エロ本掘り
「小屋の裏手に埋めたって話だよね?」
僕は友人に確認する。
「そ、そうらしいけど……」
友人は息を切らしながら、答えた。
僕は小屋の周囲を探る前に、観察をしてみる。
落ち葉と雑草で覆われた地面。
そこに、僕の足裏くらいの大きさの凹みが、小屋の裏手まで続いているのが確認できた。
どうやらここを最近訪れた人間がいるらしい。
やはり、この小屋で間違いなさそうだ。
僕は一先ず、その足跡を辿ってみることにした。
そうして小屋の裏手まで来ると、不自然に土がこんもりと盛り上がった場所を発見。
さらには、その土の盛り上がりの上に目印らしきアニメキャラの美少女フィギュアが刺さっている。
うん、絶対にこれに違いない。
喜びの最中、後ろから落ち葉を踏みしめる音が聞こえてきて、ぞわっと鳥肌が立った。
後ろを振り返ると、ただの友人だった。
心配して損をした。
僕に向けて右腕をピンと伸ばし、親指を立てている。
どうやら彼は、疲労から回復した様だ。
僕らは二人で気味の悪い笑みを浮かべ合う。
長く辛い道のりであったが、こうしてエロ本に辿り着くことが出来たのだ。
「さてさて。これ、どうやって掘り起こそうか?」
僕は友人に尋ねた。
「とりあえず手でいいんじゃない?」
「うーん……まあ、それでいいか」
二人で土山を囲むようにしゃがみ込むと、僕らは手で土をこそぎ取り始めた。
土は案外ひんやりとしてて気持ちがいい。
友人の顔を見てみると、眉をしかめていた
「めちゃくちゃ爪の中に土が入るな」
「これも試練のひとつと思えばいいよ」
「うわぁダンゴムシと、よくわからん虫が出てきた。はい」
「おいぃ、こっちに投げないでよ。特によく分からん虫はやめて」
手でやると効率がいまいちなのと、虫が怖い。更には、虫を投げてくる奴がいる。
ということで、僕はその辺にあった大きめの石を使って掘り始めた。
「それええな。俺はこれにしよ」
友人は置いてあった美少女フィギュアを使って掘り始めた。
フィギュアは高崎さんが置いていったもので間違いないと思うが、大丈夫なんだろうか?
5分ほど二人で無心に掘っていると、土の中でボンと固い何かにぶつかった。
その辺りを手で土を避けると、銀色の何か蓋の様なものを発見した。
「おっ、これっぽいな」
友人が嬉しそうに言う。
「ああ、きっとこれっぽい」
僕も思わず、はしゃいだ声が出た。
そのまま掘り進めていくと、蓋の全貌が見えた。
円筒状で、直径が30センチくらい。
蓋の継ぎ目はぐるぐるとクラフトテープで巻かれている。
急いている僕はその状態で容器を上に引き上げようと試みた。
しかし、びくともしなかった。
「まあまあ、そう焦るんじゃない。勝利は目前だ、じっくり行こう」
友人が気が急いてしまった僕を窘めてくれている。
「そうだね。ごめん」
「よし、じゃあもうひと踏ん張りや」
そこから10分ほどかかって、10センチほど"獲物"が姿を見せるまでになった。
"獲物"の正体は、某遊園地のキャラクターが描かれたクッキー缶だった。
僕はそれを両手で抑え込む様に持つと、思いっきり上に引っ張った。
「うおおおおおお」
声を上げてみるが、まだまだ全然抜ける感じがしない。
「あれちゃうか。回してみたらどやろ?」
そう友人が提案する。
僕は言われた通り回転方向に力を入れた。
そうすると、ちょっとだけ土の中で、缶が動く気配がした。
よし、いけるぞ。
僕は回転を加えながら、上へと引っ張る。
ズルズル……ズルズルと、缶は土の中から這出てきた。
「おお、やった!」
友人がガッツポーズをする。
そして最後はスポンと缶は地上へ躍り出て、僕は勢い余って後ろに倒れ込んだ。
お尻に鈍痛が走ったが、全然気分は悪くなかった。
何故なら、遂に”エロ本”を手にしたからである。




