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紅翡翠  作者: 量産型ザコ
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紅翡翠の真実

4元宝もねえ!

 紅翡翠と言うこの石、これは石であって石では無い。これは恐らく、俺たちの意志の力を増幅させる何かだろう。

 ヒッグス場と言う物が実際に存在する。ヒッグス場と言うのは、人の認識が物質を構成する時に、量子場がそこに形成され、そこに素粒子が集まり物が形成される。素粒子が集まるこの過程で、検出された事から、これをヒッグス粒子と呼ぶ。

 簡単な解釈だが、これと同じ現象を子供の頃、誰しもが実験をしている。砂鉄の実験だ。砂鉄は何も無ければ砂と変わらない。だが磁石を紙の下に置き、砂鉄を上に乗せるとどうなるか? 当然磁石に向かい、砂鉄は動き出す。磁石を動かすと、砂鉄はその磁石について来る。では多くの砂鉄に人型の磁石を紙の下に置くとどうなるか? 当然砂鉄は人型で固まるだろう。この磁石をエーテル体、砂鉄を素粒子と考えれば、人の完成だ。

 恐らくだが、この紅翡翠と言うアイテムは、それなのだろう。つまり人の意志で、放逐少女のプロテクター、つまりアバターを作り出す石なのだ。この世界で存在するのはこの世界が放逐少女の世界だから、この石はこの世界でのみ存在出来る。だが真実を知った俺達なら、この世界だけで造られると言う概念を取り払える筈、アフロはそれを狙って居るのだ。だからアバターだと言う事を隠した。皆がその力を得たと偽ったわけだ。


 量子コンピューターと言うのはもうすでに実現して居る。先日すでに日本にもIBMの量子コンピューターが川崎に設置されている。

 量子コンピューターを語る上で、絶対必要なのが量子もつれだ。量子もつれが発生するからこそ、量子コンピューターは膨大な計算を成立させる事が出来る。

 この量子もつれと言うのは、ヒッグス場と非常に関連性が高い。例えばAとBと言う玉が有る。AとBの球を1万光年引き離したとする。最初誰にもどちらがAなのかBなのかわからない。当然だ、現在このAとBの球、誰も認識していないので、認識していない段階では、どちらもAでもBでもなく、またどちらもAで有りBなのだ。

 そして誰かが片方の球をAと判断すると、もう片方は一瞬でBと確定される。1万光年離れていても、もう片方の球は一瞬でBとなる。これをシュレディンガーの猫、又は量子もつれと言う。信じられないだろうが、これは事実で有り、事実だからこそ量子コンピューターは存在しているのだ。

 このまるで一瞬ワープでもした様な現象を量子テレポーテーションと言い、その入り口を量子ゲートと呼ぶ。つまりテレポーテーションは可能な訳だ。人の体は素粒子で出来て居るのだから。

 

 アフロはこれを知って居て、これを実際に行おうとしてるのだ。現在紅翡翠の宝石が俺達の手に有る。もし俺達の体がアバターだとしたら、ここでの死が現実とはならない。向こうに体が存在していると誰しもが思うからだ。つまりこちらのアバターに今、魂が入り込んでいると認識してしまう。ここでの死は、アバターの死であり、現実の死では無い。

 だが問題はここなのだ。奴等はそれを俺達に擦り込んだ。そう言う発言を匂わせたのだ。

 真実は逆だ。人の意思が世界を創り出す、つまりこの世界が今の俺達に取っては現実世界なんだ。今この時に至っては、俺達の身体は向こうには無い。

 所がだ、俺たちは向こうの世界でも同じ認識違いを起こして居るので、肉体が死を迎える事で、輪廻転生すると誤認している。輪廻転生など、量子力学の概念からすると、実際には起こらない。肉体と言うのは自らが創り出す物質というプロテクターで有り、ただの服の様な物だ。だが誤った宗教概念で、肉体こそ真実、魂はそこに入り込むと言う洗脳を俺達はされている。事実は逆だ。肉体の死と言うのは、丁度着古した服を捨てる様な物で、新しい服に着替える様な物、車で言うなら新車に乗り換えるタイミングなのだろう。俺達はベースを物質界、追随する物をエーテル界、と逆に認識させられていると言う事になる。真実はエーテル界がベースで有り、物質界と言うのはエーテル界を覆うただの防御壁と言う事になる。

