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紅翡翠  作者: 量産型ザコ
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初めての死闘

今日の本編投稿です

 魯陽でアフロ達が異境軍勢を見つけた頃、すうざんでも異変が起きて居た。同じ様な軍がやはりここすうざんにも現れたのだ。


「りょくさん、それは本当ですか!?」


「はい、物見塔から報告の狼煙が上がり、急いで駆けつけてみたら、完全なフルプレートアーマーを纏った軍勢、役3000が此方に進軍中でした」


「青熊さんは急ぎ虎牢関へ向かい、この事をアフロさんへ知らせてください。りょくさんには後程別の任務に付いて貰いたいので、待機をお願いします」


「「了解!」」


「はるんは兵3000を率いて出撃してくれ、ガッキーさんは兵2000を率いて前もって予定通りの背後へ迂回してください。私は城を守ります」


「わかったわ!」


「了解した!」


 アフロは前もってすみれ達に、万が一この城が攻められた時の戦術を授けて居た。それはこのすうざんと言う立地を使った物だ。

 中国河南省に有る、ここ嵩山(すうざん)で有名なのは、やはりあの映画、少林寺だろう。その映画の通り、ここすうざんは、古くから山岳信仰の地で有り、少林寺などの寺院が多く点在している。また城の四方は山に囲まれて居て、裏手には断崖絶壁の岩山が聳え立つ。つまり、ここすうざんは、自然の要害であり、城へ行くには一本道を行くしか無い。だからアフロは籠城よりも、高低差を利用した、城外での戦いを推奨したのだ。


 また敵が侵攻してくるとすれば、限られた道しか無く、四方の山に狼煙台と物見塔を造れば、遥か遠くからでも敵の侵攻がわかる。つまり敵の侵攻に備える準備が万端に整えられる訳だ。

 そこでアフロは敵が侵攻して来た場合の二面作戦を授けて居た。敵が侵攻して来るルートは一本道だ。そこで城の裏手から、断崖沿いに迂回して、敵を一旦やり過ごしてはるん引き入る兵と、正面からぶつけて、背後からガッキーの隊がそれを強襲すると言う作戦だ。これはすうざんと言う特殊な地形があってこそ成り立つ戦術だった。


 



 だが肝心なアフロの方は完全に詰んで居た。


「どうする? アフロさん、一度虎牢関へ引き返すか?」


「無理です、敵が騎馬隊を率いて待ち構えて居ると言う事は、此方の侵攻が向こうに知られて居た事を意味します。つまり此方が背中を見せれば、一気に敵は此方に進軍して来るでしょう。そうすればあっと言う間に500の軍など瓦解します」


「ならばどうする?」


「援軍の要請を送って、何処かでじっと耐えるしか無いであろうな」


「ザコさん!?」


「隊の方は問題ない様だ。あの兵は言う事をよく聞く奴らだ」


「では、行ってくれますか? ザコさん」


「俺が行くしか無いであろう?」


「頼みます、この中で一番乗馬が上手いのはザコさんです」


「そう言えば良い場所を見つけて有る!」


「良い場所?」


「うむ、さっきここに来る前に四方を見て回ったが、あそこである」


 ザコの指差した方向、そこは小高い丘になっており、その向こうは大河だ。つまり逃げ道は塞がれるが、背後の敵は心配しなくて済む、と言う事だ。今の状況にはピッタリの陣場だった。


「成る程! 流石ザコさんだ、では援軍要請、頼みます!」


「任せるがいい!!」


 ザコを送り出した後、アフロは即座に全軍をザコの示した陣場へと向かわせた。そこで敵を迎え撃つ作戦を取ったのだ。

 アフロがそこで取った陣立ては、方円陣だ。この方円陣は、所謂敵の侵攻に対してどの方向からの奇襲にも即座に対応出来る様に、円を描く様な形で兵を配置する陣だ。

 武田信玄は防衛の際、八陣の中では鶴翼の陣を多く使ったと言うが、アフロが鶴翼を今回持ちいなかったのは、やはり数が圧倒的に少ない為、あくまで攻勢には出ないで、応援が来るまでは防御を固めると言う意図が有ったからだ。




 そして、魯陽には新たに送り込まれたプレイヤーの内2人


 プレイヤー名 (ハナモゲラ) 能力 (ジル ド レ)


 ジル ド レと言うのは、フランス国内で起きた内紛で活躍した、オルレアンの少女ジャンヌダルクと共に戦った、ブルターニュ地方の貴族である。ジャンヌダルクがイングランドで異端審問にかけられ火炙りで処刑になると、怠惰な生活を送る様になり、最後は嵌められて死刑になる。



 プレイヤー名 (トン吉) 能力 (岡田 以蔵)


