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紅翡翠  作者: 量産型ザコ
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相転移魔法

今日の投稿です

 正直今地下何階なのか見当が付かない。最初の階段でいい加減降りたが、また次の階段でもかなり降りた。


「地下何階かってのはわかるのか?」


「普通の階数で行くならここは地下2階だが、正直ダンジョンてのは途中で上に登ったりってのが有るから、マッピングしないと迷って出れなくなるんだよ。だから素人がいきなり入ると必ず中で迷宮に迷い込んでおさらばだな」


「危ねえな!?」


「襲撃者対策なんだろうな、中で上に下にって惑わされるんだよ」


「地図見てないけど大丈夫なの!?」


「大丈夫よ、何度このダンジョンに私達が潜って居ると思うの? この辺りなら地形は全部頭に入って居るわよ」


「さてこの階は魔法の効かない相手だ。俺達の出番だぞ」


「任せとけ」


 そんな話をして居ると、直ぐにまた敵の集団が現れた。


「サイクロプスだ! 多いぞ! 散開して挟み込む」

「下がってろ! セイヨ」


 俺はカラクリ球を放り投げた。公輪盤のゲームでの描写を見ると、黄色い玩具の様に見えるが、この世界でのあれは、そう言う物ではなく、何か特殊な増幅装置、そんな風に見える。

 弾が分解すると同時に左右の巨大アームがサイクロプスに向かい飛んで行く。ちょっとしたロケットパンチだが、そこからが違う。


 キュイーン!


 左右のアームから電磁波の様な物が飛び出し、魔物の集団を挟み込む形になった。


「な!? 何だよあれ!?」


「嘘!? どうなって居るの!? あれ、相転移魔法よ!? 何故シャオリンがあんな高等魔法を使えるの!? 信じられないわ!?」


 相転移空間魔法、公輪盤の力と言うのは全てが物理法則に干渉する物だ。


 スキル1 折畳空間

 スキルの説明では、単に敵4名に800%のダメージと有るが、これはスキル名でもわかる様に、空間に歪みを与え、敵の外部ではなく、相転移により内部ダメージを与える物だ。物体を気体、液体、固体、プラズマ状態と相転移させてダメージを与える。これはレベルにより強力になって行く。

 当然シャオリンは翡翠でもトップクラスのレベルだ。2転生で有り、レベルは200近い、この相転移魔法の威力は敵を完全に気体蒸発させてしまうことも可能となる。

 物理攻撃しか効かない相手だろうが、そんな物はこの魔法には無関係だ。物理法則そのものを捻じ曲げてしまうのだから、効かない事など有り得ない。


「あのデカい剣て、剣じゃないのかよ!?」


「剣としても使えるが、あれは基本プラズマ発生装置みたいなもんだよ。俺の能力は時空連続体、まあ俺はそんなもんの意味はわからないが、俺の友達曰く、時空間へ影響を及ぼす能力らしいぜ?」


「そうよ、貴方のそれは空間魔法とこの世界で言われて居る物。使い手何て殆ど居ない超難易度高等魔法よ。正直信じられないわ、私だって初めて見たわよ」


 その後も魔物がどんどん出て来るが、俺はことごとくを公輪盤のスキルで沈めて行った。今までこの能力をあまり使う事は無かったので、ここで俺は思い切り色々試してみた。そして俺は改めて、この公輪盤と言うキャラ能力の恐ろしさがわかった。


 スキル2 機関行列

 これは時空間に干渉する魔法で、此方の時間その物を削り取る。簡単に言うと、巨大な剣が振りかぶり相手を切るまでが3秒とする。その内の2秒を削り取ってしまう。するとどうなるか? 簡単な事だ。今まで剣を振りかぶって居た状態なのに、相手を既に斬っていたと言う状況を発生させる。用は因果率の書き換えだ。結果が先に有り、事象を作る。これを6連続攻撃する訳だ。


 そして何より恐ろしいのがパッシブスキルの 次元特異点

 その名の通りこれはブラックホールだ。敵のダメージを減少すると単に書いて有るが、これはそんな生易しい物ではなかった。敵の攻撃そのものをなかった事にしてしまう。

 通常次元特異点の向こうは吐き出すだけのホワイトホールになって居ると考えられて居る。それは簡単に言えば、吸い込むから吐き出すのでは無く、次元特異点とは超重力の点で有り、そこでは光すら重力に引っ張られる。重力は空間に歪みを与え、そこは既に別次元への入り口となって居る。そこから次元移動した物が吐き出される、ホワイトホールだと言う事だ。