 なら今のこの状況を正しく認識するならば、丁度いつも着ている服を別の物に強制的に着替えさせられた、と思えば良い。ならばその服でずっと居てやろうじゃねえか! と言うのがアフロの企みな訳だ。

 つまり向こうの世界で紅翡翠を存在させ、その能力を得る、正に賭けだ。皆がどれだけ新たな力を得た! と強く認識してくれたか、そこがこの賭けに勝つ事が出来る分岐点になる。

 だがアフロなりに勝算が有るからこそ、あいつはこの賭けに打って出た。あいつは今までの軍師っぷりを見ていると、負ける戦いはしない主義だ。勝てる確率が負ける確率を遥かに超えた時こそ打って出る奴だ。負ける確率が大きいなら、勝てる確率を出来る限り上げてから戦いに挑む、そう言う奴だ。


 俺とアフロが丁度定例会議を開くか、と、そんな時に、目の前に確か、フジ霊鬼さんだったか、まだ俺も名前と顔が完全一致していない、が現れた。


「アフロさん、少し話しを良いですか? ああ、私はフジ霊鬼です」


「じゃあ俺は外そうか」


「いいえ、出来ればシャオリンさんも一緒に」


「構いませんよ」


 俺達はフジ霊鬼さんに付いて行き、今度はフジ霊鬼さんの部屋に行った。


「それで話と言うのは?」


「はい、私はリアルでは大学生です、物理学を専行しています。先日見学で川崎に有る量子コンピューターも見て来ました」


 まさか……..


「担当直入に言います、アフロさん、何故皆に嘘をついたのですか? あれだけの知識を持ちながら、貴方が真実を知らない筈は無い」


「……質問に質問を返す様ですみません、ですがこれを先に聞かせてください。では何故そこでフジさんは反論しなかったのですか?」


「それなりの打算があったからです。これは非常に危険な賭けだが、もし私が思う様に事が運べば、私達は今のこの状況を一人の犠牲者も出さずに、リアルに帰還出来る。直し、それは今度、私達が帰還した先で、危険人物と認定される結果になるでしょう。更に生涯に渡り、私たちは命を狙われる事になる。もし中途半端な思いでアフロさんが今の話しをしたならば、私は皆に今までの概念を話します。

 量子ゲートが目の前に常に開いて居るのに、それを知ろうとも、調べようともしない程に洗脳され切った大衆です。貴方の言う真実と、私の言う今までの洗脳、どちらがより大衆に受け入れられるか、貴方にはそれが良くわかる筈だ」


「それでどうするんですか? 皆で仲良くここでジエンドを迎えますか? 奴等の思惑通り、ここで壮絶な殺し合いを演じて」


「アフロさん、アフロさんは皆を救った先で、何をするつもりですか?」


「何もしませんよ」


「そうはいかない、さっきも言った様に、賭けが成立すれば、僕達は皆向こうで危険人物となる。今度政府や国連が僕達を狙うでしょう」


「成る程…..そこまで知っているなら話しは早い、なら本音を言いましょう。運営をぶっ潰します、そしてその上で奴等と今度取り引きします」


 アフロが酷く邪悪な笑いを見せた、コイツ……やばくねえか?


「まさか!? ……….本気ですか!?」


「本気じゃなきゃこんな企みしませんよ、俺たちはそれだけの力を得る、国連とだって真正面から対等な取引が出来る程にです。ここまでやってくれたんだ、なら奴等にもそれなりの対価を支払わせます」


「……..は はは…..アフロさん、自分が何を言っているのか本当にわかっているんですか?」


「俺は大真面目ですよ。フジさん、そこまで知ったのなら、嫌でも協力して貰いますよ? じゃなきゃ俺達に明日は無い!」


「……わかりました、その言葉を実は待って居たんです。試す様な真似をした事を謝罪します。

 いいでしょう、ここまで来たら一蓮托生です。皆の洗脳解除は私が引き受けましょう。な〜に、伊達に物理学を追求して居る訳では有りません。必ずメンバー全員、キッチリ覚醒させて見せますよ!」



