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WIND  作者: ちん太
3/5

私が向かう未来






結局、私はゆく宛もなく家に帰宅した


自分の部屋に入り、そのままベッドに倒れ込む



そして考える事は、先ほどのこと



ミヤは、ずっと私に気を使ってくれていたのかな?


本当はシュンくんのことが好きだけど、私のために...


シュンくんは?どんな心境だったのかな?


私が彼女で、その友達のことが好きで、私の事が邪魔だったのかな?



考えてもわからないことばかり



涙が薄ら滲んでくる


シュンくん達の関係どうこうよりも、裏切られたようなこの気持ちが辛いよ...


携帯を開くと、シュンくんとミヤからの着信が何度も鳴っている


言い訳、されるのかな?


なんて考える、最低な自分



私は携帯を見るのをやめて放り投げる




もう、何も見たくない。聞きたくない。




なんだか、疲れた。


久しぶりにあんなに走ったからかな?


もう寝てしまおう


私はそのまま、深い眠りに落ちていった










次に目が覚めたのは、父が私を呼ぶ声だった




「ナツー!ご飯だよー」




暗闇で、月明かりだけを頼りに時計を見ると、22時をさしている


随分寝てしまったみたいだ


リビングへと向かうと、机にはお弁当が置かれている




「ただいま、ごめんな。父さんご飯食べてきちゃったんだ」


「ん、いいよ」




どうせ食欲なんてない


一応座って、一口食べる




「...実はな、お前に会わせたい人がいるんだ」




この手の話、よくドラマとかである


まさか自分が体験するとは




「薄々わかってたよ」


「そ、そっか...相手の方はな、とってもいい人なんだ。きっとお前も気に入ってくれるよ。今日もその人と食事してきてーー」


「悪いけど、今はそんな話聞きたくないから」




今日、失恋した私には、いくら父でもそれは少し酷な話だった




「そっか...ごめんな。急にこんな話...」




謝らないでよ...パパが悪いんじゃないよ




じゃあ、誰が悪いの?




シュンくん?ミヤ?


二人はただ、お互いを好きになっただけじゃない


好きになってしまったことは悪いことじゃないでしょう?



だったら、私?


私が、何をしたっていうの?



私が、何を......



涙が出そうになるのを堪えながら、私はドタバタと急いで自分の部屋へと戻った



そしてひと粒だけ、涙を落とした



ドア越しに、父の声が聞こえる




「ごめんな、父さん、無神経過ぎたな。でもな、父さんがもしも再婚をしても、ナツのことは、大事な娘であることは変わらないから。それだけは約束するよ」




ごめんなさい、パパ


こんな親不孝の娘でごめん


明日は、必ず謝るから


明日は、必ず話を聞くから


今日だけ、親不孝者で居させてください




父は小さなおやすみと言う声を最後に、ドアから離れていった


私は小さな声で、泣いた









朝になり、リビングへと向かうと、父はもういなかった


それはいつものこと


しかしテーブルには置き手紙がしてあった



それを手に取り、目を通す




昨日はごめんな。

ナツの心の準備ができるまで、父さんは待ち続けるから、お前は安心していつも通りのナツでいてください

さて、今日も学校頑張って行ってらっしゃい




パパの優しさが、たっぷりとこめられている


私はその手紙を折りたたみ、スカートのポケットに入れた


そして、いつものように準備をして、いつものように家を出た




行ってきますという言葉とともにーーー









時間はいつも通り出たはずなのに、何故だかいつもより駅に着いた時間が遅かった


その理由はわかっている



シュンくんとミヤに会いたくないからだ



二人にどんな顔をすればいいのか、わからない



そのことばかり頭に巡らせながら歩いていると、足取りが重くなる


そしてとうとう動かなくなった



早く行かなきゃ、遅刻してしまう



わかっているのに、どうしても、行きたくない気持ちが勝ってしまう



私は後ろへ一歩下がると、振り返り、走り出す


学校とは正反対の場所へ



でも、私は何故だかスッキリしていた


何かから開放されたような気分



そして私は、足任せに、ゆく宛もなくどこかへと向かった









たどり着いたのは、丘の上にある草原だった


風が優しく私を後ろから抱きしめるように吹いている



とても気持ちいい



私はスカートが汚れることも気にせずその場に座ると、空を見上げた


雲一つない青空


悩みなんて、ちっぽけに思わせてくれる



シュンくんとミヤのことなんて考えない!


パパのことも、全てのことを忘れ去って、今だけは、ただ青空を見つめるんだ



私は大きく深呼吸をする



その瞬間、後ろから風が強く吹くと同時に、一瞬だけ辺り一面が真っ白になった



カバンが飛んでいってしまったことも気にせず、私は驚きの表情で後ろを振り返る


そこには、人が立っていた


その人は一瞬、驚いた顔を見せたかと思うと、ニッコリと笑って私に言った




「やっと見つけた」










その人の言葉に、私は覚えがなかった


見覚えのない顔、聞き覚えのない声



どうしよう。知っているフリをするべきかな?




「えーっと、こんにちは?」


「俺のこと、覚えててくれたんだ」


「え?あの、....どちら様、でしょう?」




その人は混乱している私を見てクスクスと笑っている


私は尚更混乱した



色白の肌に、真っ黒の髪

そして真っ黒の瞳

身長は180cmくらいだろうか?

整った顔をしている

年齢は20代くらい?



どこを見ても、身に覚えがない




「あの夜のこと、忘れたのか?」




あの夜!?


私、夜は毎日家で寝てるし、お泊まりだってパパが心配するからしたこともないし、どうしよう、全くわからない




「あの、ごめんなさい!人違いじゃないですか?」


「ははっ、冗談だよ。君とは初めて会った」


「え!?」




いきなり話しかけてきて、そんなこというなんて、なんて嫌味な人だ!


私の反応みて楽しんでる変態なのかも!


これはこの場から立ち去ろう




「私暇じゃないので、さようなら」




そそくさと去ろうとしたとき、後ろから少し小さな声が聞こえた




「君とは、ね」


「え?」




どういう意味?


振り返ると、いつの間にかその人は私のすぐ後ろにいた


私は驚いて転げそうになるのを、腕を掴まれなんとか転げずに済んだ




「ありがとうございます」




が、離されない


腕を振り回すが、離れない



この時、しまったと思った




「離してください!」


「いやだ」


「人呼びますよ!?」


「君には、一緒に来てもらうから」




意味がわからない


それって、拉致されるってこと!?


変な国に連れていかれて、一生奴隷にされる的なやつ!?


絶対に嫌だ!!




「嫌だ!!離してよ!!」


「逃げられるならな」




私はその人の肩にいとも簡単に担がれた


手足をばたつかせて抵抗しても、全く効かない



嫌だ!!まだパパに謝ってもない!!


ミヤとシュンくんとも、解決してない!


まだ心残りが多過ぎるよ


ママ...




「ママ、助けて.....」


「....すぐ会える」




その言葉の意味は理解できなかったが、今はそれどころではなかった


そしてその言葉の後すぐに、私は大きな光に包まれた


そのせいか、否かはわからないけれど、私は気を失った



包まれたのは大きな光だったはずなのに、私は深い深い真っ黒な闇の中へと落ちていった


そんな感じがした


そしてこれから待ち受ける運命を、私は想像すらも出来ないでいたのであった






光の奥へと進んだとしても、その先が光の世界だとは限らない


其の逆もそう。でも、後戻りは出来ないのだから、あなたは進むしかない


それが運命という道なのだから







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