函谷関攻防戦 2
今日の投稿!
シャオリンがカストロから話を聞いてる頃、自衛隊やりょくとザコは、函谷関の城門付近で戦闘をして居た。りょくはチャリオット部隊を率いて奮戦していた。
「敵を城門に近づけるな! チャリオット部隊は横一文字で突貫する、行くぞ!」
城門前から横一文字でチャリオット部隊を突っ込ませるりょくに対し、敵将もまたプレイヤーで有り、能力者だった。
「へ〜、面白い奴が居るわね、あいつ倒せばポイント増えるんじゃない?」
「みたいだな、俺が貰おうかな」
「何言ってるのよ、あいつは私が先に見つけたのよ!」
「仕方ねえな、じゃあ俺はあっちのふざけた奴でも相手に……」
その時だった。突如光の盾が飛んでくる。
「何だ!?」
「悪いがお前の相手は俺がする」
「お前は! 成る程な、生きて居たか」
それはかつてヨウヘイが敗北をきっした、ハナモゲラだった。
「それで? お前が出てきたところでこの状況がどうにかなるとは思えねえけどな? それとも首を差し出してくれるってんなら、遠慮無く貰って置いてやるぜ」
「お前は学習能力が無いのか? あの戦車の上で戦っている人を見てみろ」
「あぁ? あ、あいつは!」
「お前如き再びザコさんが相手する必要もない、俺が相手してやろう」
「….ヨウヘイだったか、良い度胸だ、たしかに俺は一度あいつに負けたが、お前には勝ってるんだぞ?」
「だからどうした、今度は確実にお前を倒す」
「馬鹿かテメエ、ならもう一度こいつをくら」
だがやはりヨウヘイは宝具の真名を言わせる程甘くはなかった。ヨウヘイもザコと模擬戦を繰り返して居た。
「ヨウヘイさんは力が有るっす、それを使わない手は無いっすね」
「だけど力だけでどうにかなるとは思えないんですよ、たしかに俺はリアルではパワーは有る、だけどこの能力の世界でそれが武器になるかと言えば、そうは思えない」
「ヨウヘイさんはガキの頃喧嘩とかした事はありますか?」
「勿論だ、そりゃ若い頃は何度も喧嘩してきましたよ」
「ならそん時、力って結構大切じゃ無かったっすか?」
「まあ、そりゃ無いよりはあった方が断然強かったですね」
「ならそれはこの世界でも同じっす、それにアウグスは武将なんだから、筋力は絶対高く無いとダメっすよね?」
「たしかにそうだが、絶対的なスキルの能力が違う相手にどう」
「スキル使わせるんすか?」
「え!?」
「何故相手に合わせて戦う必要があるんすかね? ヨウヘイさんは力が有るんだから、ヨウヘイさんが有利な状態で戦えば良いんじゃ無いすか? 俺ならそうしますよ? だって俺の能力じゃ誰とやっても勝ち目ねえすから」
「….確かに…ザコさんの言う通りだ」
「例えばあの岩、俺は持ち上がらないけど、ヨウヘイさんならいけるんじゃ無いすかね?」
「テメエ! 何だそりゃ!?」
ハナモゲラはヨウヘイが投げつけた大岩を破壊した。だがその時に….
「貰ったぞ!」
「うわー!」
ヨウヘイが岩の砕けた残骸から飛び出して来て、思い切り剣でハナモゲラを斬りつける。間一髪なんとか防いだモゲラだが、ヨウヘイの斬撃は止まらない。
そうだ、こいつの土台で戦う必要はどこにも無い。俺は力ならこいつに負けない。ならこいつが攻撃に転じる隙を与えず、パワーで押し切るのみ!
ヨウヘイはザコとの模擬戦で、最初は何度も負けた。だがザコからヒントを得た事で、ヨウヘイ本来のパワーを活かした戦闘に切り替えてからは、ザコは一度もヨウヘイに勝てなくなった。
パワーなら翡翠一の能力を持つヨウヘイは、アウグストゥスと言うキャラが実は天性の能力だった。そしてザコは言う。
「アウグス本来のパワーを活かした戦闘なら、シャオリン兄貴に匹敵する戦闘が出来るかも知れねえっすよ?」
今のヨウヘイを止める事は誰にも出来なかった。何故ならアウグスこそ、最強の盾と矛を持つキャラだからだ。
「くそう! 何だこのパワー!?」
「俺はザコさんに教わった! 戦闘とは、自らの土俵に相手を誘い込んで行えば、絶対に負けはない! この俺のパワーと、アウグスの能力は最強だ! はなからお前になんか負ける要素は無かったんだよ!」
モゲラが剣を降れば、ダイヤの盾がそれを防ぎ、そしてパワーに任せたシールドバッシングで追い込む。そして強烈な剣戟はモゲラに攻撃の隙を与えない。戦闘は既に一方的な物になって居た。
モゲラは繰り返されるヨウヘイの重い剣戟を防ぐ事だけで精一杯になって居た。
「砕けろ!」
ガキィィン!
