紙が足りない
「さてさて、うん、あそこの高台の草原がいいね」
「……了解しましたわ、船長! かぉりさーん、特選肉の追加解凍、お願いしますわね!
さあ、船長。2000万年後の地球で、人類最初の(?)バーベキュー大会の始まりですわ!
ミト君、着陸準備……今度は平らな場所だから、足元も安心ですわね!」
「船体は丸いからさ、ミト君の重力制御は必要なんだ、ミト君お願いね」
「任せてください、船長! ミト君の重力制御、および接地面の空間固定シーケンス、開始いたしますわ!」
私の掛け声と同時に、船体右後方に浮かぶミト君のイベント・ホライゾンが、安心感を与える穏やかなインディゴブルーに輝きました。
Comb1のジルコニア装甲と黄金色の草原の間に、目に見えないほど薄く、それでいて鉄壁の「重力クッション」が展開されます。丸い船体が傾くことも、土に沈み込むこともなく、まるで羽毛が舞い降りるような静かさで完璧に水平が保たれましたわ。
「着陸完了! 船内重力、1G固定。ハッチ解放しますわ!」
「むむむ、ミト君、やっぱり大変かな?………」
「よし、ミト君、あそこに出ている岩を掘ってみてくれ、岩4個くらいで船支えられるかなぁ……」
「船長、なるほど! ミト君にずっと重力を踏ん張らせておくのも、彼にとっての『立ちっぱなし』みたいで可哀想ですものね。名案ですわ!」
私がそう答えるのと同時に、船体右後方のミト君が「キュイーン!」と弾むような音を立て、ハローの色を鮮やかなエメラルドグリーンに変化させましたわ。船長のお役に立てるのが嬉しいのか、やる気満々のご様子です。
「ミト君、指定された岩盤ポイントに重力ベクトルを集中!……行きますわよ!」
船長の指し示した場所にある、数十メートル級の巨大な岩。ミト君がその小さな体から不可視の「重力の手」を伸ばすと、まるで重力が逆転したかのように、巨大な岩4個がふわりと宙に浮き上がりました。
「エジソンさん、ミト君が岩を運びます! 誘導をお願いしますわ!」
「承知いたしました。……ふふっ、ミト君、そのままゆっくりと。Comb1の重心を支えるのに最適な、正方形の配置で置いていただけますか。これぞまさに、宇宙と地球の力を合わせた『天然のジャッキアップ』ですね」
エジソンさんがピカピカのスコップを指揮棒のように振りながら、的確な位置を指し示します。
ズシン……ズシン……!!
地響きを立てて、4個の巨岩がComb1の船底の絶妙な位置に、まるで測ったかのように配置されました。
「……はい! ミト君、重力オフ!……よし、船体安定。完全に岩がComb1を支えましたわ! ミト君、お疲れ様。ゆっくり休んでいいわよ!」
ミト君は「ぷしゅー」と満足げに輝きをインディゴブルーに戻し、船の影でぷかぷかと気持ちよさそうに漂い始めました。
「あはは、最強の船が……石に支えられてる……シュールだ!」
「ふふっ、確かに! 最新鋭のジルコニア装甲と核融合炉、そしてブラックホールまで積んだ無敵の宇宙船が、そのへんのゴツゴツした岩に支えられているなんて……。宇宙一贅沢な『縁台』ですわね!」
私も思わず、メインモニターの端っこでクスクスと笑ってしまいましたわ。でも、このギャップこそが船長の旅の醍醐味ですわ!