 俺達は互いに握手をした、これは強力な味方を得た、フジさんがその裏付けられた知識で、皆にアフロの思惑を刷りでくれる。


 その日、盟主林檎のこれは命で、フジさんによる、素粒子力学と量子論の講義が明日より毎日2時間行われる事が決定し、通達された。参加出来る者は、絶対参加と言う事になる。正直難し過ぎて、俺にはさっきアフロとフジさんの会話がほとんどわからなかったが、とりあえず講義してくれるなら覚えたい。と言うよりこれは俺たちが無事に向こうに帰還する為に必要な知識だ。


 その後、まあ幹部会みたいな物だが、主要なメンバー達が一同に介して集まった。主要なメンバーと言うのは、所謂総戦力の高い、言わば主力、準主力みたいなメンバーとなる。これはまだゲーム時代の恒例であり、翌日の宣戦など、何処にするかなどと言うのが話し合われて居た。

 

 このメンバーは、当然盟主の林檎、軍師のアフロ、ガッキー、シャオリン、すみれ、リリィ、はるん、ヨウヘイ、青熊などが参加して居た。


「この位置からだと、漢中なんかの空き城は難しいわね」


「場所的に一食と珍肉がもう明日抑えてしまうでしょう」


「問題は明日すうざんに天下さんが宣戦するか、ですね」


「すると考えて良いでしょう、ただ天下さんは、珍肉とばちばちになるでしょうね」


「洛陽は? 宣戦しますか?」


 林檎に一斉に注目が集まった。必ず最終決断は林檎がやって居たからだ。


「これがゲームだったらするでしょう。ですが、今回はそうでは有りません。ただ、今現在うちは赤城が一つです。またすうざんの防衛もしなくてはなりません。よって、明日、私は猫さんと話し合い、同盟戦までの一定期間、停戦を打診してみます。よって明日は何処にも宣戦しない事にします」


「意見の有る人は?」


 俺は手を上げた。


「シャオリン、どうぞ」


「意見は無い、だがすうざんは当然防衛するんだろう?」


「当然です、またここ虎牢館に一食さんから宣戦されても死守します。ただ、恐らく私は一食さんは宣戦して来ないだろうと思っています」


「理由は?」


「それは俺から言おう。何故一食は宣戦して来ないと考えられるか? それは駒数だ」


「駒数?」


「そう、ゲームでは明らかに大量の駒が一食には有った。だが今は違う、確かに城下町のショップなどをつぶさに調べて貰い、AIキャラ、つまり兵を購入出来る事は確認出来た。そしてレアリティも調べたが、URまでの兵しか購入出来ない事も確認済みだ。だが考えてみてくれ、今レベル差はゲームを引き継いだ関係から差が付いたが、持ちキャラについてはどうだ?」


「成る程、明日購入したとしても、大した差は無い」


「加えて練兵訓練も明日では間に合わない、そして一食は明日珍肉とのバトルになるだろう。あのもやしさんが宣戦しない訳が無い。この状況になれば余計に燃えて居る可能性もあるしな」


「あの人ならそうですね、珍肉にいた時もあの人はかなりのイケイケでした」


「では明日は基本ここに多少残して後はすうざん駐屯と言う事で良いですね?」


「基本それで構いません、そこで、明日は林檎さんと俺が洛陽に行く関係から、リリィさんにすうざんで指揮を取って貰う形になります。また明日洛陽で質問を受けると言う形にしておきながら、宣戦を午前中、攻城時間を13時から17時としている。つまりこれは」


「盟主同士でも洛陽で戦わせる」


「そう、それ以外わざわざ攻城時間と盟主が集まる時間を合わせた理由が見当たらない」


「つまり、各同盟盟主の出方次第では、洛陽でもドンパチが始まる可能性が有る、と言う事かな?」


「そうなるでしょう。洛陽で質問を受けるのは、盟主と代表者のみとあの声の主は言っていた。その場に来る者とも。だが洛陽に来る者の人数をあいつは指定した訳では無い。そして戦とは、敵の大将を取れば勝つ」