 このスキルはそれその物だった。だから攻撃はダメージ減少ではなく、ダメージ転移と言う事になる。

 正直チートとかそんな生易しい物では無い。背中に浮いて居る時計は時空及び相転移、それを示して居た。



「お前とんでも無い奴だったんだな、なんつう能力だよ?」


「俺自身もあまりこの能力を使った事が無かったんだよ。今回初めてここまでいろんなスキル使ったんだ」


「そうポンポン使う物じゃ無いわ、言っておくけどその力は時間と空間に干渉する神に等しい力なのよ?」


「そんな大袈裟な?」


「自覚が足りないわね、リリィ、本当に危険な力なのだから、母親の貴方がしっかり手綱握っておくのよ?」


「わかったわ、でも公輪盤の能力って実はとんでも無い能力だったのね」


「私も取れば良かった」


 ゲームとリアルは違う、と言いたかったが止めて置いた。その後所謂階層ボスみたいな奴の部屋に入る事になった。

 

「ここから先は俺達もまだ行った事が無い。一応中に入った奴は何人か居るが、誰も戻って来て居ない。まあつまり中で死んだって事だ。今回ここを突破する事が俺達の目的と言うか、ダンジョン探索の依頼内容だ」


「もう何年もダンジョン探索が進んで居なくて、痺れを切らしたギルドが多額の報酬を餌に依頼を出したって訳」


「どのくらいの報酬なの?」


「30万元宝だよ」


「凄え!? 何つう依頼料だよ!? Aランクともなるとそんな依頼が来るのか」


「流石にこんな依頼そうポンポン出ないさ、今回はギルドもマジだって事だ」


「じゃあ用意は良い?」


「ちょっと待って」


「どうした? 林檎」


「一応念の為ね」


「付与魔法ね、でも何か普通の物とは違うわね?」


 林檎が聖護美夢と砥直をかけてくれた。


「よし! 行くぞ!!」


 中に入ると3体の巨大アンデットモンスターが居た。


「ワイトキングに、デュラハン2体か!」


「厄介ね、ワイトには物理攻撃は効かないわ、時空魔法を使うシャオリンと私がワイトを、セイヨとリリィでデュラハン1体ずつ頼める?」


「任せろ!」

「大丈夫よ!」


 デュラハン2体はセイヨと母さんで倒せた。だがワイトには俺の時空相転移魔法ですら効かなかった。どうも実態の有る相手、つまり物理法則が成り立つ相手にしか、俺の能力は効果を出さないようだ。


「何て化け物なの!?」

「そうか、ワイトってのはそもそも実態の無い物、だから物理法則外って事か」


「不味いわね、林檎の聖護美夢がそろそろ切れるわ」


 だが何と、俺達が想像すらしていなかった事が起こった。それは林檎が無我夢中で、とりあえず攻撃しちゃえ! という感じで、半ばやけっぱちで繰り出した物に過ぎなかった。


「この! どっか行っちゃえ!」


 林檎がシャボン玉を大量に放出した。恐らくだが綺夢のスキル2 、夢の誘いだろう。確かに林檎はレベルも俺に近いレベルは有るが、そもそも綺夢はバッファーだ。攻撃力はほとんど期待出来ない。

 ところが……



『ギャー!』


 ワイトキングが強烈な悲鳴を上げ始めた。それもその筈で、林檎のシャボン玉が当たった所が削られて居るのだ。


「な、何だよ? 何故!?」


「おいおいどうなってるんだよ? 何でシャボン玉が効くんだよ?」


「林檎…」


「な、何!?」


 等の林檎も何が起きているのか理解していない。目を白黒させて居る。


「とりあえずこの部屋シャボン玉で埋めちまえ」


「う、うん……」


 林檎が夢の誘いを何度も出した。部屋がシャボン玉で埋め尽くされる。そして……


「消えたな…..」

「消えたわね…」

「ああ、跡形も無くな…..」


 ワイトキングが完全消滅した。理由なんぞわかる訳が無い。だが結果オーライだ。


「…..あ!?」


「何だ? 母さん」


「確か綺夢(あやめ)って夢を食べる設定よね?」


「確かそうよ?」


「まさか……ワイト夢認定?」


「林檎って夢を食べる能力なのか? 何つう意味不明な能力だよ」


「そんな魔法聞いた事無いわね?」


「でもワイトが夢認定されれば、確かに今のは辻褄合うな」


 ワイト、お化け認定ではなく、どうやら夢認定されてしまった様だ…….だが一つ確定した事が有る、ワイト系アンデットに林檎は最強だと言う事だ。

 ただ、間違いもここで一つ発覚した。もし綺夢が夢食いで有るならば、あれは象では無く、貘だと言う事だ。まあ象でも貘でも、正直心底どうでも良いが…..



