春、里守基地 沖牟中学園支部にて 天才里守と若き姫達
沖牟中奇譚の方ではお久しぶりです……更新が遅れてしまいすいません。これからも基本的には転生悪役令嬢の方が基本的に優先して更新になりますが、こちらも頑張って更新していきますので、どうか皆さん、よろしくお願いいたします。
「御木千代くん、その恰好……って、光ちゃんや玉姫お姉ちゃんも……!」
姫華が周りを見ると、既に御木千代、光は里守の衣装である軍服チックな黒が基調の衣服に変わっていた。
御木千代の衣服は里守の衣服でもまるでアイドルの衣装のような、何処か華やかさのある和服を基調とした上着、袖は長くひらひらとしている。
そしてスカートと黒いタイツから見える肌も男性とは思えないほど美しくすべすべとした白い肌である。
光の衣服は黒と暗めの緑を基調にしたフォーマルな意匠、女性の光に合わせている為か細身のボディラインがわかりやすい服装だ。
下半身は意外にも結構ミニのスカートに、黒いブーツを履いている。
そして……玉姫は、やはりやぶつばきの柄が華やかな、緑や赤が基調に青が差し色の和服を着ている。
特に赤色は、やぶつばきの赤い花弁の色とは別に、オレンジ色に近い色の赤や、逆に明るい赤色などと、様々な赤色が映える。
特に里守の衣装のメインの色が黒と暗めの緑を基調としているので、尚更対比的に映える、というのがある。
「皆、服が変わったって事は……ここは、離界なの?」
「その通り!一度離界に入った者は、様々な方法で離界に入る事が出来る。今回の方法はツガネ様とオロチ様が作り上げた、神威の頁によって離界に入ったってわけさ。」
「神威……?」
「簡単に言うと神様としての力ですね……。神様には神威という力があり、ツガネ様やオロチ様のようなこの沖牟中の地域の神様の力で離界に干渉する事が出来るんです……。」
「この沖牟中の離界には沖牟中の神様の力や許可が必要、って事ね~。まあ、別の地域の離界に入る事もあるのが難点なんだけど~。」
「違う地域の離界にも……。」
「まあ、姫華ちゃんは姫だから、里守の皆とは違ってあまり別の地域の離界に行く事はあまり無いとは思うのだけれどね~。だから、今は気にしないでいいわ、遠出する時何かにまた話すわね~。」
「わかりました、玉姫お姉ちゃん。」
気になる点はあるが、今は気にする所ではない。
それは姫華にも理解する事が出来た。
「それで、『里守基地』、って……何をする所なんですか?」
「名前の通り、里守用の衣服や武器、道具を保管したり、作戦を立てたり、ツガネ様やオロチ様からの指示を聞いて出撃する……くらいは分かるわよね~?」
「それはまあ、基地って言うくらいですし……。」
「大体はそれで認識は大丈夫よ~。こういう出撃用の支部はこの沖牟中の色んな施設にある……というのは聞かされていると思うけど、ここもその一つ、というわけね~。」
「つまり、ここが私達の担当する基地……ってわけですね。」
「そういう事、なんだけど……ここはそんな支部の中でも特に重要性の高い支部なんだ。」
「……?なんで?」
「簡単な事さ、ここに居るのは誰だと思っているんだい?」
「……あっ。」
そう、姫華の気づいた通りである。
ここには当代の姫……しかも、それまでは玉姫一人だったのが、姫華も加わって二人の姫がここに固まっている。
そしてそれだけではなく、当代最強の里守と、鎌使いの中で当代最強の里守がここには居るのだ。
つまり、単体戦力として見れば、恐らくここに居るのは里守として最強戦力が固まってボディーガードをしていると同時に、当代の最も重要な姫もここに固まっているのだ、何の偶然か。
つまり、他の支部よりも何倍もこの支部の重要性は高いという事になる。
「ここは……絶対守らなきゃいけない場所になっているって事なんだね。」
「姫が居る場所が重要な支部になる、というのは今までの里守達にとって当たり前の事だし、今までもそうやって姫が居る支部は特に守りを固めて姫を守ってきたけれど、姫が玉姫の魂を持つ姫だけじゃなく、桜姫の魂を持つ姫も居る、姫が複数居るって代はあまり無いらしいからね。おまけに同じ学校に居るんだから固まっている分、その重要性は神様達が住む三ツ池神社の守神の社の次に重要なくらいだ。僕達の責任も重大だ。」
「……私達で、本当に守れるか……うう、プレッシャー、凄いです……。」
「光も自信を持とうじゃないか、僕達は守れると期待されているのだと!」
「御木千代先輩は、当代最強って言われるくらい強いからそう言えるんですよ……。わ、私はあくまでも、鎌使いの中で一番強いってだけで……。」
「それでも里守の中でも上澄みも上澄みじゃないか、僕だって光との手合わせには毎回苦戦するし、得る物が沢山あるからね!もっと自信持とうよ!」
「うう……。」
「……そういえば、前から思ってたけど、同い年なのに何で光ちゃんは御木千代くんに先輩って呼んでるの?」
姫華は不思議に感じていた事を聞いてみた。
歳が年上の玉姫の事を光が玉姉様、と呼ぶのは分かるが、歳が同じの御木千代の事を先輩、と呼ぶのは不思議だなと感じていたのだ。
「ああ、それは……。」
「それは、簡単な理由です……御木千代先輩は、小学生の頃から里守をやっているんですけど、私は中学生から里守になりましたからね……。」
「ああ、里守として先輩後輩の関係だからかあ。」
「御木千代くんが歴代の里守の中でも凄いのは、子どもも里守として活動するのが当たり前の時代を除いて、学生としては最年少で里守としての活動を認められている所よ~、小学生で里守として一人前の人なんて今まで居なかったらしいから、天才なのよ~。」
「小学生からあんな戦いを……確かに凄いね、御木千代くん。」
宮部従姉妹も聞いたら中学一年生らしい。
二人も十分若い、天才剣士なのは間違いないがそれでも基本的には里守としての出撃は二人一組での活動が原則になっている。
まああの二人が二人一組での活動をしているのは若いから、という理由だけではなく、二人で組んだ方が二人は強いから、という戦力的な判断も含まれているらしいが。
そう考えると、小学生の時から一人で離界で戦いぬいてきたと考えると確かに凄い事だというのは姫華でも分かった。
「でも光ちゃんも凄いのよ~?中学生から里守として活動して、二、三年くらいで鎌使いの中で最強って言われるくらいに強い里守になったんだから、光ちゃんも御木千代くんと同じくらい天才だとお姉ちゃんは思うわ~。」
「そうそう、そもそも訓練を受けた期間も僕より短いんだから君も凄いんだよ、光!」
「あ、ありがとうございます、玉姉様……、御木千代先輩……。」
「……ふふ。」
「……?姫華さん……?」
小さく微笑む姫華にきょとん、と光は首を傾げる。
その微笑みのままに、姫華は話す。
「ああ……えっとね、二人とも凄く強い、凄い里守で……そんな二人が私や玉姫お姉ちゃんを守っているんだなあって思うと、頼もしいなあって思ったんだ。」
「姫華さん……っ。」
「……これは、僕達はしっかり期待に応えなきゃ、ね、光。」
光と御木千代は目を輝かせる。
それを見守る玉姫も小さく微笑む。
里守をサポートするのも、姫の役割だ。
それでも、姫は守られる存在であり、里守は守る存在だ。
守られる存在から期待や信頼を向けられる、というのは確かな栄誉である事に変わりはない。
こうやって、今も昔も姫と里守の関係性は続いてきたのだ。




