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僕の妹がこんなにヤンデレデレになるなんて〜狂い始める日常〜  作者: 虹の箸


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まだもう少し続くんじゃよ

ガバッ、綾人は真夜中に恐ろしい夢を見て目覚めてしまった。まだ動悸がおさまらない。しかし、恐ろしいだけでなく、甘美でどうしょうもなく魅力的な夢のようでもあった。ほっと一息つき、水を飲みにリビングに行く。そこには妹の結衣がボーッと頬杖をついていた、

綾人はその魂の抜けたような美しい横がに魅せられながら「どうした?」と声をかける。返事はなかった。

寝室に戻り再び眠りに落ちる。今度は夢を見ることもなかった。


次の日の朝


お・に・い・ちゃ〜んっ♡ 朝だよ、起きて起きてぇっ!」

「ん、んん……うおっ!? ゆ、結衣!? お前、なんでそんな下着だけで俺のベッドに潜り込んで……!」

「え〜? だってぇ、お兄ちゃんが『ずっと仲良くしてくれ』って言ったんじゃな〜い♡ ほらほら、妹の愛情表現だよぉ」とリアクションしたのを聞いて、昨日の夢からの一連の事は何だったんだろうと、一瞬考えた。が、結衣が綾人の寝起きの綾人を嬉しそうに頬擦りしようとしているのを見て思考を止め慌てて止めた。日常はまだ続いていく


「こ、こら結衣! 近い! 柔らかいのがモロに当たってる! それに透けてる! 色々透けてるから!」

僕は慌てて結衣の肩を押し返そうとするが、結衣は全く離れる気配を見せない。それどころか、わざとらしく身をよじり、薄下着越しの柔らかな膨らみを僕の胸元にぎゅむっと押し付けてきた。

「えへへ〜、何が透けてるの? お兄ちゃん、変なこと想像したでしょ。血が繋がってない妹のこんな無防備な姿見て、朝からドキドキしちゃった?」

「バ、バカ言え! お前ももう高校生なんだから、羞恥心ってものをだな……っ!」

上目遣いで僕を覗き込んでくる結衣の顔はほんのりと赤く、その吐息が直接僕の首筋にかかる。甘いシャンプーの香りと、密着した肌から伝わる熱に、僕の理性は朝っぱらから限界突破寸前だった。昨夜のリビングでの、あの魂の抜けたような表情は一体何だったのか。もしかして、この『朝駆け』のシミュレーションでもしていたのだろうか。

「ねえ、お兄ちゃん。私、お兄ちゃんのためなら……なんでもしてあげるよ? もっと、気持ちいいこと――」

結衣の顔がスッと近づき、その艶やかな唇が僕の口元に触れそうになった、その瞬間。

ガチャッ。

「綾人、おはよう。朝ごはんできたわ……って」

寝室のドアが開き、エプロン姿の琴音が姿を現した。当然のように合鍵を使って上がり込んできた彼女は、ベッドの上で僕に馬乗りになっている結衣の下着姿を見た瞬間――、

メキィッ……!

手に持っていた金属製のお玉を、いとも容易く握り潰した。

「……ゆ・い・ちゃ・ん?」

「チッ。来たわね……あ、おはようございます琴音先輩♡ 今、お兄ちゃんと朝の愛情確認をしてたところなんですぅ」

「そう。でも、朝からそんなあからさまなのはどうなのかしら、ちょっと正気を疑うわ

琴音は一切の光がない絶対零度の瞳のまま、ズンズンとベッドに近づき、結衣の襟首を掴んで力任せに僕から引き剥がした。

「きゃっ! 暴力反対! お兄ちゃん助けて!」

「朝からみだらな格好で綾人の純潔を散らそうとする害虫は、お仕置きが必要ね。ほら綾人、早く着替えてリビングにいらっしゃい。ご飯用意してできてるから♡」

「お、おう……」

バチバチと火花を散らす二人を見送りながら、僕はほうっと息を吐いた。


あの修羅場のカフェで僕が「三人とも同じくらい大好きだ!」と宣言して以来、殺し合いの危機は去ったものの、彼女たちのアピールは明らかに過激さを増している。……まあ、家族や幼馴染として、僕に気を許してくれている証拠だろう。(と、僕は信じて疑わなかった)

「はい、綾人。あーんして? 今日の卵焼きは、マカとすっぽんのエキスを少し混ぜておいたから♡」

「いや、朝から精をつけさせてどうするんだよ! 普通の卵焼きがいい!」

「お兄ちゃん! 泥棒猫のご飯より、私のウインナー食べて! ほら、あーんっ♡」

リビングでは、右から琴音の卵焼き、左から結衣のタコさんウインナーが押し寄せてくる。

両側から胸や太ももを密着させられ、右を向けば琴音の胸の谷間が、左を向けば結衣の白い太ももが目に入り、僕は朝食を食べるだけで体力をゴリゴリと削られていた。

なんとか家を出て、三人で(両腕を完璧にホールドされながら)通学路を歩いていると、曲がり角から見慣れたショートカットの少女が飛び出してきた。

「あーっ! 綾人センパァイ♡ おはようございまーす!」

ドスッ!

「ぐふっ!?」

瀬戸凛が、勢いよく僕の背中に飛び乗ってきた。

「へへっ、先輩の背中、広くてあったかぁい♡ ……あっ、やば。走ってきたから汗かいちゃって、ブラ透けちゃってるかも。先輩、見てみます?♡」

「み、見ない! 見ないから降りろ瀬戸さん! 結衣と琴音も、腕引っ張るな! 体がちぎれる!」

僕の背中におんぶ状態の凛は、僕の耳たぶにわざとらしくふっと息を吹きかけ、結衣と琴音に向けてペロッと舌を出して挑発した。結衣と琴音は、笑顔のまま額に青筋を浮かべている。

「……瀬戸さん、朝から随分と身軽ね。そのままダンプカーにでも轢かれてくれないかしら」

「橘先輩こそ、朝からお邪魔虫ご苦労様ッス。そのままお弁当の食中毒で自滅してくれればいいのに」

「あんたたち、二人ともうるさい。お兄ちゃんの隣は私の特等席なんだから、早く消えて」

三人の口から飛び出す物騒な言葉の応酬。

しかし、僕にはそれが、「仲の良い女子同士のじゃれ合い」にしか見えていなかった。

(みんな、口は悪いけど、本当は仲良しなんだな……俺が『仲良くしてくれ』って言った約束、ちゃんと守ってくれてるんだ。嬉しいよ)

「おーい三人とも、あんまり喧嘩ばっかりしてると置いていくぞー!」

僕がそう言って笑いかけると、三人はハッとして、慌てて僕の体に再びベタベタと張り付いてきた。

「だーめっ! 一生離れないんだから!」

「そうよ綾人。あなたは私に一生愛されればいいの」

「センパイの全部、今日こそ私が搾り取ってあげるッス♡」

少しだけえっちで、少しだけ命の危機を感じる、賑やかな日常。

昨夜見たあの恐ろしい夢が、現実にならないことを心のどこかで祈りながら……《《鈍感》》な僕は今日も、三人のヤンデレヒロインに挟まれてドタバタな青春を満喫するのだった。


お読みいただきありがとうございました。

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次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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