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紅翡翠  作者: 量産型ザコ
23/46

D・U・M・B・S

今日の投稿はこれ1本!

 俺達はそのまま方世玉達のアジトに泊めて貰う事になった。負傷した仲間は自宅に戻って療養中らしいので、ここにはセイヨとミンメイしか居ないらしい。


「じゃあここからダンジョンまでは半日程歩かなければいけないの?」


「そうだ、向こうの方向に小高い丘が有るんだ。その奥が林になって居て、その林の奥地に小さな祠が有るんだが、そこがダンジョンの入り口になって居る。ダンジョンというのは過去の遺物、簡単に言えばお前たちの世界の過去だな。その過去の遺物がこの世界でダンジョンになった」


「俺たちの世界にも、じゃあダンジョンは有るって事か」


「その知り合いの話では、DUMBS、Deep Underground Military Bases、と言い、早い話しが地下世界の事を言うらしいぜ? その入り口が教会とか寺院とか、祠だったりって事らしいな」


「確かにムールさんがあそこは富士の樹海の地下施設だって言って居たわ」


「でも何でそんなのの入り口が宗教関係何だよ?」


「宗教の名を借りて悪事を働いてたって事だろう? 全部が全部じゃないと思うが、そこに子供を攫って色々やらかしてたって話だぜ?」


「ねえ….もしかして….魔物って」


「その通りだ林檎ちゃん、魔物とは人の想念が寄り集まって出来た存在。だからダンジョンには沢山の魔物がウヨウヨしている。強い怨みとかそう言う想念が固まって魔物になった。だから魔物は人を襲うんだよ」


「マジで碌な事しねえな!?」


「そう言う奴等がお前の居る世界を支配してるんだよ」


「ねえ、所でリアカー、ていうか、荷車みたいな物は有る?」


「ああ、一応有るぞ? 何でだ? シャオリンはアイテムボックスが有るんだろう?」


「それとは別に必要なのよ」



 そして翌日、先ず林檎が風船の象を出して、2人は目ん玉をひん剥いて驚いていた。そして何故か….



「なあ、母さん」


「なに?」


「一つ聞いていいか」


「良いわよ?」


「何故俺はリアカーに乗ってるんだ?」


「男の子だからよ?」


「そうか…..」


 そして母さんは紐をキツくリアカーに結びつけ、反対側を輪っかにして象の首に引っ掛ける。俺はこの後の事を想像して、背筋が凍り付いた。更に林檎が空中にぷかぷかと浮かび出した。当然ここでも2人は声を出して驚く。

 だがこんな事で驚いて居てはいけない、地獄はここから始まるんだ。ミンメイは母さんの後ろ、つまり象に乗って居る、俺とセイヨはリアカーだ。


「な、何が始まるんだ?」


「いいかセイヨ、よく聞け」


「ああ、なんだシャオリン」


「母さんが弓を構えたら、歯を食いしばれ、口を開くな、舌を噛む」


「な、何で!?」


「良いから、俺の言う事を聞け。それからリアカーにしがみ付け、振り落とされない様にしっかりとだ、良いな?」


「お、おう!」


「ミンメイさん、しっかり捕まって居てね?」


「わ、わかったわ……」



 そして母さんが弓を構えた、母さんのスキルが牙を剥く。


 ビシュ!!


 矢が炎を纏いながら猛烈な速度で飛んで行く


 ガン!


「がは! うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「口を開けるな!」


 さながら昔のゲームのブロック崩しの土台の様な速度で俺達の首は真横にスライドした。いきなりリアカーが引っ張られた影響だろう。ムチウチになりそうだ。


 ダン!


「どわぁぁ!!」


 リアカーが石を乗り上げ跳ねた、俺たちはさながら強風に靡く洗濯物のタオルの様な状態でリアカーにしがみ付いて居る。


 バキョ!!

 ガガガガガガガズザーーーーー!