 アニメでの維新最強の人斬りが緋村 剣心だとすれば、リアルでの維新最強の人斬りが、この岡田 以蔵である。小野派一刀流剣術を極め、人斬り以蔵と恐れられた。

 尚有名な幕末の四大人斬りは、この以蔵と、田中 新兵衛、中村 半次郎、そして緋村剣心のモデルとなった、河上 彦斎(げんさい)である。



 が、兵士から報告を受けて居た。


「それで? その丘に敵が陣取って居ると言う事ですね?」


「は! 恐らくは虎牢関から来た軍と思われます」


「どうしますか? モゲラさん」


「どうするも何も、折角VRMMOのβテストプレイヤーに選ばれたんだ、運営の為にデータ残してやりましょうよ」


「僕は今回のこのテストに妙な違和感がありますけどね? そもそも一定のデータを残すまではこの世界で生活して、飲み食いまで出来て痛みも感じるって所にどうにも引っかかりを覚えます」


「量子コンピューターを使った新たなバーチャルリアリティなんだから、そのくらいのリアルさを追求して当たり前ですよ。怖いなら俺一人で行きますけど、トンさんはどうしますか?」


「別に怖がって居る訳では有りません。レベルだってカンストなんだし、向こうとこっちでは、此方が力では圧倒してるんですから」


「なら行きましょう」


 ここに、この世界初の大規模な死闘が演じられることになった。能力差では完全にヨウヘイとアフロは負けて居た。如何にMRとは言え、相手は同じMRのカンスト組、対するアフロとヨウヘイはレベルがまだカンストして居ない。更にアフロとヨウヘイはこの2人の能力は知らないが、ハナモゲラとトン吉は全て知って居た。力の差は歴然だった。




「敵軍! 此方に向かって進軍を開始!」


「良いか! 絶対に陣形を崩すな! 攻勢に出るのは援軍が到着してからだ! それまでは陣形を維持し、防御に徹するんだ!」


「盾を前面に構えろ! 隙間を作るな!」


 アフロとヨウヘイの檄が飛ぶ中、魯陽の騎馬隊が猛烈な勢いで突っ込んで来た。


「来たぞ! 迎え討て!」


 騎馬隊の馬が溝にはまって倒れ込んだ。これは予め彫らせた簡易落とし穴だ。投げ出された兵に次々と槍が差し込まれる。

 初手は完全にアフロ達のターンだった。用意を万全に整えて居た事で、いきなり敵の先方の騎馬20弱を止めた。だが当然短い時間で取れるのは簡易的な落とし穴程度が限界だ。


「倒れ込んだ馬や兵を足がかりにして突撃を行ってください!」


 落とし穴は馬や人で埋め尽くされ、それを足場にまた突撃が開始された。だが硬く盾で守られた防壁はそう簡単に崩せない。隙間から長槍が飛び出して魯陽軍は次々と倒されて行く。


「不味いな、何とか間を開けないと、10人、俺に続け!」


 モゲラが騎士剣を構えて突っ込んで来た。


「さっそく試してみるか! 行くぞ! 神聖なる旗の元へ集いて吠えよ! セイント ウォー オーダー!」


 fightに置いて、スキルはいくつかサーヴァント毎に設定はされて居るが、中でも宝具と言う物は、放逐少女の専属武器と同じだ。だが大きく違いが有る。その違いとは、宝具の真名を叫ぶ事で、その宝具が解放されると、その真の力が発揮される。それはどんなスキルよりも強力で、破壊的な攻撃を発揮させる。

 この場合、ジル ド レェの宝具は、セイント ウォー オーダーだった。

 

「嘘、だろう!? あれはまるで、fight grand orderじゃないか!? 冗談じゃねえ!」


 ヨウヘイが今の一撃に気がつき、モゲラの前に来た。


「ようやくまともな相手がお出ましか、ほう、アウグスか、相手に取って不測は無いってやつか」


「お前、何者だ? 何故そんな力を持っている?」


「はあ? お前と同じだよ、俺もβテストに選ばれたんだ」


「βテスト? 何を言って居る?」


「ニューキャラのアカウントがかかってんだ、ここでグタグタと話してる暇は無いんでね、とりあえずお前には俺の糧になって貰う!」


「待て! 話しを聞け!」


「だからそんな暇はねえって言ってんだろう! こちとらこんなチンケな戦いに時間かけてられねえんだよ! お前らみたいな初期メンバーと違って、俺らは貰えるのが2名に限定されてんだ!」



 彼等は運営に騙されて居た。βテストを行う上で、当然報酬は支払われる。前受け金も彼等は貰って居た。本来こう言ったテストは当然無償で行う。だが今回はそれなりの報酬が出された。理由もしっかりとして居た。

