瀬戸凛の場合:密室のチェロと後輩のセクハラアタック】
「センパァイ♡ 今日のチェロの練習、もっと『深〜く』教えてほしいッス」
放課後の空き教室。
凛は僕がチェロを構える前に、なぜか僕の背後から両腕を回し、ぴったりと背中に張り付いてきた。
「ちょ、瀬戸さん!? なんで後ろから抱きついて……」
「バカ言わないでくださいッス。これは『姿勢の矯正』ッスよ? 先輩、最近背筋が曲がりがちだから、私がこうして背中合わせで密着して、正しい姿勢を体に叩き込んであげるんス♡」
そう言いながら、凛は僕の首筋に顔を埋め、スーッと深く息を吸い込んだ。
「んん〜っ……先輩の匂い、サイコーに興奮するッス……♡」
「こ、こら! 耳に息を吹きかけるな!」
「あはっ、先輩耳弱いんスね。……ねえ、先輩。チェロの音って、演奏者の鼓動とか、体温とか、そういう『隠しきれない熱』が全部弦に伝わるんスよ」
凛の手が、僕の腕をなぞるように滑り、指先を絡めてくる。
背中に押し付けられた柔らかい双丘の感触と、耳元で囁かれるハスキーな声に、頭がクラクラしてきた。
「先輩の奏でる音、すっごくエモくて好きッス。でも……」
チュッ、と。凛の唇が、僕の耳たぶに軽く触れた。
「私、音だけじゃ満足できないッス。先輩の心の一番深いところ、私がぐちゃぐちゃに弾き鳴らしてあげたい……。私達だけの音、出してみませんか?♡」
「お、おおっ! つまり、俺の伴奏に合わせて瀬戸さんが主旋律を弾くってことだな! よし、二重奏の練習、頑張ろうぜ!」
「…………はぁ」
凛は僕の背中に顔を埋めたまま、盛大なため息をついた。
(マジでこの先輩、脳天カチ割ってやりたいレベルの鈍物ッスね……。でもまあ、先輩の服の襟元に、私のキスマーク(マーキング)はしっかり残したッスからね。今日はこれでよしと♡)
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