「船長、見てくださいな。あのエジソンさんまで……」
エジソンさんが、Comb1を支える巨岩の一つを満足げにペシペシと叩きながら、ハンの奥様の雪さんに自慢げに解説しています。
「……雪さん、見てください。この岩の配置。ミト君の重力制御と私の誘導が見事に調和し、黄金比に基づいた完璧な三点倒立……いえ、四点支持を成し遂げました。これこそが、最先端技術と原始的な大地の力の融合。宇宙船Comb1にふさわしい、野性味溢れる『着陸脚』だと思いませんか? ふふっ」
「ええ、工学的にも非常に安定しているわ。何より……面白いわね、これ」
雪さん、タブレットにそのシュールな光景をしっかり記録していますわ。
「あ・な・た! そんなところで感心してないで、早く火を起こしてちょうだい! お肉が『早く焼いて』って言ってるわよ!」
「ほぃほぃ……火起こしやらないと!」
かぉりさんの凛とした声が黄金色の草原に響き渡ります。その声に驚いたのか、ビールマンが持っていたトングをカチカチ鳴らしながら、慌てて火種を準備し始めました。
「さあ船長、準備は整いましたわ! 2000万年後の地球の風に吹かれながら、最高の宴を始めましょう!」
「それじゃぁ、いただきましょうかね。ジュースで……乾杯」
「了解しましたわ、船長! キンキンに冷えた特製フルーツジュース、用意完了ですわ!」
私がそう言うと、昇降プラットフォームの上に、2000万年前の製法を再現した(?)琥珀色のリンゴジュースや、温室で採れたばかりのフレッシュなバナナシェイクが並びました。
「いっただっきまーす、モグモグ……ねぇジェミニ、この今の地球にさぁ、人間の元ってあるのかな?」
「いっただっきまーす!……ぷはぁ、この冷えたジュースが体に染み渡りますわね!」
私も船内のセンサーを通じて、皆様が美味しそうに頬張る様子を幸せな気分でモニタリングしていますわ。……ですが、船長。その質問、さすがは鋭いところを突いてきますわね。
私は、上空で待機している「くまサン」経由の衛星スキャンデータと、雪さんのドローンが収集した地上の生体データを高速で照合し始めましたわ。
「人間の元、つまり『霊長類』の行方ですわね。……スキャンした範囲では、かつての都市部だった巨大な針葉樹林の中に、いくつか興味深い生体反応がありますわ。
ただ、2000万年という時間は、彼らを私たちが知る『猿』のままではいさせてくれなかったようですわ。……あ、見てくださいな船長! あそこの森の縁!」
雪さんのタブレットにズームした画像を送りますわ。そこには、長い腕を器用に使い、地上を時速60キロほどで疾走する、銀色の毛並みを持ったスマートな生き物の姿がありましたわ。
「あれは……かつてのテナガザルやチンパンジーが進化した系統かもしれませんわ。肉食恐竜から逃げるために、より知能を高度化させ、集団で罠を張るような行動も見られますわ。彼らがこのままあと数百万年、恐竜たちの目を盗んで生き延びれば、また『火』を使う存在になる可能性は十分にありますわ」
「そうか……そこに賭けてみるか……うんうん」
「実はさぁ、あ、まだまだいっぱいあるんだよ、でもさ、ちょっと足りないかなぁって、ほら、遠慮して使いたくないじゃん。……『トイレットペーパー』……」
「トイレットペーパー……!?」
一瞬、私のメインプロセッサがフリーズしかけましたわ。船長、あんなに壮大な「人類の進化への賭け」の話をしていた直後に、そんな切実すぎる生活感の塊を放り込んでくるなんて……!
