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VTuberをやっている妹のパソコンを勝手に使ったら、配信モードになっていて、視聴者からオルタ化と言われ、私もVTuberデビュー!?  作者: 赤城ハル
第5章

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第40話 クリパ②

 美菜が投げたボールは虚しくガターへと流れていく。


「うぅっ!」

「さっきからガターばっかだね」


 豆田が冷たく言い放つ。


「違うの。Wee sportsならストライク取れるの! 重さが違うから……」

「そりゃあ、リモコン振るだけだからね」


 リモコン型コントローラーは300g。対してボウリングの玉は約3キロくらい。


「軽いやつで投げたら?」


 桜庭が小さいボールを投げるよう提案する。


「指が入らない」


 美菜が残念そうに首を横に振る。


「バンパーをオンにする?」

「結構」

「もう両手持ちにしたら」


 ボールの穴に指を入れて投げるのではなく、両手で持って下投げする投球。


「てか、投げるのは良くないよ。転がしな。床が凹んで弁償とかになったら大変だよ」


 種咲が溜息交じりに言う。


「確かにガンガン鳴ってますよね」


 石見さんが苦笑いで言う。


 先程から店員がチラチラとこちらを伺っているのは瀬戸さんや石見さんではなく、ボールを投げる美菜なのかもしれない。


「き、気をつける」


  ◯


 カラカラーン!


 瀬戸さんが転がした玉はピンを全て倒した。


 小気味良い音が鳴り響く。


「よし! ストライクッ!」


 普通はストライクを出すと喜んでハイタッチするのだが、何度も当然のようにストライクを出すため、ハイタッチは不要となっている。


 カラカラーン!


 しかも石見さんも上手で、瀬戸さんに続いてストライクを出した。


 私は瀬戸さん達と同じレーンを使用しているため、モニターに私のスコアが2人のスコアと並んで表示されている。


 私だけ2人に比べて成績が極端に低かった。


 けど、これは下手だからというわけではない。

 2人がうますぎるのだ。


 ストライクなんて10回投げて1回出せれば普通。基本はスペア。

 現にお隣のレーンのスコアと私のスコアはほぼ同じ。


「とりゃあ!」


 私が転がした玉は並んだピン10本の真ん中先頭に突っ込むがピンは6本しか倒れなかった。しかも左右に2本ずつ残るという面倒な形。


 プロなら回転をかけるのだが、私にはそのような芸当はなく、2投目は右側をきちんと狙う。


 カシャン。


 2本倒した。

 スコアに8が足される。


 現在は9回で総計113。

 残すはラストの10回。


「残念だね。あれは難しいよ」


 座席に戻ると瀬戸さんが労いの言葉をかけてきた。


 次は瀬戸さんの番だけど、瀬戸さんはまだ投げようとはしない。

 隣のレーンに合わせているようだ。


 こっちのレーンは3人で向こうは4人。1人多い分、進行スピードは速い。


 さらに向こうはのんびり投げているため進行スピードは遅く、私達のレーンはさらにゆっくりと投げている。


「ストライク狙いで真ん中先頭へ向けて投げても左右に分かれるんだよねー」


 ストライクを狙うということは全てのピンを倒さないといけない。つまり先頭のピンを狙わないといけない。だからどうしても真ん中ストレートになってしまう。

 けれど実際はその投げ方でストライクが取れるような簡単なものではない。


「ボールは真ん中先頭一直線ではなく、少し斜めからの先頭ピンを倒すのかいいよ」

「プロみたいに回転する投げ方?」


 プロはサッカーのバナナシュートのような弧を描くようにボウリングの玉を転がす。


「そう……といっても普通のボウリングの玉では無理だけどね」

「無理? やはりああいう投げ方って技術が必要だから?」

「ううん。実はプロのボウリングって中が違うのよ」

「中が?」

「そう。中が普通ではなくて回転しやすいようになってるの。ボウリング場のボールはただのボールなんだよ」

「へえ」


 初耳だった。

 回転しやすいボールとは。

 なんかズルいな。


「もしかしてマイボールとかって、そういうものなの?」

「そうだよ。……っと、そろそろ向こうも10回に突入したね」


 瀬戸さんは立ち上がり、ボールを拭いて、指を穴に嵌めて持ち上げる。


  ◯


「2人ともスコアすごいね。ボウリング好きなの?」


 私はスコア131で2人のスコアは180台。

 圧倒的に私のスコアが低い。


「別に」、「普通ですけど」


「いやいや、そのスコアで普通はないよ。ストライク何回出してるの? プロなの?」

「いや、本当に普通だよ。月に1回あるかないかだし」

「私もです。友達に誘われてボウリングをするレベルです」

「あ、でも、大学でプチ流行ると何回も誘われるかな?」

「それ分かります。誰かがボウリングで遊んだ話するとプチ流行りますよね。色んな友達や知り合いから誘われたりしますよね」


 石見さんも心当たりがあるのか瀬戸さんの発言に同意する。

 2人は友達とか知り合いが多いし、見た目も良いから広告塔として呼ばれたりするのだろう。


「その時はボウリングをいっぱいするんだ」

「まあね」

「ああいう時って、マイボール持って自慢してくる人いません?」


 石見さんが瀬戸さんに尋ねる。


「いるいる。グローブまで持参してる」

「シューズとかもいません?」

「いたいた!」


 同じ経験があるのか2人は話に花が咲いたようだ。


 私は時折、質問したり、相槌を打つ。


「で、やばいのが突き指した奴なんだけど。そいつ指を伸ばしたのよ」


 瀬戸さんが指を引っ張るような仕草をする。


「うえっ」


 反応したのは種咲だった。


「そっち終わったの?」

「今、終わったとこ。突き指を伸ばすってやばいんだろ?」


 種咲は渋面で瀬戸さんに聞く。


「そうそう。強く伸ばしたせいで剥離骨折しちゃったの」

「うわー」


 それを想像した種咲が痛そうな顔をする。


「ん? どういうこと?」


 今の話がついていけなかった私は瀬戸さんに聞く。


「ええとね。突き指したら伸ばせばいいって迷信があるんだけど。それって本当はやってはいけないことなの」

「そうなんだ。てか、突き指したら伸ばすってのも初めて聞いた」

「結構有名な迷信だよ」

「知らない。皆は?」


 周りの皆に尋ねるとその迷信を知らないのは美菜と私だけだった。


「……意外と知られていることなんだ」

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