闇の世界
信じるか信じないかは貴方次第!!
ドーン!
洛陽では盟主と代表達が集まり、盟主会談が行われて居た。そこにはあの女帝の姿が有った。ところが女帝はNPCの筈だが人と変わらない感情があった。
「ではこれより其方達から其々質問を受ける。その前に皆一同に向けて自己紹介せよ、名前と顔が一致して居ない者もおるであろう」
「くだらねえ事やらせねえでさっさと始めろや」
その時だった。その男は急に首を押さえてもがき出した。
「ガハ! くそう、何しやがった!」
「妾は女帝だと言っておろう、不敬な振る舞いは許さぬぞ」
「わかった! 今後慎ませる、ディアブロの拘束を解いてくれ」
珍肉同盟のもやしだった、そして代表者はディアブロなのだろう。
「次は無いと思え、では一食同盟、翡翠、珍肉、天下の順で其々自己紹介するのじゃ」
『ガッキーさん、女帝は睨んだだけでした。ここで逆らうのは得策では無さそうです』
『そうですね、肝に銘じましょう』
一食同盟の盟主はそのまま猫娘、代表者はあさぎだった。各々自己紹介が終わると、また女帝が話し始めた。
「では質問を受ける前に、お前達が凡そ聞きたがるであろう事を前もって妾が話してしんぜよう。同じ質問が被る事も多々あろう。よって、妾が話した後の質問は、それ以外の事へ答える事とする。
ただし、これには条件が有る。お前達の質問を残り10減らす、それで良いなら妾から前もって、お主らが恐らく聞きたいであろう内容を全てここで説明しよう。さあどうする?」
「翡翠のガッキーです。それを選ぶには前もってどの様な内容か多少聞かせて頂く必要が有ります」
「では教えよう。この世界がどう言う世界なのか、お前達の肉体がどうなっておるのか、負けた同盟、勝った同盟がどうなるか、その辺りについて話そう」
「成る程、確かにほとんどが質問の内容だ、珍肉はそれで良いぜ」
「一日もそれで行きましょう」
「天下もそれで良いわ」
「翡翠も同意しよう」
「ならば話そう。では先ずこの世界についてじゃ、この世界は仮想現実空間、つまりお前達の言葉で言うならば、VRMMOと言う物になる。そしてこの世界が仮想現実である以上お前達の体もその一部じゃ。アバターと言う物になる。じゃがお前達の思うVRMMOとは違う。それは痛みも感じれば、血も出ると言う事。これはお前達の意識がこちらに転移して居るから起こる現象じゃ。お前達の思うVRMMOと言うのは、意識ではなく、脳の一部、資格と聴覚を司る部分に、映像と音を見せる、聴かす事により、その事象を認識させるのに対し、これは五感全てを感じさせる技術に置いて行われている。だからお前達が斬られたと思えば、その後起こるであろう事象をお前達自ら作り出す。よってここではそれが起こる。
つまり実際に戦っても相手を殺す事ではなく、ゲームの中で行って居ると言う事じゃ、安心して殺し合うが良い。
次にここでの殺人が、向こうの本体にどう影響するのか? と言う部分についてじゃ。簡単に言えば、腕を切られても、本体に影響せぬ。死んだとしても、それは死ではなく、体験と言う形になる。だが安心するで無い、ここでの死は、本体の脳に影響を及ぼす、それはトラウマとなって残ったり、又はショック死と言う現象を引き起こす事も充分に有り得る。つまり完全に無傷と言う訳には行かぬ。
続いて先ず勝った同盟じゃが、そのまま本体に戻る事になる。恐らく夢であったのだろうとお前達は判断する事になる。理由はお前達が元居た場所付近で保護された事になるからじゃな。そして時間は3時間程度流れた後に設定されておる。ここと向こうの時間の違いじゃが、この世界は高速で流れて居ると考えれば良いであろう。
さて、最後に負けた同盟がどうなるかじゃ。さっきも言った様に、ここは仮想現実で有り、現実では無い。だからお前達の真の肉体には何の影響もない。じゃがこれも今言うた様に、脳には一定の影響を及ぼす。この世界の崩壊、それは脳に多大な影響を及ぼす事になるであろう。それは良くて脳疾患、最悪脳死と言う結果を齎す事になる。つまり五体満足で元の世界に戻る事は不可能と言う事じゃな。以上が貴様達が恐らく一番聞きたいであろうことの説明になる。さてここからはお前達の質問の時間じゃ。質問して来るが良い。一日同盟から右周り、最後は翡翠じゃ、先ずは一日からスタートじゃ」
