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第6話 楽園の城下散策と、爆誕・全肯定親衛隊

この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。

運命の出会いから数日。

あの「3連コンボ」によってすっかり心を開いてくださった梵天丸様は、今や俺が部屋に入るだけで「景綱!」とぱあぁっと表情を輝かせるまでになった。尊い。あまりにも尊すぎて、毎朝胸の奥が物理的に痛む。


「景綱、今日はどこへ連れて行ってくれるのだ?」


「ふふ、本日はお忍びで、米沢の城下町へ参りましょう。外の空気を吸うのも、立派な帝王学ロケハンでございますよ」


「城下……! だが、俺のような者が外に出て良いのか……?」


少し不安そうに右目の黒い布に触れる主君。

俺はすっとその前に膝をつき、一切目の笑っていない極上の笑顔を浮かべた。


「何を仰いますか。あの町は、あなた様が歩むためだけに私が整備させた『楽園』でございます。……さあ、参りましょう」









城の外へ出ると、まずは米沢城の武家屋敷街だ。

そこへ、待ち構えていたかのように 'あの男たち' が通りかかった。

第4話で俺が特濃おにぎりと激重な熱弁で洗脳……プロデュースしておいた、白石宗実率いる若手武士プロデューサー・チームたちだ。


「あっ、景綱の兄貴! ……と、そちらのお方はッ!?」


宗実が棒立ちになり、続く若手侍たちが一斉にざわついた。

梵天丸様はビクッと肩を揺らし、俺の背中に身を隠そうとする。


「俺のこの右目を見たら、どうせ気味悪がって……」


「宗実殿。こちらが、我が伊達家の絶対的至宝――梵天丸様でございます」


俺が完璧な敬語で紹介した瞬間、宗実たちの目が一斉にギラリと怪しい光を放った。


「「「ぼ、梵天丸様ぁぁぁーーーっ!!!(感涙)」」」


「えっ!?」


ドバババッと、地響きを立ててその場に平伏する若手侍たち。

宗実がボロボロと涙を流しながら、叫ぶように言葉を紡ぐ。


「お初にお目にかかりますッ! 景綱の兄貴から噂はかねがね伺っておりました! 日ノ本を照らす唯一無二の太陽! なんと神々しい……! なんと気高きお姿かッ!」


「あのお方が……俺たちが命を賭けてお支えするお方……! 尊い、尊すぎるッ!」


「は、はあ……!? なんだお前たちは……!?」


会ったこともないのに、全身から「ガチ勢」の狂気的な熱量を発して全自動で全肯定してくる謎の集団。

梵天丸様はドン引きしつつも、今まで周囲から「可哀想な子供」「化け物」と冷ややかな目で見られてきただけに、真っ直ぐな尊敬と熱意を向けられて耳まで真っ赤に染めていた。


「よし、みんな。梵天丸様の御前です、暑苦しいので散りなさい」


「はッ! 梵天丸様、お導きを――っ!」


サッと風のように立ち去っていくプロデューサー・チーム。

(よし。俺が死んだ後のセーフティネットたちと、主君とのエンカウントも完璧に完了だな)







気を取り直して、いざ城下町へ。

そこは、第1話で俺が「聖地巡礼先行ロケハン」として輝宗様に提案し、徹底的にインフラ整備させた完璧な街並みが広がっていた。


「すごい……! 景綱、道がすごく平らだぞ! 水路も綺麗だ!」


「ええ。小さな子供が転んで怪我などしないよう、石畳の段差を一寸単位で調整させましたからね」


「石畳の段差……? なぜそこまで……?」


「我が主君あなたが歩く道に、1ミリの砂利すら残さないためですよ」


さらりと恐ろしい過保護発言をかます景綱。

さらに、市場の片隅からは香ばしい匂いが漂ってくる。第3話で仕込んでおいた「特製おにぎり」の屋台だ。


「あ! 景綱、あの匂いは……!」


「お目が高いですね。あちらで食べ歩きと参りましょう」


買い求めた焼き立ての「甘クルミ味噌おにぎり」を、梵天丸様はハフハフと小さなお口で頬張る。


「旨い……っ! 景綱、お城の外って、こんなに楽しいところだったんだな……!」


パッと花が咲いたような、無邪気で眩しい笑顔。

その瞬間、俺の脳内で何かが弾けた。

(尊い…………っ!! これだよこれ!! 前世の俺がマスターアップ直前に死にかけてまで作りたかったのは、この笑顔なんだよ!!!)

心の中で血の涙を流して感涙しながら、俺は表面上、一切目の笑っていない完璧な営業スマイルで微笑みかけた。


「ええ、楽しいところですよ。――梵天丸様。あなたが望むなら、この町どころか、この日ノ本すべてをあなた様のための『楽園』に変えて差し上げます。ですから……」


俺はそっと主君の目線に合わせて腰を落とし、その小さな手を優しく包み込んだ。


「二度と、ご自分を卑下なさらないでくださいね。あなたはこの世で最も輝くべきお方なのですから」


「……うん! ありがとう、景綱!」


満面の笑みで頷く我が主君。

初期好感度どころか、信頼度も完全カンスト。完璧すぎる城下散策は大成功に終わったのだった。

だが――そんな幸せな時間の裏で、米沢城の奥深くでは、主君の異母弟の存在や、母・義姫様を巻き込んだ「ドロドロとした歴史の影」が静かに動き出そうとしていた。











【システムメッセージ】

『城下散策(ロケハン回収)&親衛隊お披露目』が完了しました!

※主君のメンタルが『完全快復』し、野外行動フラグが解放されました。

※白石宗実たちの忠誠心が『ガチ勢(固定)』になりました。

ご視聴いただきありがとうございました。

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