「車輪が外れたぞ!?」

「リアカーにしがみ付け!」

「だけどよ!? うぉ! 腕がちぎれそうだ!」

「耐えろ! まだ暫くこの速度は続くんだ!!」

「も、もう無理だ!! 止めてくれ!」

「情けねえ事言ってんじゃねえ! しかも止まらねえ!」


「す、すまん…..」


 そう言って、耐えきれなくなった洗濯物が一枚、強風に飛ばされた。俺は直ぐ紅翡翠を握りしめ、公輪盤のアームで洗濯物を捕まえて引き寄せた。


「ゲ!?」


 何とセイヨは白目を剥いて、口が半開きになり、そこから大量の涎を垂らしながら、意識を手放していた。



「セ、セイヨ!?」


 ようやく到着して、俺はセイヨを地面に寝かせた。その時リアカーは完全に原型を無くして居て、有るのは紐が結びついている、金属バーだけだ。その金属バーもくの字に曲がっていた。どう考えても母さんのこの案には無理が有る。



「上手く行くと思ったんだけど?」


「アフロがこの案を採用しなかった意味がようやくわかったぜ…マジで2度程三途の川が見えたよ」


「とりあえず回復魔法をかけるわ」


 林檎が回復魔法をかけた。だが俺は大事な事に気がついた。


「なあ林檎….」


「なあに?」


「お前普通にあの状態で母さんと話し出来るんだよな?」


「うん、流石に慣れたからね」


「ならさ、スキル使えるんじゃないか?」


「……..さて、回復出来たし、時期に目が覚めるわ」


「話し逸らしてんじゃねえ! 見てやべえと思ったら美夢かけろよ!?」


「あ、あはは、忘れてた」


「おい!」


 10分程セイヨは気絶していたが、林檎の回復のお陰で無事生還出来た。母さんの案はここで猛烈にセイヨから却下をくらい、帰りは歩きになった。

 当然だがダンジョンに入る前に死線を彷徨うなどあり得ない。


「あの林の奥か?」


「ああ、気おつけろ、あの林からもう魔物が出るからな」


「居たわ、あれゴブリンじゃない?」


「いやまだ林に入って居ないぞ?」


「ああ、私目が良いから、倒しちゃって良いんでしょう?」


「み、見えるなら構わないが」


 母さんは弓将である、当然非常に目が良い。弓を出し、そこから狙いを定めて射る。強烈な勢いで弓が飛んでいき、見えなくなった。


「命中よ、行きましょう」


「本当?」


「とりあえず行ってみよう」


 暫く歩くと、頭に矢が刺さって死んでいるゴブリンが居た。ヘッドショットが見事に決まって居た。


「こりゃ凄えな」


 スキルを使って居る様子は無かった。つまり通常攻撃だったんだろう。


「リリィさん凄い腕なのね」


「これでも弓将だからね」


「所で魔石ってのは取った方がいいのか?」


「当然だろう? 一応練習しとくか、魔石は人間で言う心臓に有る。アイテムボックスにナイフを入れておいたろう? それで取ってみろよ」


 俺は即座に林檎をみた….そっぽを向かれた。母さんをみた、同じくそっぽを向かれた。やはり俺か…….


「気持ち悪い!」


「我慢しろ、魔石取るのも冒険者の仕事だ」


 速度耐性やうんも耐性は付いて来たが、グロ耐性は付いてない。とりあえずグロ耐性も付けなきゃならないのか…….


 ダンジョン入り口までゴブリンやオークを倒した。どうもオークは素材として体が売れるらしく、そのまま俺のアイテムボックス行きとなった。どうも魔石しか売れない物は魔石だけ取り、後は焼却。素材として体が売れる物は冒険者ギルドの解体場に持ち込むと言う流れらしい。皆の創造した世界なのだから当然と言えば当然のテンプレパターンだ。


「見えて来たぞ、あの祠の下にダンジョンの入り口が有る。その隣りに小さな町が見えて来たろ?」


「ああ、村って言った方が早いな」


「まあな、来るのは冒険者だけだ、あんな物だよ。だがあそこに行って、ダンジョン入り口の鍵を貰うんだ」


「鍵?」


「そう、あの祠の下にって言ったろ? 祠を動かして下に隠されて居る階段からダンジョンへ降りるんだよ」


「祠自体が動くのかよ!? そりゃわからない訳だ」


 町と言うか村というか、凡そ住民100人程度の小さな町に俺達は入った。店と一体の民家が30件程あり、通りの左右に並んでいる。どれもが古い中国の街並みだが、一件だけやはりと言うか、やはりあった。西洋風建築。あれが冒険者ギルドだろう。中に入ると、冒険者らしき者は誰も居ない、恐らく既にダンジョンへ潜って居るのだろう。