「馬鹿な!? この俺の宝具が!?」
「俺が何度もお前に無作為に剣戟を振るって居たと思うのか?」
「な!? まさか!?」
「そうだよ、俺はお前の武器に一点集中して剣を振って居たんだ。何度も同じ場所に衝撃を与えれば、どんなに強い武器でもやがて壊れる。お前の負けだ、降参しろ。宝具が無ければお前など俺の相手にはならない。降参しないのなら俺は容赦しない。この場で貴様を殺す」
「……降参する」
「ならこの場から去れ!」
モゲラは敗北を認め、戦場から姿を消した。その頃りょくは、思わぬ苦戦を強いられて居た。
「これがfightの能力者か!」
「あのくそ女じゃ無いのは仕方ないとして、悪いけどあんたに私のフラストレーションを晴らさせてもらうわよ!」
それははるんが一度戦った相手、エリンだった。エリンの能力はステンノー、つまり相手を石に変えてしまう能力だった。
はるんさんに聞いてなければ俺も石に変えられてしまう所だった。だがはるんさんは奇策で何とか凌いだと言うが、どう攻める? あの石に変えてしまう能力をどう凌げば良い?
はるんからエリンとの戦闘を聞かされて居たりょくは、その特徴をつぶさに記憶して居た。それが今回目の前の女性がエリンだと気付かせてくれ、エリンのスキルを交わす事に繋がって居た。
だが不特定多数に向けて繰り出されるエリンのスキルは、見ただけで石に変えられてしまう。目を逸らせば魔法攻撃が飛んでくる、だがまともに見れば石に変えられる。現在のりょくにはスキルを交わし、魔法攻撃を何とか防ぐ事しか出来ない状況だった。
その時、りょくは遠くにひかる物を見た。そしてそれは何とザコの禿頭だった。
待てよ? 確かメデューサを倒したペルセウスは、盾に相手を映して戦った。だがそれは当然このエリンも知って居たとはるんさんは言って居た。だがあれなら? ……..
りょくはザコの禿頭をもう一度見る。
「すまない! ザコさん!」
りょくはザコの方へ全力でチャリオットを走らせた。
「逃げる気? そうはさせないわよ! ポイントゲットするんだからね!」
全力で騎馬を走らせてりょくを追いかけるエリン。だがりょくは逃げたわけでは無かった。
「こい! ステンノーの能力者、エリン!」
「観念した様ね! なら石になりなさい! スマイル.オブ.ザ.ステンノ!(女神の微笑)」
「今だ! すまないザコさん!」
「ぬぉ! 何だ何だ!? りょくさん!?」
何とりょくはザコをひっ捕まえて自身に引き寄せ、ザコの後頭部を鏡の代わりにしたのだ。
「いやぁ! 眩しい!」
宝具の影響がザコの頭で跳ね返る、当然不特定多数を全て石に変えてしまうスキル、それは勿論エリン本人にも有効だった。それを知っているエリンは勿論目を逸らす、それこそがりょくの狙いだった。
「悪いがそいつを壊させてもらう!」
りょくはその一瞬を突いて、エリンから宝具を奪い取り、自らの剣で宝具その物を破壊した。
「君の負けだエリンさん、俺は女に手をあげる事はしたくない。だが君がまだ抗うと言うなら、同盟の為、仲間の為に君を倒さなければならない。出来ればこのまま引いて貰いたい」
「く! …わかったわよ! 全く何が仲間の為よ!」
「ふんぬぅぅ! そうだりょくさん! この女の言う通ぉぉぉり! 我が頭を鏡代わりに使うとは何事かぁぁ!」
「す! すみませんザコさん! その…..偉く光ってた物でつい!」
この後りょくはひたすらザコに謝り続ける事になったのは言うまでも無い。
その頃、ガッキーともっちの戦闘は、より激しさを増して居た。
「何故宝具を使わないんですか? もっちさん」
「よく言う、使わせない様にしているのは君だろう、まさか投石までするとはね! 君は実に面白い!」
「バレて居た様ですね、本当にやり難い」
ガッキーの予想通り、もっちはザコが危惧した、本当に怖い者、その物だった。
今の平和に慣れすぎた日本人の特徴の一つに、自ら考え行動しない、同調原理主義が有る。これは今のマスクがやはり一番わかりやすいだろう。国家やマスコミが、熱中症の恐れからマスクを取る様に促しても、特に学校では教師が取る様に指導しても子供達が取らないと言う結果が出てしまっている。これは周りが取らないから、自信も外せないと言う同調圧力が働いてしまっている結果だ。メディアで熱中症から来る学校でのトラブルを報道しているにも関わらず、未だマスクを外している者は少ない。
