第34話 爽快バトルテニス②
サーブ権はまずこちらにあるようで私はサーブを打った。
相手が打ち返したので私は相手の反対側へ打ち返す。
『いいですよ。相手から遠いところに打ち返しましょう』
もちろん相手も同じように遠いところへボールを返す。
「速いね!」
私が操作するポンポン君はコート内を高速で移動してボールを打ち返す。
そして前に出て、どんどん速く打ち返す。
『前に出たらスマッシュでネット付近をおもいっきり!』
「なるほど」
私は徐々に前に出て、そしてネット際に近づくと相手ネット付近にスマッシュを打つ。
『それはフラットですよ!』
「フラット? 何それ? てか、スマッシュってどうやって打つの?」
一応、相手は打ち返せずにポイントが入る。
『打ち方に色々ありまして、トップスピン、フラット、スライス、ロブ、ドロップショット、スマッシュ、ジャンプショット、チャージショット、パワーショット、必殺技があるんですよ』
「ストップ、ストーーープ!」
私はゲームを一時停止させる。
「多すぎ! いったいいくつの打ち方があるのよ!」
10くらいなかった?
多すぎ。打つだけなのにどうしてそんなにあるの?
『まずは基本的なトップスピン、フラット、スライスを覚えましょう。ここは一度対戦を中止して練習モードを選んでください』
私は対戦を中止して、練習モードを選択した。そして練習を始める前に葵の説明を聞く。
『練習をスタートする前に分かりやすく説明しますね。トップスピンは回転をかけたスピードの速いボールを打ち出すんです』
「強そう」
『さらに相手の嫌なところに打ち返せます』
速くて嫌なところに打ち返せるのか。
トップスピンが大事なのかな。
『次にフラットです。先程からオルタがやっていた打ち方です』
「普通の打ち方ってこと?」
『普通……というわけでもありませんが、何も知らない人はフラットになりますかね。それでフラットは回転をかけないトップスピンよりスピードのあるボールを打ち出すんです』
「へえ、それってフラットの方が良いってこと?」
速い球を打ち出して、相手に打ち取らせない。それがテニスのはず。
『いいえ。残念ながらフラットは速いけど相手からの返しが弱いんです』
「返しが弱いか……」
『返しが弱いと相手にチャンスを与えてしまいます』
「トップスピンは逆に上手く打ち返せるってこと?」
『そうです。速く打ち返すだけではダメなんです』
「なるほど使いわけが大事ってことね。で、最後のスライスは?」
『これは逆回転を与えることでボールの軌道が曲がるんです。しかも相手は打ち返し辛い。ただし、スピードが極端に遅い』
「野球の変化球みたいなもの?」
『まあ、そんなものですかね?』
葵は苦笑した。
「何よ。文句あるの」
『じゃんけんみたいなものです』
あ、無視した。
『トップスピンがきたらフラットで。フラットがきたらスライス。スライスがきたらトップスピン』
「ええと、急に言われてもちょっと整理させて」
『難しいなら、これだけは覚えておいてください。スライスはフラットで返してはいけない。これさえ守れは基本大丈夫です』
「オッケー。スライスにフラットはダメね」
曲がったボールはフラットで打ってはダメね。
『次はロブ、ドロップショット、スマッシュ、ジャンプショットの説明です』
「まだあるのー」
もう頭いっぱいだよ。
『大丈夫です。次は覚えやすくイメージもしやすいものです』
「本当に?」
『ロブは大きく上にボールを打ち上げてコート際を狙う打ち方です。前にきた相手に対して打つんです。そしてドロップショットはネット付近にボールを落とすショットです。ロブの逆ですね』
「ロブが奥、ドロップショットが相手のネット手前ね。ドロップショットはバドミントンでもあるから知ってる」
『それならスマッシュもジャンプショットも知ってますね』
「知ってる。強く打つやつね。ジャンプショットは跳ぶんでしょ」
『そうです。では、最後にチャージショットとパワーショットの説明です』
とうとう最後の説明か。
『これはゲーム限定ショットです』
「ということは現実にはない?」
『ありません。チャージショットはため撃ちでパワーとスピードの速いボールを打ち出します。ただしミスしやすいのがネック。そしてパワーショット。これは文字通り強いボールを打ち出します。現実であれば重いボールでしょうかね。遅いけど、打ち返しにくいボールです』
「それらはどういう時に使えばいいの?」
『チャージショットは相手の返しが遅い時に。パワーショットは相手が必殺技を使う時に打つといいです』
「よし。それじゃあ、練習スタート!」
『普通はプレイ前に知っておくことなんですけどねー』
「ああん?」
『……なんでもありません。さあ、ゲームスタートです! 楽しみましょう!』
◯
練習モードできっちりと打ち方をマスターして私は対戦モードに向かう。
「ちょっと休憩」
私はコントローラーを置き、ミネラルウォーターのペットボトルを開けて一口飲む。
「いやあ、このゲーム、結構頭使うよね。知恵熱が出たよ」
『知恵熱って実際にはないらしいですよ』
「えっ!? それじゃあ、なんで熱くなるのよ!?」
『シンプルに興奮しているだけですよ』




