ここはどこでしょう?
意識を取り戻した私は、ゆっくりと目を開ける
酷く頭が痛い
何があったんだっけ?
確か、学校サボって、丘の上の草原に行ったら知らない人に声をかけられて、それでーー
とりあえずその場に座り込み、頭を抱える
ここは、どこだろう?
古い作りの木の家
なんだか暑い
窓の外を見ると、辺り一面が燃えている
「火事!?逃げなきゃーー」
その時、人の気配がすることに気がついた
なぜそんなことがわかったのか、自分でもわからない
クローゼットらしき扉の向こう側に、誰かがいる
敵?味方?
味方な訳が無い
全く知らない土地で、味方なんているはずがない
「誰か、そこにいるの?」
応答はない
でも確かにいる
私が一歩ずつ慎重に歩き、クローゼットの前まで行き、ひと呼吸したあと、クローゼットの扉に手を掛けた
その瞬間、勢いよくその扉が開き、私は床に倒れ込み頭を打ちつけた
「いたっ」
「お前も、あいつらの仲間か!」
そう、怒号を浴びせられる
その正体は、10才くらいの男の子だった
倒れた私にのしかかり、首にはナイフが向けられている
「え?あの、...なんのこと?」
私はキョトンとした顔でその男の子を見た
その男の子は涙を浮かべながら、私を今だ見下ろしている
「と、とりあえず、ナイフなんて物騒だし、しまお?」
そう言うと、その男の子は私の上から降りたが、ナイフは持ったまま
私は内心ドキドキしていた
こんな非日常なこと、ドキドキしないでいられるわけがない
帰りたい。パパの元に
こんなことと比べると、ミヤとシュンくんのことなんてちっぽけに見えてくるよ
「あの、これはどういう状況なんでしょう?」
「わからないんだ。突然、あいつらがやってきて、村をめちゃくちゃにし始めて、僕の、父さんと母さんも、戦うために出て行っちゃって、兄ちゃんは数日前に村を出たところで、僕、一人で、どうしたらいいか...」
その男の子は堪えきれない涙を手で拭う
もう、訳わからない
ここ、どこなの?
拉致されて、ついた場所がなんか荒れてて、どういう状況なの?これ
というか、この少年、金髪に白い肌、青い瞳をしてるけど、ここ外国??
考えれば考える程意味不明だ
「と、とりあえず落ち着こ!少年!私も落ち着こう!えーっと、まずここにいると危ないってことだけ理解できたらいいよね!」
「僕は戦うよ!みんなの命を無駄にするわけにはいかない!」
その男の子はナイフを強く握った
よく見ると、震えている
怖いに決まってる。私だって怖い
「バカじゃないの!?そんなことしたら君も巻き添えになっちゃうよ!」
「それでもいい!一人で生き残るわけにはいかないんだ!」
話を聞かない少年の頬を、私は両手で挟んだ
「ふぇ!なにすんだ!」
「なんのために、あんたの父さんと母さんがあんたを残して戦ってるか、わかんないの?生きてほしいからだよ!その気持ちを無下にする気?!」
私がそう言うと、男の子はハッとした顔をして、俯いた
「わかったら、いくよ!とにかくここにいたら危ない!いろいろと!」
「でも外には奴らが」
「私がなんとかする!」
「え!?」
私は、もうこの先どうなるかわからないし
とりあえずこの少年だけでも助けてあげたい!
「私がいざとなった囮になるから!」
「そんな、なんでそこまでするんだよ!」
「それは....なんか、カッコイイでしょ?」
私がニッと笑うと、男の子はフッと笑った
「変な奴」
「それ、よく言われる。行くよ!」
私のその合図に、外へと飛び出す
辺り一面が焼け野原と化している
この家にもいつ火が着くかわからない
とりあえず少年を先頭に、私達は走った
しかし、
ドンっ
「うわっ!」
少年が突然吹き飛ばされた
物を使ったわけでもない。手も足も出された訳でもないのに、どうやってーー?
「ガキ発見」
現れたのは、大きな男
男の子はお腹辺りを抑えながら睨みつけている
「くそぉ!」
やる気だ
「少年!走れ!まっすぐ!」
私のその言葉に、少年はハッとこちらを見た
私は頷く
少年は悔しそうな顔をしながら、こちらに背を向け、また走り出した
それをめんどくさそうに追いかけようとする大男に石を投げつける
「こっちだよ!」
「あ?」
睨まれると、体が思うように動かない
蛇に睨まれた蛙
私は蛙か...どうせなら、もっと可愛い動物が良かったな
「アイツを助けたつもりでいるみてーだけど、無駄無駄」
そう言ってゆっくりと近づいてくる
「お望み通り、殺してやるよ」
そう言った瞬間、私は遠くに見覚えのある顔を目にした
いや、見覚えのなかったけれど、今となっては見覚えのある顔となった人物
アイツは、ここにくる前にあったーーー!!
「やめろ、ウォルター」
「え?」
「っ!!」
私の体が宙を舞う
私の視界はスローモーションになっていた
あぁ、私はここで死ぬのか
心残りが多過ぎて、気持ちの整理ができていない
せめて、あの少年だけは助かりますように...




