第14話 黒川城への疾風迅雷と、奥州覇王の誕生
この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。
お盆明けくらいまでは、深夜に投稿します。
理由は活動報告に書いてあります。
天正17年(1589年)。
人取り橋での大勝利以降、着実に領地を広げてきた伊達家は、ついに会津の巨魁・芦名氏との最終決戦を迎えていた。
舞台は、磐梯山の麓に広がる摺上原。
「景綱! 敵は向かい風を背にして陣を敷いている。我が軍は強い西風を正面から受ける形だ……! 風向きとしては非常に不利だぞ!」
馬上で眉をひそめる政宗様。
史実でも、合戦前半は突風と砂塵によって伊達軍が苦戦を強いられた有名なシチュエーションである。
だが、俺は一切目の笑っていない極上の営業スマイルで、静かに首を振った。
「ご安心ください、政宗様。気象データおよび地理の分析は数ヶ月前より完了しております。この風向きこそ、我が軍が勝利するための『演出』に過ぎません」
「え、演出……!?」
「左様でございます。相手は金で雇われた兵が多く、士気はガタガタ。……成実殿、宗実殿! 『第4フェーズ』を開始なさい!」
「よっしゃあ! 待ってましたッ!」
「政宗様に勝利を捧げるため、いざッ!」
◇
合戦が始まるやいなや、成実率いる突撃部隊は正面からぶつかると見せかけ、風に逆らって斜め後方へと迂回。
さらに、前世知識で開発した『特殊発煙筒(唐辛子&乾燥味噌の煙)』を風上へ投げ込んだ!
「ゴホッ! ぐはっ、目、目がぁぁぁっ!?」
「な、なんだこの辛く香ばしい煙はーっ!?」
向かい風に乗って芦名軍の陣へ逆流する特製スパイス煙!
目が眩み、呼吸を奪われた芦名軍はパニックに陥り、指揮系統が完全に崩壊した。
そこへ、俺が裏で裏切りを約束させていた芦名方の重臣(重ノ木など)が、一斉に戦場から脱走を開始する!
「敵の重臣が逃げたぞーっ!」
「もうダメだ、引けーっ!」
「……今です、政宗様! 竜の爪を立て給えッ!」
俺の合図とともに、政宗様が愛刀を高く掲げた。
「——全軍、突撃ぃぃぃッ! 会津を我が手に収めよッ!!」
「「「うおおおおおーーーーっ!!!」」」
崩壊した芦名軍を、伊達の騎兵隊が一気に飲み込んでいく。
合戦はわずか半日で決着。芦名氏の居城である黒川城(のちの会津若松城)は、あっけなく伊達軍の手に落ちたのだった。
◇
黒川城の本丸。
眼下に広がる会津の街並みを下ろしながら、政宗様は溢れ出る感動を噛みしめるように呟いた。
「勝った……。南陸奥を……会津を、俺は手に入れたのだ……!」
政宗様、23歳。
伊達家の歴史上、最大となる南奥州全域を統括する「奥州の覇王」がここに誕生した瞬間であった。
そこへ、冷たい風とともに俺が静かに歩み寄る。
「見事なご手腕でございました、政宗様。……ですが、勝利の余韻に浸る時間は短そうです」
俺は懐から、一通の朱印状を取り出した。
「上方(京都)の天下人・豊臣秀吉より、『小田原の北条攻めに参陣せよ』との命令が届きました」
政宗様の表情が、キリッと引き締まる。
「……ついに来たか、秀吉。遅れれば伊達家は潰される。だが、下手に降れば伊達の誇りが廃る……」
「ええ。ですがご安心ください」
俺は眼鏡の奥の目をギラリと光らせ、一切目の笑っていない極上の笑顔を浮かべた。
「天下人・秀吉との『命がけのパフォーマンス合戦』……我が主君を日ノ本で一番目立たせる演出計画は、すでに完璧に組み上がっておりますから」
【システムメッセージ】
『摺上原の戦い(会津制覇)』が完了しました!
※伊達家が「奥州最大の版図」を獲得しました!
※次回、歴史的名シーン『小田原征伐(白装束での参陣)』へ突入します!
ご視聴いただきありがとうございました。