皆今の話を聞いても然程取り乱しては居なかった。それはなんとなくだが、勝たなければ元の世界には戻れないだろう、そう認識して居たからに他ならない。
「では一日一食同盟のあさぎから質問させて貰うわ、先ずは、貴方達はNPCだと言う事は聞いたわ、でもあなたは明らかに他のNPCとは違う、貴方は何者?」
「ほう、良い質問じゃが、それは同盟員からの質問では無いな、良いのか?」
「私の分と考えて、大方出尽くしたし、私の質問も今聞けたから」
「よろしい、先ず兵は皆NPCじゃ、AIにより会話を成立させておる。そこで妾じゃが、これも同じNPCじゃ。じゃが妾は他のNPCとは違う部分が有る、それは、妾自身はお主らと同じ、人の脳を使っておる。ゆえに他のNPCとは違う」
「やっぱり、なら私達とどう違うの?」
「2つ目の質問になるが良いか?」
「ち!…….」
「構いませんあさぎ、私の質問を変えます。こちらの方が重要です」
「だそうよ、お願い」
「良かろう、簡単に言えば、私はフォログラムと言う技術で映し出されておる、じゃが肉体の様に貴様達が触れる事も出来る。フォログラムなのに触れる事が出来る理由は、妾を見てる貴様達が肉体を作り出しておるからじゃ。だから妾は肉体を維持できておる」
「私達自身が!? 意味がわからないわ?」
「質問か? ならば3つ目になるのう?」
「ち! ………」
「あさぎ」
そこで猫が頷いた、つまり質問を変えろと言う意味だ。そこですみれはここだと考えた。
「その前に、発言を許可して頂けますか?」
「…..良かろう、だが今の質問に関する事は許可せぬ」
「翡翠の同盟員に量子力学に精通している者が居る! それだけです」
これで気が付いてくれ! すみれは祈る様な気持ちで居た。そしてこのすみれの発言は、スレスレの所だった。女帝は量子力学について触れていない。また質問の内容にもそれが含まれていない。
すみれの願いが通じた様で、猫はそこで気がついた。これはすみれが今の質問について、答えを知って居る、そう睨んだのだ。
「あさぎ、用意された質問を」
「良いの?」
「構いません」
「では次の質問よ、あなた達は何者?」
「その様な漠然とした質問で良いのか? 悪者と答える事も出来るのじゃぞ?」
「ち! では運営と貴方達はどう言う関係なの?」
「放逐少女の運営か、と言う事なら、そのものであると言う答えになる」
その後、珍肉、天下と質問して、大方出尽くした様だ。だがアフロから必ず聞く様にと言われた内容が、まだ3つ残って居た。そして翡翠の番になり、すみれは切り出した。
「翡翠のすみれです。質問に行きます。今私達が居る場所の、正確な住所を教えてください」
「!? ………..成る程、そう来たか。貴様達の中に、相当な知識を持つ者が居る様だのう、だが正確な住所は教えられぬ、理由はそこに番地までは記されておらぬからだ。つまり番地までは言えぬ、それで良いなら約束じゃ、答えよう」
「構いません、お願いします」
「良かろう、住所は……山梨県、南都留郡、河口湖町、鳴沢、貴様達が富士の樹海と呼んでおる場所じゃ」
「何ですって!?」
「おいおい!?」
「マジか!」
「次の質問です、貴方達と日本政府がどう繋がって居るのか、詳細に教えてください」
「…….その質問はかなり危険な質問だとわかって聞いておるのか? お前達だけではなく、ここに居る者も関係して来るのじゃぞ?」
「聞きたく無い者の退出許可を出した上でお願いします」
「良いであろう、聞きたくない者への退出許可を出す」
だが驚いた事に、誰もその場を離れなかった。
「貴様達、本当に良いのか? 同盟戦に勝っても、これを聞けば貴様達は死を迎えるその時まで、公安の監視対象になる」
「騙されませんよ? 同盟戦に勝っても、この世界を知った以上、私達から監視の目が離れる事はあり得ない。それならば、真実を知るべきです」
「同じくよ、私も聞くわ」
「天下も同じですね」
「こんなおもしれえ事聞き逃すと思ったのか?」