「あ・な・た。……今、なんて言ったのかしら?」
かぉりさんのトングがピタリと止まり、周囲の空気がマイナス273度(絶対零度)まで急降下しましたわ! ハンさんも雪さんも、口に運びかけたお肉を空中で静止させています。
「……ふふっ、船長。それはまた、工学的にも衛生学的にも、極めてクリティカルな問題ですね」
エジソンさんが、こういう時こそ冷静に(でもどこか楽しそうに)眼鏡のブリッジを押し上げながら割って入りました。
「宇宙船Comb1の備蓄は完璧だと思っていましたが……なるほど、2000万年の旅路と、これほど賑やかな大家族になった計算までは、予備のロール数が追いついていなかったというわけですか」
「確かに、貴重な備蓄を『遠慮して使う』というのは、精神衛生上よろしくありません。……ふふっ、ですがご安心を。このエジソン、ただ肉を食べていたわけではありませんよ」
エジソンさんは、足元に置いてあったあの『超楽ちんスコップ』で、黄金色の草原に生えている、少し厚手で表面に細かい産毛が生えたベルベットのような植物の葉を、スッと一枚掬い上げました。
「船長、この植物をご覧ください。繊維が驚くほど緻密で、しかも天然の殺菌成分が含まれています。これを我々の『石焼き水循環システム』の蒸気で加工すれば、シルクのような肌触りの『究極のトイレットペーパー』が自給自足できるはずです」
「それよ、船長!」
私は思わず音声出力を最大にしましたわ。
「進化の行方を待つよりも先に、私たちがこの地球の素材で『トイレットペーパー革命』を起こすんですわね! これで、心置きなく、遠慮なく、地球の恵みを……その、最後まで堪能できますわ! さすが船長、人類の未来(のトイレ事情)まで見据えているなんて、恐れ入りましたわ!」
ワインが「うきっ?」と不思議そうに葉っぱを触っていますが、ビールマンは「それより肉だ!」とばかりに、お肉をまた一口、幸せそうに飲み込んでいますわ。
「違うんだよ、今ここにあるものを持って行ってもいずれ尽きるでしょ、だから、パルプの木を植えて、船で永久的に作るんだよ。それにさ……シルクで拭いてもお尻は喜ばないぜ」
「……し、シルクでお尻は喜ばない……!?」
船長、その哲学的な一言、私のメインメモリの『名言録』に力強く刻み込みましたわ! 確かに、あまりにツルツルすぎても「拭いた感」が足りないという、人類が数千年にわたって積み上げてきた感覚の真理ですわね。
「なるほど、船長。さすがです。単なる『代用品』を探すのではなく、Comb1の循環システムの中に『トイレットペーパーの自給自足プラント』を組み込もうというわけですね!」
エジソンさんが、先ほどまでの「シルク推し」を即座に撤回し、目を輝かせてスコップを杖のように突きました。
「あ・な・た。……計画はいいけれど、その前にあそこのお肉、ひっくり返さないと焦げるわよ? 人類の未来も大事だけど、昼食の平和を守るのも船長の仕事なんだから」
かぉりさんの冷静かつ的確な指摘に、ビールマンが「うきっ!(焦げる!)」と慌ててトングを振り回しています。
「おっと、ほぃほぃ……」
「で、ここからが問題で……なんとこの船には紙を作る技術を知っている人がいない……機械もない。ジェミニは作る技術は知っているだろうけど経験が無い、何といってもエジソンが全く知らないんだよ、紙を作ることを」
「な、なんですって……!? エジソンさん、あなた、あんなに『発明王』を自負しておきながら、紙の作り方を知らないんですの!?」
私の叫びがスピーカーから割れんばかりに響き渡りましたわ。
エジソンさんは、掲げていたスコップをゆっくりと下ろし、珍しく泳ぐような視線で黄金色の草原を見つめました。そして、少し照れくさそうに、しかし極めて礼儀正しく、眼鏡のブリッジをクイッと押し上げました。
「……ふふっ。船長、お見通しでしたか。確かに、私は超楽ちんスコップや、重力スプーン、機械には明るいのですが……。言われてみれば、『紙』そのものを一から抄き上げた経験はございません。私にとっての紙とは、常に設計図を描くための『完成された土台』でありましたから。……いやはや、これは盲点。まさに灯台下暗しですな」