「象ね」


「ああ、象だ」


「象だな」


「貘ちゃん!」


「おお! 速度が上がったぞ!?」


「どう見ても象よね?」


「また遅くなった…….」


「貘ちゃんだよね?」


「何と!? また速度が上がったぞ!?」


「こいつ…..舐めてるだろう? たかが風船の癖に」


 やはり貘だったらしい、貘認定すると速度が上がる。まあカタツムリが亀になった程度だが、それでも確実に速度が上がった。つまり貘なのに象認定した事で、拗ねてたらしい。仕方ないので表面上貘にしてやった。最近の風船はかなり生意気だ。

 そして階層ボスの魔石、紅翡翠とまでは行かないが、かなり大きく紅い翡翠玉だった。間違い無い、紅翡翠は魔石だ。



「それで? 一応そっちの目的は達成されたと思うのだけど? この先も行くのかしら? 私達としては、出来れば龍神の祠に向かいたい所なのだけど?」


「ああ、約束はこっちのクエスト達成だからな。それにこれ以上進むには松明なんかも足りない。ここで戻るのが賢明だ」


 と言う事で、俺達はギルドへと戻り、翌日の朝からブイへと向かう事になった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 時間はシャオリン達が虎牢関を出発した時まで遡る。アフロ、ヨウヘイ、ザコの3人は、現在空き城となって居る魯陽攻略へと向かって居た。

 引き連れて居る兵は僅か500。城を落とすにはあまりにも少な過ぎる兵力だ。だが本来の放逐少女ではこれでも多過ぎる兵力だった。実際のゲームでは、それこそ傾国の赤城守備軍など、ザコ一人で落とせるレベルだ。だがこの世界はそのゲームとは訳が違う。UR、SSRレベルの守備軍が、赤城と言えども1000は駐屯している。城落としのセオリーは普通3倍の戦力が必要と言われている。では何故アフロは兵500しか引き連れて来なかったのか? 

 理由は幾つか有る。先ずはフジ霊鬼やその他の留守メンバーに対する配慮だ。短い日数とは言え、主力、准主力メンバーが、現在虎牢関にはフジしか居ない。シャオリン、林檎、リリィはブイへ、すみれ、はるん、ガッキー、青熊、りょくなどのメンバーは皆すうざんに駐屯している。そしてアフロとヨウヘイは魯陽だ。

 青熊が戻って来たら、ガッキーへ虎牢関に戻る様に伝えて欲しいとフジには伝言して居るが、それでもその間主城である虎牢関が手薄になってしまう。なので兵力をあまり割けなかったのだ。

 

 もう一つ理由が有る。それは確かにゲームと違い、守備軍の兵力は大きいが、MRの優位性、それはゲームのまま残って居るのだ。つまりどう逆立ちしても、人間相手ならまだしも、AI兵にURやSSR能力でMRであるヨウヘイやアフロに束になっても勝つ事など不可能なのだ。つまりその優位性があれば、この少ない兵力でも、落城させる自信がアフロには有った。


 またヨウヘイやアフロからすれば、鼻くそ程度の実力だが、なぜか居るだけで妙に安心出来るザコもいる。それはアフロやヨウヘイに取って、メンタルの部分では、大きなアドバンテージになって居た。


「見えて来たな、あれが魯陽だ」


「報告!」


「どうした?」


 斥候兵が戻って来た。


「敵城城門前に、兵役1000が待ち構えております」


「籠城では無いのか!?」


「それが、敵兵は妙な格好をしております」


「妙な格好?」


「は、まるでヨウヘイ様の様な、甲冑を皆が身に着けております」


「フルプレートアーマーか! 馬鹿な!? 何故? 守備軍は皆魚麟甲や両当鎧の筈だ!」


「…..まさか、見に行こう、ザコさん、兵をここで待機させて置いてください」


「あいわかった!!」


「ヨウヘイさん、行きましょう。案内してくれ」


 そしてアフロとヨウヘイは木影から城の方を除いてみた。そこには間違い無く、フルプレートのアーマーを身につけた騎馬軍団が役1000騎程居たのだ。そして先頭には、まるで西洋の騎士の様な格好をした者と、侍の様な格好をした者がいた。


「何だあれは!?」


「間違い無い、あれは俺達と一緒、新たに奴等召喚したんですよ」


「あの後ろの兵は?」


「恐らくAI兵でしょう。だがかなり手強いと思います。もしかして、ムールさんの軍に対する牽制目当てかもしれません」



 それは、運営が用意した、fightとのコラボ軍、つまり異境軍勢だった。

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