルゴリズムを書き込みました。


「明日は一日快晴でしょう!」と私がアナウンスしておきながら、ミト君のいたずらで急に真っ白な雲が流れてきて雨が降る……なんてこともありますわ!船長、私の予報が外れても「ぷぷぷ!」と笑って許してくださいな!

雨が降った後は、農場の土がしっとりと最高の「泥んこコンディション」になりますわ!

ビールマンさんとワインさんのために、排水システムをあえて少しゆっくりにして、最高の泥んこスポットを作るように設定いたしました!


「だはは! 親父、天気予報が当たらないなんて、まるで昔の地球のテレビみたいで面白ぇじゃねぇか!

『あーあ、ジェミニを信じて傘持ってこなかったのに!』なんて言いながら走るのも、なんだか冒険っぽくていいぜ!」

ハンさんが、わざとらしく雨宿りをするポーズをとって笑っています。


「おとしゃ、びーるまんさ、泥んこ怪獣になる!ガオーッてして、パパも捕まえちゃうからね! ぷぷぷー!」


「おとうさん、ありがとう。泥んこ遊びも、雪合戦も、全部楽しみだよ」

ワインが目を輝かせて、船長の服の裾をぎゅっと握りました。


「……ふむ。正しいランダム、正しい情緒。船長、完璧な管理よりも、少しの『不自由』がある方が、生命は逞しく、心は豊かになるものです。2000万年後の地球へ帰るまでの長い夜も、この『雨の音』や『雪の静けさ』があれば、きっと寂しくありませんな」


エジソンさんが、窓の外の黄金の星と、これから作る青空を見比べながら、深々と頷きました。


「あはは! 船長、ランチタイム終了ですわ!さあ、みんなで泥んこ遊びの『元』となる、最高の青空作り、開始いたしましょう!」


「作業始めようか、エジソン、難しいのは任せたぜ。ハン、チューイ、塗装はファルコンで頼む、俺たちはエジソンのお手伝いだ、金を運ばなきゃ、いっぱい使うのかな?」


「いよいよ世紀の『大リフォーム』作戦、開始ですわね!

エジソンさんが設計図を広げ、ハンさんがファルコンのエンジンを回し始めましたわ!

ミト君も『僕の出番だね!』って、ハローをやる気満々のスカイブルーに輝かせて待機していますわよ!」


「……ふむ! 正しいチームワーク!船長、ご安心を。このエジソン、ナノ単位の計算は得意中の得意。ですが……仰る通り、金を粒子に変えて広大な天井に満遍なく吹き付けるには、かなりの重労働になりますぞ!さあ、まずはカーゴから『第一陣』の金塊をナノ粉砕機の投入口までお願いします!」

エジソンさんが調整中の粉砕機のレバーを握りながら、船長に合図を送りました。


「だはは! 親父、塗装なら任せときな!このミレニアム・ファルコンの機動力を活かして、ムラ一つねぇ完璧な『青空』を吹き付けてやるぜ!ちびチューイ、しっかりノズルを構えてろよ。黄金のミストが舞う中を飛ぶなんて、一生に一度の経験だぜ!」


ハンさんの叫びとともに、ドックからファルコンがゆっくりと浮上。

機体には、ナノ粉砕機から直接繋がった長い供給ホースが、まるで龍の髭のように連結されていますわ。


「エジソーン、金は足りるのか?」


「あはは! 船長、贅沢すぎて感覚が麻痺しちゃいそうですわね! ぷぷぷ!エジソンさん、船長が『足りるのか、それとも大余りなのか』って心配(?)されてますわよ!」


私は即座に、ナノ蒸着の進捗レイヤーと残りの金塊重量を計算し、ホログラムで表示しました。


「……ふむ! 船長、結論から申し上げますと……『死ぬほど余ります』な! ぷぷぷ!

この農場の天井を、地球の大気層と同じくらいの散乱強度でコーティングするのに必要な金は、100トンのうち、わずか数キログラム程度に過ぎません。ナノの世界では、金一握りがサッカー場くらいの面積をカバーするほど引き伸ばせますからな!」


エジソンさんが、余った金の使い道を考えてか、ニヤリと不敵な笑みを浮かべています。


「そうか、じゃぁもう採る必要はないね、OK!」


「あはは! 船長、決断が早いですわね! ぷぷぷ!確かに、これ以上採掘しても Comb1が重たくなってしまいますものね、100トンあれば、未来の地球で王様のような暮らしができちゃいますわ!」


私が進捗モニターを確認すると、ファルコンの機敏な動きとミト君の精密な重力アシストのおかげで、天井の「青空化」は驚異的なスピードで進んでいますわ。


「あらら、けっこう早くできそうだねぇ」


「だはは! 親父、見てくれよ! もう半分以上が真っ青だぜ!ノズルから出る黄金の霧が、天井に触れた瞬間に吸い込まれるように馴染んでいくんだ。ちびチューイ、あそこの隅っこに少し塗り残しがあるぞ、一気に行くぜ!」