つまりこれは、他人と違う行動をしている事に、ある種の恐怖を覚えてしまう物だ。これはそのまま危機管理意識に繋がって来る。
同調圧力に負ける→マスクを外せない→熱中症になる。
これは戦後3S政策にドップリとはまってしまった日本人特有の特徴の一つだ。自ら考え無いし調べない、とりあえず周りと同じ事をしておけば問題無いと言う同調原理主義と言う物である。
ザコはここを皆に説いた。現在の置かれている状況を考え、どうすればこの局面を打開出来るか、それを恐らく大多数の者は考え無い。つまりそれは、運営に言われるがままゲームだと認識して、戦闘を行う事に繋がる。ならばゲームに無い事はしないしそれを考える事も無い。ステータスに目が向き、スキルに目が向き、それをどう駆使して戦うかに全て考えが集約される。そんな者と戦闘しても怖くも何とも無い。ゲームに無い事をこちらが行えば、混乱し、対処が何手も遅れて行くだけだ。
そして今のマスクと同じ様に、頑なにそれを行う事に執着する。自らが熱中症になってもマスクを取れないのと同じで、自らが敗北するまでそこに気が付くことは無い。
だがもし、そこに臨機応変に対処する者が出て来れば、それはかなり強敵になるだろう。その者が今、ガッキーの前に居た。
沖田総士と言う破格の能力を持つもっちもち、それはかつて無い脅威としてガッキーの前に立っている。
既にガッキーは手を打ち尽くして居た。兎に角今は、宝具を使えない様にする、それしか今のガッキーに出来ることが無かった。
だがただ一つ、まだガッキーがやって居ない事が有る。今のガッキーにそれが出来るかどうか、そこはもうガッキー次第だ。勿論同調原理主義から来るものではなく、これはガッキーのある意味プライドに関わる物だった。
ザコの言葉が重くガッキーにのし掛かる。
『兄貴の戦闘は綺麗過ぎるんす』
『戦争なんだから、最後まで立って居た奴が全てっすよ』
『あんなもん試合でやったら即退場っす』
私にあれが出来るか? キツイ、だが実力差は確実に相手が上だ。大凡考えられることは全てやった。だがもっちさんにはどれも通用しなかった。ならやはり勝つ為には手段は選んで居られない。ただもし同盟員にそれを見られたりしたら…….いや、こんな考えじゃダメだ! 私は皆が無事に生還する為に、今は修羅界でも地獄界でも言ってやると決めたじゃ無いか! ならばザコ界にも喜んで飛び込もう!
そしてガッキーは徐に手を上げた。
「どうしたんだい? 降参かな? まさか君がそれをやるとは思わなかったけどな?」
「私とて馬鹿では無い、実力差が君に及ばない事くらいはもう理解したよ」
「そうか、君はまだ何かしてくれそうだと期待して居たんだけどね。僕自身で君に何かをする事はしたくない、君はとても素晴らしい男だった。あとはお前らにくれてやるよ」
そしてもっちが剣をしまい、後を振り返った瞬間、ガッキーは行動に出た。
ズル!
「うわー!?」
「わはは! 意外と小さいな! 何だその皮かむりは! 仮性包茎か! 情け無い!」
そう、能力は沖田総士、そしてその衣装は…..袴である。ガッキーはその袴の下に、勿論パンツなど履いて居なく、フンドシである事を容易に想像した。そしてフンドシは袴と一緒に力を入れれば下ろせる。
フンドシを締め直す。この言葉は今ではただ気合いを入れ直す事に使われるが、その語源は激しい運動で褌の紐が緩む事を意味している。緩んだ褌の紐を締め直す事でズリ落ちるのを防止し、新たに気を引き締め事に取り掛かる事を意味する。
「か! 返せ!」
「うわははは! 返して欲しければ負けを認めろ!」
「汚ねえ! なんて汚ねえ奴だ!」
「外野は黙っていろ! 何をやろうがこれは戦争だ! 最後まで立って居た奴が全てだ!」
結局もっちは何を抑えてトンズラする事にした。勿論負けを認めてだ。袴は破れた、周りには履き直す袴など無い。ガッキーにフンドシだけ返して貰い、トンズラしたわけだ。周りには女性プレイヤーも居る、もっちは包茎の何を見られてしまったのだ。ここでの戦線復帰はかなり難しい。
「さて、君達はどうする? ここで私と一戦交えるかね?」
勿論周りにいる奴もズボンを押さえながら逃げ出した事は言うまでも無い。
戦いには勝った、だがガッキーは何か大切な物を失った様な感覚に、1人涙を流して居た。遠くにザコの禿げた頭の高笑いが聞こえて居た。
ザコさん…….怨みますよ……




