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紅翡翠  作者: 量産型ザコ
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函谷関攻防戦

今日の投稿!

 函谷関では、珍肉同盟のメンバー達が激しい戦闘を繰り広げて居た。破竹サーバー内でも、武闘派揃いの珍肉同盟は、男女ともに荒っぽい者が多い。戦闘好きで、態々傾国戦でも前の日に、明日はここを攻める! などと予告して来るなどもしばしば有った。


 つまり、本来この珍肉同盟が、如何に大同盟を結んだとしても、他同盟に応援を求める事など先ず有り得ないのだ。それは元この珍肉に居た、ガッキー、ヨウヘイ、シャオリン、ザコの4人は嫌と言う程知って居た。事態はそれ程切迫していると言う事だった。荒っぽい連中が多いが、仲間は大切にする、それが前盟主から引き継がれているこの珍肉の掟みたいな物だ。もやしもディアブロも、このままではメンバーに死者が出る、故に恥を忍んで応援を求めた。

 特に前盟主のひろは、戦力が高い低いに限らず、皆を平等に扱った。レベルがまだ1転生に及んで居なくとも、大切な味方として優遇したのだ。ガッキーやシャオリン達も、その盟主に惚れ込んで珍肉に所属していたのだ。それはしっかりともやしやディアブロにも引き継がれて居た訳だ。




 ガーン!!

「ゴハ! ち、畜生!」


「もう諦めて降伏しなよ? 君じゃ僕に勝てないよ」


「…….ち、クソ!」


「オラ! さっきはよくもやってくれたな!? テメエ!」


「ガハ!」


 殆ど動けなくなったディアブロに、別のプレイヤーが蹴りを何発も入れていた。だが…..


バキン!


「ぎゃあぁぁ!」


「何すんだよもっちさん!?」


「そりゃこっちの台詞だテメエら! 何動けねえ奴痛ぶってんだよ!? 大体揃いも揃ってこのディアブロさんに手も足も出なかったお前らが、僕の戦っている相手に手を出して良いと思ってんのか? お前らはディアブロさんに負けたんだよ! 今戦ってるのは僕だ!」


「で、でももっちさん、運営からの指示はこの城を落とせって、城を守っている奴等は皆退場させろって事ですよ?」


「はあ? 運営がどうしたって? そんなもん知らないよ、僕は今このディアブロさんとの戦闘を楽しんでる、それを邪魔する奴等は誰であろうと容赦はしない!」


「へ….へへへ….」


「何笑ってやがる!?」


「おめえと話ししたいんじゃねえよ、もっちさん、あんたもしかして三教サーバーのもっちもちさんか?」


「まさか破竹サーバーの君に知って貰えてるとは嬉しいね、そうだよ、僕は三教サーバーのもっちだ」


「嬉しいね〜、三教サーバー最強のあんたとこうしてリアルで殴り合える」


「そうだね、でもこれは明らかに君達にとって不利な戦いだ。僕達の能力はサーヴァント、この宝具は放逐少女の専属武器の力を大きく越える。だからフェアな戦いとは言えない。ディアブロさんとは対等な条件でやり合いたかったね。それに君は大したもんだ、サーヴァントの能力を持つ格上プレイヤーのこいつらを相手に対等以上に戦い抜いた。君は本当に大したプレイヤーだよ、そう言う部分は尊敬に値する。本来君とは対等な条件で殴り合いたかった」


「もっちさん、あんたも相当なバトルジャンキーだな、すまねえが俺はもう動けない、だから後のあんたとの戦いは、ムカつくがあいつに預ける事にするわ。最高にムカつく奴だが、俺がライバルと認めた男だ」


「あいつ? は!?……成る程...随分と速いおつきですね、ガッキーさん」


「急いで来たんでね、悪いが少し待って貰えるかな?」


「何だテメエ!?」


「五月蝿い! 敗者は引っ込んでいろ! 構いませんよ、ガッキーさん。僕もディアブロさんとはキッチリ勝負を付けたいですからね、あなたの後にもう一度勝負したいと思います」


「感謝する、大丈夫か? ディアブロさん」


「お前に助けられるとか、俺もやきが回ったな…..」


「そう言わないでください。ポーションです、後は私に任せて」


「へ、ムカつくがお前にこいつとの勝負を預けてやる。相手は三教サーバー最強のもっちさんだ。能力は沖田総士、凄え強え、負けんなよ?」


「ほう….望むところ、私にも珍肉スピリットはまだ残って居る、元珍肉同盟の主力、このガッキーが必ずこの勝負を制して見せる」


「大きく出ましたね、ガッキーさん。放逐少女のサーバーでも、三教サーバーは、破竹サーバーより1年以上前に解放されたサーバーだ。そのサーバーで最強の僕と、君が対等な勝負が出来るとでも?」


