水瀬結衣の場合:絶対領域と妹の夜這い
その日の深夜。突然の雷鳴がなり、雨が降り出した。
気にせず僕がベッドで眠りにつこうとした時、ガチャリと部屋のドアが開いた。
「……結衣? どうしたんだ、こんな夜中に」
「お兄ちゃん……、雷、怖くて。一緒に寝ても、いい?」
月明かりに照らされた結衣の姿を見て、僕は息を呑んだ。
結衣が着ていたのは、彼女のパジャマではなく、なぜか『僕の白いYシャツ』一枚だったのだ。
シャツの裾からは、学園一の美少女と謳われる彼女の、白くて細い太ももが惜しげもなく晒されている。下着をつけているのかどうかも怪しい絶妙な丈だ。
「お、おい結衣! なんで俺のシャツなんか着て……! 早く自分の部屋に戻りなさい!」
「やーだ。もうベッド入っちゃうもん」
結衣は僕の制止を振り切り、するりとベットに潜り込んできた。
そして、僕の体に腕を絡ませ、自らの熱い体をすり寄せてくる。
「っ……! 結衣、離れろ! 俺たちはもう子供じゃないんだぞ!」
「子供じゃないよ。だからこそだよ。ねえ、お兄ちゃん……私たち、血が繋がってないんだよ?」
結衣は僕の胸元に顔をすり寄せ、その潤んだ瞳で上目遣いに僕を見つめた。
「私ね、お兄ちゃんが私を『妹』としてじゃなく、一人の女の子として見てくれるのを、ずっとずっと待ってるの。……本当は、あの女たちになんて指一本触れさせたくない。私だけを見て、私だけを抱きしめてよ」
結衣の言葉には、演技ではない本気の熱情が籠もっていた。
妹からの、あまりにもストレートで艶かしい誘惑。理性が吹き飛びそうになるのを必死に堪え、僕は結衣の頭をポンポンと撫でた。
「……結衣は、本当に甘えん坊だな。血が繋がっていなくても、俺はお前のことを世界で一番大切に思ってるよ。……ほら、今日は特別に一緒に寝てやるから、もう目を閉じなさい」
「…………」
結衣は一瞬、全てを焼き尽くすような暗い瞳を見せたが、やがてフフッと笑い、僕の胸に耳を当てた。
(……お兄ちゃんの心臓、すっごく早く鳴ってる。私のこと、ちゃんと『女』として意識し始めてる証拠ね。……このままお兄ちゃんをベッドに縛り付けて、私なしじゃ生きられない体にしちゃおうかな……♡)
「おやすみ、私だけの……お兄ちゃん」
三人のヤンデレヒロインによる、色気と狂気に満ちた波状攻撃。
限界突破の鈍感さでギリギリ致命傷を避けている僕だが、この甘く危険な包囲網が破られるのは、もはや時間の問題だった。
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