第12話
この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。
政宗様が第十七代当主となり、領内の改革を急速に進める中――周辺の大名たちは焦りを募らせていた。
特に、政宗様の苛烈な外交に追い詰められた二本松城主・畠山義継は、降伏のフリをして隠居した輝宗様のもとへ挨拶に訪れ、隙を突いて輝宗様を拉致(人質)にして逃亡するという暴挙に出ようとしていた。
史実通りなら、輝宗様は「わしごと撃て!」と叫び、政宗様は泣く泣く父ごと畠山を銃撃……という『親殺しのトラウマ』を背負うことになる最大の危機だ。
だが――。
(我が主君にそんな重すぎるトラウマを背負わせてたまるか! 危険人物のコンプライアンスチェックとボディガード配置は、前世のイベント運営の基本中の基本だッ!)
◇
宮床の館にて。
降伏の挨拶と称して輝宗様と対面した畠山義継は、帰り際、すっと懐に手を差し入れた。
(ふふふ……油断したな輝宗! このまま貴様を脇差で脅し、人質として二本松へ連れ去ってやる――!)
義継がニヤリと歪んだ笑みを浮かべ、脇差を抜きかけたその瞬間――!
ドスッ! バキィッ!!
「ぐはあっ!?」
義継の視界が突如反転した。
輝宗様の左右に「控えていた」はずの成実と宗実が、一切の躊躇なく義継の肘を極め、畳へ叩きつけたのだ!
「な、なんだ貴様らはーッ! わ、私は降伏の挨拶に来た客人だぞ!?」
床に組み伏せられ、叫ぶ義継。
そこへ、部屋の陰からしずしずと歩み出てきたのは――一切目の笑っていない極上の営業スマイルを浮かべた片倉景綱であった。
「おや、畠山殿。刀に手をかけようとされる動作の角度、重心の移動、そして殺気……すべて予知範囲内でございます」
俺は手に持った『危険人物チェックリスト』にサラサラと羽ペンでチェックを入れた。
「輝宗様への面会申請があった時点で、前世のセキュリティプロトコルに基づき、あなた様の身体検査および『武器の無効化(脇差の仕込み加工)』は完了しておりました。また、お供の兵たちも庭先で全員静圧・拘束済みです」
「な……な、なんだと……!?」
がく然とする義継。
上座で呑気にクルミ味噌おにぎりを頬張っていた輝宗様が、ハハハと呑気に笑った。
「いやあ義継殿、景綱が『畠山殿は怪しいのでボディガードをつけます』と言うてな。まさか本当にわしを拉致しようとしていたとは驚いたぞ」
(輝宗様、危機感がなさすぎて尊い……! この平和な笑顔を守れて本当によかった……!)
◇
そこへ、報せを受けた政宗様が駆け込んできた。
「父上! 無事かッ! 畠山が怪しい動きをしたと聞いて……!」
「おお、政宗か! 心配いらん、景綱たちが一瞬で畠山を取り押さえてくれたわ!」
「景綱……!」
無事な父の姿を見て、胸をなでおろす政宗様。
俺は一礼すると、冷徹な手際で義継を処断すべく合図を出した。
「政宗様。降伏と偽って前当主を害そうとした大罪、言い逃れはできません。主君の手を汚すことなく、この畠山義継および二本松の処分……裏で完璧に処置しておきます」
「……ああ、任せる。景綱、父上を守ってくれて……礼を言うぞ」
政宗様がぎゅっと俺の手を握りしめた。
『親殺しの悲劇』は完全に回避され、伊達家の絆はさらに強固なものとなったのだ。
(よし……! これで『人取り橋の戦い』の原因となる最悪の悲劇は回避した! だが、二本松を巡る周辺大名(芦名・佐竹)との全面対決は避けられない……!)
俺は静かに暗闇で目を光らせた。
(来るなら来い、南陸奥の連合軍ども……! 我が主君の初の大規模合戦『人取り橋』、完全無傷の大勝利でプロデュースして見せる……ッ!)
【システムメッセージ】
『二本松(畠山)事件の完全回避』が完了しました!
※輝宗様の生存が確定し、政宗様の『トラウマフラグ』が消滅しました!
※伊達家のセキュリティレベルが『絶対防御』に昇格しました!
ご視聴いただきありがとうございました。
主人公は伊達家全体が好きです。