「悪いが珍肉同盟を舐めないで貰いたい、珍肉同盟は私が所属していた時、まだ破竹サーバー内でも中位レベルの同盟だったが、同盟員は皆素晴らしい者達だった。盟主はひろさん、彼は強さだけでは無い、誰もが惹きつけられる魅力を持った素晴らしい盟主だった。その中で最主力がもやしさんやディアブロさん。私とシャオリンさんはその直ぐ下に位置していた。軍師は誰もが認める天才軍師のアフロさん、彼が居たからこそ珍肉は上位同盟になれた。そして戦力こそ高く無いが、奇抜な発想と、絶えず笑いを提供してくれたザコさん。そのザコさんが教えてくれた。この世界では、レベル差など問題にならない!」


「良いねえ、流石はディアブロさんが認めた男だ。ではそれを証明して見せてください! ガッキーさん!」


「望むところ!」


 舜歩、互いにその歩法を使い、最速で抜剣をする、そして互いの中間で剣と剣が激しく交差した。互いに相手の首を狙った事で、中間でぶつかり有ったのだ。初手はガッキーが押し負けた。ガッキーは思わず後方に飛ぶ、当然もっちは追撃を仕掛けた。だがガッキーは何としゃがんで足払いを仕掛けた。


「おっと!」


 それを見た外野が野次を飛ばして来る。


「汚ねえ! 剣同士の戦闘でそんな真似しやがって!」


「汚い? 君達はは何を言ってるんだ? これはゲームか? それとも戦争か?」


「あはは! そうだ黙っていろ! 僕達は戦争をして居るんだ! 楽しいよガッキーさん! 貴方との勝負はまだつきそうも無いな!」


 だがガッキーは若干の焦りを覚えていた。それはガッキーがザコと組み手をして居る時の事だった。



「勝てない、何故だ!? レベルも戦闘経験でもそう私はザコさんに劣るとは思えない」


「兄貴、それは戦闘経験とかレベルとか、そう言うもんじゃねえっすよ」


「どう言う意味ですか? ザコさん」


「勝ちへの執念と、どれだけ卑怯になれるかって所っす。兄貴は確かに強えっす。これが武術や剣術の試合じゃどうやったって俺は兄貴には勝てねえっすよ。だけど兄貴の戦闘は綺麗過ぎる、もっと泥臭くなくっちゃ戦には勝てねえっす」


「泥臭く?」


「例えば剣術の試合で足払いとかありっすか?」


「いや、それは反則だ」


「でも戦なら?」


「……そうか、つまり私は剣士だからそれに拘り過ぎるのか!」


「そうっす、前に俺があさぎ君のスカートを捲った時の事思い出してください。あんなの試合でやったら即退場っすよ。だけど戦場なら最後に立っていた奴が勝つんす。つまり卑怯だの何だの何て平和な世の中でやれば良い事で、生き残る為にはどんな卑怯な手段だって使っても良いんす。特にゲームしか知らねえ連中はそこに拘りますからね、ゲームに無い事をとことんやってやれば良いんすよ。

 怖いのはそう言う事を直ぐに割り切る事が出来る奴っすね」




 そのザコの言った、怖い奴が目の前に居た。もっちは足払いを仕掛けたガッキーの行動を即座に許容した。



「….…本当に少し長引きそうだね、これは」





 またもやしの方も、カストロと激戦を繰り広げて居た。もやしはもっちの存在を知らなかった。最初この函谷関に敵が攻めてきた時に、もっちはあまり気が乗らず、全く戦闘を行なっていなかった。ディアブロがその他大勢を相手に攻撃していた事により、もやし自信は特に目立って居たカストロを相手すれば良いだろうと考えて居た。故に洛陽への報告に、このカストロの存在しか伝えて居なかった。だが後から上がって来る報告で、ディアブロがもっちに苦戦している事を聞き、明らかにもやしは焦りを見せて居た。


「どうしたんだい? 珍肉の盟主さん。そんな消極的な攻撃は私に効かないってわかったんじゃ無いの?」


「五月蝿えよ……今からどうやってお前をぶっ殺すか、その算段を考えてんだよ」


「なら早くした方が良いわよ? その前に君死んじゃうかも?」


 ち! このままじゃ確かに死んじまうかも知れねえな、ディアブロ助けに行く余力とか残せる相手じゃねえ。このババア、マジで強え。



 カストロは九号鯖最強のプレイヤーだ。そしてカストロ自身この放逐少女の運営の一員であり、よくこのシステムを熟知している。更にそもそもここが単なるVR空間では無いことも知って居る。カストロにはプレイヤー達が、万が一真実を知った時に、片付ける役割も有ったのだ。つまり他のプレイヤーには無い力も備えて居る事をも意味している。チート能力と言うやつだ。