「お帰りなさいセイヨさん、ミンメイさん。其方の方が臨時メンバーですか?」


「よう! アシャン! そうだ。さっそくパーティ登録をしてくれ。お前たち、冒険者カードを出してくれ」


「あら? Eランクですか?」


「Eランクだが腕は確かだ。戦い慣れしている奴等だからな。最近冒険者に転向したそうだ。な!?」


 話を合わせろって事らしい。


「まあな….」


「傭兵さんだったんですか?」


「そんな所よ」


「では、シャオリンさんにリリィさん、林檎さんですね。パーティ登録完了ですよ。さっそく潜りますか?」


「ああ、頼む」


「はい、では此方が鍵です、知って居るとは思いますが、紛失時は大変な違約金がかかりますから、取り扱いには充分気お付けてください」


 鍵、俺はそれをみたが、どうにもカードにしか見えない。


「それが鍵なのか?」


「ああ、説明するより現物を見た方が早いだろう」


 先程の祠へと向かう、セイヨは祠の扉を開けた。何か罰当たりな気もするが、俺はそれをずっと見て居た。そして中のお地蔵さんを退けた。すると後ろに…….



「カードロックか!? マジかよ!?」


 ホテルなどに有るカードロック、つまりここは電子ロックされた入り口だった。


「ロストテクノロジー、そう言って居たけどお前らの世界では普通みたいだな?」


「ああ、そのカードから電波が発せられて居る。それをそこにかざす事でロックが外れる仕組みなんだが……誰も気が付かない訳か」


「そう言う事だ、つまりお前達の世界でもこう言った祠はこの仕組みになって居る。これがDUMBSの仕組みって事だな」


「でも、確かに、隠し場所にはうってつけね、祠には罰当たりな気がして、誰もこんなことはしないわ」


「そうよね、何か祟りとかありそうな気がするもん」


「つまり」

「そうね、貴方達の世界の人間を騙す為に、そう言う風に教育されて来たって事でしょう」


「さて、じゃあ手伝ってくれ、シャオリン」


「どうすれば良いんだ?」


「祠全体を右に押す」


 二人で祠を押すと、レールの上を動く様に、祠全体がスライドして、何と地下に潜る階段が現れた。


「ミンメイ、中に入って松明を頼む」


「わかったわ、林檎もリリィも、行くわよ」


 最後に俺達が入り、また今度は中から祠の取手を持ち締める。するとカチャリと音がして、またロックがかかった音が聞こえて来た。

 そして地下に行く長い螺旋階段を降りた。人一人がようやく通れる程の狭い階段を永遠と降りて行く。松明が無ければとてもではないが、引き返して居る程の暗さと狭さだ。恐らく30分程降りただろうか? 何故か明かりが見えて来た。


「明かりだわ!? 何でこんな地下深くに明かりが?」


「見ればわかるさ」


 そして開けた明るい空間に出たが……


「キャー!!」

「な!? 何よこれ!?」


 髑髏、それが壁一面に飾られて居た。そして何故明るいか、その理由もわかった。ここは教会の地下室、つまり天窓が有る。かなり高い、遥か天井まで伸びて居る、そこの上に天窓があり、上の方はステンドグラスになっており、更に上の方の壁にはキリスト教関連らしき壁画まで描かれて居た。


「カタコンベか…..」


 カタコンベとは、地下墓所と言う風に言われて居るが、墓所なのに髑髏で壁を飾るだろうか? あり得ない。あれは確実に何か良からぬ儀式などを施した跡だ。そのカタコンベがこの世界に有った。


「つまりこれの怨霊が魔物って事か」


「そう言う事だ。この先は松明は殆ど要らない、どう言う訳か明るいからな。ただここから魔物が出て来るぞ? 地上の魔物なんて比べ物にならない強さだ。気を引き締めてかかれ!」


「隊列を組むわよ、シャオリンとセイヨが先頭、真ん中に林檎、リリィと続いて、しんがりは私がやるわ」


「「了解!」」


「よし行くぞ!」


 暫くすると、アンデット系モンスターが6匹纏めて出て来た。


「アンデット系は火が弱点だ!」

「任せて!」

「いやいくら何でもリリィ?」

「母さんに任せておけば良い」


 リリィが弓を引くと、炎が矢に宿る、そして矢は勢いよく炎の軌跡を残しながらアンデットモンスターを薙ぎ払う。魔物は纏めて一瞬で灰になった。


「何て威力なの!?」


「すんげえな!? お前の母さん、怒らせると怖えな…..」



 どうやらその階はアンデット系の、魔物が出る階らしく、殆ど母さん一人で片付けた。階段をまた降りるが、階段ではどうやら明かりがない為、松明が必要らしい。地下階に降りるとまた明かりが見えた。


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