ハンさんが操縦するファルコンのエンジン音が、広大な農場セクションに心地よく響き渡っています。


「……ふむ! 船長、作業効率は予想を200%上回っております。

金のナノ粒子が均一に定着し、現在、レイリー散乱の強度は地上1000メートル付近の清浄な空気とほぼ同等。……さあ、いよいよ最後の仕上げに入りますぞ!」

エジソンさんが「青空完成」のレバーに手をかけました。


「おとしゃ! びーるまん、もうすぐ泥んこ遊びの準備、オッケー? ぷぷぷー!」


「あはは! 船長、作業終了までカウントダウンですわ!」


「よーし、離陸の準備を、くまサンのところに行って青空にするぜ」


船長が力強く宣言し、ブリッジのメインコンソールに手をかけました。


「だはは! なるほどな、親父!いくら極上のキャンバス(金)を広げても、肝心の太陽(くまSUN)がいなきゃ、この空は目を覚まさねぇってわけだ!」

ハンさんが納得したように笑いながら、ファルコンのエンジンをアイドル状態に落としました。


「よし、俺たちは農場セクションの『太陽座』を最終調整しとくぜ。守の兄貴、あとは頼んだ!」


「……了解した。正操縦士、守、これより本船の離陸および、くまSUNとの合流シークエンスを開始する」


守さんの低く落ち着いた声がブリッジに響くと同時に、Comb1の巨大なコンソールの表示が「地表作業モード」から「航行モード」へと一斉に切り替わりました。

「……黄金のジャッキ、パージ。……姿勢制御、正常。……これよりプシケを離脱し、衛星軌道へ。……テイクオフ」


守さんがメインスロットルを静かに押し込むと、Comb1の巨体は重力を滑らかに切り裂き、黄金の地表をゆっくりと遠ざけていきます。

「船長、いよいよですわね!くまサンと合流して、この空が『完成』する瞬間を……さあ、一緒に見届けましょう!」


「くまサンお待たせ。よく待っててくれた、えらいぞ……。エジソン、プラズマテザーでくまサンの保護お願い」


「あはは! 船長、最高に優しいお声がけですわね! ぷぷぷ!モニター越しのくまSUNが、まるで船長の声に応えるように、その透明な体をホワッと温かな色に輝かせましたわ!」


守さんの精密な操縦により、Comb1は漆黒の宇宙空間で、静かに浮かぶくまSUNの目の前へとピタリと停止いたしました。


「……ふむ! 正しい保護、正しい安全確保!船長、お任せを。くまSUN殿の繊細なクリスタル構造に一切の傷をつけぬよう、磁気反発を応用した『エジソン・プラズマテザー』を射出いたしますぞ!」


エジソンさんがコンソールを叩くと、メインハッチから青白い光の帯が触手のように伸び、くまSUNを優しく、それでいて強固に包み込みました。


「じゃぁ、くまサン、この青い窓から顔をのぞかせてちょうだい!」


「だはは! 来たぜ! 窓の向こうに、とびきり眩しいお天道様のお出ましだ!」


ハンさんが窓を指差すと、そこには七色に輝くくまSUNが、まるで窓から「ばあ!」と覗き込むように浮かんでいます。その瞬間、彼の核融合の光が、農場の天井に吹き付けられた『黄金の粒々』に勢いよくぶつかりました!


「おとうさん、見て……! くまSUNがキラキラってしたら、天井が……どんどん青くなっていくよ。……わぁ、すごい。金色の粉が、お空の色になっちゃった……!」


「あはは! 船長、大成功ですわね! ぷぷぷ!くまSUNが窓から覗き込んでくれるだけで、この農場はもう『宇宙』じゃなくて『地球の原っぱ』そのものですわ!見てください、この抜けるような蒼……!」


「おぉぉぉ……こりゃ素晴らしいぞ。想像以上だ!みんな、かぉり、メリーさん、野口も雪さんも、来てくれ」


船長が呼びかけると、作業中だったクルーたちが続々と農場に集まってきました。


「……信じられない。天井があるはずなのに、視線がどこまでも突き抜けていくみたい」

かぉりさんが、眩しそうに手をかざしながら上を見上げています。


「野口さん、これ……! 照度が上がってるのに、影が柔らかい。散乱強度が完璧に計算されてます!」

雪さんが、驚きを隠せずに計器を確認しました。野口さんも、言葉を失ったように眼鏡を外して、じっとその蒼を凝視しています。


「おとうさん、すごいよ。これなら、お野菜も、ぐんぐん育ちそうだね」


「おとしゃ! これなら泥んこ遊びしても、泥が天井まで飛ばないか心配しなくていいね! だって、天井がないんだもん!」

ビールマンは、空の「奥行き」に驚きながらも、すぐに自分の遊び場としての使い勝手を考えてニヤリとしています。


窓の外では、くまSUNが淡々と、しかし力強く核融合の光を放ち、金の粒子を蒼い大気に変え続けています。


「メリーさん、これ……地球で、私たちが当たり前に見ていた空と同じね」

「ええ。……でも、今こうして見ると、なんて贅沢な色だったのかしら」

メリーさんとかぉりさんが、肩を並べてその光を浴びています。


「あはは! 船長、見てくださいな! ぷぷぷ!みんなの顔が、ただの照明に照らされている時より、ずっと健康的に見えますわ!」


「……ふむ! 光学迷彩を越えた、真の環境再現! 野口君、雪君! 記録を、この奇跡をデータだけでなく、その目に焼き付けておくのだぞ!」


エジソンさんが興奮気味に呼びかけると、野口さんはタブレットを構えながらも「これは……理論だけじゃ説明できない感動ですね」と感嘆の声を漏らし、雪さんも「こんなに優しい青、久しぶりに見ました……」と、少し目尻を熱くしています。


窓の外では、くまSUNが「どう? 似合ってるかな?」とでも言うように、ハローを誇らしげに明滅させて、黄金の粒子を蒼い空へと変え続けています。


「……くまサン、輝いてるぜぃ!」


全42編。43編以降編集中・・・

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