↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
38/39

第三十八話 スキレット(前半)

 朝。朝食を食べ終えた私は、食堂《しょくどう》でぐったりとしていた。私は昨日《きのう》旦那様に、好きと告白した。そして私と旦那様《だんなさま》は、相思相愛《そうしそうあい》であることが確認できた。なので私はキスを期待《きたい》したが、結局《けっきょく》旦那様はキスをしてくれなかった。もー! 相思相愛ならキスくらいしてくださいよ旦那様ー!


 そうして私は、考え始めた。今日のお茶の時間は、旦那様とどう接《せっ》しようかと。そうして私は、ずっと考えていた。だが良いアイデアは、全然《ぜんぜん》出なかった。するとこの食堂の隣《となり》のキッチンで、カチャカチャと音がし出した。


 ああ、もうすぐ午前十時か。なのでメイドのユリーが、紅茶セットを用意しているのだろう。ちなみに食事も担当しているメイドのリーナは今、畑仕事《はたけしごと》をしているのだろう。そこで私は、ふと思いついた。ちょっとユリーに、相談してみようと。なので私は早速《さっそく》、キッチンに入った。すると予想通《よそうどお》りユリーが、紅茶セットを用意していた。キッチンに入った私に気づくと、ユリーは私に挨拶《あいさつ》をした。

「あ、おはようございます、レコア様。もう少々、お待ちください。もうすぐ、紅茶セットの用意ができますので」

「あ、いいの、いいの。そんなに慌《あわ》てなくて。あなたはいつも通り、美味《おい》しい紅茶が飲める紅茶セットを用意してくれればいから」

「は、はい。ありがとうございます」


 うんうん、ユリー。今日も、期待してるわよ。美味しい紅茶が飲める、紅茶セットを。でも、と私は考えた。今日はそれよりも、相談に乗って欲しい。どうしたら男性から、キスしてもらえるか。ハッキリ言って、ユリーにはあまり期待していない。どう考えてもユリーは、男性とキスをしたことが無さそうだからだ。


 ユリーは、確かに可愛《かわい》い。でもそれは、子どもっぽさが残る可愛さだ。だから私にはユリーが男性と付き合ったり、キスをすることが想像《そうぞう》できない。でも、それでも良いと思った。いや、そんな男性経験がないユリーだからこそ、今の私の話し相手にちょうど良いと考えた。そう考えた私は、早速ユリーに質問してみた。

「ねえ、ユリー。ちょっと聞いてもいい?」


 するとユリーは、紅茶セットを用意する手を止《と》めて私を見た。

「は、はい。なんでしょうかレコア様?」

「あ、いやいや。紅茶セットを用意しながら、聞いて欲しいの。まあ、ちょっとした世間話《せけんばなし》を私はあなたとしたいの」

「は、はあ。そうですか……」


 とユリーは、再び紅茶セットの用意を続けた。なので私は、聞いてみた。

「私はあなたに、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」


 するとユリーは、紅茶セットの用意をしながら答えた。

「は、はい。何でしょう?」

「あなた、キスをしたことはある?」

「え? キ、キスですか?」

「そう、キス。あなたは、したことある」

「え、えーと……」


 とユリーは、少し考えているようだ。いいのよ、ユリー。あなたはきっと、男性と付き合ったことも無ければキスをしたこともない。でも、それでいいの。私は今、そんなあなたと話をしたいの。するとユリーは、アッサリと答えた。

「えーと……。ありますよ、キスをしたこと」


 それを聞いて、私は驚《おどろ》いた。

「え? ええええ?!」


 あ、あるの、ユリー?! あなた、キスをしたことがあるの?! と動揺《どうよう》した私は、ユリーに迫《せま》った。

「だ、誰《だれ》?! あなたは、誰とキスをしたの?!」

「は、はい。幼馴染《おさななじみ》とです」

「お、幼馴染?」

「は、はい」


 そう聞いて、私は全身から力が抜《ぬ》けた。な、なーんだ。幼馴染とキスしたってことは、子どもの頃《ころ》の話か。子どもの頃に、幼馴染とキスをしたのか。なーんだ。でもそれは、微笑《ほほえ》ましいわ。ユリーらしいわ。なので私は、ユリーに確認した。

「なるほど、なるほど。つまりあなたは、子どもの頃に幼馴染とキスしたってことね?」

「いえ、違います。最近ですと、この間《あいだ》のお城での仕事が休みの時です。その時実家(じっか)に帰って幼馴染と会って、キスをしました」

「な、何ですとー?!」


 つ、つい最近?! つい最近、キスをしたの?! うーん、やるわねユリー。でもきっと、それが初めてのキスね。つまりユリーは、まだ一回しかキスをしたことがないのね。ふふふふ、私の勝ちね。何と言っても私は、旦那様と二回もキスしたんだから! なので私は、余裕《よゆう》でユリーを労《ねぎら》った。

「なるほど。つまり、それが初めてのキスだったのね。おめでとう、ユリー」


 するとユリーは、とんでもないことを答えた。

「え、いやあ。初めてじゃないですよ。もう何度もその幼馴染とキスをしたので、何回キスをしたのか憶《おぼ》えてません。てへ」


 な、何ー?! 何回キスをしたのか憶えてなほど、キスをしただとー?! い、いたよ。こんなに身近《みじか》に、キスのマスターがいたよ! 聞こう、このキスマスタ―に聞こう! どうすれば男性と、キスできるのか?! あ、でもさりげなくね。そして私は、ユリーにさりげなく質問した。

「あ、そ、そうなの。ふーん……。ま、まあ私も、キスくらいしたことがあるんだけどね。ま、まあ。それはともかくとして、あなたはキスをする時、どんなことに気を付けてるのかしら?」


 するとユリーは、少し経《た》ってから答えた。おそらく、考えていたのだろう。

「えーと……。やっぱり、ムードですかね。キスをしやすい、ムードですね」


 ム、ムード?! なるほど、ムードね! よし。私はこれから旦那様の執務室《しつむしつ》に行って旦那様に会《あ》うが、その時にムードを作ろう。キスをしやすいムードを! そのためには……。ふふふふ、アレだわ。アレでキスをしやすいムードを作って、今日こそ旦那様と三回目のキスして見せるわ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。