一人称を変える、ということ
「なぁ、わたる・・・『わたし』じゃ、だめか・・・?」
畑さんが僕に顔を寄せてくる
水色の髪と、紅潮した頬とが、官能的な情景を目の前におこさせている
「いえ、その、あの」
畑さんが前屈みでテーブルに手を付いているために、その豊満な胸元が強調され、思わずそちらに目が釘付けになる
「じゃ、じゃあ、こういうのは・・・?」
「えっ?・・・」
顔を赤くしたままの、畑さんの小さな桜色の唇が微かに動く
ゴクリ、と、無意識に喉がなる
「『おいどん』・・・は?」
「いや普通に変ですよ」
保健室での一件があったその日の夕飯の席で、畑さんは唐突に僕に『わたるは『俺』と『あたし』だったらどっちが好きだ?』と聞いてきた
急な事なので上手く答えられずにいると、
『じゃあ『ボク』?・・・『わたくし』とかは?』と矢継ぎ早に聞かれ、そして挙句先程の『おいどん』に辿り着いた
「今更、というのも変かもしれませんが、何かあったのですか?」
「う、いや、さ・・・俺、ガッコーだと割とオンナノコオンナノコしてるじゃん?・・・その、家でもそういう方がいいのかなーなんて思ったんだよ」
「は、はぁ・・・」
夕飯のマカロニサラダのマカロニをフォークに刺しながら言われてもイマイチ真意がわからないが、とりあえず思ったことをそのまま言うことにした
「おでことうなじにクリームついてますよ?」
「やっべぇ服汚れる!!!!」
「いや、話逸れちまったけどよ、わたるはどう思う?やっぱ家と外で話し方とか変えるべきか?」
「うーん、僕は知っての通り、ほぼ家と外で話し方変わらないので・・・・畑さんの好きなようでいいと思いますよ?」
「そっかー・・・まあ、いろいろ考えてみるわ」
ズルズル・・・・と、食卓に畑さんがマカロニサラダを啜る音が聞こえる
「・・・って!!!どうやったらマカロニサラダを食べてて蕎麦を啜るような音になるんですか!!」
「・・・気合?」
「いや普通に食べましょうよ」
夕飯後、僕がキッチンの後片付けをしていると、テレビを見ていたはずの畑さんに背中をつつかれた
「?どうかしましたか?」
「・・・・あ、あたしも、て、手伝うわよアル」
「・・・・アル?」
「い、今テレビでそういう語尾の人が出てきたから・・・・・アル」
「畑さん・・・・・」
一度手を洗い、エプロンを外して畑さんに向き直る
「な、なによアル」
「いいですか?畑さんは今のままでいいんです。無理して変える必要はありません。ただでさえ俺系巨乳低身長ポニテニーハイちびっ子というハイスペックなのですから、ご自分を大切にしてください。わかりましたか?」
「わたる・・・・」
畑さんはの目に涙が浮かぶ
午後9時のキッチンでは、感動的な場面が生まれていた・・・・
「2回もちっこいってゆーな!!!俺そんなにちっこくねーよ!!!!」
怒られました
「ちなみに、わたるは話し方・変えようとか思ったことないのか?ずっと敬語だと疲れるだろ」
「うーん、ないと思いますが・・・・ああ、そういえば中2の頃に堕天使コスプレ系のエロ本にハマって、話し方がそっち方面になってたことがありましたね。直ぐに恥ずかしくなって止めましたが。」
「へー、どんな感じだったんだ?」
「『今宵も堕天巨乳の紅き迷宮に黒鞜の白霊が舞い濡れている』・・・とか」
「・・・・一応、意味は?」
「赤ゴスロリ系巨乳ニーハイのエロ本ですね」
「・・・・・はぁ」
呆れられた
ちょっとグダッとした咲ちゃんの話
次話から期末テストのお話になります
タダのドエロ主人公に落ちた渡の快進撃をお楽しみください




