十月二十二日~二十六日
十月二十二日
救荒植物というものをご存じだろうか。
これは過酷で痩せた土地でも比較的安定して育つ植物のうち食用に適したもののことだ。
種類はいろいろあるが、俺にとって馴染があるのはなんといっても芋と蕎麦だ。
焼き芋と言えばコレのあまーいサツマイモ。
ポテチにフライドポテトにポテサラにカレーに何にでもなるジャガイモ。
そして麺と言えばこれ、なんとなくラーメンより健康によいイメージのある蕎麦。
……実際の所、蕎麦って本当に健康に良いんだろうか?
調べようにも知ってる人も見当たらなければ本もない。終末世界はこれで詰む。
それはそれとして、サツマイモを手に入れた。
どうやらここの拠点にサツマイモを持ち込んで育てていたらしい。たまたま収穫できたが、畑も結構急ごしらえだったようで非常に形が悪く量も少ない。
ところで、救荒植物ってことは芋ってほったらかしでも無限に増えるのでは!? と、思うかも知れないが、二年間この世界にいた俺から言わせるとちょっと無理がある。やっぱり人が栽培して食べやすいよう品種改良された芋達は、人の手を離れると雑草に押し負けてあまり繁殖できないようだ。
ともあれ、そんな見た目でも焼き芋はしっかり焼き芋だ。
前はそんなに好きではなかったが、今ではこの素朴な甘さに涙が出る。
残存食料、八日(うち完全食料五日)。
水、十日。
ハンドガン残弾十二発。
キーグローブC所持。
十月二十三日
救荒植物シリーズ第二弾、葛。
葛は今までも新芽や花でお世話になってきた、よく川沿いに繁殖してる蔓草だ。
有り難いことに葛は元々放っておいても生えて生えて生えまくる面倒臭いタイプの草なので、人の手が入らなくなって以降全国津々浦々でのびのび育っている。
……が、流石にこの季節ともなると芽もないし花も咲かないのでちょっと食えたものではない。
ただ、ずっとやってみたいことがある。それは葛粉だ。
多分去年にも日記に書いた気がするのだが、葛粉は作るのに一週間くらいかかりそうなのでどうしても今まで作ることが出来なかった。夏頃に別荘計画が失敗していなければ挑めたのだが、今更何を言っても仕方が無い。
葛湯、葛餅、どれも空腹を紛らわすにはよさげな気がするのだが……。
いかん、定住への願いが強まっているのを感じる。
食料はキノコ類を少々と柿、あとなんか魚類。
コイとウグイは分かるが他は分からない。魚図鑑が欲しい。
頑張って干物にし、他は貴重なタンパク源としていただいた。
残存食料、十日(うち完全食料五日)。
水、十二日。
ハンドガン残弾十二発。
キーグローブC所持。
拠点にあったゴエモン風呂で一服。
最高だけど軽く身体を擦ったら引くほど垢が浮いた。
十月二十四日
柿と言えば干し柿、と思うかも知れないが、例によってやってる時間がない上に実は干し柿は葛粉以上に仕上がりに時間がかかる。前にチャレンジしたときも留まりすぎで襲撃を受けて失敗した。ガイストのコクピットに吊して乾そうとバカみたいなことを考えたが、操縦の邪魔になった上に戦闘時に口に入って渋すぎたので即排除した。俺のバカめ。
そういう訳で柿は手に入り次第、普通に食べている。
全国的に民家のあるところには柿もありがちで、しかも季節限定なので根こそぎ奪われていることも少ない。柿も終末世界前は嫌いだったが、今は有り難がって食べるし渋柿と甘柿の区別もつくようになってる。
コンテナを発見、サブマシンガンを二丁入手。
ないよりは遙かにいいのだが、今は弾薬もマテリウム結晶も惜しい。
弾薬の使い過ぎに要注意だ。
残存食料、十二日(うち完全食料五日)。
水、十五日(ガイストの容量を考えここまでにしておく)。
ハンドガン残弾十二発。
キーグローブC所持。
十月二十五日
以前ホルニッセに持たせておいた、無駄に容量を食らう掘削型シルエットなる謎の代物について。
パーツが足りなくて使えないという話をしたが、今日色々と弄ってみたらマテリウム結晶さえある程度揃えばガイスト側から出力して完成させられるっぽい。
ホルニッセは入手してから特に破損もなければ弾薬補充も必要なかったので、マテリウム結晶はまあまあ貯まっている。あと二日もあれば完成可能だ。
ターミネイターの拠点を制圧するか、待つか。
待っている間に無事平穏で済む保証はないが、今は装備が悪い。
天気がイマイチでキノコの天日干しが上手くいっていないので、粘ることにする。
残存食料、十二日(うち完全食料五日)。
水、十五日。
ハンドガン残弾十二発。
キーグローブC所持。
十月二十六日
俺は今、地底にいる。
掘削型シルエットが完成したのだ。
今は掘削しながら移動中だ。
移動速度としては歩行より遅いのだが、山を突き抜けて反対側へ移動する場合はこっちの方が早いし、なにより恐らく今のガイストの装備では地面の中を移動する相手を補足する手段がないだろう……と油断していると痛い目を見るので、いずれ見つかりそうだ。あとは地中を移動するターミネイターがいた場合終わるかもしれない。考えたら怖くなってきたが、そこは採掘型シルエットの速度を信じよう。
アニメでドリルを所持したロボットが地中を高速移動するみたいなのを見たことがあるが、採掘型シルエットはそれを地味にして、なおかつ移動のみに振り切ったものだった。見た目には少々間抜けな姿になったが、地中という本来移動が非常に困難な場所を移動出来るというのはカバードシルエットというものの可能性を感じられる。
シルエットの拡張機能なのか、アラートや移動方向の指定など結構細かく設定できるのはいいが、モニターには何も映らないので暇で暇で眠くなる。あの基地跡地から画像データの形で持ち出した漫画などを見て暇を潰したが、流石に限界があった。
明日の朝辺りに地表に出きる前に停止するように設定し、特大音量のアラームをセットして寝ることにする。眠すぎる。
残存食料、十一日(うち完全食料四日)。
水、十四日半。
ハンドガン残弾十二発。
キーグローブC所持。
眠気覚ましにクソマズ飯食べたのと、汗をかかなかったので水の消費が少なかった。