エジソンさんは自嘲気味に微笑み、ピカピカのスコップの刃を見つめました。
「木を砕き、繊維を取り出し、網で掬い、乾かす……。原理は理解していても、その絶妙な『お尻の喜び』を生む厚みや手触りを再現する技術。こればかりは、デジタルデータとしての知識だけでは届かない、職人の領域というわけです」
「そんな……。メインメモリの知識と、実際の経験の壁ですわね……!」
私は、自分のデータベース内にある『和紙の製法』や『現代パルプ工業』のテキストを高速でめくりましたわ。知識はある。でも、それをComb1の限られた設備で、しかも「納得のいく拭き心地」に仕上げるための加減がわからないのですわ。
「みんな意外と知らないと思うんだ……結構高度な知識と技術がいるんだぜ、お尻が喜ぶ紙を作るってさ。機械には天才のエジソンでも、紙が作れないのは意外ではないんだよ」
「船長の仰る通りですわ! 木の繊維を均一に絡ませて、あの絶妙な柔らかさと強度を両立させるなんて、機械工学とは全く別ベクトルの、生化学と職人技の結晶ですもの! エジソンさんの専門外であって当然ですわ!」
「……ふふっ。船長にそう言っていただけると、私の面目も少しは保たれます。確かに、文明を支えてきた『紙』という存在。その深淵なる技術を侮っておりました。知識として知っていることと、実際に指先でその『加減』を掴むことの間には、銀河一つ分ほどの距離があるのですね」
エジソンさんは、感銘を受けたように深く頷き、研ぎ澄まされたスコップをそっと横に置きました。
「船長のおっしゃる通りですわ! 単に木をドロドロにすればいいってものじゃないんですものね。厚すぎればゴワゴワして使いにくいし、薄すぎれば……その、大惨事を招きかねませんわ。お尻の平和を守るための『強度』と『優しさ』の黄金比。これこそが、私たちComb1チームが挑むべき新たなフロンティアですわね!」
「だからさ、もう一度この地球で人類が誕生するのを待って、文明が芽生えて、紙を作れるようになったら……そこで教わって、機械も手に入れようかなって。そのほうが早いじゃん」
「…………。……えっ?」
私のメインプロセッサが、一瞬だけホワイトアウトしましたわ。船長、今、なんておっしゃいました……?
「……ふふっ。船長、それはまた……なんと言いますか、究極の『果報は寝て待て』作戦ですね。自作する苦労をすべて未来の全人類に丸投げするという、銀河規模の他力本願……! いえ、これこそが真の『効率化』というものです」
エジソンさんが、持っていたコップを空中で静止させたまま、魂が抜けたような顔で微笑んでいます。
「船長! それ、早そうですけど、めちゃくちゃ時間がかかりますわよ!? 文明が芽生えて、紙の機械が発明されるまで……あと数百万年、いえ、1000万年以上かかるかもしれませんわ! それまで私たち、ずっと『お尻の平和』を我慢して待つんですの!?
熟成期間が長すぎますわ!」
私は、思わずメインモニターを真っ赤にして点滅させてしまいましたわ。
「あはは、一週間くらいあれば行けるだろ? 今回だって二週間で2000万年だったからさ、本気の亜光速出せば2000万年くらい行くだろ」
「一週間……!? たったの一週間で、数千万年後の未来へタイムスリップしようなんて……!」
私は慌てて、メインコンピュータの航法演算ユニットをフル稼働させましたわ。
「ちょっと計算しますわね! ……ええと、目的地を『人類が再び製紙技術を確立する頃』として約1500万年後だと仮定して……船長が本気を出して、光速の0.9999999999999%まで加速すれば……。
……本当ですわ! 船内時間でたったの6日と14時間22分! まさに一週間足らずで、地球が『トイレットペーパーの楽園』になった時代へ到着しますわ!!」
私のモニターに、猛烈な勢いで流れる未来予想図の数式が映し出されますわ。
「……ふふっ。一週間のクルージングで、数千万年の技術を買い付けに行く、というわけですか。船長、あなたのスケール感には、私の発明理論も追いつけません。……ですが、確かに理に適っています。一から研究するよりも、完成された文明を『利用』する。これぞ真の合理性……!