「……良かろう、では答えよう、そのかわり、お前達は戻る事ができても、永遠に監視対象になる、それだけは覚えておけ。我らはとある計画」
「お待ちください、私の質問は詳細にです、とあるはそこから外れて居ると考えます」
「ち! ……良かろう、ムーンショット計画と言う、政府の計画じゃ」
ムーンショット計画とは
2050年までに、複数の人が遠隔操作する多数のアバターとロボットを組み合わせることによって、大規模で複雑なタスクを実行するための技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。
2030年までに、1つのタスクに対して、1人で10体以上のアバターを、アバター1体の場合と同等の速度、精度で操作できる技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。
サイバネティック・アバターは、身代わりとしてのロボットや3D映像等を示すアバターに加えて、人の身体的能力、認知能力及び知覚能力を拡張するICT技術やロボット技術を含む概念。Society 5.0時代のサイバー・フィジカル空間で自由自在に活躍するものを目指している。
サイバネティック・アバター生活
2050年までに、望む人は誰でも身体的能力、認知能力及び知覚能力をトップレベルまで拡張できる技術を開発し、社会通念を踏まえた新しい生活様式を普及させる。
2030年までに、望む人は誰でも特定のタスクに対して、身体的能力、認知能力及び知覚能力を強化できる技術を開発し、社会通念を踏まえた新しい生活様式を提案する。
これが日本政府が目標として掲げたムーンショット計画の内容となる。
「何だそりゃ!?」
「貴様に口を開く許可は与えておらぬ、更に珍肉の質問は終わった。そしてこの計画に沿った研究を各企業が請け負っておる。我が社はその計画の仮想現実と言う部分に置いて受け持っており、これはその研究の一つとなる。これで良いな?」
「はい、次に、それで何故人口を減らす必要があるのですか?」
「貴様本気で死にたい様じゃな?」
「それが解答ですか? 随分と質問からかけ離れた物ですが?」
「ち! 3つ目の質問となるが良いのか?」
「構いません」
「仮想現実の中で生きるのじゃ、肉体など必要なかろう」
「これが最後の質問になります、貴方達は何故率先してその世界に行かないのですか? 行かないのなら、その理由を聞かせてください」
「お前は星野すみれであったな…….お前は必ず死ぬ、予告しておこう」
「ガッキーです、質問の答えになっていない、これは私の質問だ!!」
「ガッキーさん!?」
「私の腹は煮えくり帰って居る、もう遠慮はしない、私の全身全霊でこんな事はさせないし、許さない!!」
「ガッキーZZよ、宣戦布告として捉えるぞ?」
「そう取って頂いて結構、答えてもらおう」
「良い度胸だ、では答えよう。無能なゴイムは我等に管理されてこそ生きる価値が出来る」
「ゴイム? 何だそれは!?」
「貴様に発言権は無いと言っておる!」
「シオン長老の議定書ですね? 聞きましたよ、とある人からね」
「口を慎め下郎、これが最後の質問だと言ったな? ではここで質疑応答は終わりじゃ。お前達は何を知ろうがこの世界から出れない以上、ここで殺し合う運命に有る。この質疑応答はそんな貴様らに与えられた、ただのこちら側のサービスじゃ。サービスタイムは終わりじゃ、帰りたければ生き残る事じゃな」
そう言い残し女帝は消えた。
「はあ〜…….流石に冷や汗が出ました。私はあまりこう言う事に慣れて居ない」
「すみれ、知ってる事があるなら教えろ!」
「私からもお願いします、何か知ってるなら教えてください」
「勿論うちもよ、何を知って居るの?」
「教えても良いとアフロさんから言われています。ただし、それは同盟同士で条約を結んだ同盟に対してだけです。つまり共闘です」
これも危険な賭けの1つだった。アフロは役割りを演じる事に同意出来る相手に林檎の代わり、つまり権限移譲をしたのだ。その役割にガッキーとすみれは名乗りでたのだった。




