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WIND  作者: ちん太
2/5

親愛なる者の裏切り






その日、私はいつものように6時に目を覚ます


リビングに出ると、パパが口にパンをくわえながら慌しく着替えているところだった


それも毎度のこと




「あ、おはよ!」


「また寝坊?」




へへっと笑うパパ。いや笑い事じゃないよ?



私も食事と身支度を整え、7時半に家を出て、いつものように登校


校門をくぐったところで、いつものように正面玄関で私を待っている彼に声をかける




「お待たせ!」


「おー、待ってないけどな。おはよ、ナツ」


「嘘つけーい、おはよ」




この人はシュンくん


ツンデレを使い分ける天才


私と同い年で、見た目は超絶イケメンというわけではないけれど、整った顔をしている


そして私の、自慢の彼氏。


今年の4月に告白されて付き合うようになり、もう5ヶ月になる


キスは一度だけ。デートはするけど、友達と遊ぶのと変わらない感じだし、付き合っていると思える瞬間はあまりない。けど、それでも私は幸せだった




「相変わらず、仲良しだねぇ」




そう声をかけてきたのは、ミヤ


私とは小学生からの友達で、よく相談にのってもらったりしてる


ミヤは頭が良くて、美人さん。それに比べて私はバカだし、顔も幼稚で...


この二人の側に私がいるなんて、おこがましいのかもしれない




「ナツー、早く教室入ろ」


「あ、うん!」




でもこの二人は私の自慢でもある


これからも三人で仲良くしていけるといいな!そう思っているのは、私だけじゃないといい






ーーーーーーーーーーー






その放課後、シュンくんだけクラスが違うこともあり、私は自分の教室でシュンくんが迎えに来てくれるのを待っていた




「シュンくん遅いなー」


「委員会でしょ?あと少しで終わるんじゃない?」


「早く会いたいなぁ」




私はシュンくんにベタ惚れだった


そんな私を、ミヤはいつものように呆れて笑っている




「ラブラブだねぇ。あ、私そろそろ帰るね」


「えー!私一人になっちゃうよー」


「もうすぐシュンくんがくるんでしょ?邪魔しちゃ悪いしね」




そういうと手を振り、ミヤはサッサと帰って行ってしまった


私は一人になった教室で自分の机に体を伏せた



そのとき何故か、フと母のことを思い出した


私を呼ぶ、優しい声


顔だけは、どうしても思い出せない



『...ナっちゃん...』



ママ...今、どこにいるの?



世間では、死んだことになってしまったけれど、パパも私も信じているよ



ママはどこかで生きているとーー




ダメだダメだ!!


一人だと考え事しちゃって、暗くなってしまう


シュンくんを迎えに行こう


そう考え、私は教室から出て、委員会の教室へと早足に向かった









確かこの教室だった気がする


私のいた校舎の、隣の校舎の4階


とっても静かな廊下


私は驚かせてやろうと足音をできるだけ立てないように歩いていた


目的の教室の近くまでくると、私は異変に気がついた


その教室からは、委員会をやっているであろう声がしない


代わりにするのは、仲の良さそうな男女の話し声

そして私は、その声に聞き覚えがあった



少しだけ開いているドアから除き込む


やっぱり...声の主は間違いない




「シュンくん、バカだねぇ」


「ミヤこそ、たまーにバカだよな」


「ひど、シュンくんには負けるわ」




ミヤと、シュンくんーー?


なんで?


ミヤ、帰ったんじゃなかったの?


シュンくん、委員会は?



あまりに予想外の出来事に、私の体が動かない




「...やっぱり、ナツに悪い、よね」


「...俺、ちゃんとナツに言うよ」


「でも...」




ナニコレ...


私、勘違いしてたの?




シュンくんの言葉も、ミヤの言葉も、全部嘘だったの?



これこそ嘘だ。信じたくない!



でも......二人は、お互いに好きだったんだ



やっぱり邪魔だったのは、私?



ダメ、これ以上、ここにいられないーー




その場から立ち去ろうとしたとき、誤ってドアに手をついてしまい、ガタッと大きな音がなった


そしてドアは全開に開かれ、二人の姿が丸見えになった


二人からも、私の床に転げた姿が丸見えだ


なんというか、恥ずかしいの一言


聞き耳を立てて、挙句の果てにすっ転んで全てモロバレ


カッコ悪すぎる。




「ナツ!!」




ミヤのその言葉をスタートのかけ声に、私は全速力で走る


靴箱に着いた時に振り返ったけれど、二人は追いかけてきている様子はない


そんなものだったんだ


二人にとっての私は、そんなあっさりとしたものだったんだ


靴を履き替え、私はまた走った



涙が出ていることも、わからないほどただ必死に走り続けた






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