 今回初の量子コンピューターによる、完全ダイブ型VRMMOのテストの為、時間を要する。よってダイブ期間中の日当が支払われると言うわけだ。また選ばれた者達の調査もしっかりと行われている。一人住まいの派遣労働者やフリーター、引きこもり学生、大学生アルバイトなど、数日姿を見なくても誰も怪しまない様な者達ばかりだった。また当然ゲーム廃人である事も絶対条件の一つである。こう言う者達を標的にβテスト者を選んだのだ。

 そして彼等にはこう付け加える。先にダイブした者達には、既に新型VRMMMOでのアカウントが配られており、彼等は既にそのキャラを獲得して居る。今回のテストでは、成績の良い順で3位迄の者に配布される事になった。彼等は現在旧アバターで活動している。先ずは彼等の城を攻略する事で、ポイントがゲット出来る。またこれは早い者順である。

 先にダイブした者達にはリアリティの追求の為に、君達の事は話して居ない、新型VRMMOならではの、リアリティ有るバトルを演じてくれ。


 この様に話しておけば、誰も疑わないし、勝手に彼等がシャオリン達プレイヤーを探し出してくれる。運営としては、同盟戦時のデータを取りたかったが、それよりも先ずハッキングの早期対処と、ムール達謎の軍隊の排除が最優先事項だった。なによりも、ここの存在が公になる事が一番の問題だった。

 本来はβテストプレイヤー達にムール達アライアンス軍のみの討伐をさせたかったが、標的を絞ると怪しまれる。よって敢えて標的を絞らずに、全てを先行プレイヤー達としたのだ。



 選ばれたβテスター達は根っからのゲーマーだった。だからこそこの話に食いついた。このテスト時のアカウントが手に入り、そのまま新しいゲームに移行出来る。また高額でこのアカウントを販売も出来る。ゲーマーの心理を突いた見事な作戦だった。



「仕方ない、多少力ずくにはなるが」


 アウグスのスキル、無限な軍陣。

 敵を6回攻撃し、毎回600%の物理ダメージを与え、さらに攻撃力60%のダメージと筋力値×6のダメージが加算される。攻撃時、会心率が40%増加。会心攻撃が発生した場合、自身がそのダメージ100%のHPを回復する。



「何!? 馬鹿な!?」


 だがヨウヘイの攻撃はほとんどハナモゲラには通らなかった。


「何を驚いてる? お前アウグスにアウグスをぶつけるって知らないのか?」


「何を言って居る?」


「アウグスを倒すには、バフ盛りしたアウグスをぶつけるのが一番手っ取り早く、効果的なんだよ。反射ダメージや、法術攻撃ぶつけるのも有りだけど、それよりアウグス倒すのはバフ盛りしたアウグスだ、これが一番早い。お前見てわからないか? この俺の能力、セイバーだ。fightでセイバーって言えば、騎士だろう? アウグスは武将で有り、騎士だ。だから騎士同士の高いは、ステータスの差で決まるんだよ! 俺のレベルは2転生で199、お前はまだ2転生してないだろう? お前は圧倒的に格上のアウグスを相手にしてる様な物なんだよ! 食らえ! セイント ウォー オーダー!」


「グハァ!!」


 ヨウヘイはここで完全に沈黙した。圧倒的な力を前に、ヨウヘイは瀕死の状態に追い込まれてしまったのだ。


 


 アフロの方にもトン吉が前に現れて居た。


「fightの!? コラボだって言うのか?」


「そうですよ、僕はあまりこう言う自ら戦闘をするのは好きでは無いんですけどね? まあ仕方ないですね。早く戻って寝たいんで」


「待ってくれ、あなたは何か誤解して居る、俺たちはβテスターなんかじゃ無い!」


「そんな嘘が通るとでも? 僕も出し抜かれる訳には行かないんで、アカウントを欲しいのは変わらないんです」


「話すら聞かないのか! なら強引に聞かせるしか無い様だな!」


 三つ目の凝視

 優先的に残HP%が最も低い敵を7回攻撃し、毎回600%の物理ダメージを与え、さらに自身筋力値×8のダメージが加算される。7回 の攻撃中、自身が「神祇」状態の場合、さらに自身最大攻撃力×50%のダメージが加算される。敵を撃破できなかった場合、全 ての攻撃後、残HP%が最も高い敵に総ダメージ100%のダメ ージを与える。


 だが、その追加攻撃すら…..


「嘘だろう!?」


「心眼…..ビックリですよね? 正直信じられないでしょう? 放逐少女では絶対有り得ない。

李広とかの弓将ならまだしも、僕は侍、つまり放逐少女では武将だ。だけど今僕はあなたの攻撃全てを回避した。

 でもね? fight grand orderなら有りなんですよ。こう言う攻撃とかもね!! 始末剣」


 とんでも無い連撃がアフロを襲った。レベル格上、更に全く予想して居なかったfightキャラの登場、ここで翡翠メンバーに初めて土が付いた。



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