衝撃の事実
――しかし、そんな僕の悠長な決意は、ある日突然、両親から告げられた衝撃の事実によってひっくり返ることになる。
ある日の夕飯の後、いつものようにさっさと食べて、自分の食器だけ片付けて部屋に戻ろうとする結衣を、「結衣、綾人、お前達2人に話がある」と父さんが呼び止めた。
「――なに?」いかにもうざそうに結衣は席へ戻る。父さんと母さんは深刻な顔で俺たち二人に告げた。
「そろそろお前らも知っておくべき歳かと思って話すんだかな、実はお前たち二人は……血が繋がっていないんだ」
リビングのテーブルを囲み、沈痛な面持ちで語られた真実。僕は父の友人の息子だったらしい。事故に遭って僕だけ生き延びてしまい、引き取ってくれる親戚もなく、すんでのところで施設に送られるというところを、父さんと母さんが話し合い、母さんががなかなか妊娠しないこともあって、里親となることを決心したのだそうだ。
僕は衝撃を受けると同時に恐怖に駆られた。(どうしよう、この家に居られなくなるのだろうか?)僕は両親に向かって頭を下げ「すみません、迷惑と思いますが、これからも此処に居させてください。かかったお金は必ず返します」と頭を下げた。
両親は泣きながら、「そんな事は言わないでくれ、お前は大切な大切な私たちの子どもだ。ずっと私たちの子どもだ」と泣きながら僕の手を取った。「そんなつもりでこの話をしたんじゃない。お前達も大人になって突然知るよりも、あらかじめ知っておいた方が良いと母さんと話して決めたんだ」「そうよ、綾人、あなたが私達のところに来てくれてとっても幸せだったわ、これからも私達の家族でいてちょうだい」と母が泣きながら僕に搾り出すような声で話すと、僕も涙を止めることが出来なかった。
そして、結衣の方を見た。そうだ、結衣は今、僕のことを嫌っている。思春期特有のものか、本当に人間的に嫌いなのかはわからないが、結衣はこのことについてどう思っているのだろうか?
僕にとっては血が繋がっていようがいまいが、結衣が僕の大切な妹であることに変わりはない。今更、僕たちの家族としての関係が変わるわけじゃない。だか、彼女は違うかもしれない。
そう思って結衣の方を見ると、彼女は俯いて肩を小刻みに震わせていた。
ショックを受けているんだ。無理もない。僕は兄として彼女を慰めようと話しかけた。
「結衣、ごめん。僕がウザいようなら、これからは僕は結衣には――なるべく接触しないように……」
「……うそ」
「え?」
「嘘じゃないよね? 本当に、綾人お兄ちゃんと私、血が繋がってないの……?」
バッと顔を上げた結衣の表情を見て、僕は息を呑んだ。僕に向けていた冷たいいつもの表情ではなく、彼女の顔は、信じられないほど紅潮し、その瞳は涙で潤んでいたのだ。
「あ、ああ。そうみたいだけど……」
「っ……!!」
結衣は両手で顔を覆い、感極まったような、押し殺したように泣き出した。
(そんなに僕のことが嫌いだったのか?嫌いだったけど血が繋がっているから仕方なく一緒に暮らしていたのに、他人だったなんて、ショックでおかしくなってしまったのか?)と心配する僕をよそに、結衣は突然立ち上がり自分の部屋へとかけていって、次の日も出てこず、両親を心配させた。僕は申し訳なさに胸が痛み、これからどうすべきか悩むのだった
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