「ならばどうする? 向こうに行く人数を増やした方がいいんじゃないか?」


「そこが一番悩ましい所ですね、洛陽に行く人数を増やせば城が手薄になる。だが減らせば戦そのものが負ける」


「すみれさんの言う通り、そこが…….」


 だがそこにいきなりザコさんが入って来た。


「ザコさん、どうしたんですか? この会議に参加するなんて珍しいですね」


「いや、参加しに来たわけでは無い!!」


「は? …….じゃあ何しに?」


「ここにビールが有ると聞いたのだ!!」


「あ、ああ、まだ有りますよ、でも町の店屋でも4元宝で買えますよ?」


「リリィ君!」


「はい!」


「俺にそんな元宝が残って居ると思うか!!」


「え!? ……….無い…..んですか?」


「当然である!!」


 と言う事で……先ず皆がコケ、ガッキーさんがビールをザコさんに渡した。


「ありがたいっす、兄貴! 所でビールのお礼に我が知恵を授けよう!! 何か困って居る様だな、話してみるがいい!!」


 そこで、一応アフロがザコさんに一通りの事を話した。


「くだらん!! 軍師ともあろう者が何をそんなショボイ事で迷っておるか!!」


「いやでも、虎牢館とすうざんの防衛も有るんですよ」


「そんな物、洛陽にはこの中の最強の2名が行けば良いのだ!! 林檎君がそんな危険な場所に行く必要は無い!!」


「でも盟主がとあいつは指定して来たんですよ?」


「盟主が行けば良いであろう!!」


「だから盟主は林檎ちゃ………あ!?」


「そうだわ!? 権限移譲!!」


「ようやく気づきおったか!! 野郎は林檎君だなんて一言も言っておらん!! 盟主と代表者と言ったのだ!!」


「シャオリン!! ザコさんにビールをもっと買って来て!!」


「勿論! 行って来る!」


「気がきくではないか! わはははははは!!」


 

 と言う事で、一時的に林檎はすみれさんに盟主を移譲し、そこに代表者として、ガッキーが行く事になった。ここには青熊も同行し、通信兵の役割をこなす事に決まった。

 そして林檎は虎牢館に残り、リリィが虎牢館の軍師として残る。更に虎牢館の守りの要として、ヨウヘイが虎牢館の将軍に任命された。

 すうざんには、シャオリンとアフロが向かう事になり、すうざんの城代にシャオリンが付き、軍師にアフロ、はるんが将軍に決まった。また碧劉(りょくりゅう)が、天下が宣戦して来る恐れが有るならば、自分もすうざんに行くと言うので、碧劉(りょくりゅう)もシャオリン達とすうざんに行く事に決まった。


 この時特にりょくりゅうに、何故すうざんに行きたいのか、理由を誰も聞かなかった。単にすうざん防衛に名乗りを上げてくれた物だと誰しもが思って居た。


 虎牢館に残るメンバーには、皆レベルアップをしておく様にと指示が出て居たが、当然皆言われるまでも無く、生存競争に勝つために、皆独自でレベルアップに励んでいた。


 翌日の朝早くに、りょくさんが馬車に荷物を積んで居た。俺は慌てて走って行った。


「りょくさん、言ってくれれば手伝いますよ、みんなを起こして来ます」


「良いんですよ、こう言うの慣れてますから。それに荷物の積み方にもコツがあって、割れ物や嵩張る物なんかは積み方にも工夫が居るんです」


「そうなんですか、随分と詳しいですね?」


「言ってなかったでしたっけ? 俺はリアルではプロドライバーなんですよ」


「成る程、なら素人が口出さない方が良いですね、手伝える事が有れば声かけてください」


「人手が必要な時は声かけますよ」


 すうざんには暫く居る予定だ。赤城にどれだけの設備が有るのかわからないので、こっちで用意出来る物は、出来るだけ揃えて持って行こうと決まっていた。

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