第15話 白装束のパフォーマンスと、天下人の毒を喰らう度量
この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。
昨日は出せなくてごめんなさい。
天正18年(1590年)。
関白・豊臣秀吉による小田原(北条)攻め。
会津制覇の処置に時間を取られ、小田原への到着が大幅に遅れた伊達家は、秀吉から「遅参」を理由にいつ処分(改易・処刑)されてもおかしくない絶体絶命の危機に瀕していた。
小田原の陣に着いた伊達軍の陣幕の中。
政宗様は緊張で硬い表情を浮かべていた。
「景綱……秀吉は天下を統一しつつある化け物だ。到着が遅れた俺に激怒していると聞く。下手に言い訳をすれば、即座に改易、最悪は首が飛ぶぞ」
対する俺は、一切目の笑っていない極上の営業スマイルで、用意しておいた「特製の衣装」を広げた。
「ご安心ください、政宗様。天下人・秀吉という男は、何よりも『ド派手な魅せ場』と『度量のある傾奇者』を愛する男です。……今回は、前世のイベント演出プロデュースのすべてを注ぎ込んだ、この衣装で臨みます」
政宗様が目を見張る。
俺が差し出したのは、死を覚悟した者が纏う『白装束(死に装束)』であった。
「し、白装束……!? 降伏ではなく、『いつでも腹を切る覚悟はある』というポーズを見せるということか!?」
「左様でございます。単に謝罪するだけでは秀吉の自尊心は満たされません。『命を捨ててお詫びに参った』という最高の演出を提示し、逆に秀吉の『器の大きさ』を試すテストを仕掛けるのです」
◇
数日後。小田原・箱根の秀吉の本陣。
豊臣方の諸大名(徳川家康、前田利家ら)が居並ぶ中、異様な静けさとともに政宗様が入場した。
髪を解き、真っ白な死に装束を纏い、背後には景綱ら側近が「金箔を塗った十字架(千利休へのアピールも兼ねた演出)」を背負って従う。
その圧倒的な覚悟と、若き独眼竜の洗練された美貌。
居並ぶ諸大名から
「おお……っ」
「あれが奥州の独眼竜か……!」
と息をのむどよめきが漏れる。
黄金の座に鎮座する天下人・豊臣秀吉が、冷ややかな視線で政宗様を見下ろした。
「遅かったな、伊達藤次郎。わしを待たせるとはどういうつもりだ。……その白装束、命はいらんと見えるな?」
緊迫で空気が凍りつく。
だが、政宗様は一切の動揺も見せず、堂々と平伏した。
「関白殿下。遅参の罪、言い訳は一切ございません。この首、殿下のご気分次第でいつでもお跳ねください。……ただし、奥州を静謐に保ち、殿下に捧げるために時間を要したことだけは、真実でございます」
秀吉は立ち上がると、のしのしと政宗様に歩み寄った。
そして、持っていた杖の先で、政宗様の首筋をぽんと突いた。
「……もう少し遅かったら、ここが飛んでいたぞ」
「——ッ」
次の瞬間、秀吉は大声をあげて破顔爆笑した!
「ハハハハハ! 気に入ったぞ政宗! その度胸、その傾奇ぶり、実に見事だ! お前の遅参、不問にして遣わす!」
「……! ありがたき幸せにございます!」
◇
会見を終え、無事に陣幕へ戻った政宗様と景綱。
「勝った……! 景綱、命拾いどころか、秀吉に強烈な印象を植え付けたぞ!」
「ふふ、当然でございます。秀吉の心理分析、諸大名の視線誘導、そして『白装束の衣装効果』……すべて計算通りでございます」
胸を撫で下ろす政宗様。だが、俺はそっと影から影へと視線を走らせた。
(よし……これで小田原征伐での『没落ルート』は完全に回避した。……だが、秀吉の世になったことで、これからは『戦術』ではなく『政治・外交』の化かし合いが始まる……!)
俺は静かに眼鏡の奥の目を光らせた。
(来るなら来い、秀吉、徳川家康……! 我が主君を天下の副将軍・仙台藩の開祖として輝かせるプロデュースは、ここからが本番だ……ッ!)
【システムメッセージ】
『小田原征伐・白装束参陣』が完了しました!
※豊臣秀吉からの信頼(面白がられ度)が『最大値』に達しました!
※伊達家の存続(大名としての地位)が確定しました!
ご視聴いただきありがとうございました。