「遊びは終わりだ、そろそろ終わらせてディアブロの応援に行かなきゃならねえからな!」


「無理だと思うけど? やってみなさい!」


 もやしの能力はアウグストゥス、その最大のスキルは、スキル2の将軍の凱旋式だ。

 だが突如現れたマンモスにより、その全てが無効化されてしまった。カストロの能力はイヴァン雷帝、その宝具は、ズヴェーリ・クレースニーホッドである。


「だから言ったでしょう? そもそも貴方と私のレベル差は開き過ぎている。逆立ちしたって貴方では私に及ばないの」


「….だからどうした」


「何処からそんな言葉が出てくるのかしら?」


「何処からも何も、通用しないならするまで攻撃するだけだ!」


「死ぬまでやってなさい、その前に面倒だから殺してあげる」


「そう簡単に俺をやれると思うなよ!」


 もやしが勢いよく突っ込んで行った。一見やけっぱちになって突っ込んで行った様に見えたこの突貫、事実カストロはそう理解した。だがもやしはスキルを使うと見せかけて、即座にカストロの背後に周り、カストロを歯がいじめにしたのだ。


「何!? ちょっと、こんな事やって何を?」


「引っかかったな馬鹿野郎! シャオリン! 気にせず俺毎こいつを殺れ!」


 そう、もやしにはシャオリンが近付いて来たのが見えた、だからカストロの注意を自身に引きつけ、シャオリンの接近をカストロに気付かれない様にしていたのだ。


「シャオリンですって!? まさか!」


「馬鹿が! 俺が無駄に何度もお前に攻撃していたと思って居るのか? 俺は部下に命じて洛陽に応援を出して居た。この場でお前の相手が出来そうなのは俺くらいだったからな、お前の注意を引きつけ、この場に足止めして居たんだ。そして応援が来た時にこの千載一遇のチャンスを作る為にな! シャオリン! 俺の事は気にするな! 早く俺ごとこいつを殺れ!」


「….もやしさん、あんたの覚悟は充分通じた。流石だよ、だから余計ここであんたを失う訳には行かない」


「馬鹿を言ってんな! 俺だって何時迄もこいつを押さえて居られねえんだ!」


「1秒だって抑えて居られないのよ!!」


「ガハァァ!」


 カストロが自身の気を巨大化させ、もやしを引き剥がそうとした時


 パチン!


 シャオリンが指を鳴らした。そしてその瞬間



「な!? 何? グ…..何だって言うの? これは!?」


「この辺りの重力をスキルで限定的に5倍にした。勿論これはスキルだ、スキルってのは特定の者に対して発動させる。つまり俺はその特定者をあんたに限定した」


「馬鹿な!? 重力操作?」


「ムールさんに聞いたぜ? あんた運営の人なんだろう? なら公輪盤の能力くらい知ってるだろう? 公輪盤のパッシブスキル」


「!? 次元特異点! まさか!?」


「そのまさかだよ、お前らスキルの説明に惑わされ過ぎだ、その名前が何を示すかくらい少しは考えろよ、まあ設定した奴が余程頭良かったんだろうな」


「く! 恭子、あの女ぁぁぁぁぁ!」


 次元特異点、それはトロイダル磁場が最も強く働く場所である。それを任意にシャオリンは強弱出来る。シャオリンはその能力を使い、カストロ限定でその磁場を強くした。これは丁度超重力に引き寄せられるが如く、その引力を強くする。カストロはあまりの強烈な引力に、うつ伏せになり身動きひとつ出来なくなった。


「さて俺が指を一度弾く毎にこの重力は強くなる」


 パチン!


「がぁぁぁぁぁぁ!」


「話して貰おうか? この世界に入ったプレイヤーは何人居る? そしてその能力はどんな物だ」


「だ、誰が言うと」

 パチン!

「あぁぁぁぁぁぁ!」


「別に死にたいなら言わなくても良いよ、ここでの死は現実には関係無いんだろう? それはあんたが一番よく知って居る筈だ。だがその死が現実あんたの精神にどう影響するかもあんたなら知ってるんだろうがな。俺は別に人を殺した事にはならない。つまり遠慮無くあんたをここで葬る事が出来る。人を殺す体験てのもしておく事は悪くない。あんたで実体験させて貰おうかな」


 パチン!


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ! 言う、言うから! この重力を解いて!」


「嘘だと俺が判断したら、この倍は重力をかける、さあ話せ」


 シャオリンが超重力を解くと、カストロはペラペラと話し出した。そしてその内容に嘘は見られなかった。余程超重力が応えたのだろう。


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