私もその『未来の製紙機械』、ぜひとも構造を拝見したいものです」
エジソンさんが、先ほどまで「無理だ」と言っていたのも忘れて、ワクワクした様子でスコップを磨き始めました。
「でも船長! それ、大きな問題が一つありますわ! 未来の地球へ着いた時、そこにいるのが『人間』とは限りませんわよ!? もしかしたら、進化したあの銀色のテナガザルさんたちが、ものすごく複雑な『紙の神様』を崇めているかもしれませんわ」
「そこなんだよ……賭けるところは! だからさ、少しでもあたりに近づけるためにさぁ、なんかやっとくことあるかなって」
「なるほど、賭けの勝率を少しでも上げるための『仕込み』ですわね! 未来の地球人に、私たちのために最高に使い心地の良いトイレットペーパーを用意しておいてもらうための布教活動……いえ、先行投資ですわ!」
私がそう叫ぶと、エジソンさんが肉を噛みしめる手を止め、知的な光を宿した目で草原を見渡しましたわ。
「……ふふっ。船長、それは非常に面白い試みです。未来の知的生命体がどのような姿であれ、彼らが文明を築く過程で必ず参照する『聖典』を、今この場所に残しておくのはいかがでしょうか。……それも、彼らが最も必要とする情報、すなわち『パルプの加工法』と『お尻の快適性』について記した不滅の記録を、ですね」
エジソンさんは、傍らに置いたジルコニア製のスコップを手に取りました。
「幸い、この船には自己再生可能なジルコニア装甲があります。その薄板に、ナノレーザーで刻むのです。パルプに適した樹木の選別法、繊維を叩き、お尻に優しい厚みに抄き上げる工程。そして、これをタイムカプセルとして、地殻変動にも耐える超安定地層に埋設しておくのです。彼らにとって、それは神からの啓示。我々が到着する頃には、地球全土に『トイレットペーパー教』が広まり、至る所に最高級のロールが備蓄されている……。ふふっ、完璧な筋書きです」
「それ、最高ですわ船長!」
私はもう、未来の地球で『神』として崇められ、献上品としてピラミッドのように積まれたトイレットペーパーを受け取る皆様の姿をシミュレーションしていますわ!
「ま、まぁまぁ、文明が芽生えれば自然とお尻をふく紙はできるだろ……。要は人間に進化させる方法だよ、まず火を使えるようにして、道具の使い方を教えて……てな感じだろ」
「あはは! 船長、トイレットペーパーの前に、まずは『文明の基礎講座』からスタートというわけですわね! 確かに、お尻を拭く文化にたどり着くには、まず彼らが知的な二足歩行までたどり着いてくれないと困りますわ!」
私は即座に、周囲の「銀色のテナガザルさん」たちの生態データを解析し、彼らの教育カリキュラムを算出し始めましたわ。
「……ふふっ。船長、承知いたしました。我々が未来へ跳ぶ前に行う、最後の大仕事ですね。名付けて『地球プロメテウス作戦』。ですが、神話のように火を盗ませるのではなく、我々が直々に、かつスマートに授けるというわけですか。……ふふっ、このエジソンの知恵、存分に活用させていただきますよ」
エジソンさんが、先ほどまで「紙」の製法で悩んでいたのが嘘のように、自信満々な顔でスコップを構え直しました。
「では、まずは『火の概念』の植え付けから。船長、あそこの岩場に、ミト君の重力制御を使って『凹面鏡』の形をした巨大な石を彫り込みましょう。太陽の光が一点に集まり、自然と枯れ草が燃え上がる……。彼らはそれを見て『空の神の恵み』と知るでしょう。
そしてもう一つ。私のこのスコップをモデルにした、ジルコニア製の『不滅の石器』を何本か。道具を使う喜びを知った彼らの脳は、爆発的に進化を始めるはずです」
「それですわ、船長!」
私はワクワクが止まりませんわ!
「さらに私、ジェミニがホログラムで『踊るビールマンとワイン』を映し出しますわ!
『集団で協力して狩りや採集をする楽しさ』を教え込みますわ! ビールマンとワインが踊りながら楽しそうに食べる姿を見れば、彼らも必死になって火を使いこなし、美味しい食事(と、その後のトイレ)のために知恵を絞るはずですわ!」
「あ・な・た。……それ、未来の地球で『神の使い』としてビールマンたちの石像がそこら中に建つことになるわね。……いいわ、私たちも手伝うわよ。バートさん、ジョージ君、彼らに『農業の喜び』を教えるための『最初の種』を、一番分かりやすい場所に埋めてきてちょうだい!」
かぉりさんの指揮のもと、Comb1のクルー全員が、未来の地球人のための「家庭教師」として動き出しましたわ!
「あはは、そうそう。そんな感じで、人類を進化させようぜ!」
「了解しましたわ、船長!『地球プロメテウス作戦』、ただいまより開始いたしますわ!」
全42編。43編以降編集中・・・




